ようこそ現役ホストのいる教室へ   作:カスのホスト

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第30話 激動

 

 

 

 特別試験の説明を受けた翌日の8時50分。ジムでの運動を済ませ、朝食を食べ終えた俺は竜グループの集合場所へと向かっていた。

 同じグループのひよりちゃんから朝食のお誘いが来ていたのだが、それよりも優先しなければいけないことがあったため断腸の想いで断った。多分無人島試験が終わって一人で食事を取ったのは初めてな気がする。

 

 無駄に広い船内を歩き、目的の場所まで到着する。

 厳重に閉ざされた両開きの扉を開くと、教室の半分ほどの広さの部屋が広がっていた。

 

「やば。また俺が最後じゃん」

 

 部屋の中央には楕円形の横に長いテーブルが置かれており、それを囲うようにして椅子に竜グループの生徒が座っていた。その中で空いている椅子は1つしかない。

 

「試験開始は9時ですし問題ないでしょう。椅子、取っておきましたよ」

 

 自身の右にある椅子の座面をポンポンと叩くのはひよりちゃん。同じグループとはいえ、流石に他クラスとごちゃ混ぜに座る気にはならないのか、皆クラス同士で固まって座っている。

 

「ありがと」

 

 そんな気の利くひよりちゃんに一言感謝を伝えながら席に着く。

 

「試験なのに全然緊張して無さそうだね。高辻君」

 

 いつもと変わらない様子の俺を見て小さく笑ったのは、緊張した面持ちで右隣に座る桔梗ちゃんだった。

 

「あんまり試験っていう実感が沸かないんだよねー。竜グループには友達多いからさ」

 

 桔梗ちゃんの問いかけに応えながら、背もたれに寄りかかって伸びをする。桔梗ちゃんのさらに右、平田君を挟んだ奥の席に座る堀北さんが、呆れたようにため息を吐く姿が横目に映った。

 何はともあれ、とりあえず()()()()()()()()()という目的は果たせたみたいだね。ほら、大トリで入ってきた方が存在感があるでしょ? 

 

 そして、程なくして試験開始の時刻を迎えると船内スピーカーの音が部屋の中に響いた。

 

『ではこれより1回目のグループディスカッションを開始します』

 

 随分と素っ気ないアナウンスだね。それ以外は本当に好きにしろってことかな? 

 普通なら状況も周りのメンバーも分かっていない状態で話し始めるなんて、ハードルの高いことを率先して行う生徒は居ないだろう。

 

「よし。じゃあとりあえず自己紹介から始めよっか。大体みんなの名前は把握してるけど、初めて顔を合わせる人も多いだろうしね」

 

 ということで話の口火を切らせてもらう。こういうのは率先して行った方が後々得だからね。

 何の抵抗もなく楽しげに話し出した俺に、面識のない一部の生徒からギョッとした表情で見られてしまった。

 

「相変わらずだなお前は。俺も賛成だ。学校からも自己紹介をしろと命令されているからな。どこに監視の目があるか分からない」

 

 同意してくれたのは神崎君。サラッと学校側に監視されている可能性を考慮できる辺り流石だね。

 他の生徒も異論はないのか、皆頷いたりなどして肯定的なリアクションを取っていた。

 

「よし。じゃあ言い出しっぺの俺からかな。Cクラスの高辻清夜です。これから3日間よろしくね」

 

 親しみやすそうな表情を意識し、適当に趣味や特技なんかを言っても良かったが簡潔に挨拶を済ませる。仲良しこよしの試験とはいかないかもしれないしね。ある程度グループ内での方針が決まって打ち解けても問題はないだろう。

 

「丁度同じクラスでまとまっているようですし、時計回りで行きましょうか。同じくCクラスの椎名ひよりです。よろしくお願いいたします」

 

 俺の自己紹介を皮切りにぐるっと一周自己紹介を終えた。竜グループの生徒をまとめると次の通りになる。

 

 Aクラス:葛城康平 西川亮子 的場信二 矢野小春

 Bクラス:安藤紗代 神崎隆二 津辺仁美

 Cクラス:椎名ひより 園田正志 高辻清夜

 Dクラス:櫛田桔梗 平田洋介 堀北鈴音

 

「昨日の時点である程度分かってはいたけど、錚々(そうそう)たるメンバーが揃ったね。自分がここに入れたことを喜ぶべきかな」

 

 流石にここまで有能な生徒が偏っている状況が、偶然の一致によって生まれたと考えるのは厳しいだろう。

 

「成績だけで言えば、Cクラスから高辻君が選ばれたことは何ら不思議じゃありませんよ。まあ、私はそれだけが選考理由だとは思いませんけど」

 

「だよね。みんなはどうか分かんないけど、私はテストの点数凄い高いって訳じゃないし」

 

 ひよりちゃんの発言に桔梗ちゃんが同意する。

 そして、二人の発言に続いたのは、ことの成り行きを黙ってみていた葛城君だった。

 

「俺が見る限り、このグループには各クラスの発言力が強い生徒……言うなればリーダー格の生徒が配置されている傾向にある。龍園や一之瀬が別のグループに配置されたことには疑問が残るがな」

 

「いいよ龍園君は。居ても場を滅茶苦茶にするだけだし」

 

 流石にクラスを導く立場である自覚はあるのだろう。葛城君は周りを見渡しながらそう発言した。

 

「……同じクラスの生徒でも龍園には手を焼いているようだな」

 

 冗談めかして毒を吐いた俺を見ながら呟く葛城君。しかし、その言葉とは裏腹な感情が瞳の奥に渦巻いていた。

 

「そりゃそうよ。クラスメイトに手を出す奴だからね。結果は残してるから誰も文句言えないのが余計質悪いし」

 

 Cクラスの生徒がDクラスにスパイを送ったということは、試験が終了してから3日の間で周知の事実となった。

 クラス全員がリタイアするという奇抜な作戦から、成績2位という結果を叩きだしたのだ。他クラスの龍園君に対する認識は、クラスを牛耳っているヤンキーから、誰も思いつかなかった作戦を遂行したCクラスのリーダーに移っていることだろう。

 

 だが、目の前の葛城君からは、()()()()()()()をひしひしと感じられる。

 

「……1つお前たちに聞きたいことがある」

 

 ────それは疑い。憎しみと勘違いしてしまうほどの強い懐疑心が、平静を装った葛城君の顔の裏に張り付いていた。

 

「それは、この試験に関係する事でしょうか?」

 

「いいや違う。だが今後のクラス間の関係性を決定付ける大切なことだ」

 

 ひよりちゃんの質問に否定で返す葛城君。初っ端から関係ないことかと思われても不思議じゃない立ち回りだが、発言を止めようとするものは誰一人としていなかった。

 

「先日の無人島試験、お前たちCクラスはどのクラスのリーダーを当てたのか……俺が聞きたいのはこれだけだ」

 

 その言葉を皮切りに部屋の空気が重くなる。

 皆々が気になっていたが誰一人として触れようともしなかった、パンドラの箱を開けたのは葛城君だった。

 

「さあ。最初から最後まで龍園君がやったことだし、俺からは何とも」

 

「私も早々にリタイアさせられたので分かりません」

 

 俺、ひよりちゃんと続いて、小田君と園田君も肯定の意を示した。

 

「同じクラスの生徒に何一つ情報を流していないとは、龍園は秘密主義が過ぎるんじゃないか? ……まあいい。では質問を変えよう」

 

 そうして葛城君の視線は俺一人へと向かう。

 

()()()()()()()()B()()()()()()()()()()()()()()()()? 高辻」

 

「っ……どういうことだ葛城」

 

 葛城君の問いかけに反応したのは神崎君だった。他のBクラスの生徒、安藤さんと津辺さんはそんな突拍子もない話に疑問符を浮かべている。

 そして、その可能性に唯一たどり着けていた神崎君だけが、葛城君の発言に強く食らいつく。

 

「本来なら他クラスと結んだ契約の話など公表するべきでないと思うが、ここはあえて言わせてもらう。俺は龍園にBクラスのリーダーを教えて貰う代わりに、50クラスポイント相当の、クラス全員のプライベートポイントを毎月譲渡する契約を結んだ」

 

 驚愕に染まるグループの生徒たち。Cクラスの生徒も、情報漏洩の観点からAクラスとの取引については一切公開していなかったため、皆驚いた反応をしている。……へぇ、意外だな。まさか自分から言ってくるとは思わなかったけど。

 よし、俺も適当に驚いたふりをしておこう。

 

「そして、俺は龍園から確かにBクラスのリーダー情報を得た。それもキーカードの写真という、確固たる証拠付きでな」

 

「えっ……それってつまり……」

 

 葛城君の発言を聞いた桔梗ちゃんが、俺の方をチラチラと遠慮がちに見つめてきた。

 

「Bクラスは大層楽しそうに試験を完了したそうだが、その中に裏切者が居たということだな。そこの男は、何食わぬ顔で恩を仇で返したということだ」

 

 おっ、随分キツイ言い方してくるな葛城君。

 Cクラスに毎月100クラスポイント相当の負債を抱えた結果があれだったらストレスも溜まるか。クラスの中の状況も相当悪そうだしね。

 

「……なるほどな」

 

 それを聞いた神崎君が静かに、噛み締めるように呟いた。他のBクラスの生徒が不安そうにそれを見つめている。

 Bクラスのブレイン的な立ち位置で、緩みがちな雰囲気を絞めてくれる唯一の生徒だからね神崎君は。

 

「……嘘、だよね? 高辻君はそんなことしないよね」

 

 安藤さんが不安そうにこちらを見つめてくる。今まで堅実な男として信頼を積み上げてきた葛城君と、女の子の好感度を稼ぐことに高校生活を賭けてきた俺との間で揺れ動いている。

 特にBクラスの子たちなんかこの一週間で滅茶苦茶打ち解けたからね。船に帰ってきてチャットの友達が一気に十人単位で増えたのは中々面白かった。そんな俺に裏切られていたとなればショックだろう。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「お前の言いたいことはよく分かった葛城。その上で、俺からも1つ情報を開示させてもらう」

 

 小さく笑ってそう言ったのは神崎君。不安げな安藤さんとは対照的に、その表情には一切の迷いが見えない。

 

「……情報だと?」

 

 ここに来て突然の発言に困惑する葛城君。

 そんな葛城君を尻目に、神崎君はグループの生徒に目配りをして言い放った。

 

「お前はCクラスがBクラスのリーダーを当てたと思っているようだが、それは大きな間違いだ。何故なら、俺たちBクラスは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からだ」

 

「……あっ、確かにそうじゃん」

 

「そっか。ってことは、私たちが当てられたのは1クラスだけってことだもんね」

 

 神崎君の発言の意図に気が付いたのか、手をポンと叩いて納得の表情を見せる安藤さんと津辺さん。

 

「!? どういうことだ……! お前たちは1クラスのリーダーを当ててたんじゃなかったのか!?」

 

 葛城君からすれば衝撃的な内容だろうね。葛城君視点だとBクラスが2クラスに当てられて-100ポイント、1つのクラスを当てて+50ポイントで250ポイントって言う結果だとしか思えないだろうし。

 真相を知ってる葛城君からすれば、CクラスはBクラスのリーダー情報を得ていながらも指名をしなかったという意味不明な状況だが、傍から見ればそれは全く違う結末を彷彿させる。

 

「随分演技が上手なのね葛城君。危うく騙されるところだったわ。……でも迂闊だったんじゃないかしら? 普通、自分のクラスの情報と照らし合わせれば、真相を導くことなんて容易なことよ」

 

 堀北さんの嫌味たっぷりなお返しが葛城君に投げつけられる。

 それは、葛城君が俺を裏切り者にしようと嘘をついて失敗したという、悲惨な結末だった。

 

「葛城君が言っていることが正しいなら、CクラスはBクラスのリーダーを知っておきながら指名をしなかったということになるよね? でも、わざわざDクラスにスパイを送り込んでまでポイントを得ようとした龍園君が、そんなことをする理由なんてあるのかな?」

 

「櫛田さんの言う通りです。仮に高辻君に頼まれたとしても、龍園君がそれを受け入れる人じゃないというのは皆さんご存知の通りだと思います」

 

 桔梗ちゃんとひよりちゃんが立て続けにフォローを入れてくれた。

 俺が龍園君の方針に反対してボコボコに殴られたのは有名な話だからね。それからも表面上は滅茶苦茶仲悪いっていう雰囲気ずっと出してるから、まさか俺たちが裏で繋がっているとは誰も思わないだろう。

 

「……高辻、お前はこの結末まで読んでいたということか」

 

「……はぁ。自分が嵌めようとして失敗したからって、相手が上手だったって開き直るのはダサいんじゃない? 龍園君と何があったのかは知らないけど、それで八つ当たりされて嘘つかれて、普通いい気分にはならないよね」

 

 ということで悲劇のヒロインを演じておく。周りからは、口調こそ穏やかだが、内心裏切り者扱いされた怒りを抑えているように映っているだろう。

 

「高辻君は一生懸命クラスに貢献しようと頑張ってたんだよ……? 本当は敵のはずなのに、助けてくれたお礼だからって……」

 

「マジあり得ないんだけど。サイッテー」

 

 安藤さんと津辺さんもエグイ弾幕の援護射撃を展開している……いやもういいよ? 流石にやり過ぎじゃない? 

 

「葛城さん……」

 

 恐らく葛城派と思われる男子生徒。的場君が心配そうに呟いた。

 

 はてさて、彼らの目には葛城君はどういう風に見えているのかな? 俺を嵌めようとして失敗した馬鹿な男か、それとも友情を利用するカス男に一枚上手を取られてしまった可哀想な男か。

 客観的に見たら前者でしかないのが悲惨だね。俺と龍園君の本当の関係性を知っていないとたどり着けないのがマジで質の悪いところだ。

 

「疑ってごめんね高辻君」

 

 安藤さんが涙目になりながら両手を合わせて謝罪してくる。

 擁護してくれたのは堀北さん、桔梗ちゃん、ひよりちゃん、安藤さん、津辺さん……全員女子じゃねえか。

 女って怖えよな。知っててやったんだけどさ。

 

「大丈夫だよ。気にしてないから」

 

「良かった……ありがとっ」

 

 その姿はさながら、出来の悪いボーイに説教と言う名でストレス発散する、母さんの店のホステスさん達みたいだ。

 高校生にして女の領域を展開し、必中必殺の効果で葛城君をボコボコにする様は、女性の嫌なところが詰まりに詰まっている。『女は生まれた時から女』っていうのはよく言ったもんだ。

 俺は顔が良かったから可愛がってもらってたけど、未だにホステスさん達には頭上がんないしなぁ。おかげで女性の扱い方を心得ることに成功したんだけど。

 

「まさかここまで周到な計画を練っていたとはな。だが収穫はあった」

 

 ともかく、そんな集中砲火を食らいながらも、葛城君は一切堪えた様子が見えない。

 

「何よ」

 

「それは、お前が他人を騙すことに一切の抵抗を感じない、龍園と同じ人種だと知れたことだ。……お前たちも、今は信じられないかもしれないが、頭の片隅に入れておくことをおすすめする……今回は俺の完敗だ」

 

 それどころか、周囲のヘイトを買うことを恐れずに警告までする始末。

 お前本当に凄い男だよ。マジで尊敬するわ。

 大人になったら母さんの店来いよ。俺の奢りで最大限もてなしてやるからさ。一緒に酒でも飲もうぜ? 

 

「……だが、お前の化けの皮が剥がれるときは必ずやってくる。他人を騙し、欺き続けた先には必ず手痛いしっぺ返しが待っている。そのことを努々忘れるな」

 

 それ桔梗ちゃんに滅茶苦茶刺さるだろうからやめてあげて。……ほら、不安そうな桔梗ちゃんの顔の裏には般若の影が写ってる。

 うーん、これは愚痴電話120分コースかな。暴言戯言のオプション付きでね。

 

「何それ。意味わかんないんだけど」

 

 葛城君のありがたい言葉は、津辺さんの冷たい返答で締められてしまった。最後まで彼の言葉は届かず終いだ。

 ……だが、もしかしたら一杯食わされたかもしれないね。

 

「……高辻君」

 

 視界の端には、意味ありげな表情で俺を見つめる神崎君と、不安そうに俺と葛城君との間で視線を揺らす平田君の姿が写っていた。

 

 

 

 

 

 話し合いを終え、俺はひよりちゃん達に先に帰ってもらうようにお願いをした後、客室とは違う方向へと足を運んでいた。

 たどり着いたのは見通しの悪い階段の下。船内の端に位置するこの階段は、客室や娯楽設備と反対方向にあるため滅多に人が来ることは無い。密会をするには都合の良い場所だった。

 そのため、後ろを付いて来る気配は、距離が開いていても読みやすい。

 

「今回は貸し一つということで良いかしら」

 

 あえて階段を上ることなく待っていると、そんな声が聞こえてきた。

 

「何のことかな、堀北さん」

 

「答える気が無いのなら結構よ。私も闇雲にあなたの本性を広めるつもりはないし。その方がこっちとしても都合が良いわ」

 

 まあ、他クラスには騙されてもらってた方が堀北さんとしてはやりやすいだろうね。

 だとしても中々厳しい言葉だ。ポーカーではしゃいじゃうとことか、可愛らしい一面もあるんだけどね。

 

「分かんないけど、ありがとうね堀北さん」

 

「触らないで頂戴」

 

 いたずら心で頭をポンポンと撫でてみたが、一切迷うことなく右手で払われてしまった。

 

「酷いなぁ」

 

「私はあまりそういう文化には詳しくないし、知りたいとも思わないけれど、あなたのような人間を女の敵と呼ぶことだけは理解できるわ」

 

 うん。堀北さんに言われちゃったら色々とおしまいな気がする。

 

「じゃあ今度2人で映画でも見に行こうよ。恋愛映画とか、意外と見てみたら面白いかもよ」

 

「よくこの状況で誘おうと思えるわね。神経を疑うわ」

 

 眉間に皺を寄せてそう吐き捨てる堀北さん。心底嫌がってそうでこれはこれでそそるものがある。

 

「可愛い女の子には弱いんだよ」

 

「……はぁ。気が付いてないかもしれないけど、綾小路君があなたに似てきて大変なの。変なことを学習させないでくれないかしら」

 

 知ってる。松下さんから良いかもって言われた時は目玉が飛び出るかと思ったもん。

 だって松下さんだよ? あの子滅っ茶苦茶理想高いのに、1回話しただけで良いかもって思わせるとか凄くない? 

 

 顔、身長、体つき、頭の良さを考えれば納得は行くよもちろん。

 でも清隆君自分の魅力をアピールするの凄い苦手だったのに、まさかここまで成長? するとは思わないよね普通。

 ……待てよ? 堀北さん大変って言ってたけど、もしかしてそういう事か? 

 

「えっ、惚れたn……痛っ」

 

「蹴るわよ」

 

「蹴ってから言わないでよ……」

 

 鋭い一撃が脛に入った。この一瞬で完璧なフォームからの蹴り出しには惚れ惚れするね。 

 竜グループの女の子たちとは別の意味で怖い堀北さんなのであった。

 

 

 

 

 

 ────────────────

 

 

 

 

 

 1回目の話し合いを終えたオレは、状況を報告し合うために堀北と合流し昼食をとっていた。

 

「……それで、結局話し合いの方はどうなったんだ」

 

 初回だし大した動きはないだろうと軽い気持ちで聞いたが、それはそれは恐ろしいことの顛末を聞いてしまい、食事の手が止まってしまう。

 惨たらしい話を聞いて食欲が失う前に食べ切ってしまおう……冷めてる。放置しすぎたようだ。

 

「意外にもスムーズに進んだわ。Bクラスの女子は思う所はあったのでしょうけど、神崎君が何も言わないから黙っていたわね」

 

 ぬるくなったパスタ一口食べ、右手に持ったフォークを置く。

 ……高辻の作ったパスタが食べたいなぁ。

 

「そうか。流石に平田には言っておいた方が良いかもしれないぞ。平田も仲がいいから信じるかは分からないが」

 

「そうね。私の方から伝えておくわ」

 

 だが残すのは流石に気が引けるため口に入れる。幸い味はいつも食べている山菜定食とは比べ物にならないため、食べ進めるのは苦では無かった。

 

「だが、そっちでも優待者の動きは無しか」

 

「そうね。いくら裏切り者が背負うリスクが大きいからと言って、易々と尻尾を出す馬鹿は居ないわ」

 

 しばらくはどのグループも動きが無いだろうな。今頃どのクラスも敵の方針を確かめて、それに対抗するための策を考えているだろう。

 

「平田君には連絡を入れたわ。食べ終えたら集まる手立てになってるけど、綾小路君にも来てもらうわ」

 

 驚いたな。まさか堀北が自分から率先して平田に連絡を取るとは。

 無人島試験の一件が相当効いているのは間違いないだろう。

 

「……何?」

 

 オレの視線がむず痒かったのか、堀北はそう冷たく聞き返してきた。成長しててもこういう所はまだ変わらないみたいだな。

 

「いいや、頼もしくなったと思ってな」

 

「随分と上から言ってくれるじゃない」

 

「仲間としての発言だ」

 

「……気持ち悪い」

 

 酷っ。……まあ、机の下から蹴りが飛んでこないだけマシと考えるか。

 

「ならさっさと食べて作戦会議だな。夜の話し合いまでそんなに時間ないし」

 

「そうね」

 

 そうして食事を進めようと会話を止めたそのとき、机の上に置いた端末が振動して通知を知らせた。

 オレの端末だけではなく、目の前の堀北や遠くに座る他クラスの生徒付近からも同様の通知音が聞こえてくる。

 

「見てみるか」

 

「……そうね」

 

 これがただの偶然の一致と思うほどオレも馬鹿じゃない。堀北と目を合わせてそれぞれの端末からアプリを開く。

 

「っ!? そんな! ありえない……!」

 

 画面を見ながら声を荒げる堀北。だが無理はない。

 何故ならそこには、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 ────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 





 葛城君迫真の演技! とはならんよなぁ…男と女での対応の違いに注目ですね。
 坂柳と仲が良いということ理由から関係が薄い高辻と葛城でしたが、高辻の方からの評価はうなぎ上りです。なお逆()

 高評価、感想頂けると作者の励みになります。モチベは投稿頻度にも露骨に作用するので、面白いと思ったらよろしくお願いします!

どこを重点的に見たいですか?(ヒロインは1章ごとに1,2人増やす予定です)

  • 主人公とヒロインの絡み
  • 主人公と龍園、綾小路等との絡み
  • バチバチのクラス間闘争
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