ようこそ現役ホストのいる教室へ   作:カスのホスト

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第11話 破滅への第一歩

 

 

 

 龍園君と別れ、寮へと戻った俺は端末に数件の不在着信が来ていることに気が付いた。

 

「最近多いな」

 

 まあ、あの性格で学年の人気者を演じ続けるのはストレスがたまるのだろう。

 

「だからってこっちも暇じゃないんだけどな……」

 

 そんな呟きが出つつも、着信の番号にかけ直す。傍から見たらただのツンデレみたいになっているが、これをやらないと後が怖いのだ。

 

「もしもs「遅い! 今まで何してた訳!?」……ごめんって」

 

 1コールも掛からない内に電話越しに女性の声が聞こえてくる。ひよりちゃんでも有栖ちゃんでもない、高くてヒステリック……元気いっぱいの声だ。

 

「そんなに怒らないでよ()()()()()。こうしてちゃんと掛け直してるんだからさ」

 

 電話の相手はDクラスの櫛田桔梗ちゃん。こうして下の名前で呼んでいることがバレただけで男子の妬みを買う、学年のアイドル的存在の女の子だ。

 こっそり電話をするのが日常になっている何て知られた日には、いつ刺されるかわかったもんじゃない。

 

「チッ……しょうがないわね。優しい私に感謝しなさいよ」

 

「そうだね。ありがと桔梗ちゃん」

 

「もう……っていうか聞いてよ! 今日も堀北のやつがさ!」

 

 適当に流されていることに気がつきつつも、桔梗ちゃんの中では堀北さんに対する愚痴の方が優先度が高いらしい。

 ……実の所、俺堀北さんと話したことすらないんだけどね。学食で綾小路と一緒に飯食ってるところしか見たことない。

 目線で「高辻! 助けてくれ!」って綾小路が訴えてきていたが、美女とご飯を食べている中そんな態度なのは良くないのでサムズアップを送っておいた。

 

 あの後フォークで手の甲を刺されそうになったらしい。高校生にして女に刺される経験をするとは罪な男である。

 

「────そこで堀北の奴が「まだまだもっと点数を上げてもらわなきゃ困るわ」って……何その態度って思わない!? 」

 

 桔梗ちゃんとの出会いは極々普通のものだった。入学して最初の頃、クラスの男女でと遊ぶ話が出た際に女子に誘われて来たのが始まりだ。

 

 そのときから何となーく性格の悪さには気がついていたが、それが確信に変わったのは入学して2週間が経つか経たないかくらいのころ。

 その理由は単純。堀北さんに対して口汚く行っていた悪口を聞いてしまったのだ。適当に1人でショッピングモールを散策していたら、カフェから速足で出てくるところが見えたためホイホイついて行ったのが運の尽きだった。

 

 バレた時の桔梗ちゃんの反応と言ったらもう凄かった。

 恐ろしい表情で腕を掴まれ、そのまま多目的トイレに連れ込まれたのは懐かしい話だ。「この話を聞かなかったことにすると約束できないのなら、今ここで大声を上げる」なんて脅されるおまけ付きでね。

 

「私と綾小路君が過去問を持ってこなかったらもっと酷いことになってたはずなのに、感謝の一つもないのっておかしいでしょ普通」

 

 まあストレスを貯めた女の相手をするのは慣れているため、適当に褒めながら言いくるめて何とか許してもらった。……まだまだ疑われてるけど。

 しかしそこから定期的にこの有様、週1,2位の頻度で桔梗ちゃんからは愚痴の電話がかかってくる。きっとこの電話も俺を縛り付けておくための作戦なのだろう。少しでも返答を間違えれば敵に回る様は本物の爆弾だ。

 

「……って聞いてる!?」

 

 ……の割には意外とチョロいから雑に扱ってしまうんだよな。反省反省。

 

「聞いてるよ聞いてるよ。思ってたより成績良いと思ってたけど、Dクラスも過去問までたどり着いたんだね」

 

「うん。綾小路君が私の手柄にしてくれたの。ああいう陰キャは目立つのが嫌いだから助かったわ」

 

「あんまり言ってやるなって。……ってか、過去問は清隆君が持ってきたの?」

 

 俺の部屋に来たときはプロジェクターでボーっと映画を見ているような、のほほんとした清隆君だが有事の際は意外と頭が回るタイプのようだ。

 

「あっ……これ言っちゃダメな奴だったかも。ごめんっ、忘れて?」

 

「今更可愛く言っても色々と手遅れだと思うけどね」

 

「チッ」

 

 おー怖い。舌打ちのトーンまで変えてくる様はさながら声優だね。

 ちょっと弄りすぎて不機嫌になってしまったため、ここからちょっとだけ皆さんにホストの手腕をお見せしましょう。

 

「だから言ってるじゃん。俺といるときくらいは演技なんてしなくていいってさ」

 

「仕方ないでしょ。これが染みついてるんだから。それに、あんただってこっちの方がいいと思ってるんでしょ?」

 

「染みついているからたまには息抜きしなきゃダメって言ってるの。確かに桔梗ちゃんの表の人格は魅力的だ。Cクラスの男子が天使だって言ってるのも納得なくらいにはね」

 

 電話越しに得意げに鼻を鳴らす音が聞こえてきた。有栖ちゃんもそうだけど、こういう自分の強みを理解して賢く立ち回っている女性は結構好感度高いんだけどね。あんまり桔梗ちゃんには信じて貰えないみたいだ。

 

「でもそれは君の本心じゃない。桔梗ちゃんは自分の心を押し殺して、クラスや友達の為に身を粉にしてるんだ。たまにはガス抜き位しないと、先に心が折れちゃうよ?」

 

「別に、あいつらの為とかじゃないから。……私がチヤホヤされる為にやってるだけよ」

 

 内面を真っ向から褒められたらどんな人間でも照れるものだ。桔梗ちゃんは表の人格や外見についてなら数えきれないほど褒められてきただろう。しかし裏の顔についてはそうではない。

 だからそれをひた隠しにしたがるし、知ってしまった俺を排除したがるのだ。

 

「それでも結果的にクラスの為になってるでしょ? 桔梗ちゃんは今やDクラスには必要不可欠な存在だ。君の気配りが須藤君や池君、山内君を赤点から救ったと俺は思ってる」

 

 だから、その内心を褒めることは桔梗ちゃんにとって特攻となる。

 膨大に膨れ上がり、欺瞞によって得たスカスカのスポンジのような承認欲求に水を与えるのだ。

 

「……何それ」

 

「だから、俺はそんな頑張っている桔梗ちゃんが、ちょっとだけ裏表のある性格だからっていって爪弾きにされるのが許せないんだよ。君が何を思って堀北さんをそこまで嫌うのか知らないし、聞く気もないよ。ただ俺との電話が、少しでもストレスの捌け口になるなら良いなと思ってさ」

 

「……キモい。早口だしお人好しすぎでしょ。意味わかんないんだけど」

 

 そう罵ってくる桔梗ちゃんだが、自分も早口になっている事に気が付かないのも含めて可愛らしい。

 

「お人好しでも何でもないよ。俺はただ、桔梗ちゃんとこうやって話すのが好きなんだ。好きな友達と話すのは楽しいしね」

 

「ふんっ。そうやって誰彼構わず好きとか言ってるんでしょ。顔がいいからって調子乗らないでよ」

 

 サラッと褒めてくれる辺りコミュニケーション能力が高いね。意識してても凄いし、してなかったらそれはそれで天性の才能だ。

 

「誰にもは言ってないよ。そう思った人にしか言ってないから」

 

「……言っておくけど、あんたと付き合うとかは無理だから。他の馬鹿な女からどんな嫉妬買うか分かんないし、男子からちやほやされなくなるのも嫌」

 

 別に付き合おうなんて一言も言ってないんだけどな。

 有栖ちゃんもそうだけど、少し匂わせただけで舞い上がるのはやっぱり若い故なのかな? 扱いやすくて助かるね。

 

「残念。この学校で隠し通すのは無理だからね。でも、俺はそこらの男子とは違って本心の君を好きになれる自信あるけどね」

 

「うっさい! キモい!」

 

 怒られてしまった。電話越しだが桔梗ちゃんが顔を赤くしているのが容易に想像つく。やっぱり裏の顔を褒めるのは彼女にとって特攻だね。

 全然らしくない恋愛アニメのツンデレヒロインみたいな台詞を吐く桔梗ちゃんは大変微笑ましい。

 

「……せめて同じクラスだったら良かったのに」

 

 急にしんみりした口調で呟く桔梗ちゃん。本人は絶対言わないだろうから無意識での発言だろうか。

 意外と良いギャップ持ってるじゃん。ホストのお兄さん少しキュンと来たぞ。

 

「じゃあ堀北さんと交換する? こっちも龍園君とおさらばできて嬉しい限りだよ」

 

「っ、何でもない!」

 

 そんなふざけた提案は、駄々をこねる子供の様な言葉で否定されてしまった。

 

「……あんた、龍園君とのいざこざはもう大丈夫なの?」

 

「心配してくれるんだ? 結構優しいじゃん」

 

「からかわないで。Cクラスの友達が心配してたから聞いただけ」

 

「ふーん……まあ、あんまり居心地は良くないけど、もう慣れたもんだよ」

 

 嘘です。今回のテストの結果でリーダーが龍園君に移り切ったため、そこからは特に何の制約もなく過ごせてるから快適そのものだったりする。表向きに演技する必要もないしね。

 普通にCクラスの友達と遊びに行くし、他クラスの友達と遊んでも何も言われない。きっとそのまま放置する方がいざという時にいい働きをしてくれると思ってのことだろう。

 

「最初はスペック高すぎてムカついてたけど、あんたも馬鹿なところあるわね。あんなヤバそうな男に盾突くなんて。ざまあないわ」

 

「あはは。こりゃ手厳しいね」

 

「……何か言い返しなさいよ」

 

 やっぱり桔梗ちゃんには聖人ムーブも刺さるね。投げたボールが返ってこなくて逆に不安になってしまっている。

 お世辞にも性格は良くないけど、こうやって承認欲求が満たされる相手には意外と優しくなるのだろう。桔梗ちゃん自身借りを作っている自覚はあるだろうから。

 

「でも、だからこうして桔梗ちゃんと電話する時間はけっこう楽しいんだよ? お互い気を使わないで本音で話し合えるからね」

 

「あっそ。……疲れた。もう切るから私」

 

 どうやら稼げる好感度の上限に届いてしまったらしい。桔梗ちゃんはひねくれた……しかしどこか満足げな様子でそう呟いた。

 

「うん。おやすみ」

 

「おやすみ。……また掛けるから、そのときはちゃんと出なさいよ」

 

「はいはい……切れた」

 

 こちらの返事を待たずして聞きなれた効果音が流れる。そして電話が切れ、にぎやかだった部屋には再び静寂が訪れる。

 端末を置き、机の上に置いていた小説を手に取る。

 

「ちょっとやり過ぎたな」

 

 1週間くらいは都合をつけて出ないようにしよう。

 そう呟いた俺は、栞を挟んでいたページから少し戻して再び読み始めるのだった。

 

 

 

 

 

 ────────────────

 

 

 

 

 

 Dクラスの朝はいつも賑やかだ。中間テストを通じて多少マシになったとは思うが、それでも不真面目な連中が多いため根っこは変わらない。

 そして今日の日付は6月1日。皆が待ちに待ったポイントが振り込まれる日。舞い上がるのも無理はないだろう。

 

 いつにもまして騒がしいDクラスの教室後ろを気配を殺して歩き、窓際後方の席へと腰を下ろす。

 既に堀北は登校しているようで、周囲の喧騒を気に留めることなく本を読んでいる。

 

「おはよう堀北。よくこんな状況で本なんか読んでいられるな」

 

「集中して読めばこの程度気にならないわ。……全く、ポイントが入ったからって皆はしゃぎ過ぎよ」

 

 端末を開いてポイント管理アプリを開く。残高推移のタブを開くと、びっしりと並ぶマイナスの数字の上に『+8700ppt』という文字が並んでいた。

 メインメニューに記載されているポイントも記憶より増えているので、この数字が今月振り込まれたお小遣いということだろう。

 

「まあ、すっからかんになっている奴がほとんどだったからな。かく言うオレも今日だけはスペシャル定食に洒落込もうと思う」

 

 クラス間闘争の事実が明かされるまで昼食は基本高辻と取っていたのだが、ここ1か月は1人寂しく無料の山菜定食を口にする日々を送っていたのだ。少しくらい贅沢しても誰も文句は言わないだろう。

 高辻の奴なんて、読書仲間だというクラスの女子とスペシャル定食までとはいかなくとも、贅沢な日替わりの定食を食べているのをよく見ている。同じ学生のはずなのに、一体どこでこんな差が生まれてしまったのか悲しくなる。やはりこの世界は平等ではないな。

 

「そうやって調子に乗って使うからポイントが足りなくなるんじゃないのかしら?」

 

 世界の格差について嘆いていると、堀北からそんな鋭い言葉が飛んできた。

 

「別にいいだろたまには贅沢したって。いつもろくな食事してないんだから」

 

「隣部屋の人に夕食を集りに行っている綾小路君にしては随分な言い草ね」

 

「何で知ってるんだよ……」

 

「あなたが言ったんじゃない。「俺には一緒に飯を食う隣人がいるんだぞ」とか、「そいつの作るご飯は凄く美味しいんだぞ」とか」

 

 言われてみれば思い出した。友達がいないと煽られてついムキになって言い返した記憶がある。

 格差社会を是正すべきと訴えておきながら、オレは上流階級の民である高辻に食事の面倒を見てもらっているということか。……なんだかすごい惨めな気持ちになってきたぞ。

 

「Cクラスの高辻君だったかしら? あんまりいただけないわね。他クラスの生徒と深く交流しすぎるのは。それに乞食のような行為は恥ずかしいわよ」

 

「あのなぁ。オレだってお邪魔するときはジュースやらヨーグルトやらを持って行ってるんだぞ? 4パックのアロエヨーグルトだ」

 

 あれをパキパキ割る瞬間が楽しいんだなこれが。初めて高辻の家にあったものを割った瞬間は言い知れぬ快感があった。あと美味い。

 

「聞いてないわよ。対価としては安すぎるし、そのチョイスも意味が分からないわ」

 

「デザートで食べるんだよ。高辻に菓子パンと山菜定食だけじゃ健康に悪いって怒られたからな」

 

 その後は2人ソファに並んで映画を見るのが俺たちの流行りだったりする。

 最近某アメコミ映画シリーズの集大成を見終わったところだ。上映時間が長く夜中までもつれ込んでしまったが、最後に指パッチンをしてからのシーンは中々感動的だった。

 

「それに、ちゃんと行く前に今から行っていいかという連絡は入れてるんだぞ。最近は他に遊びに来ている人が居るらしくて行けてないんだけどな」

 

 流石に全く知らない人と同じ部屋に行くのは気まずいからな。人気者を友達に持つと大変だというが、こういうことなんだろう。

 

「それ、体よく断られてるだけじゃないかしら」

 

「高辻はそんなことする奴じゃないぞ」

 

 高辻はぼっちのオレと遊んでくれるし、飯も作ってくれるし、おすすめの映画を教えてくれる良い奴だ。

 

「高辻君の話してるの?」

 

 そこにやってきたのは櫛田。教室に入ってきたときには一番前の席で女子と話していたはずだが、中々耳が良いらしい。

 

「ああ。高辻の飯が美味い話をな」

 

「違うでしょ綾小路君。あなたが恥ずかしい乞食行為を行っている話でしょう?」

 

「こ、こいつ……」

 

 言うに事を欠いて大天使櫛田の前でそんなことを言わないで欲しいものだ。ドン引きされたらショックで死ねる自信しかないぞ。

 

「高辻君って料理できるんだ! どういう料理を作るの?」

 

 幸運にも堀北の発言は冗談と捉えられたようで、櫛田は興味深そうにそんなことを聞いてきた。

 というより、櫛田と高辻って関わりあったんだな。2人共交友関係が広いから不思議な話ではないのだが、今までそういう話をしたことが無かったため驚きだ。

 

「んー……意外と家庭的なものばかりだぞ。この前は回鍋肉と餃子だったな」

 

 覚えているレシピの大半は母親から教えて貰ったものらしい。もしここを卒業して会うことが出来たのなら感謝の言葉の一つでも伝えようと思う。……それが出来るかはさておきだが。

 

「……まさか、高辻君1人に作らせてるわけじゃ無いでしょうね」

 

「ん? そりゃそうだろ。オレが手伝っても邪魔になるだけだからな」

 

 堀北も不思議なことを聞いてくるな。キッチンも狭いし、作っている間はゆっくりしててと言われているからそれに従っているまでだ。

 

「私が言っていること、案外間違いではないかもしれないわね」

 

「あはは……私も少しくらい手伝ってあげた方がいい思うよ?」

 

 呆れたようにため息を吐く堀北と、苦笑いを浮かべながらやんわり咎めて来る櫛田。……えっ、そんなにマズい事だったのか? 

 

「おい綾小路ー、お前今ポイントどれくらい持ってるんだ?」

 

 そんなやり取りをしていると、いつにも増してテンションが高そうな池が肩を組んでそんなことを聞いてきた。

 

「2万くらいだ。正直このポイントじゃ振り込まれてもまだまだキツイな」

 

 あんまり他人の経済状況を聞くのはよろしくないと思うのだが、この気まずい雰囲気を流してくれたことに感謝しながら答える。下手に誤魔化しても長引きそうだしな。

 すると、池はそのまま後ろに宙返りするのではないかと思うほど胸を張り、眼前に端末を差し出してきた。

 

「見ろ! 天才ギャンブラー池寛治様のポイントを!」

 

 確か5月開始の時点でポイントを全て溶かしていた記憶があったが、そんな状況で見せる程のポイントを持っているのだろうか。

 

「あれ? 池君ポイントすっからかんになっちゃったーって言ってなかった?」

 

 櫛田も同じ疑問を持ったのか、俺の隣にくっつくようにして端末の画面を見る。……あまり近寄られるとドキドキするから勘弁してほしい気持ちと、嬉しい気持ちが混ざり合う。

 

「……は?」

 

 健全な男子高校生のような葛藤を胸に秘めていたオレだが、池の画面に表示された額を見て思わず声が出てしまった。

 

「どうよ櫛田ちゃん、凄ぇだろ!」

 

 そこに表示されていた額は32400ppt。決して多くは無い額だが、0ポイントであるはずの池からは考えられないポイント数だった。

 

「……どうやって手に入れたのかしら。ギャンブルなんて、聞き捨てならない単語が聞こえて来たけれども」

 

 堀北も流石に気になったのか、本を読む手を止めて池の画面を見つめていた。

 プライベートポイントで須藤の点数を買ってから、堀北はポイントの重要性を理解したようで、今まで以上に倹約に勤しんでいたのだ。そんな中節制のせの字もない池が自身よりも多いポイントを持って居たら気にもなるだろう。

 

「だからそのまんまだよ! ちょっと前から週2くらいでカジノやっててさ。今日も開くみたいだから皆で行ってみようぜ!」

 

「馬鹿らしい。賭博何て、最終的に負けるようになっているんだから。それに学校が認可するとは思えないわ」

 

「それが意外とちゃんとしてるんだよ堀北ちゃん。だって、そのカジノって()()()()()()()()()んだぜ? 俺のポイントだって副会長から振り込まれてるしさ」

 

 そう言って振り込み履歴を見せる池。そこには確かに見覚えのある生徒の名前が記載されていた。それにしても生徒会か……嫌な予感がする。

 

「綾小路君。今日の放課後空いてるわよね」

 

「……今日は高辻の家で映画を見るつもりだったんだが」

 

「学内で賭博が行われているなんて由々しき事態よ。そんな予定はキャンセルしなさい」

 

 予想通りだな。堀北の兄が会長を務める生徒会が公認したとなれば、堀北は無視するわけにはいかないだろう。

 俺としてもかなり気になる事案なので、高辻には悪いがキャンセルの連絡を……って、いつも直前になって言うから別にしなくても問題ないんだった。

 

「……分かった。オレも行こう。櫛田はどうする?」

 

「えっ……私はいいかな。ちょっと怖いし」

 

「大丈夫だって。全然怖い雰囲気とかじゃないし、お金かけなくても遊べるからさ」

 

 遠慮がちな櫛田に詰め寄る池。どうしても櫛田を連れて行きたいらしい。

 

「うーん。じゃあ、一回だけ行ってみようかな」

 

「よっしゃ! じゃあ、放課後春輝も連れて一緒行こうぜ! 健の奴は部活っぽいからさ」

 

 そう言って席に戻る池。それと同時にホームルームのチャイムが鳴り、櫛田も小さく手を振りながら自分の席へと戻って行った。

 

 

 





 櫛田が正統派ツンデレヒロインみたいになっちゃった…ですがこれはこれでアリじゃないでしょうか?

 高評価、感想頂けると作者の励みになります。モチベは投稿頻度にも露骨に作用するので、面白いと思ったらよろしくお願いします! 

どこを重点的に見たいですか?(ヒロインは1章ごとに1,2人増やす予定です)

  • 主人公とヒロインの絡み
  • 主人公と龍園、綾小路等との絡み
  • バチバチのクラス間闘争
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