ようこそ現役ホストのいる教室へ 作:カスのホスト
高評価、感想、ここ好き頂ける作者の励みになります。モチベは投稿頻度にも露骨に作用するので、面白いと思ったらよろしくお願いします!
試験結果が発表された日の夜。俺は帆波ちゃんに誘われてBクラスの打ち上げへと足を運んでいた。
「いいの? 俺も混ざっちゃって」
バイキング形式で提供される食事は、そのどれもが質の高そうな料理ばかりだ。
「いいに決まってんだろ! 俺らの飯担当大臣を省くわけにはいかねえからな!」
隣に座る柴田君がそんな嬉しいことを言いながら食事を進める。
周りの生徒も俺が参加している事に違和感は覚えていないようで、皆穏やかな表情で頷いた。
「んー! 高辻のサバイバル飯も美味かったけど、景気づけには肉が一番だよな!」
小分けに切られたステーキを山のように盛って、それをご飯と一緒にかきこむ柴田君。やっぱり部活やってる人は食べ盛りだね。
俺もこういった種類の多い手の込んだ食事は久しぶりだから存分に楽しませてもらおう。何食べても無料だからね。
「俺も行く!」
食べ終えた皿を持って列に並ぼうと立ち上がると、ステーキを平らげた柴田君が後ろについてきた。
「あんまりペース上げすぎるとお腹壊すよ?」
「余裕余裕! 今日は馬鹿みたいに食ってそのまま寝るからよ! 風呂も入ったしバッチリだぜ!」
返事になっているようでなっていない柴田君に苦笑いを浮かべながら食事をよそっていく。
「ってかさ、お前いつから一之瀬のこと下の名前で呼ぶようになったんだよ」
ちょんちょんと肩を叩き、周りを気にしながら耳打ちをしてくる柴田君。
この手の話題は大好物なのか、悪戯な笑みが浮かんでいる。
「試験3日目の夜かな。皆でご飯食べてるとき」
「あの時か! お前ら2人で良い感じだったもんな! あの後男子のテントではその話で持ち切りだったんだぜ」
誰かが割り込んでくることも想定していたけど、思っている以上にBクラスの生徒の民度は良かったらしい。後で噂になるくらいなら全然OKだ。
「あはは、別に何ともないって。1人で片づけの準備してたから話しかけに行っただけだよ」
「一之瀬は働き者だからな。前にもああいうこと結構あったんだけど、誰が注意しても何やかんや言って結局辞めないんだよ」
「そうなんだ」
「だからお前に注意されて素直に飯食ってたのは凄ぇ話だと思うぞ?」
確かに容易に想像できるね。手伝ってもらったりはするだろうけど、完全に誰かに自分の仕事を任せるとか、そういうことはしなさそうだ。
「……で、実際のところはどうなんだよ。一之瀬のやつ、大人気な癖してそういう話はマジで聞かないからさ」
「魅力的な女性だとは思うよ。容姿もそうだけど、やっぱり良い子だよ帆波ちゃんは」
あの顔と性格……あとはプロポーションでモテない訳が無いよね。小中学と、どうして誰にも告白されたことが無かったのかが不思議なくらいだ。
嘘をついている雰囲気もなかったし、俺は
「く~! モテる奴は余裕が違うな! 下の名前で呼び合ってるやつなんて、Bクラスには誰一人いないってのによ」
「意外だね。男子は狙いに行きそうなもんだけど」
「何だろうな、言い方は悪いけど『一之瀬はクラス皆のもの』みたいな認識だからさ。別に行っても抜け駆けとまでは行かないけど、ちょっと微妙な雰囲気だよな」
上手く説明できなくて悪いけどよ、と付け足して語る柴田君。
言いたいことは分かる。要はイケメンにファンクラブができる、それの緩いバージョン的な話だろう。分かりやすい例で行くとDクラスの平田君と軽井沢さんみたいな感じかな?
女子に大人気の平田君を手に入れた軽井沢さんは、クラス内で最も発言力がある生徒と言っていいだろう。
彼らみたいに露骨に立ち位置に差があれば人気者と付き合うことも可能だろうが、Bクラスはどちらかと言えば皆が平等な仲良しクラスだ。誰かが抜け駆けすることも、それを極端に攻め立てることもしない。
よくネットではクラスカーストなんて呼ばれ方をされている文化だけど、個人的には下らないものとしか思えない。うだつが上がらない人にも面白い奴は居るし、逆に幅を利かせていても面白くない奴だっている。
具体的に前者は清隆君、後者はAクラスの戸塚君かな。戸塚君に関しては他人を見下すような言動が多すぎて苦手だ。Aクラスが有栖ちゃんのものとなった際にはしっかり教育して欲しいものだ。……有栖ちゃんが筆頭アンチの戸塚君を許すかどうかはさておきだけど。
クラスでの立ち位置を利用して賢く立ち回るならともかく、それに躍起になって友人を失うようなら本末転倒だしね。
「だから、逆にクラスが違うお前ならチャンスがあるんじゃないかって思うんだよ」
「……何でそんなにくっ付かせたいの?」
もちろん仲良しのBクラスとは言え、ある程度人望の差というのは出てきて当然だ。
男子の中でも特に発言力のある柴田君が、交際を押してくれるのは都合が良いが、思っていたよりも圧が強くて困惑してしまう。
……まあ、どんな理由があれど一之瀬さんを俺に預けられるほどの信頼は得ているということだろう。嬉しい話だね。
「お前が競争から降りればデカいライバルが減るからな。いい加減色んな女スケコマシてないで本命決めちまえよ」
「滅茶苦茶私利私欲じゃねえか。それに言い方」
余りにも人聞きが悪すぎる表現だ。
「でも事実じゃん」
「……まあまあ、そういう捉え方もあるよね?」
うん。何も言い逃れ出来ないね。何なら君たち大人気な知恵先生とも関係あるし。
「クラス間闘争があるって知ってても今までと変わらず接してるのは、部活のやつ除いたらお前しかいないからな。女子に対しても同じだろ?」
「そりゃ俺たちの本分は高校生活だからね。試験中にまで仲良くとはいかないけど、それ以外は割り切って考えてるよ」
「いつか刺されるぞ~。『他クラスなのに私にだけ変わらず接してくれる』みたいな花畑浮かべてる女子もチラホラいるからな」
「大丈夫。鍛えてるから」
高校生なんだからそのくらい頭が悪い方が可愛いよ。
これが大学、社会人とかになってくると、どんどんと擦れた方向に向かって行くからね。すかしてた方が格好いいと思うのは男女共通なのだから面白い。
「ははっ、そういう問題じゃねえだろ」
「とにかく、今は特定の人と付き合うつもりは無いから。もし誰かと付き合うってなったら俺からガッツリ行ってるしね」
「告白されても付き合う気は無いと。これは良い情報をゲットしたぜ」
「あんまり余計なこと言いふらさないでよ?」
「考えとくぜ~」
そう言って先に席へ戻ってしまった柴田君。
うん、あれは絶対方々に言いふらすだろうね。あの子口軽そうだし。
それから2時間ほどの楽しい時間を終え、解散となり皆が部屋へと戻って行く。
「食った食った~。もうしばらく肉はいらねぇな」
「寝るなら部屋で寝なよ。俺先行くからね」
「うぃー」
背もたれに寄りかかりながら腹をさする柴田君に挨拶をし、ホールへと足を運ぶ。
「高辻、ちょっといいか?」
大分人もはけてきたタイミングで、話しかけてきたのは神崎君。今回の試験でも一之瀬さんのサポートを積極的に行っていた生徒だ。柴田君とは毛色が違うが、彼もまたBクラス内で発言力のある生徒と言っていいだろう。
もちろん個人的な関わりもあって、2人で遊んだことこそないが、Bクラスの人と遊ぶ際には、よく柴田君に引っ張って連れてこられていたイメージがある。
「うん。大丈夫だよ」
「悪い。ここで話すのもなんだ、少し場所を移そう」
そう言って歩き出した神崎君の後ろをついて行く。
神崎君は無駄な会話を好むタイプではないが、それでも不自然なほどに会話の無い道中だった。
案内された先はロビーの横に設けられたラウンジ。遅い時間帯だからか、他の生徒の姿は一切見えない。点在しているソファ同士はかなり距離が置かれている。仮に誰かが居たとしても、よほど大きな声を出さない限り会話が聞こえることは無いだろう。
とにかく、秘密の会話をするにはピッタリの場所だった。
「何か飲む?」
「いや、大丈夫だ。食事はさっき済ませたからな」
「そっか」
せっかくならとカウンターに行き、シャルドネのスパークリングを注文する。もちろんノンアルコールだ。
お酒は後でこっそり知恵先生に買ってきてもらおう。ここには監視カメラも何もないからね。
「お待たせ。それで、話って何かな」
ソファテーブルにグラスを置き、L字のソファの対面に座り込む。
「Bクラスの結果についてだ」
神妙な面持ちで語る神崎君に、俺はグラスに口を付けて口内を潤してから答える。
「どこのクラスがBクラスのリーダーを当てたか……ってことでいいかな?」
「ああ。何故呼ばれたのか、お前ならある程度予想が付いているはずだ」
両膝の上に肘を置き、身を乗り出して手を組む神崎君。
こちらをしっかりと見つめる瞳には、いつかの堀北さんのような辛辣さは無い。しかし嘘や誤魔化しを一切許さないといった強い意志が感じられた。
「分かってるよ。神崎君は
「……ああ。その通りだ」
いざ言葉に出されると気まずいのか、神崎君は少し間を置いてから肯定した。
指摘されることによって俺が嫌な思いをすると思っていたのだろうが、個人的には逆に安心したというか何というか。帆波ちゃんも柴田君も喋ってみた感じマジで疑ってなかったっぽいし。
打ち上げ中に糾弾されることも覚悟してたけど、俺が思っていた以上にBクラスはお人好し……能天気な生徒が多いようだ。
「龍園と一之瀬が結んだ取引については、もちろん俺も把握している。Cクラスの素点が0ポイントだということもな」
一度話出して踏ん切りがついたのか、神崎君は尋問官さながらの雰囲気で語り続ける。
「だが結果としてCクラスのポイントはDクラスを抜いて120ポイント。2クラスのリーダーを当てた計算になる。ポイント使用、スポット占領状況から、Dクラスがリーダーを当てられたことも明白だ。……そして、
「
「お前の事は良き友人だと思っている。だが、その関係性を試験に持ち込むことが悪手だということも知っている。だから気を悪くしないでくれ。……一之瀬にこういう仕事は向いていないからな。俺が受け持つしかないんだ」
「分かってるよ。お互い苦労するね」
互いにクラス内での立ち位置を知っている間柄なため、敵同士にも関わらず奇妙な共感が生まれている。
俺は龍園君とはそりが合わないし、神崎君はBクラスを引き締める役回りを背負っている。
「もちろんそれを糾弾するつもりはない。試験中お前の存在がクラスを助けたのは事実だからな。だから正直に言って欲しいんだ。本当に何もしていないのか、龍園に脅されてそうせざるを得ない状況に追い込まれていたのか」
この中に『俺が自分の意志でBクラスを陥れた』という択がない辺り、今まで積み重ねてきた信頼は大きいのだろう。
「仮に後者だったとしても俺から何か言うことはない。クラスの皆にもな」
「優しいんだね」
「当たり前だ。お前も被害者のうちの一人だからな」
その事実に内心ほくそ笑みながらも、それを表に出すことをせず真剣な表情で答えた。
「ありがとう。でも心配はいらないよ。今回の試験、俺は何一つ結果には関与していないからね。そしてそれは龍園君も証明してくれるはずだ」
「! まさか、龍園は試験の内訳を開示するつもりなのか?」
「そうみたいだよ。龍園君からしても良い取引をしたBクラスの信用は失いたくないみたい。つまり、俺たちはAクラスとDクラスのリーダーを当てた事になる」
神崎君には嘘偽りなく、だが
「十中八九Dクラスに送った2人はスパイだろうね。Bクラスに追加で人を送らなかったのは、俺が居るからか元々ターゲットじゃなかったからか」
神崎君視点どちらもあり得るはずだ。
前者なら単純にリターンに対してリスクが大きいし、情報を開示して信用を得ようとする辺り後者の可能性もかなり高い。
「なるほどな。……分かった。ひとまず龍園からの情報を待とうと思う」
うーん……流石にまだ疑ってるっぽいね。流石にこれで信じて貰えるほど甘くはないか。
「クラス間の協力はリターンも大きいがその分リスクも大きい。今後も特別試験は行われるだろうが、協力するか否かはその都度決めるつもりだ」
「そうだね。龍園君にも伝えておくよ」
「助かる」
最終的な感情は疑惑と信頼半々といった所かな?
個人的な関係をクラス間闘争と切り離して考えられる神崎君は、Bクラスにとっては貴重な存在になるかもしれないね。
「俺からは以上だ。呼び止めて悪かったな」
「大丈夫だよ。じゃあね神崎君────」
「────ってことがあったんですよ」
神崎君と別れてから幾ばくか時間が経ち、俺は船の最上階のデッキにてナイトプールの景色をつまみに酒を飲んでいた。
「仕方ないんじゃない? むしろそれで許して貰えてよかったわね」
勿論1人でなんて寂しいことはしない。お相手は既に出来上がりつつある知恵先生だ。生徒がバーでお酒注文できるわけないもんね。
「それで、実際のところはどうなのよ」
「実際のところと言うと?」
「リーダー当ての結果よ。もちろん私たちは結果を知ってるけど、それでも不可解な試験結果だったわ」
確かに裏で何が行われてあの結果になったのかは分からないか。先生も発表するとき不思議そうにしてたし。
「
「さあ、龍園君が全部やったんで俺には分かんないです」
「教えてくれたっていいじゃない。これは教師としてじゃなくて、私の個人的なお願いよ」
個人的なお願いか……ならいっか。
「まず、俺たちがBクラスと取引したのは知ってますよね」
「ええ。中々画期的なアイデアだったわね。それはどっちの発想なの?」
初っ端俺か龍園君かの二択に絞ってくるの面白いな。
「龍園君ですね。俺は多少無理しつつも正当に試験するつもりだったんで目から鱗でした」
俺と龍園君の関係を裏まで知っている知恵先生だからこそ話せることだ。
「リーダー当て無しだと、得られるポイントが150前後になることを見越しての取引かしら? かなり賢い立ち回りね」
「搦め手使わせたらトップクラスだと思ってるんで。後はAクラスにリーダー情報を売る取引して、1クラス50ポイント分のプライベートポイントを貰う契約ですね」
「そしてAクラスは残った150ポイントを、
「そういうことです」
本当はAクラスにBクラスのリーダー情報売ったんだけど、それをわざわざ言う必要は無いだろう。
「Dのリーダー交換を読めたのは本当に偶然ですね。キーカードを盗んだ際の状況が少し不自然だったので、もしかしたらと思ってリーダーだった龍園君を交換させたんですよ。そしたら案の定って感じかな」
「リーダーを変える発想なんて今まで一度もなかったのに、それが2人もねぇ……Dクラスは誰が考えたのかしら」
「堀北さんじゃないっすかね。あの子清隆君しか頼める人居ないんで」
ここで清隆君の名前を出すと面倒なことになりそうだし、堀北さんの指示でやったことにする。
「堀北さんと……綾小路ねぇ」
「あれ、そっちと関わりあったんですね」
堀北さんならともかく、まさか清隆君と関わりがあったとは驚きだ。
この人面食いだし、顔の良い清隆君に絡みに行っててもおかしくはないけど。
「……いいえ。廊下で少し話したことがある程度よ。普通の子だったけど。でも結構イケメン君よね」
「堀北さんの隣の席だったのが不幸ですかね。無人島試験では大変だっただろうなーなんて」
実際のところ立場が逆なのが面白いところだ。清隆君はそこら辺ちゃんと説明できたのだろうか。
散々堀北さんを操り人形にして、結果があまり振るわなかったとなれば、殺されてもおかしくなさそうだけど。
「……綾小路君、ねぇ」
……ん? おかしいな。想定してたのと大分違う反応を返された。
「俺に似てるからって襲ったりしないでくださいよ。清隆君には刺激が強すぎると思うんで」
あと穴兄妹は勘弁。
「それ褒めてる?」
「もちろん」
綾小路先生の話を聞く限りだと、肉体関係を持ってしまったら知恵先生が酷いことになりそうだ。
触れない方が良いものもあるよということで、やんわりと制止しておく。
「ふふっ、大丈夫よ。ちょっと気になることがあっただけ」
「気になることですか?」
そう聞き返すと、知恵先生は話すことを迷っているのか、小さく唸っている。
「……まあいっか。綾小路君はね、佐枝ちゃんが凄い気にかけてる子なの。今年の佐枝ちゃんからはちょっと野心を感じるのよねー。 Aクラスに上がろうとしてる雰囲気があるっていうか」
「なるほど」
思わぬところからかなり大きい情報をゲットした。茶柱先生は清隆君のバックグラウンドを知っているみたいだね。
知恵先生が知らないということは、担任だけに開示される情報ということだろう。前に南雲先輩が言っていた、情報が詳しく開示されていない生徒の一人みたいな感じで。
「多分堀北さんと唯一仲がいい生徒だからじゃないですかね。あの子スペックだけ見ればAクラスでも上位の方でしょうし。性格さえ治ればリーダーやれる器だとは思いますよ」
「そうねぇ……」
納得がいっていない様子でグラスに口を付ける知恵先生。
清隆君には頑張って正体を隠し続けて欲しいものだ。
「もう飲み切っちゃった。何か欲しいのある?」
「適当なシャンパンおまかせで」
「はーい」
女に酒を持ってきてもらうなんて久々に贅沢な体験をしながら、手すりに寄りかかってグラスに口を付ける。
……美味い。このレベルのシャンパンを飲んだのはいつ振りだろうか。
「おかわりお願いします」
「早っ…飲みすぎじゃない? 帰りに他の先生とすれ違ったら大変よ?」
「大丈夫ですよ。ほら、全然赤くなってないでしょ?」
ホストとキャバ嬢の遺伝子を継いでいるからか、いくら飲んでもマジで顔には出ないし泥酔しないんだよね。
頭がほわほわするのとか、素の部分が出やすくなるのとかは分かるんだけど。
「……私と同じ量飲んでそれ? 佐枝ちゃんだったらとっくにダウンしてるわよ?」
「ね? だからいいじゃないですか」
こういう日くらい飲んだってバチが当たったりはしないだろう。別に日常的に飲んでるわけじゃ無いんだし。
「駄目よ! そんなに飲んだら明日に響くし」
「今更じゃないですかー。それに先生と飲める機会なんて早々ないから、寂しいなー俺」
隣に立つ先生の左手を両手で掴んであざとくお願いをしてみる。
どうせ酔っぱらってるしちょっと押せば行けるっしょ。うん。
「駄目ったら駄目です! バレたら怒られるどころじゃすまないんだから!」
「えー……」
ぶーぶーと親指を下に立てる俺に対し、知恵先生は腰に手を当てて頬を膨らませる。
「全く、直ぐ調子乗るんだから。子供はもう寝なさい!」
「やだなー。まだ夜は始まったばっかりじゃないですか。よさげな場所見つけたんで行きましょ。先生の部屋でも良いですけど」
1週間もサバイバル生活をしていたんだし、色々と溜まっているものを発散したい。
「清夜君は良いかもしれないけど、私は明日早くから会議があるの! …今日は我慢して、明日シラフでしましょう? このまま抱かれるのは怖いわ、体力的に」
へその下辺りを両手で抑えながら、青ざめた顔でそっぽを向く知恵先生。
酷い話だ。困っている生徒を放っておくなんて教師失格だぞ!
「なら何で酒飲んだんですかー? 期待してたんじゃないんですかー?」
「ちょっと、変なところ触らないで……」
「酔っぱらってるんで何も聞こえませーん」
酔っぱらってるふりしてダル絡みするの楽しいな。いつもいじられているためその仕返しと考えればなおさらだ。
すると、突然後ろの扉がバタンと音を立てて開いた。
尻を撫でまわしていた手をサッと退けて後ろを見ると、そこには怒り心頭と言った様子で両手を組んで立つ茶柱先生の姿があった。
「……会議をすっぽかして何をしているかと思えば、生徒に絡んで飲酒とは良い御身分だな」
「さ、佐枝ちゃん……これは違うの、痛っ」
両手を振りながら言い訳をする知恵先生の頭にチョップを入れる茶柱先生。
「何も違わないだろう。高辻、お前もこいつの言うことは無視しろ。でないと余計に絡まれるぞ」
「あはは、すみません。ほら、茶柱先生を困らせちゃダメですよ。早く行ってください」
本当は俺から誘ったんだけどね。
…仕方ない。第二ラウンドができるのはもうしばらく先になりそうだ。
「ええ!? ちょっと~、私もう酔っぱらっちゃって仕事できない~」
「馬鹿言うな。上に報告しないだけありがたいと思え。ほら、行くぞ」
「やだぁー。助けて高辻君~」
酔っぱらいのダル絡みから一転、真面目な顔で注意する俺。余りにも早い俺の変わり身に驚愕する知恵先生と、それを別の意味でとらえたのかため息を吐く茶柱先生だった。
(終わったら連絡してください)
首根っこを掴まれて引っ張られていく知恵先生に口パクで伝えると、先生は抵抗を止めて大人しく引きずられていった。
……暇だな。部屋に戻っても男しかいないからつまんないし。
「────あ。もしもし桔梗ちゃん? 今どこにいる?」
『……何、私これからシャワー浴びて寝るところなんだけど』
「こっそり抜け出して密会しない? ラウンジなら24時間空いてるみたいだし、色々溜まってるでしょ?」
『……見つかったらどうするのよ。馬鹿じゃないの』
「あー……じゃあ止めとくか。ごめんね」
『行かないとは言ってないでしょ! ……最後まで話聞きなさいよ全く』
「はーい、じゃあ10分後集合ね」
『…ちょっと! こっちにもいろいろ準備が────』
Aクラス
素点150
Dクラス外し -50
Bクラス当て +50
Cクラス当てられ -50
Dクラス当てられ -50
計50ポイント
Bクラス
素点300
Aクラス当てられ -50
計250ポイント
Cクラス
素点0ポイント
Dクラス当て +50
Aクラス当て +50
スポット +20
計120ポイント
Dクラス
素点105
Aクラス当て +50
Cクラス当てられ -50
計105ポイント
原作との変更点
・綾小路の誕生日が半年ほど早くなっており、それによって身体能力、知能が大幅に強化されている
・綾小路が櫛田の裏の顔を知らない
・須藤の暴力事件が発生していない
・Cクラスによる他クラスへの妨害行為が発生していない
・堀北の綾小路に対する不信感が少なくなっている
・佐倉のストーカー事件が解決していない
・綾小路父が学内に接触する方法を知っている
・DクラスとBクラスとの同盟関係が結ばれていない
・龍園が綾小路の実力の一端を知っている
・綾小路が茶柱の要求に応えていない
・堀北の求心力が上がっていない(NEW)
・綾小路に対する星之宮の疑いが高まっている(NEW)
・綾小路に???
高評価、感想頂けると作者の励みになります。モチベは投稿頻度にも露骨に作用するので、面白いと思ったらよろしくお願いします!
どこを重点的に見たいですか?(ヒロインは1章ごとに1,2人増やす予定です)
-
主人公とヒロインの絡み
-
主人公と龍園、綾小路等との絡み
-
バチバチのクラス間闘争