嘘吐きは勇者の始まり   作:柴猫侍

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第百四十話:模倣は証明の始まり

 

 

 

「〈錬金魔法(アルケミア)〉」

 

 

 

 ゆっくりと、マインは腕を持ち上げる。

 なんてことのない動作だ。傍から見ればただの華奢な少女の腕。黄金の衣より覗く指は、よく研がれた鉛筆のように黒く細い。

 

「──〈Hg(汞の使者)〉」

 

 ただし、その指は凶器足り得る力を秘めている。

 本物の黄金を紡いで作った金糸で織り上げた衣が靡く。その煌びやかな見た目とは裏腹な質量を秘めたそれを持ち上げる力は、俺達が思っているよりもずっと強大だ。

 

 しかし、彼女の真に恐れるべき力はそちらではなかった。

 

 光が瞬く。

 何もない空間から生み出された銀色の流体が、五指の先に収束した。

 

「発射」

 

 ダダダダッ! と鳴り響く発砲音。

 風を切る鋭い音と共に射出された銀色の雫は、凄まじい速度で並び立つ人形に着弾。その金色の装甲を削り、あるいは貫いたのだ。

 

 それが続く。

 続く。続く。

 続く。続く。

 

 続く──。

 

「おいおい、ほとんど機関銃じゃねえか!」

 

 終わらぬ発砲、いや、最早掃射と呼ぶべき光景に、俺は思わず叫んだ。

 マインの五指より放たれる弾丸──恐らくは水銀だろう。それらが絶え間なく撃ち続けられているのだ。

 〈火の男(サラマンドラ)〉や〈水の女(ニュンペー)〉のような大型の個体は兎も角、〈風の子(シルフ)〉や〈泥の子(ノーム)〉といった小型の個体は、すでに無視できぬほどの損傷を負っていた。

 

「マインったら、いつの間に恐ろしいあんな技を……?」

「……俺が教えた気がするなぁ」

「ライアーさん!?」

 

 いや、違うのよ。

 

 たまたま聖都で的屋を見かけたのよ。

 的屋と言えば銃なのに弓だったのよ。

 だからマインに俺が銃を教えたのよ。

 

 じゃあ俺が悪いか。うん。

 

「これで如何でしょう」

 

 ともあれ、結果はご覧の有様だ。

 

「蜂の巣だな……」

 

 アータンを抱えて安全圏に退避していたベルゴが、感嘆の息と共に一言零した。

 

 死屍累々。

 その光景を言い表すに適当な表現は、それ以外ありえなかった。

 

 黄金の我楽多(ガラクタ)の山が、いくつも築き上がっている。

 一部生き延びた個体はいるものの、それでも大部分は致命的な欠損により、地に伏せていた。

 

 ナニコレ?

 トンプソン・サブマシンガン(シカゴタイプライター)で無双したガンアクションゲームの画面?

 

「……」

 

 敵でさえ同情の念を禁じ得ない『蹂躙』の二文字が似合う光景だ。それを見下ろす当事者の双眸はと言えば、黄金としての輝きを失うかの如くくすみ切っていた。

 

「これで頭打ちでしょうか?」

「まさか」

 

 まるで誰かの真似でもするかのような口振りのマイン。一体誰のことでしょうねぇ。

 しかし、対峙するアイは即答した。

 

「これで終わりとでも?」

 

 不気味な眼光が頭上で瞬く。

 すると天井から壁へ。壁から床へ。そして、床から我楽多に光が奔った。血管のような軌跡を描いた正体は他でもない、魔力だった。

 

「──〈黄金の愛(アウロ・コンキリアトゥル・アモル)〉」

 

 カタカタと。

 小刻みな振動音があちこちより鳴り響く。

 

「! 人形が……!?」

「直っていく……!?」

 

 一部始終を眺めていたアータンとベルゴから声が上がる。

 直後、スクラップ同然に撃ち抜かれていたはずの人形は立ち上がった。そして、みるみるうちに破損した部位に黄金が盛り上がっていくではないか。

 

 ハッハ~ン?

 さては面倒くさいタイプの敵だな?

 

「この程度の損傷、壊れた内に入りません」

 

 無機質なはずなのに、どこか勝ち誇ったような声が降り注ぐ。

 そうこうしている間にも壊滅していた兵隊は復活する。いやぁん……(この世の最もセクシーでないセクシーボイス)。ひょっとしてこれって無限湧きタイプじゃあん……。

 

「これで振り出しです」

()()()

「……何?」

 

 それはマインへの返答、ではない。

 

「動きが……鈍い?」

 

 蘇りし黄金の兵隊。

 対峙する相手からすれば、無尽蔵の戦力を相手するに等しい存在であり、絶望を突き付ける死の宣告者であった。

 

 だが、彼らは動かない──否。

 

()()()()()()

 

 そして、関節部より銀の血液を流す人形のいくつかは途端に動かなくなった。

 まるで糸が切れたかのように、プッツリと。

 

「……アマルガム」

 

 造物主(せいさくしゃ)だからこそ、真っ先にアイは気がついたのだろう。

 遅れて俺も理解した。

 

「そうか、アマルガム(だから水銀)か!」

 

 アマルガム──要は水銀と他金属により生み出された合金の総称だ。

 アマルガムの内の一つ『金アマルガム』は水銀と金の合金だったはず。当然、これは水銀と金によって生成されるのだが、この時水銀は金を吸い込むようにして金アマルガムへと変化する訳らしい。

 

 さて、ここで電子基板を思い浮かべてみよう。

 携帯やPC、ゲーム機、ありとあらゆる電子機器に必要な部品だ。そしてご存じの通り、電子基板の配線には金が用いられている。

 量として極々少量。それこそ鍍金なり金箔なりみたいに、薄~く叩き延ばされた代物である。そんなものでも部品として機能するのだから技術というものは素晴らしい。

 

 が、()()()()()()()()()()()()()

 

 何らかの原因で電子基板が破損しようものなら、電子機器が動かなくなることは想像に難くない。

 

 マインが敵にやったことは、つまりそういうことだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()。これでアナタの人形は機能不全に陥ったはず。アナタの飯事もこれでお終いです」

「えらいぞ、マイン!」

 

 ガッ! とガッツポーズ(コロンビア)するマイン。

 

 よし、決まったな。

 何故か周りから呆れた視線を向けられている気がするが、俺は決して挫けない。何故なら俺は長男だからだ。次男だったら耐えられなかった。

 

「ハッハッハァー、ザマァみやがれ! うちのマインを不良品不良品って馬鹿にするから足元を金魚掬いみてェに掬われるんだ!」

「コツを掴まないと難しいレベル、という認識でよろしいでしょうか?」

「うん。まあ人によるところはあると思うんだけれど」

 

「浅い入れ知恵ですね」

 

「あん?」

 

 おい、誰の入れ知恵が浅いって?

 俺がマインに授けた知識が浅いはずがないだろうッ!? インターネットの海から掬い上げてきた珠玉のネタの数々ぞ!?

 

 いや浅いか。インターネットの海から拾える知識なんて大体表層に浮かんでいるものばかりだわ。浅瀬も浅瀬だね。

 

 済まんマイン。

 浅い入れ知恵なのは否定してやれねェ。

 

 でも。

 

「おいおい。その浅い入れ知恵にしてやられたのはどこのどいつだ?」

「この程度、問題の内に入りません──〈黄金の愛(アウロ・コンキリアトゥル・アモル)

 

 出た! 俺の知らん(やつ)

 既知の敵が未知の技を使ってくるなんて展開、リメイクかIFルートの作品しか許されねェぞ!

 

 ……あれ?

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 自問自答のセルフボクシングで俺がボコボコになっている間、地に伏せていた人形共はグズグズの泥と化し、地面に溶け込むようにして消えていった。

 しかし、程なくして再び天井や壁面から似たような人形が産み落とされる。金策目的のプレイヤーだったら大喜びの光景だろう。当事者からすれば堪ったもんじゃないが。

 

「仕切り直しです」

 

 あ~ら、不思議。

 ついさっき無力化したはずの兵隊が、新品同然の状態で再び目の前に現れたではありませんか。

 

「さて。この数のホムンクルスを相手に勝てますか?」

「……成程」

「全員オマエと同じ〈錬金魔法〉が扱えます。……後は理解できますね?」

 

 〈錬金魔法〉に対抗するには〈錬金魔法〉が最も適当だ。

 けれども、それが通用される状況にも限界がある。

 

不良品(オマエ)はこの数を捌けますか?」

 

 こちらの〈錬金魔法〉を扱える者はマインただ一人。

 対して敵側は主のアイを含め、頑強な黄金人形が数十体。

 

 絶望的な差だ。

 真面に考えれば、練度でどうこうなる戦力差ではない。

 

 立ち込める暗雲は、俺達の頭上に覆いかぶさっている迷宮の階層の如く分厚く、そして硬い。

 安全策を取るのであれば、一旦ここで退き、騎士団や冒険者と情報共有を図るべきだ。それから確実に相手を倒せる戦力と策を揃えて攻撃を仕掛ける──これが確実だろう。

 

 だが、それでは()()()

 

 蟷螂の卵鞘のように、迷宮に収まり切らなくなった魔物や人形がゾロゾロと外に飛び出すだろう。大侵攻(スタンピード)だ。周辺の被害は計り知れない。

 それどころか今迷宮に潜っている騎士団や冒険者は犠牲になる。当然だ。渦中も渦中。死地と分かって飛び込んだ以上、押しのけられなければ死が迎えにやって来る。

 

 懐に抱えた巻物(スクロール)を使うべきか否か。

 

「──可能です」

 

 その思考を断ち切ったのは他でもない、マインだった。

 

「……何?」

「アナタの言葉には正確でない情報──『嘘』が紛れています」

「嘘? このボクが……嘘?」

 

 向こう側にとっても意外な指摘だったらしい。口にする言葉から動揺が見てとれる。

 

「一体何が嘘です? ボクは端的に事実を述べただけのこと」

「前提が誤っていれば、自ずと事実にも齟齬が生まれます」

「前提?」

「アナタがホムンクルスだというそれらは、ホムンクルスではありません」

 

 まさに今蘇ったばかりの人形を見遣り、マインは続ける。

 

「ホムンクルスの定義とは、特定の製造工程を踏んで造られた人間のこと。いかに自律稼働し、錬金術を使えるからといってホムンクルスと呼ぶことは不適当です」

「……」

「アナタの作ったそれらはゴーレム、あるいはオートマタの類。ホムンクルスの要件を満たさない人形に過ぎません」

 

 無機質な、しかし、力強い光を宿した双眸が天井を仰いだ。

 

「錬金術が使えるからホムンクルスなのではありません。ましてや錬金術で作られたからホムンクルスという訳でもありません。──()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()

 

 断言。

 気持ちいいほどに言い切ってみせたマインは、フゥ、と一呼吸置いて結論を述べる。

 

「ホムンクルスでないのなら、真に錬金術を、〈錬金魔法〉を使いこなすことは叶いません」

「……随分」

「したがって、数ばかり揃えたところでワタシには勝てない。ワタシは……負けません」

()()()()

 

 最早、敬体すら取り繕っていなかった。

 鼓膜に届いた声は、思わず耳の奥がゾワリとするくらい酷く震えていた。

 

「誰の悪影響か知りませんが……それならこちらも前提を覆そうじゃありませんか」

 

 ゴンッ、と頭上から落下する人型の影。

 俺達から少し離れた場所に墜落しながらも、間もなく立ち上がった()()の顔を目にした時、

 

「嘘……」

 

 誰かが息を呑んだ。あるいは、誰もが息を呑んだのかもしれない。

 

「どうしてボクがオマエを何故不良品と呼んでいるのか」

 

 迷宮主は告げる。

 

「オマエもまた、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 残酷なほど、如実に。

 アイが生み出したホムンクルス──マインが否定した人形の顔は、当の彼女と瓜二つの顔をしていた。

 

「どういう不具合で迷宮の外に飛び出したかは知りませんが……大量生産した都合上、出来損ないの一つや二つは生まれると考えるのが妥当です」

「おい」

「理解して頂けましたか? オマエは模造品の不良品。劣化コピーの中でもいっとう劣る失敗作なのです」

 

 我慢ならず口を出そうとするも、饒舌な奴の言葉は止められない。止まらなかった。

 

「この、好き勝手言いやがって──」

「成程。それが真実であれば、たしかにワタシはホムンクルスではありませんね」

「おい、真に受けんなよ? あんなの、ただの言葉……」

「であれば、ワタシは人間です」

「──マイン」

 

 斜め上の発言が出てきた。

 こいつは予想外だ。敵さんも思わず目を丸め、マインを見つめていた。

 

 ハハッ、こいつは一本取られたぜ。

 

「……人間? オマエが?」

「はい」

「……ホムンクルスですらないオマエが──」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 俺が。

 アータンが。

 ベルゴが。

 アスが。

 

 順々に向けられる彼女の双眸には、俺達の姿が映っていた。

 そして、最後に彼女は瞼を閉じた。

 口元には笑みが──微笑みが浮かんでいた。なんて人間らしい、可愛らしい笑顔なのだろうと俺は思った。きっと他の皆も同じことを考えているはずだ。

 

「彼らがワタシを人間と扱ってくれる限り、此処に立つのは()()()()()()です」

「マイン……」

人造(ホムンクルス)であるか否かは問題でありません」

 

 自分が何者であるかの証明は、実に難しい。

 俺だって記憶が残っていなければ、『お前は前世で日本人だった』なんて言われたところで信じなかったはずだ。それぐらい記憶の価値というものは強く、重い。

 

 彼女は悩み続けていたのだろう。

 自分が誰か。自分がどういう存在か。

 

 知識こそあれど、己の出生に関する記憶は大事な部分が欠落していた。

 そんな中で、彼女が自分を見出したのは俺達とのやり取り──彼女を一人の人間として、仲間として接してきた日々であったということか。

 

 俺は、それが今、たまらなく喜ばしい。

 

「泣かせてくれるじゃんよ……そうだマイン、お前は人間だ! ってか、人間なんて広義の意味で全員人造人間みたいなもんだ!」

「ライアーさん。それを言っちゃあ元も子もありませんよ」

「神はまず、御自分にかたどって人を創造された……」

「神話から引用しようとしてます!?」

 

「──ふざけたことを」

 

 人間が人造人間である証明を始めようとしたが横槍が入る。

 

「オマエが人間だと? どうやら本格的に思考回路が壊れ(バグっ)たようですね」

「壊れてなどいません。ワタシという存在を、再定義しただけのこと」

「であれば、オマエの理屈は通らなくなる」

 

 蘇ったばかりの人形が──不完全なホムンクルス達が起動する。

 今度はどう仕掛けてくるつもりだろうか。火でも水でもどんとこい……そんな風に身構えていた俺達であったが、人形は予想通りに予想外の動きを取り始めた。

 

「一か所に集まって……」

「合体しているのか……?」

 

 

 

「──〈試金石(アウルム・プロバット)〉」

 

 

 

 途端に形を崩し、黄金の泥と化して融け合う人形達。

 グズグズに、ドロドロに。

 しかし、数分と経たずに不定形だった金泥は、みるみるうちに巨大なシルエットを形成していく。

 

火の男(サラマンドラ)〉よりも苛烈な火を吹き。

水の女(ニュンペー)〉よりも激烈な水を噴き。

風の子(シルフ)〉よりも猛烈な風を巻き。

泥の子(ノーム)〉よりも強烈な塵が舞う。

 

 背中から突き出た肋骨のような部位の先に、地水火風の全てが備わっている。

 陳腐な言い方をするのであれば、火炎放射器と放水ホースと扇風機とドリルが付いていた。ただし、言葉以上に実際目にした時の威圧感が凄まじい。

 

「合体ロボかよ。日曜の朝に出直してきな」

「先と同じ手が通用するとは思わないことです」

 

 迷宮主であり造物主の言葉は、明確にマインの方に向けて言い放たれていた。

 

「オマエの攻撃パターンは把握しました。〈錬金魔法〉による分解。水銀の弾による阻害。そのどちらをも防ぐよう()()しました」

 

 ほとんど隙間のない装甲は、水銀どころか鉛玉でさえ通らなさそうなほど分厚そうだ。

 かと言って接近して〈錬金魔法〉を撃ち込もうとしても、装甲以上に分厚い弾幕が襲い掛かってくるのは目に見えている。

 

「これが現実です、不良品(ミスフィッツ)人造人間(ホムンクルス)ですらなくなった──ただの人間に成り下がったオマエに、これが倒せますか?」

 

「できるぜ」

「できます」

 

「……何?」

 

 重なる声は俺とマインのものだ。

 思わず二人で顔を合わせ、見つめ合う。彼女としては予想外だったのかポカンとしていたマインに対し、俺はわざとらしく目尻を上げて笑ってみせる。

 すると、マインは見様見真似で目尻を上げてくれた。自然と口角も吊り上がるもんだから、可愛らしい顔には不器用な笑みが作られる。

 

 だが、()()()()()

 

「さっきから黙って話聞いてりゃーよォ~。……お前、人間が人造人間以下みたいに扱ってくれてるじゃないの」

「……何か間違いが? たかだか百年で老いて朽ちる肉体しか持たぬ人間が、朽ちぬ肉体を持つ人造人間(ボク)に勝てるとでも?」

「はい」

 

 勝てます、と。

 淡々としながらも自信たっぷりで言い切るマインは、徐に自分の胸に手を当てた。

 

「人間は──()()()します」

 

 少女の体より迸る。

 黄金よりも煌々と輝き、まるで暗雲が立ち込めるように薄暗かった地下を照らす光が。

 

「っ!?」

 

 光は輝きを増していく。

 さながらスポットライトの如く光の柱は、天井に巣食っていた迷宮主を衝き上げる。

 

 特段殺傷力を備えている訳でもないただの光だ。

 しかしながら、自分の聖域(あんぜんけん)を侵されたと思った迷宮主は、不格好にも咄嗟に身構えてしまった。

 

「不変とは必ずしも良い意味ではありません」

 

 地に光が満ちていた。

 空に影が落ちていた。

 

 今、この瞬間、彼女らの天地は覆っていた。

 

「不変とは停滞。あるいは相対的な後退を意味すると、ワタシは学習致しました」

 

 マインの纏う黄金の衣が踊る。

 風に舞った訳ではない。自らの意思を持って独りでに動き出したかのように変形を始めたのだ。

 

「進歩こそが人間の力」

 

 これもまた〈錬金魔法(アルケミア)〉だ。

 作り直されたドレスは、今度は雄々しい防具へと変貌する。烏のような鉄仮面。翼のようなマント。動きやすそうな軽鎧。

 

 というか……。

 

 

 

「──〈勇者の証明(フォルティス・ウィロス)〉」

 

 

 

 ()()()()姿()()()()()()()がそう告げる。

 

「人間として、ワタシはアナタを越えてみせましょう」

「……俺が言うのもなんだけど」

「はい?」

()()()()?」

「はい」

 

 そっかぁ。

 どうやらマインの目には、俺があのデカブツを倒せるように見えているらしい。

 

 よ~し、お兄ちゃん頑張っちゃうゾ☆

 

 

 

 本物偽物勇者と偽物偽物勇者が相手してやんよォ!

 

 

 

 




Tips:マインの解剖図

マイン's頭:学習した知識を詰め込んだ記憶領域! ここを欠損するとデータを破損しちゃうぞ!

マイン's目:

マイン's体:あらゆる金属を混ぜ合わせた合金で造られた頑強な肉体! 鎧を着なくてもライアーより硬い!

マイン's筋肉:合成樹脂とゴムの組み合わせ! 流れる電力で動く人工筋肉は、岩をも軽々持ち上げるぞ!

マイン's肌:伸縮自在なゴム製! 多少の電撃だったら絶縁できるぞ!

マイン's血管:こちらもゴム製! 中を流れるのは血液……ではなく水銀! これを弾丸のように発射できるぞ!

マイン's心臓:金属製で厳重な封印が施されている球体だ! 自動的に魔力を生成しているぞ!

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