「そういうことなので、貴方にキヴォトスの『先生』の護衛をお願いします」
「はぁ……わかりました。ですけど、なんで僕なんですか? 護衛ってなったら後方支援向きの僕より向いてる人いません?」
「それは間違いありません。ですが、今回の任務は長期化すること、またあらゆる状況に対応できること、能力の秘匿が容易であること、それらを総合した結果、貴方にお願いしたいのです。八雲さん」
「仕方ないですね……いつからですか?」
「明日、キヴォトスに『先生』が向かうとのことなので、合流してください」
……え? 早過ぎない? もうちょっと時間がほしいんですが……?
ていうか、ほんとなんで? 僕の能力なんて、僕を中心とした半径50m程度の範囲を操る程度のもの……その応用で人の精神に干渉したり、物の声を聞いたり、浮いたり瞬間移動したり、そういうことも出来るけど、それら全てにおいて決定力だとかに欠けたりする……護衛という点においては比較的得意な部類にはいるものの、護衛特化の先輩たちには負ける。
「まあ、できる限り頑張りますよ……あと、気になったんですけど、護衛だけじゃないですよね? 僕の任務」
「…………よく、わかりましたね。はい。貴方にはキヴォトスの情報を収集してもらおうと思いましてね」
「……そうですよね……汎用性だけが僕の能力の特徴ですから」
「ですが、今回の任務については貴方くらいしか適任が居ないのも事実なんですよ? キヴォトスは学園都市ですから、『大人』である他の方に頼むのとは勝手が違います」
……なら仕方ないか……まあ、実際僕の周りはみんな二十代を超えているし、何らかの理由付けは必要なのはわかる……
「とはいえ、BDで勉強するのが普通の都市ですよね? 外部の僕が馴染めるとは到底思えないのですが……」
「それは貴方の努力次第です」
「……そうですね……まあ……引き受けた分には仕方ないですし……情報収集の方もやってみますね……」
まあ、とりあえず、そんなに難しい任務というわけでもないはず。一部に週一回革命が起きてたり、毎日のように銃撃戦が行われている地域が存在するくらいの最悪な治安……護衛は確かに必須になるよな……とりあえず、どんな攻撃が起きてもいいように準備は整えとかないと……
「支給品とかってありますかね?」
「すみませんが、こちらからキヴォトスへの支給はないと思ってください。貴方は『企業』とは別口で入ることになってますので」
「あ、今回は組織だった作戦とかじゃないんですね……」
「えぇ。なにせ、理由は分かりませんが、あちらの『連邦生徒会』の会長様からの依頼です」
「……随分大口からなんですね……まあ、わかりました。とりあえず、向こうの方で支給品とかあるって考えても?」
「恐らくそうなるでしょうね。とはいえ、貴方でしたら必要な資材はその場で補給できますよね?」
……そうですけど……そうですけど! 能力使うより支給される方が楽なの!! というのを言っても無駄だろう……
「それでは、私はこのあとも仕事がありますので」
「はい、それでは、失礼します」
ペコっと一礼して僕は司令室を後にする。
あれ? そう言えば、今回の任務って単独になるよね? よくよく考えなくても最初からそう言われてたな……どのくらいの期間になるかわかんないし、必要な衣類は現地調達でなんとかなるかな……。
はぁ……まさか後方支援の僕まで駆り出されるってどんな事態だよ……
そんなことを思いながら、僕は自室に戻りベッドへダイブした。