責任も負えない異端者共(リメイク) 作:you are not
世界は崩壊し、寂れた廃墟の建物にはツタが絡みついていた。かつて舗装されていたであろう道路はひび割れ、泥まみれで、かつての美しい姿は全く見る影もなかった。かつて名もなき神々が住まう楽園の悲惨な状態を嘆いているように、空からは雨が降り注いでいた。
「私は間違った選択をしたんだ」
壊れた箱を眺めながら先生は呟いた。彼は血まみれで、命を保つのもやっとの状態だった。
先生は血まみれの状態で自己嫌悪に苛まれながら、過去の出来事を思い出していた。彼はかつて大切な生徒たちを救うために困難な選択を迫られたのだ。その選択が最善であると信じ進み続けてきた。
しかし、結果は彼の予想をはるかに超えていた。彼の責任を伴った行動は予期しない連鎖反応を引き起こし、キヴォトスは崩壊し、生徒たちは怒りと憎悪の中苦難に見舞われる未来を選んでしまった。結局、彼女と同じ結末となってしまった……先生は自分の力不足を痛感し、後悔の念に苛まれていた。もし違う選択をしていたら、このような悲惨な状況を回避できたのではないかと考えていた。自問自答の中、ふと先生は思考を止める。もはや結論は出ているこれ以上の思考は意味がなかった。
「……まだ、私は世界に負けてはいない。こんな、強いだけの世界に負けてたまるか」
先生は生き残るために新たな道を切り開かなければならないと決意した。彼は自身の過ちから学び、未来への……否、過去への希望を抱きながら、崩壊した世界の中で再び立ち上がる覚悟を固めたのだった。
"大人のカードを取り出す"
「その行動はやめた方が良いですよ先生。その行動は貴方の存在を失うことと同義と言えます」
先生は声の主を確かめるために背後を振り返る。それはかつての同志であり、戦友であり、敵であった存在……黒服であった。黒服の体はあちこちボロボロで頭部に至っては一部が欠損しておりそこから白と黒の靄のようなものがあふれていた。腕で肩を抑えながらも黒服はこちらに歩み寄って近づいてくる。
「黒服……」
「確かにあなたが全てを代償とすればこの惨状はなかったこととなり、キヴォトスはまた青い物語の姿を取り戻すでしょう……ですが、その代償は貴方にとって何よりも重い。先生が、あなたが何よりも求めた『責任を背負える大人』ではなくなったしまう……」
黒服は私の大人のカードを掴みやめるように訴えかけてくる。……それでも
「思えば、君たちとの縁は不思議なものだった。最初は共に『翼』に就職した同僚程度にしか考えていなかった。その内命を互いに預ける戦友となった。あの地獄を生き残った後はキヴォトスで敵同士になってしまった……ほんと数奇な関係だと思う。だからこそ……
元のキヴォトスに来たらあの頃みたいに私に背中を預けてくれないか。共に色彩と戦ってくれ」
私はカードを掴む黒服の手を逆に握り返しながらそう呟く。
「……ボス、その言葉は卑怯です。反論の言葉が浮かんでこないのですから……」
黒服はそう言って大人のカードから手を放す。そして一歩、また一歩と先生から離れて行った。
「契約ですよ」
「もちろん、無責任な大人だが義理は通すよ」
黒いカードから眩い程の光が照らされ辺りは光に包まれる。