ようこそ現役ホストのいる教室へ 作:カスのホスト
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どうも、珍しく清隆君に呼び出されてウキウキで部屋まで行ったら他の人が居て女の子にダル着を見られた挙句池君の借金踏み倒し作戦に協力させられたホストです。
長々とした自己紹介となったが、とりあえず翌日以降に俺が南雲先輩に掛け合うと言ってから3日が経った月曜日。
既に清隆君には何の収穫も無かったと嘘の連絡を入れ、俺は家で1人ホームシアターを嗜んでいた。
プロジェクターに15万、スピーカーに10万のお金をかけただけあって、現状俺の家は下手な映画館よりも快適に映画を見ることが可能となったのだ。清隆君にはドン引きされたけど、先日ウキウキでアベンジャーズを見ていた男に言われる筋合いはない。
こんな金の使い方が出来るだけあって、カジノの方の収入は相当なものとなっている。
現在ハイレートで遊んでいるVIP会員が約20人ほどおり、それぞれが相当な額を賭けて遊んでいるため収入が段違いなのだ。特に2,3年生はポイントをため込んでいる生徒も多く、一度に1万ポイント近くかける人もいる。
もちろんリスクはその分大きいが、偶然客の勝ちが続いたときも南雲先輩が一時的に立て替えてくれているため問題ない。長期的に見ればプラスになると分かっているからこそできる立ち回りだ。
「先週の差額は……+30万か。やば、何があったんだ?」
テキサスホールデムのような客同士が勝負をして、カジノ側が買った方からマージンを取るようなゲームを増やしてからは収入が安定するようになった。
この学校の生徒は仕組み上他クラスの生徒に対する対抗心が強いため、それが勝ち負けを煽るような形となったのが要因だろう。
この30万の分配内容としては以下の通りとなるだろう。
俺:9万ポイント
南雲先輩:6万ポイント
従業員のバイト代:5万ポイント
設備投資代:3万ポイント
龍園君:7万ポイント
バイト代に関しては従業員が7人じゃ足りないということで、1年Cクラスの生徒を数名追加する形で合計10人体制で回している。
VIPのディーラーには時給1200円×2,5時間。メインフロアにつくディーラーには時給1000円×2時間という形で給料を支払っており、特に最近働くようになった石崎君はちゃんとしたバイト代が出ることに目を丸くしていた。
こんな形で、一週間で5万ポイント……月20万ポイントの収益を出せれば黒字ということになる。学校側が月に吐き出すポイントが4,000万ポイントと仮定した場合、そのうちの0.5パーセントを馬鹿から搾り取るだけで黒字になるのだから良い商売だ。
「……流石に電話しよ」
とはいえ、一週間に30万ポイントのプラスは意味が分からないし怖いから龍園君に確かめてみよう。
「何だ」
「あ、もしもし? ちょっと先週の収益について聞きたくてさ」
「何だ? 池と山内の馬鹿の話はDの奴らから聞いてたんじゃないのか?」
電話越しに答えると、龍園君は愉快そうに喉を鳴らしてそう言った。……そう言えば山内君も借金したって言ってたな。
「池君のは聞いたけど山内君のは分かんないや。幾ら貸したの?」
というより堀北さん達は知っているのだろうか。まあ、流石に池君の額より上回っているということは無いだろう。
そうじゃなかったら相談に来ない方がおかしいもんね。
「20万ポイントだ」
「???」
えっ、聞き間違い? 20万?
「マジで言ってる?」
「ああ。しっかり年利15%の利子も付けてやったさ。毎月7500ポイントの返済でも33ヶ月……利息が4万と少しだな」
「ヤバすぎだろ。意味わかんねぇよ」
いや、この場合怖いのは山内君か。
普通に頭が悪すぎて将来どうやって生きていくのか心配になる。
「てかよく貸せたねそんな額」
結局、クラスメイトからの徴収はしないという結論になったからそこまでの貯金も無いはずだ。
池君の5万ポイントは貸せたとして、20万はどこから捻り出したのだろうか。
「お前の給料から半分出したからな。良かったな高辻、お前の今週の給料は0だ」
「いや何してくれてんの!?」
さも当然の様に人のお給料を天引きする龍園君。しかも俺経営者側ね? 一応言っておくけど。
「利子の半分はお前にくれてやる。別に手元の金に余裕はあるだろうが」
「そりゃそうだけど……」
今部屋にある2人用のソファじゃ狭いからもっと大きいカウチタイプのが欲しかったのに。ちなみにソファに関しては、座り心地と価格が比例するため妥協はしない。最低5万は欲しいところだ。
仕方ない。またしばらくは清隆君と肩をくっつけながら映画を見る生活が続きそうだ。
……元々は女の子とくっつくつもりで買ったのにどうしてこうなった? ひよりちゃんと桔梗ちゃんはそもそも部屋に来ないし、有栖ちゃんに関しては膝の上が定位置だからね。意味わかんないよね。
「尻に敷いているみたいで楽しい(意訳)」と言われて衝撃を覚えたのは記憶に新しい話だ。何か色々と間違ってる気がしてならない。
「ってか、もしかして20万全部使ったの山内君」
「いいや。使ったのは10万だけだ。クラスメイトに奢る金がどうとか言ってた気がするが、馬鹿の考えている事は俺には分からん」
「うわぁ……」
奢るって単語で何となく想像がついてしまった。
大方、ギャンブルで勝っている自慢をしたいために、借金をしてまで友達に飯代などを奢っているのだろう。
嘘だと思うかもしれないけど結構いるからねそういう人。金貸しやってる知り合いの人からそんな話を聞いたのを思い出した。
「あんまりやり過ぎないようにしてよ。今Dクラスの人たち総出で嗅ぎまわってるから、近々ワンちゃん裁判とかなるかも」
「はっ、それで黒幕様はDクラスの味方とは偉いこった」
ちなみに金貸しのシステムを作り上げたのも俺です。ごめんね山内君。
「面倒事は任せるって約束でしょ。その分ポイントあげてるんだから頑張ってよ」
南雲先輩に話を付けたり、ディーラーの教育をしたり、設備の構築なども全部俺がやったのだ。これから卒業まで不労所得を得たとしても誰も文句は言わないだろう。これがオーナーという存在なのだから。もちろん緊急時には働くけど。
「まあ、適法の金利。しっかりとした説明。両者の同意がある上での金貸しが問題ないことは先生に確認済みだから。そんなに気張らなくても良いと思うよ。ちゃんと借用書も取ってあるしね」
そもそもやってること普通の消費者金融と同じだからな。社会に出た時のことを考えて教育を行っている学校側からすれば、借金の怖さを学べるいい機会と考えるだろう。
「山内君の利子に関しては全部あげるよ。クラスの為に役立てて」
「ほう? えらく気前がいいじゃねえか」
「お礼の気持ちだよ」
上機嫌にこちらを煽ってくる龍園君だが、2万ポイント程度の端金でやる気を出してくれるなら全然ウェルカムだ。
「なら遠慮せず貰っておこう。それと一つお前に言っておくことがある」
「ん?」
そんな物騒な前置きをした龍園君。また面倒ごとかと覚悟していたが、次の瞬間予想の斜め上の言葉が飛んできた。
「Bクラスの担任……星之宮が最近よくVIPに顔出しててな。教師の利用は想定してなかったがどうする?」
「あのクソ教師……!」
生徒に交じってギャンブルをする教師が何処にいるんだ。バレたらこっちにもお咎めが来るかもしれないんだぞ。
「対応はお前に任せる。はっ、せいぜい頑張ってくれよオーナー?」
「……はいよ」
意趣返しができたとほくそ笑む龍園君に、適当に返事をして通話をぶつ切りする俺であった。
ということで酒飲み未成年淫行馬鹿教師に電話をかける。この時間なら流石に帰っているはずだ。最近残業してないって言ってたし。
「もしもし~? 清夜君からの電話なんて珍しいわね」
ワンコールで出た知恵先生。話し方から既に酔っぱらっているのが丸分かりだ。
「勤務中にカジノ通ってるって話聞いたんだけど」
隙を見せると愚痴を聞かされる羽目になるため単刀直入に用件を伝える。
「あーその話? 最近はちゃんと仕事終わらせてから行ってるわよ?」
「そういう問題じゃねえ!? アンタ自分の立場分かってんのかよ!?」
最近はと言っている辺り、最初に通い始めた時は勤務中だったということだろう。
仮に終わらせていたとしても、他の先生は部活などで忙しい中、生徒に交じってギャンブルをすることに罪悪感とかは無いのだろうか。
「え~。だってぇ、清夜君がディーラーしてるところ見たかったから行ったのに全然居ないんだもん!」
酔っぱらっていることを良いことに可愛い子ぶって言い返してきたが、27の女が一回り年下の男にこの口調はキツイものがある。
「俺、知恵先生には負けて欲しくないんですよ。ギャンブルなんてロクなもんじゃありませんからね?」
「大丈夫よ。私こう見えてギャンブルは得意なの。昔はよく元カレと良く打ちに行っててね~。ユ〇コーンで3万発出したこともあるの。凄いでしょ?」
「聞いてねぇし微妙なのやめろ。……マジで出禁にするからな」
仕方がないから心配しているから止めろという路線にシフトしたが、こうなった知恵先生はだれにも止められない。
イライラして思わず口調が荒くなってしまった。……落ち着け俺、ホストの世界でお前は何を学んだんだ。今がそれを活かすときだろう?
「バイトの子が出禁にできる訳ないじゃない。脅したって無駄なんだから」
「一応言ってなかったけど俺オーナーだから。面倒だからバイトのフリしてるだけ」
「……本当? それ」
理解できないと言った様子で押し黙った後、真面目な口調で聞き返してくる先生。
酔いが覚めるタイミングがおかしい気もするが結果オーライだ。
「じゃなかったらこんなに金払い良くないでしょ。……バレたら免職されるかもしれないんですよ? 今度から土曜日も営業する予定なので、せめて休日だけにしてください」
「心配してくれるの~? 優しいのね」
「からかうな馬鹿教師。別にそんなんじゃねえし」
「ふふっ、ごめんなさい」
何故か大人のお姉さん的なムーブをかましてくる知恵先生。
同じことを言うが、今この人はひと回り年下の教え子に説教されているという自覚はあるのだろうか。
「土曜は俺も出勤するから、そん時まで我慢してて。いい?」
「はーい」
電話越しに手を上げて返事をしたのか、空き缶がガラガラと転がる音と共にそんな声が聞こえてきた。
「ったく……じゃ、そろそろ切りますよ」
何だかどっと疲れた気がする。最近面倒事も多くなって来たし、明日はひよりちゃんと一緒に夕飯を食べて癒されよう。
そんな覚悟を決めた後、知恵先生に挨拶をする。
「ええ。……おやすみ清夜くん。また明日」
すると、知恵先生は穏やかな甘い口調でそう囁いてきた。
「っ……お休みなさい」
いつもの教員としての体裁を保ったものではない、初めて聞いた先生の口調。言葉としては何回も聞いている筈なのに、そのありふれた言葉に動揺してしまった。
そんな動揺が伝わったのか否か、知恵先生は小さく笑った後に通話を切った。先ほどまで賑やかだった部屋に、寂し気な電話の切断音がこだまする。
「……未成年淫行してないで早く結婚相手見つけろよ」
不覚にも可愛いと思ってしまったことに悔しさを感じながら、俺はベッドに潜り込むのであった。
────────────────
そして一週間が経ち、日付は7月1日土曜日。
いつもなら自由な時間を過ごしている筈だが今日は訳が違う。
「ということで、記念すべき休日の開店です! お客さんがたくさんいらっしゃることが予想されるので、皆さん適宜休憩を取りながら頑張りましょう!」
南雲先輩に紹介された先輩たち+Cクラスの従業員たちが一堂に多目的室に集まり、横一列に並んでいる。
俺は彼らの真正面に立ち、新装開店前の店長の如く皆を鼓舞した。
「なんか似合わないー。別にいつも通り何だから大丈夫だよ?」
そんな慣れない挨拶にむず痒さを感じたのか、制服を着た朝比奈先輩がぶーぶーと文句を言ってきた。
そりゃそうか。慣れないことはするもんじゃないな。
「あはは……ということで、今日は僕もフルタイムで入っちゃうので、よろしくお願いします!」
照れ隠しで頭をポリポリとかきながら、締まらない空気で開店する。
土曜日の午後でなおかつポイント支給日ということもあり、教室2つ分あるはずの多目的室が手狭になるほどだった。
「VIPもメインも平日の倍近くいるじゃねえか。いつからこの学校はギャンブラーの巣窟になったんだ?」
「仕方ないよ。だって自由な大人でさえ身を持ち崩すほどの魅力があるんだもん」
パーテーションで仕切られた待機室にて、珍しく顔を出した龍園君と話す。
借金について訴えを起こされるかと思ったが、あれから堀北さん達がアクションを起こすことは無かった。俺にも追加の相談や話も来ていないし、Dクラス側の訴えは受理されなかったのだろう。
「そういえば、返済は滞りなくされてるの? 6月の返済月末までだったよね?」
「ああ。問題なく予定通りの金額が振り込まれていた。山内の分は今週の収益に上乗せして振り込んでおく」
「なら良かった」
クラスポイント的にも払えない額じゃないだろうし、諦めて地道に支払っていくことを選んだのだろう。
「こちらとしては消化不良だけどな。訴えを起こされたときに、学校側がどのような対応をするのか知りたかったが……やはり須藤をハメて確かめるか」
「やめてよ。金貸したときに君がオーナーだって言っちゃってるんだから。せめて君が関わってることが分からない形でやってよ」
カジノの運営元が滅茶苦茶な不良だとバレたら客足が遠のくだろうが。
「考えておく」
「マジで頼むよホント」
そこら辺の要領の良さは割と信頼しているけど、無鉄砲な性格だから何するか分からなくて怖いんだよね。多分あっちも俺のことそう思ってるだろうけど。
「高辻くーん? 星之宮先生が呼んでるよー」
バックヤードの入り口に掛かっているカーテンを開き、顔をのぞかせたのは朝比奈先輩。
俺がサボっている間にも相当忙しかったのだろう、額には小粒の汗がにじんでいる。
「おいおい……分かりました。今行きます。暑かったらエアコンの温度下げても良いですよ」
「うん、ありがと」
縦鏡で身だしなみを整えて、退屈そうに端末を弄る龍園君を尻目にVIPルームに出る。……お前も働けよ! なんて言いたいところだが、「お前が一番働いてないだろ」って言われることは目に見えているためぐっとこらえる。
「わっ、こうして改めてみると凄い雰囲気出てるわね~」
知恵先生はVIPルームに置かれた休憩所でコーヒーを飲んでいた。
「結局来たんですか。どうなっても知らないですからね」
「プライベートよプライベート。文句を言われる筋合いは無いわ。それよりこのカジノにはお酒は無いのかしら?」
「あるわけ無ぇだろアンポンタン。飲みたいなら家で1人で飲んでてください」
「ぶー。いけず」
アルコール置いたとしてお前しか飲めないだろうが。
というかVIP会員かよこいつ。
「誰にVIP貰ったんですか?」
「なずなちゃんよー。いっぱいお金落としてくださいねって言われちゃったの、酷くない?」
なずな……朝比奈先輩か。
確かに仲良さそうだけど、レートの上限が無いVIPに大人がいるのは色々とマズい気がする。
……使いすぎたときには強制的に出禁にしてやろう。文句を言ってきたらベッドの上で黙らせればいい。
「のめり込むようでしたら出禁にしますからね」
「ふーん」
ため息を吐きながら言い放つ俺に対して、先生は意味深に呟くばかりだ。
「……なんすか」
「清夜君ってさ、結構ツンデレって言われない?」
「は?」
人が心配してやってるのに何なんだこいつ。
店で出会ってたらマジで財布すっからかんにしている所を心配してやってるんだぞ。何なんだその態度。……なんて普通は思うんだろうな。
「怒んないでよ~。先生心配されて嬉しいって思っただけなの~」
「そうすか。じゃ、俺はもう行くんで精々金溶かしまくってくださいね。どうなっても知らないですから」
早口で吐き捨て、スタスタとその場を去る。
傍から見たら姉から弄られる弟のような光景だが、これは意図的な演出だ。
年上の女性にはこういう対応が一番刺さるんだよね。いつもは男らしいけど時折見せるツンデレ弟属性的な。特にいつもだらしないタイプの人には効果大だ。
自分がだらしないのに相手が完璧だったら萎えるからね。何分スペック高い知恵先生のことだ、今まで付き合ってきたであろう、スペック高い男と長続きしなかったのはそういう理由だろう。だから多少付け入る隙を与えてあげるのだ。
……実際に俺に姉がいたらあんな感じになるのかな。ちょっと楽しそうだよね。ちょっとだけね。
「あ! やっと見つけた!」
メインルームに戻ると、焦った様子で石崎君が声をかけてきた。
客がいるにも関わらず爆走である。……うーん、ディーラーの技術を身につけるための努力とかは真剣で良いんだけど、何分まだ上品さが足りてないんだよなこの子は。
「駄目だよ石崎君。お客さんいるのに走ったりしちゃ」
「あ、悪い……ってそうじゃねえ! ヤバいんだよ!」
両肩を掴みながらがくがくと振ってくる石崎君。ちょ、マジで何? 怖いんだけど。
「分かったから落ち着いて。ほら、一旦廊下出るよ」
周りから数奇な目で見られ始めたので、石崎君の腕を引っ張って廊下に連れて行く。
蒸し蒸しとした暑さを感じながら、石崎君は衝撃的な言葉を口にした。
「――――
「……なるほどね」
忘れられがちでですが、高辻の相棒は龍園です。
3巻から本格的に大暴れコンビにするつもりなので、もうちょっと待っててください。
高辻から見たヒロインズの印象
坂柳:妹
櫛田:妹
星之宮:姉
椎名:母
綾小路:弟
最後は冗談です。
高辻は年上属性に弱いです。そしてギャップ萌えにも弱いです。だから年下属性が適切なタイミングで姉ぶってきたら効きます。逆転の手はまだまだ残されていますね。坂柳みたいに頻発すると逆効果ですが。
高評価、感想頂けると作者の励みになります。モチベは投稿頻度にも露骨に作用するので、面白いと思ったらよろしくお願いします!
どこを重点的に見たいですか?(ヒロインは1章ごとに1,2人増やす予定です)
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主人公とヒロインの絡み
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主人公と龍園、綾小路等との絡み
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バチバチのクラス間闘争