ようこそ現役ホストのいる教室へ   作:カスのホスト

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第15話 不穏

 

 

 

「ん……」

 

 慣れない感覚と共に目が覚めると、知らない天井が目に入った。

 一瞬何が起こったのか理解できなかったが、隣に眠る星之宮先生の姿を見て昨晩の出来事を思い出した。セミダブルベッドだからゆとりはあるが、少し動けば互いの肌が触れ合う距離だ。

 起き上がってほとんど床に落ちかけていた掛け布団を先生の上にかけ、全裸のままゆっくりと立ち上がる。

 

「……頭痛ぇ」

 

 途中から部屋にあったお酒を飲んで致したため頭が痛い。最終的にゴムが無くなって仕方なく寝たところまではギリギリ覚えているが、何時に寝たのか記憶が曖昧だ。今は……10時か。結構朝寝坊しちゃったな。

 ベッド脇のテーブルには俺が昨日飲んだストロング系チューハイのロング缶が5本が置かれている。……まあまあ飲んだな。そりゃ頭も痛くなるわけだ。

 

 冷蔵庫に強めの酒しか入っていなかったことに教師の闇を感じつつも、とりあえず口の中が不快なので洗面所に行ってうがいをする。体が色々な液体でベタベタなのでシャワーを使わせてもらおう。

 そこそこいい値段がするであろうシャンプー、ボディーソープ、洗顔フォームを拝借しささっと行う。髭はまだ生えてきていないため剃る必要はない。

 

「んんっ……気持ち悪い~。私もシャワー浴びるぅ」

 

 そんなうめき声と共に背中に抱き着いてきたのは、先ほどまで寝ていたであろう星之宮先生。

 流石に下着は付けてきたのか、背中には布の感触を感じる。

 

「おはようございます星之宮先生。すみません、勝手にシャワー借りちゃって」

 

 タオルを頭にかけて髪の水気を取りながら、振り返ることなく謝罪する。ネタ晴らしが楽しみだ。一体どんな反応をしてくれるだろうか。

 

「んもう。そんなよそよそしくしないで知恵って呼んでいいわよ。ほら、こっち向いて」

 

 本当に向いて良いのだろうか。多分このまま顔を見せずに出て行った方が先生にとっては良いと思うけど。

 そう思う暇もなく、星之宮先生は俺の前方に回り込んで首に腕を回してきた。

 

「痛たた……若すぎるのも考えものよね────えっ

 

 目覚めのキスでもしようとしたのか顔を近づけてくる星之宮先生だが、ようやく昨晩を共にした相手が誰なのか気が付いたようだ。

 

「昨夜はお楽しみでしたね? 先生」

 

 にっこりと笑ってそう問いかけると、星之宮先生は面白いほどに顔を真っ青にして尻もちをついた。

 

「え、えっ……たっ、高辻君? な、んで?」

 

「覚えてないんですか? 先生から誘ってきたのに」

 

 わなわなと口元に置いた手を震わせながら、こちらを見る星之宮先生。

 タオルを首にかけ、湿った髪の毛を指先で弄りながらしゃがんで目を合わせる。

 

「だ、だって制服じゃなくて……か、髪型だって違かったし」

 

「やだなぁ。あんな遅くに制服で出歩かないでしょう普通」

 

 おどけたようにそう言うと、星之宮先生は後ろを向いてしゃがみこんでしまった。

 背中綺麗だな。背中なんて時間かけないと綺麗にならないのに、ちゃんとケアしているのは点数高い。尻も大きいし『熟れたエロい女』という評価がこれほどまで妥当な人もそういないだろう。

 

「ど、どうしよう! せ、生徒に手を出しちゃった……! 教師が未成年淫行なんて一番まずいじゃない! しかも私からなんて……」

 

 そんな俺のカスみたいな思考など知る由もない星之宮先生は、絶望的な現状に嘆くばかり。二日酔いの気持ち悪さも重なって今にも吐きそうだ。

 

「ば、バレたらどうなっちゃうのかしら……? 良くて懲戒免職? 最悪前科者になっちゃうかも……!」

 

 ……自業自得だけどちょっと可哀想だな。性欲に負けてカミングアウトしなかった俺も悪いし。

 

 正直に言おう。下は小学生、上は40代後半まで様々な年ごろの女性を抱かせてもらってきたが、その中でも星之宮先生はトップレベルに良かった。

 年上の余裕も感じられるし、卒業後も関係を持ちたいと思えるレベルの女性だ。だからここでお別れというのはいささか寂しい。

 

「知恵」

 

 うずくまる先生の肩に手を置いて、下の名前で呼んでみる。すると、ビクッと体を震わせてこちらを振り返った。

 

「た、高辻君? 私一応先生だし……呼び捨てにするのは良くないんじゃないかな……?」

 

 自分で一応とか言うか普通? 

 

「先生が自分で呼べって言ったんじゃないですか」

 

「そうよね! 全部私が悪いもんね!」

 

 開き直ったのかそう叫んだ後に、星之宮先生は俺の肩を掴んでがくがくと揺らしてきた。混乱と絶望を隠すことなく見せてくるその姿は、こちらを見つめる瞳にぐるぐるマークを幻視させてくる。

 

「お願いっ! 昨日のことは誰にも言わないでぇぇ……もしバレたら私無職の犯罪者になっちゃう!」

 

 下着姿で胸を揺らしながらお願いしてくる星之宮先生。朝っぱらから誘惑してくるとは積極的な人だ。

 

「分かりました」

 

「ほ、本当?」

 

「ええ。先生とは良くさせてもらってますし。第一理由がありませんから」

 

「ありがどおぉぉ……!」

 

 わんわんと泣きながらこちらに抱き着いてくる先生。一度抱かれたからか知らないが距離感がバグってる。……いや元々バグってたわこの人。

 

「でも、1つだけ僕のお願いを聞いてもらっても良いですか?」

 

「……ポイントに関しては履歴が残るから駄目なの。……で、でも私の知ってる情報なら何でも教えてあげる! 特別試験の内容とかも! だからお願い!」

 

 両手を合わせて頭を下げる星之宮先生。

 背に腹は代えられないのだろうが、公平な立場に立たなければならない教師としては最悪も良いところだ。

 

「情報なんて要らないですよ。そんなのがなくても、僕のクラスならAクラスに上がれるので」

 

 そんな面白くないことを誰が望むのだろうか。俺は運じゃなくて実力でAクラスに上がりたいのにさ。

 

「じゃ、じゃあ何かしら? 先生の体が欲しいの? ……なんて冗談です! ごめんなさいぃ……」

 

 半泣きになりながらこちらを見上げる星之宮先生。よほど無職の前科者になるのが嫌なのだろう。

 

「正解です。よく分かりましたね」

 

「えっ?」

 

 小さく笑ってそう呟くと、星之宮……知恵先生は目線を右往左往させて一歩後ろに下がった。それに合わせて一歩距離を詰めるが、身長差から先ほどよりも近い距離で向かい合う形となった。

 いつもは教師として尊大な態度を取っている先生だが、こうして不安そうにこちらを見上げる姿を見ると、彼女もまた一人の女だということを認識させる。

 

 その事実に熱く惹かれるものを感じていると、先生は恥ずかしそうに両手をもじもじと動かしながらそっぽを向いた。

 

「い、嫌ねぇ高辻君。私今年で27のおばさんよ? モテるんだから同年代の子を狙えばいいじゃない……? 私のクラスの子たちも君のこと気になってる人結構いるみたいだし」

 

「嫌ですよ。高校生なんて抱かれただけですぐ付き合ってると勘違いするんですから。面倒くさいんですよ」

 

清々しいほどクズな発言ね!? 

 

 いつもはボケに回って生徒を困らせている先生がこうなるとはちょっと新鮮で楽しい。

 

「で、でも私自分で言うのも何なんだけど凄い軽い女よ? 今までもやることやったら男をぽいーって捨ててきたような……だからガチ恋するのはやめといたほうが良いというか、いやっ、決して君が私に惚れちゃうなんては言ってないのだけど!?」

 

 凄い焦ってて面白い。普段なら絶対しないような気の使い方をされているのをひしひしと感じる。

 

「現時点では特定の相手と付き合う気は無いのでちょうどいいですよ。僕はこの学校でハーレム王を目指してるんで」

 

 そんなおふざけを交えつつ本音を語る。

 

君やっぱりふざけてるよね!? そんな子じゃ無かったと思うんだけど!?」

 

「昨日気づかなかったくせに何言ってるんだか。俺が女遊びしまくってCクラスにされたの、先生なら知ってるでしょう? こっちが素ですよ」

 

 南雲さんが知っているということは、その上の権限を持つ先生なら知っていないとおかしい話だ。

 

「そう言えばそうだったわね……」

 

 中学二年までは夜遊びしすぎて補導されまくってたのが懐かしい。

 両親に「やるならバレないようにやらないとダサいぞ」と言われてからはバレないように対策したけど。

 

「もちろんバレないようにしますよ。そうなれば俺が脅して関係を迫ったことも公になるので」

 

 もし事が公になった場合、未成年淫行をはたらいた先生には重い罰が下るだろう。それを危惧して彼女はここまで焦っているのだ。

 ならば、それを逆手に脅して関係を迫った俺にも罰則が下るようにすればいい。そうすれば俺から訴えを起こしたり、言いふらしたりする可能性は0になる。

 

「……なるほどね」

 

 俺の意図を理解したのか、先生は深呼吸をして額に手を置いた。

 

「……でも分からないわ。どうして君自身がリスクを冒すことを選んだのかしら? 私から訴えることはあり得ないとはいえ、バレたら最悪退学よ?」

 

最悪バレたら知恵先生の方から関係を迫られたと嘘つけばいいだけだからリスクほぼ0なんだけどね。

 あちらから誘ってきた証拠はあれど、俺が脅して関係を続けさせたという証拠はどこにもないのだから。俺に罰則が下ることはまずあり得ない。

 

「そのリスクを冒す価値を先生に感じたんですよ。昨日凄い良かったので」

 

 何て言える訳ないので誤魔化して答える。魅力を感じたのは事実だから許してほしい。

 

5回も出してたんだしそうでしょうね!?  おかげで体のいろんな所が痛いわ……」

 

 腰を抑えながら顔をしかめる先生。しかしどことなく嬉しそうな表情が隠せていない。可愛い。

 

「相手が魅力的なのが悪いんです。それに先生だって楽しんでたじゃないですか」

 

「それは……そうね。でも今すっごい複雑な気持ちよ私」

 

 はぁ、とため息を吐いて、先生は脱衣所の扉を開けた。

 

「とりあえずシャワー浴びちゃうから。リビングで待ってて。……今後の話も、落ち着いて色々としなきゃいけないでしょ?」

 

 俺が目の前に居るにも関わらず、何の抵抗もなく下着を脱いでシャワーを浴びる先生。その後ろ姿からは覚悟と割り切りが感じられる。

 脱ぎ捨てられたヨレヨレの下着には、濡れた痕と湿っぽい女の香りが残っていた。

 

 

 

「おじゃましまーすっ」

「ちょっと!? 何で入ってくるの!?」

「いやー、なんかムラムラしちゃって。男子高校生の性欲舐めない方がいいっすよ」

「そんなっ。んっ……だめよっ。もうゴム切らしてたでしょ?」

「挿れなきゃ大丈夫ですって。洗面所にあった乳液使いましょ。ほーら滑り良くなった」

「んもうっ♡ それ高いやつなのにぃ!」

 

 

 

 

 

 ────────────────

 

 

 

 

 

 日の光を浴びることで幸福になるという話を聞いたことはあるだろうか。もちろん胡散臭い俗説やスピリチュアルな話ではなく、キチンと科学的な根拠に基づいた話なのだ。

 日光浴には健康効果や美肌効果、リラックス効果などがあると言われており、毎日暗い部屋に引きこもっていると気分が憂鬱になったり、体がだるくなると言われている。

 

「この雨、いつまで続くんだろうな」

 

 だからここ最近雨が降りっぱなしの天気じゃ、気分が優れないのも仕方のないことだろう。

 2時間目の歴史の授業が終わった少し長い休み時間。オレは机に上体をぐでーっと倒しながら、隣の席で授業のまとめをノートにかきこんでいる堀北に話しかけた。

 

「予報によると来週の月曜までは降り続けるそうよ」

 

「土日もずっとか……。梅雨だから仕方ないが、こうも雨が続くとやる気が出ない」

 

「よく言うわ。きっとあなたは天気が良くても何かしらの言い訳を付けて行動しないでしょう?」

 

 堀北には友達との会話に共感するという能力が無いのだろうか。高辻が「女性はとりあえず共感しとけばコミュニケーションを取れる」なんて思想の強いことを言っていたが。

 

「……そんなことないぞ」

 

「でも、外に出る気が失せるのは事実ね。私はそれを利用して図書館で目当ての本を探しているわ」

 

「なるほど。物は考えようってやつだな」

 

 こういう状況でも自分に有利になるように働きかける力は流石と言ったところ。絶望的なコミュニケーション能力さえ改善されれば、社会に出ても重宝される人材になると思うのだが……オレも人のことは言えないな。

 

「そう言えば、そのおかげか高辻のカジノは結構繁盛しているらしいな。最近また新しいゲームを導入したそうだぞ」

 

 連日来場者数の記録を更新しているようで、ボーナスが出たからと高辻の奢りで2人で牛丼を食べに行った。

 時給も出るらしいし、試しに働いてみるのもアリな気がしてきた。高辻は水曜日、金曜日と毎日出ているそうだし、気まずくなることもないだろう。

 

「どうせお前は興味ないか」

 

 あの後堀北が行きたがる様子も無かったし、オレも流石に一人で行く気にはなれなかったため行っていなかった。

 山内と池は2人で行っているようだが、そこに自分から混ざりに行ける性格なら苦労していない。

 

「……それにしても不思議なものね」

 

 どうせ突っぱねられるだろうと踏んでいたが、対する堀北の反応は意外なものだった。

 

「不思議?」

 

「あのカジノよ。いくら生徒で賑わっていたとして、ディーラーの給料を払えるほどの稼ぎが出るとは思えないわ」

 

 ……確かにな。

 あの場に居たのは確か高辻を含めて6人。それを2時間×週2日となればそこそこの額を払わないといけないはずだ。

 最近の高辻の金遣いを見ても薄給で働かされているとも思えない。……この前10万もする映画用のスピーカー買ってたし。

 部屋の四つ角にデカい機材を置き始めた時は正直ちょっと引いた。

 

「聞いてみるか? 時給何円で働いてるかって」

 

「……いえ。大丈夫よ。どうせ私には関係ないことだし」

 

 そのとき、机に置いていた端末の画面に通知が表示される。どうやら誰かからメッセージが来たらしい。

 端末のロックを解除すると、そこに表示されていたのは池の名前だった。なんだろう、昼飯の誘いなら喜んで乗るんだが。

 トーク欄を開くと、そこには簡潔に『廊下に来てくれ』とだけ書かれていた。後ろの扉を見ると、池が窓から顔をのぞかせてこちらを見ている。

 

「そうだな。もし気になるなら言ってくれ。俺が高辻に聞いておくから」

 

「ええ」

 

 堀北との会話を切り上げ席を立つ。扉を開いた瞬間、池が袖を掴んで引っ張ってきた。

 

「悪い綾小路。ちょっとこっち来てくれ」

 

「ん、何だそんな改まって」

 

 そのまま廊下の端の方まで連れて行かれる。すると、池は周りに人が居ないかを確認するように左右を見渡し、内緒話をするように顔を寄せてきた。

 

「なあ、お前って今ポイントどのくらい持ってるんだ?」

 

「ポイント?」

 

 何だろう。前にもこの下りはあった気がするが、あの時とはやけに様子が違う。

 

「……20,000ポイントくらいだな」

 

 最近は高辻の世話になりっぱなしもマズいということで、手軽なものだが自炊を始めたため結構余っている。

 菓子パンばかりでは駄目だと常日頃言われているため、スーパーで買った冷凍チャーハンやレンチンして作れるパスタなどを食べている。レンチンパスタに関しては開発した人に拍手を送りたいほど便利だ。ちなみに大天使櫛田の天啓である。

 パスタに関しては月3袋まで無料で買えるため、もう本当に櫛田には頭が上がらない。

 

 最初は高辻から教えて貰おうと思ってたんだが「最初は簡単なパスタとかかなー」とか言って、冷蔵庫から自作のアンチョビを取り出した時点で格の違いを分からされた。

 

「お前すげぇな! そんなに節約できてんのかよ!」

 

「お、おう……凄いだろ」

 

 急に距離を詰めて来る池に動揺してしまう。

 

「そんなお前を見越して頼みがあるんだ!」

 

「……頼み?」

 

 何だろう、嫌な予感がする。今の池からはどこか焦ったような、何というか切羽詰まった何かを感じたからだ。

 

「頼むっ! すぐに返すから1万ポイント貸してくれ! この通りだ!」

 

「……マジかよ」

 

 

 





原作との変更点

・綾小路の誕生日が半年ほど早くなっており、それによって身体能力、知能が大幅に強化されている。
・綾小路が櫛田の裏の顔を知らない。
・須藤の暴力事件が発生していない。

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どこを重点的に見たいですか?(ヒロインは1章ごとに1,2人増やす予定です)

  • 主人公とヒロインの絡み
  • 主人公と龍園、綾小路等との絡み
  • バチバチのクラス間闘争
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