気が付いたら赤バーになっててビビった。
みんなFateとダンまち好きなのか……。
「────
「────基本骨子、想定」
「────構成材質、想定」
「────
「────
バチバチと魔力が弾け、一本の鉄剣を生み出す。
鉄剣を手に取ると、予め固定しておいた薪に向けて──
──鉄剣を叩き付ける!
鉄剣は薪を斬り裂くッ! ──には至らなかった。
パリンッ!
致命的な音がする。
剣全体がひび割れると、次の瞬間には砕け散ってしまう。
「……失敗か」
はぁ、と思わずため息が漏れる。
ヘスティア・ファミリアに所属して、はや一週間ほど。
本当は次の日にでもダンジョンへ行く予定だったのだが──
「ダンジョンンン!? キミは自殺しに行く気なのか!?」
頼む、ボクを置いてかないでくれぇ! と抱きついてくるヘスティアを何とか宥め、話を聞いてみると、戦闘訓練もせず、武器も持たず、ダンジョンに行くというのだから自殺するのだと思ったという。
…………うん、俺が悪いなこれ。
そりゃそうだよ、何の技術も武器も持たない奴がダンジョンなんかに行ったら死ぬに決まってるじゃん。
バカかな、俺?
「取り敢えずキミは魔法の訓練をしなさい。ダンジョンに行くのは魔法をきちんと使いこなせてからだ! わかったね!」
「……はい」
──と、まあそんなわけで投影魔術の練習をこなしているのだ。
今でこそマトモに武器の形をしているが、練習初日なんか名状しがたき剣のようなモノが出来上がったので、だいぶマシになった方だ。
形になるまで何度、
「……やっぱり実物を見ないとダメか?」
それこそが投影に必要な要素──投影六拍。
幸いにも俺の魔法『グラデーション・エア』は、単に投影するだけでなく、強化や変化、解析まで行えるので、知ることは容易い。
ただ、余りにも参考資料が少な過ぎて行き詰まっていた。
資料がナイフとギルドから支給された剣だけだからな。本質を知るには材料が足らなさすぎる。
「行くとしたら……ヘファイストス・ファミリアか?」
あそこだったら業物が沢山あるだろうし、是非とも解析したいところ。
だけど……武器をじっと見つめて魔法使っている人物。うん、どう考えても不審者である。
「……どうしたものかな」
「どうしたんだい?」
突然かけられた声にびくりと体を震わせる。
振り向くと不思議そうな顔をした女神様がいた。
「へ、ヘスティア様!? いらしてたんですか」
途端にヘスティアはむっ、と不機嫌になる。
「シェロ君、敬語じゃなくて良いって言ったじゃないか」
「いや、そういうわけには……」
まだ一週間しか過ごしていない
「いいかい、シェロ君。たった一週間とは言え、同じ屋根の下で過ごしたんだ。もうキミは大切な家族の一員なんだよ。だから遠ざけないでくれ、ボクはシェロ君と家族になりたいんだ」
…………。
「……ああ、もう、わかったわかった。敬語はもう使わない」
「本当かい!?」
「どわっ!? ち、近い」
一気に距離を詰めてきたな!?
なんかヘスティアの距離の詰め方が異常だ。
俺のことをやけに子供扱いしてくるというか……まあ実際、十三歳だし子供なんだけどサ。
それを踏まえても距離が近い。思春期男子にとって双丘は目に毒ということわかってほしい、マジで。
「それで、何を悩んでいたんだい?」
──確かヘスティアはヘファイストスと神友の関係だったはず、ヘスティア様が頼めば武器の解析をやらせてくれるかもしれない。
「実は──」
事情を話すと彼女は腕を組み、少し悩んだ様子を見せる。
「うーん、よし、ヘファイストスに頼むだけ頼んでみよう!」
あっけらかんと言い放ち、俺の手を掴む。
「じゃあ行こうかシェロ君、バベルへ」
「ちょっ! ヘスティア様!?」
手を振り解くことなど俺に出来るわけもなく、女神様に引っ張られていく。
────人と神の視線が痛い。
ヘスティアは神々の中じゃ有名だし、最近はバイトをしているから人々にも知られてきている。
そんな彼女が男を連れてきてるとか、そりゃ注目を集めるだろう。
「おっ、ロリ巨乳じゃん」
「連れてるのは……赤髪ショタっ!?」
「ショタキターーー!!!」
「いいね、そそるわあ」
…………うん、俺は何も聞いていない。
神って変神が多いのか? 前世のネット民みたいな反応してたぞ。
「着いたぜ、シェロ君」
『ΗΦΑΙΣΤΟΣ』と書かれた看板が目に入る。
神々に対する幻想が打ち砕かれたような感覚を味わっているうちに、目的地に到着していたようだ。
軒先に展示された武器は一眼見ただけで業物であると理解する。
お値段の方も……今の俺では絶対に手が出せないレベルをしている。
「ヘファイストスー、いるかーい?」
ヘスティアが大声で呼びかける。
静寂が続き、店の奥からのそりと赤髪の女性が現れた。
眼帯を付けた美女はヘファイストスだろう。
彼女はヘスティアを胡乱げに睨め付けると──
「ヘスティア。借金は受け付けて無いわよ」
──ぴしゃりと告げた。
これに慌てるのはヘスティア。
「ち、違うんだヘファイストス。借金しに来たわけじゃない」
「なら、何しに来たの? ウチに依頼しに来た訳でもないんでしょう?」
ヘファイストスの目が厳しくなる。
そりゃ仕事を頼むわけでもないのに呼ばれたら機嫌も悪くなる。
このままでは話が進みそうにないので、俺から切り込もう。
「ご歓談中、失礼しますヘファイストス神」
「あなたは──」
「自分はヘスティア・ファミリアのシェロ・トラゴディアと申します。実はここに来たのは自分の用事なんです」
目線がこちらに移る。
ヘファイストスは僅かに目を見開く。
「ヘスティアの……」
「自分の魔法は武器の複製を行えるものなんです。しかし、武器への理解が浅い為か、不完全にしか扱えない」
「それでヘファイストスの武器を見せてもらおうって話だ」
彼女は腕を組み、目を瞑る。
……ここが分水嶺だ。彼女の承諾を得られるかどうかで俺の行く末が決まる。
「あなた。それが、どういう意味なのか判っているの?」
「はい」
ファミリア外部の者に技術を伝えるなんて馬鹿のすることだ。
ましてや利益を得る
断られても何らおかしくない提案。いくら神友の眷属とは言え、限度がある。
嫌な沈黙が場におりる。
「…………」
──ああ、断られるな。
何となく察した。
まあ元々無理筋だったのだ。しょうがない。
多少遠回りでもダンジョンに行ける道を探そう。なに時間ならまだあるのだから──。
「────いいわよ」
「────え?」
腑抜けた声が出る。
それだけ予想外だったのだ。
だって、鍛治技術は門外不出のもの。知識とは財産だ。そんなものを見ず知らずの人に分け与えるはずがない。
「聞こえなかったかしら? いいよって言ったのよ」
「え、本当に良いんですか!?」
「なに? やっぱり嘘でしたって?」
「いや、そういうわけではなくて……」
慈母のような笑みを浮かべるヘファイストス。
「元々、ウチは
ただ、と付け加える。
「技は見て覚えるものよ。武器を複製する魔法だったわね、なら実際に武器を作ってみたらどう?」
「実際に?」
「そう。鍛冶場に立って、鉄を
なるほど。悪い話ではない。むしろ有難いくらいだ。
あまりにも良い話すぎて裏がありそうだ、と感じるほど。
それはヘスティアも感じたようで──
「…………なあ、ヘファイストス」
「なにかしら?」
「それって、シェロ君が
ヘスティア・ファミリアからヘファイストス・ファミリアに移る。
機密保持的な意味合いで言えば妥当な話だ。門外不出ならば身内にしてしまえば良い話なのだから。
「違うわよ、そんなことしたら貴女泣くでしょう?」
ヘファイストスは呆れた顔で告げる。
うっ、とヘスティアは呻く。
「じゃあ、何を要求するんだい?
「んー、そうね」
まるで考えていなかった
無理難題じゃなきゃいいんだけど……。
「──決めたわシェロ」
「は、はい」
思わず身構える。
「貴方、一流の鍛治屋になりなさい」
「へ?」
鍛治屋になる? 俺は冒険者を目指しているのに?
「場所は貸してあげるし、技術も教えてあげる。だから、一流になりなさい。鍛治だけじゃなく、冒険者としてもね?」
──それはあまりに都合が良く、同時にあまりに厳しい道。
冒険者として、鍛治屋として二足の草鞋を履き、一流となる。無理難題にも等しい難行。
断っても良い。俺が成長しないだけなのだから……なら俺の答えは決まった。
「なります」
簡単な答えだった。
嘘偽りの無い宣言にヘファイストスは瞠目する。
「本当に?」
「ええ、男に二言はありません。鍛治も冒険も一流になってみせます」
「ふふ、厳しい修行になるわよ」
「それでも構いません。強くなる為ですから」
こうして俺の冒険は始まった。
ダンジョンに行く為、魔法を究める為、鍛治を修める。
決して生半可な道ではないのだろう。
けれど、俺はこの時の選択を後悔しない。
強くなる為ならなんだってやる。
──それが俺のやるべきことだから。
正直言って、ダンまちはアニメを昔に見たっきりで、後は二次創作の知識なので不安しかない……。
まあ二次創作なので寛容な対応をお願いします。
あと、主人公であるシェロ君の容姿は完全に士郎です。
まだ十三歳なので士郎リリィと言ったところでしょうか。
まあ、衛宮士郎とはあんまり関係はないんですけどね。別に並行世界の同位体とかではないので悪しからず。