リアルではモブなわたしは、GBNでずっと暮らしたい。 作:ゼラチナマスター
『エンゲージ、敵性ガンプラ数、5!』
『ひゃっはぁー! さあ、水と物資とMSを置いていきな!』
オペレーターの警告音声と同時に、モヒカン頭に肩パッド。いかにも世紀末やられ役な顔が叫ぶ。
「エニルさん!」
「任せた、ロウジくん」
操縦権を返上するつもりで叫ぶ台詞に、短い返事が返ってくる。
「エニルさん!?」
「武器は右がライフル、左がサーベル。サブウェポンはバルカン。
バルカンと切り替え式のハンドグレネードは忘れていい」
ロウジは思わず目を剥く。エニルはロウジに戦闘を任せるつもりだ。
クールにボタン配置を告げるエニルの、紅色の唇が楽しげに吊り上がっている。
間違いない、この人、きっと面白がってる。
「……知りませんよ、自慢のガンプラ壊しちゃっても!」
「CPU機相手に押し負けるほど、アタシのガンプラ、やわくないよ」
「じゃあ、壊したら僕の腕の問題って事じゃないですか!?」
悲鳴交じりの声を吐き出し、ロウジはもう一度大きく深呼吸。
エニルのガンプラを壊す訳にはいかない。覚悟を決め、ダイバーギアを強く強く握りしめる。
やがてレーダー上に強い光点が明滅し、ジェガン・Cの前方と後方へと複数のガンプラが姿を現す。
「わぁ、ドートレス!」
「もちろんアフターウォーのバルチャー仕様だな」
こんな時だと言うのに、ロウジの声が感激で裏返る。
三つ目状のモニターカメラの頭部を備えたすっきりした形状のガンプラは、
機動新世紀ガンダムXの量産機、ドートレスだった。
「後方一機、撃って来る!」
エニルの叫びとロックオンアラートに、ロウジは反射的に操縦桿を素早く切り返す。
鋭いステップを刻んだジェガン・Cのモニター画面で、画面に刻まれたサブマシンガンの弾着が映る。
前2、後1……なら、挟撃危険性を潰さないと!
瞬時に判断した思考が、ロウジにダイバーギアを握り直させた。
切り返しの勢いそのまま、スラスターを吹かし、ジェガン・Cは後方のドートレスへとジグザグに迫る。
「落ちろっ!」
再度のサブマシンガンの斉射を避け切り、右のウェポンボタンを押し込む。
必殺の気合と共に放たれたライフルのビームを、ドートレスは素早いステップであっさりと回避してみせる。
「嘘、避けるの!?」
「HARDの難易度かな。雑魚だって回避くらいするさ」
「ああ、もうっ!」
叫びと共にブーストボタン、スラスターを全開、低い軌道でドートレスの頭上を飛び越える。
「この距離……ならっ!」
スラスター解除、機体をひねって自由落下。
振り向くドートレスの首元に銃口を差し込むように引き金を絞る。
メガ粒子の光が今度こそ敵機を吹き飛ばし、撃破判定をモニターに映す。
「まず一機っ!」
「……やるね」
ロウジの叫びとエニルのお褒めの言葉とほぼ同時、
ガンプラの爆煙を裂くように、サブマシンガンの連射が押し寄せる。
ロウジは舌打ち、操縦桿を切り返す。
身を翻したジェガン・Cの装甲で弾着が弾ける。
「……しまった!?」
「大丈夫、装甲表面かすめただけ」
モニターを睨むロウジの視界に、武器を構えて駆けて来る2機のドートレスが映る。
斉射のタイミングをはかって崖から飛び出し、ライフルを2連射、ドートレスは左右に別れて機敏に避ける。
その動きに、ロウジは確信した。
「いくら反応が良かったって……」
遮蔽の崖に飛び込んだ直後、敵機のマシンガン射撃が虚しく空を撃つ。
タイミングは一定、いかにも敵機の動きは、プログラミングに従う機械的なものだ。
「そんなのに、負けるもんか!」
もう一連射をやりすごし、ジェガン・Cが崖から飛び出す。
スラスターを吹かし、低空を滑りながらライフルを構える。
一撃、そしてずらしてもう一撃。
機械的な回避行動を読んだ二撃目が、ドートレスのステップ先に吸い込まれるように着弾する。
「狙いも定めずだとか!」
もう一機が放った地対空射撃を機体をひねってやり過ごし、左のトリガーを押し込む。
サーベルを抜き放ち、スラスターフル噴射。
懐に飛び込み、ジェガン・Cのサーベルがドートレス目掛け斜め一閃。
着地際にもう一撃、右から左に腰だめに横薙ぎ。
残るは2機、けどまるで負ける気がしない。
一蹴した敵機の残骸を眺め、ロウジは気取ってつぶやいた。
「圧倒的じゃないか、我がガンプラは……」
「アタシの、ね?」
●読み飛ばしても構わない巻末プチ解説
・ガンプラの武装とボタン配置の独自解釈設定
ダイバーギアの操縦桿には左右にウェポントリガーが一つずつ。サブウェポンボタンが付いています。
ボタン同時押しなどをすれば使用可能武装は増えるが、エニルはミスを嫌って単純な設定にしています。
イメージ元の操作感はバーチャロンや連邦VSジオンなどを想像しています。
ロウジは操作しながら凄く喋っていますが、多分音声認識操作は採用されていないと思います。
シャイニングフィンガー使おうとして、セリフミスって不発する未来したら凄く恥ずかしい。