ようこそ現役ホストのいる教室へ   作:カスのホスト

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第31話 第二段階

 

 

 

 初回からいきなり第二段階へと移行するという、波乱万丈の展開を迎えた竜グループ。

 1年生全員に送られたメールの衝撃は大きかったのか、廊下からホールへ出るとそこには困惑した様子の生徒たちが大勢見受けられた。

 

「このタイミングで指名されるって、裏切り者は何で優待者が誰か分かったんだろう?」

 

 隣を歩くのは、先ほど偶然廊下で会ってから雑談をしていた桔梗ちゃんだった。

 

「高辻君は裏切り者について、どう思ってる?」

 

「んー……まあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()。もしかしたらさっきの話し合いで何か確信に至る要素があったのかもしれないけど、正直見てた限りみんな普通だったし」

 

 そんな状況で外したら-50クラスポイントというリスクが伴う中で、わざわざこのタイミングで優待者を指名する理由なんて無い。

 

「……なるほどねー。確かに、普通誰が優待者かって分かんないもんね」

 

「早期に優待者を当てるメリットってあんまりないんだよね。もちろん報酬は早い分だけ良くなるけど、その分追放された分のペナルティも大きくなるし、単純に弾数が多いから追放されやすくなるんだもん」

 

 既に俺と桔梗ちゃんが竜グループの生徒であるというのは知られているのだろう。周りの生徒からの視線が集まっているのを感じながら俺たちは会話を進めていた。

 

「あはは……やっぱり凄い見られちゃってるね」

 

「仕方ないね。竜グループについては一番注目度高かっただろうし、そのグループがいきなり結果3だもん」

 

 あと俺と桔梗ちゃんっていう交友関係が広い2人だからってこともありそうだね。違うクラスの竜グループの生徒が喋っていたら注目は浴びるだろう。

 

「ま、とりあえず俺はCクラスの子たちと話してくるよ。じゃあね」

 

「うん!」

 

 胸の前で両手を合わせて元気よく返事をする桔梗ちゃん。やっぱり普通にしてればめっちゃ可愛いんだよな。……でも、こういう子の裏の顔を自分だけが知っているという事実って、中々そそるものがあると思わない? 

 

 裏の顔が怖すぎて無理がある? 

 馬鹿野郎、顔が良ければ何でもいいんだよ。だって依存させちゃえば性格なんて関係ないじゃん。

 

 

 

 

 

 

 時間はあっという間に過ぎ去り、2回目の話し合いが始まった。

 1回目と同じ部屋、同じ席順で座った俺たちだが、その時とは違い部屋の端には真嶋先生が椅子に座って何やら資料を読みふけっていた。

 

『ではこれより2回目のグループディスカッションを開始します』

 

「よし。では試験の第二段階についての説明を行う。大体は昨日説明した通りだが、細かな所は説明していなかったからな」

 

 同じようなアナウンスが流れた後、真嶋先生が声を上げた。竜グループのメンバーは特に騒ぐこともなく、全員が話を聞く体制になった。

 それを確認して頷くと、真嶋先生は全員に1枚のプリントを配る。見ると、そこには昨日と似たようなレイアウトで試験の説明が書かれていた。

 

『夏季グループ別特別試験説明(第二段階)』

 話し合いにて結果3、優待者以外の者が、試験終了を待たず答えを学校に告げ正解していた場合、試験は第二段階へと移行する。

 第一段階では各グループに割り当てられた優待者を基点とした課題となるが、第二段階では優待者の解答に成功した者(以下裏切り者と称する)を基点とし、その結果は必ず3-1、3-2のどちらかとなる。

 

 優待者が『裏切り者』によって正解を告げられた場合、各話し合いの後に一度、投票によって追放する生徒を決めることができるようになる。なお、追放された生徒は以降の話し合いに参加できなくなる。

 

 ・結果3-1

 優待者を当てた裏切り者を追放することが出来た場合、裏切り者の所属するクラスにペナルティを与え、それ以外のクラスにクラスポイントを支給する。報酬やペナルティについては以下の通りである。

 裏切り者が所属するクラスに与えられるペナルティ:残り回数×30クラスポイント

 それ以外のクラスに与えられる報酬:残り回数×10クラスポイント

 

 ・結果3-2

 試験終了までに裏切り者を追放することが出来なかった場合、裏切り者の所属するクラスはクラスポイントを得ると同時に、裏切り者にプライベートポイントを支給する。またそれ以外のクラスにペナルティを与える。同様に以下に報酬とペナルティを示す。

 裏切り者に与えられる報酬:残り回数×30万プライベートポイント

 裏切り者が所属するクラスに与えられる報酬:残り回数×30クラスポイント

 それ以外のクラスに与えられるペナルティ:残り回数×10クラスポイント

 

「最初の段落に関しては昨日と全く同じ内容が記載されている。ここは軽く確認する程度で構わない。今回は第1回目の話し合いの後に優待者が当てられたため、残り回数は5回ということだな」

 

 真嶋先生の言葉を耳に入れながら、表上半分に書かれている内容に目を通す。

 

「全員目を通したな? では細かいルールについて説明する。そのまま読みながら聞いてくれ」

 

 そして、下半分には試験の進め方や細かなルールが記載されていた。

 

『試験方法について』

 

 ・話し合いを終えた後、10分間の投票時間を設ける。グループの生徒はこの時間内に1人、追放する生徒を投票できるようになる

 ・得票数が最も多かった生徒1人を追放処分とし、追放された生徒は以降試験に参加することが出来なくなる

 ・投票は自分の端末を使って所定のアドレスに送信することでのみ受け付ける

 ・裏切り者にも同様に他の生徒を投票する権利が与えられる

 ・得票数が同数首位の生徒が複数存在する場合、同数首位の生徒にのみ投票先を絞って再度投票を行う。その上で同数だった場合、その回の投票は無効とし、追放処分は行われない

 ・自分自身への投票、投票時間以外での投票に関しては無効票となる

 

「昨日の説明では第二段階を人狼ゲームと例えたが、そこに示す通り得票数が同数の場合追放処分は行われない。その点に注意してくれ」

 

 人狼ゲームなら基本的にはどちらかがランダムで追放されるからね。

 太文字で書かれていることからも分かるけど、このルールは大きく試験の結果を左右することになりそうだ。

 

「第二段階では裏切り者を見つけ出すシンキングのほか、しっかりと話し合って追放する生徒を決めるチームワークにも重点が置かれている。話し合いがこじれて、追放する生徒が決められないグループには、裏切り者が有利になる無効投票が待っているということだ」

 

 確かにそう言われれば納得だね。試験の結果を運ゲーで左右されたらたまったもんじゃないだろうし。

 しっかりと追放する生徒を話し合って決めることも実力の内ということだろう。……まあ、話し合いだけで解決できればの話なんだけどね。

 

「追放された生徒に関しては試験を終了とし、以降この部屋に入ることが不可能となり、投票も無効となる。試験時間中に入室した場合ペナルティが課せられるため注意するように」

 

 実際は試験時間以外で連絡取れるし、何なら話し合い中に電話をしていても問題ないルールのため、投票権が無くなること以外はさほど重要じゃなさそうだ。

 

「投票回数は5回……それまでに裏切者を追放しないと、200クラスポイントも差がつくことになる」

 

 プリントを見ながら、平田君が深刻な顔をしながら呟いた。D以外の3クラスなら、それだけでクラスが入れ替わることになるね。

 リーダー当てさえ絡まなければ、ある程度結果が横並びになる無人島試験と違い、この試験はいわば他クラスからクラスポイントを吸い取る形となるため、結果によって生じる差は大きいと言っていいだろう。

 

「説明は以上だ。質問が無ければこれから話し合いを行ってもらう」

 

 説明を終え、真嶋先生は部屋を後にした。

 

「面倒なことになったな。早速で悪いのだが、優待者である生徒は今ここで名乗り出てほしい」

 

 1回目の話し合いの時以上の重い空気の中、口火を切ったのは葛城君だった。

 

「クラス全体で話し合いに参加しない方針を取っておいて、随分と急じゃないか」

 

 葛城君率いるAクラスが、試験の結果2を目標に話し合いに一切参加しない方針を取っているのは周知の事実だ。

 神崎君がそうツッコむのも無理はないだろう。

 

「事情が変わった。このまま裏切り者の逃げ切りを許せば大失態だ。少しでも候補を絞るために優待者の存在は知っておきたい。今更隠す理由も無いだろう?」

 

 確かに、試験が第二段階に移行した時点で、優待者の存在はもはや関係なくなっている。

 葛城君が結果2を理想とするのはクラスポイントの変動が無いからだ。優待者が当てられた時点で後手に回ってるのは間違いない。

 

「俺も賛成かな。優待者が誰か分かれば自ずとそのクラスの人は候補から外れるからね」

 

「そうだね。自分のクラスの人を指名することは出来ないし」

 

 俺、平田君と続いて賛成の声が上がる

 葛城君の言葉には一定の説得力があったのか、反対する意見は出なかった。神崎君も優待者を公表すること自体に異論はないようだ。

 

「じゃあ……はい! 私が優待者です!」

 

 一度周りを見渡して手を上げたのは桔梗ちゃん。テーブルの上に端末を置き、画面を表示させる。

 

「端末を交換している可能性もある。他のメールを確認するが問題ないか?」

 

「うん! 大丈夫だよ」

 

「……うむ。間違いなく本人の端末のようだな。他に優待者だと騙る人間も居ないようだし、Dクラスは候補から外しても良さそうだ」

 

 そこに映っていたのは学校からのメールだった。見ると桔梗ちゃんが優待者である旨がしっかりと記されている。

 

「まだ平田君と堀北さんにしか言ってなかったのに、どうしてバレちゃったのかな……」

 

「裏切り者に心当たりはないのか? 例えば相談の内容を誰かに聞かれていたとか」

 

「無いわね。私たちはそれぞれの自室で、音が出ないようにチャットで相談したわ。櫛田さんが優待者であることは一度たりとも言っていない。自分のクラスの人たちにもね」

 

 葛城君の質問に答えたのは堀北さん。彼女たちにとって、優待者が他クラスにバレるのは何のメリットもないため、この話は信じても問題ないだろう。

 

「不可解だな。クラス全体が周知しているのなら、そこから誰かが裏切り者に情報を渡した可能性もあるが……」

 

「この2人に関しては無いだろうね」

 

 神崎君の呟きに対して苦笑いで返す。一番裏切らなさそうな2人を上げろと言われたら堀北さんと平田君を上げるレベルで、クラスのことを第一に考えている人たちだ。

 

「ええ。何十何百万と積まれてもクラスを裏切る気は無いわ」

 

 疑われるのは心外だと言う様に、腕を組んで鼻を鳴らす堀北さん。

 平田君も言葉こそ発しないが、しっかりと頷く姿からは嘘をついているとは思えない。

 

「では、学校からのメールが来たとき、何をしていたかを言ってもらおう」

 

 証明するのは難しいかもしれないけど、確かなアリバイに繋がる可能性も大いにある。何故なら裏切り者による優待者の指名は、そのメールを送った直後に学校側から結果が通知されるからだ。

 学校のメールアドレスはそれぞれの端末に紐付けられている。

 

「俺たちAクラスは全員で集まって話し合いをしていた。メールが届いた際に不自然に端末を操作している生徒は誰一人いなかったと言っておこう」

 

「だがそれを証明する手段は無いはずだ。Aクラス全員が口裏を合わせている可能性だって大いにある」

 

 言い出しっぺの葛城君のアリバイに嚙みついたのは神崎君。

 そう。このアリバイ証明には大きな落とし穴があるのだ。

 

「ではお前たちBクラスにはアリバイがあるのか? 1回目の話し合いの直後に優待者は指名されたんだ。それぞれ話し合いを終えた所感を共有していても、何らおかしな話では無いはずだ」

 

「……俺は一之瀬と互いのグループについて情報交換をしていた」

 

「私は津辺さんとご飯食べてたよ。2人とも寝坊しちゃって朝ごはん食べそびれちゃってたから」

 

 神崎君、安藤さんが続けて答える。彼らもそれぞれが証明できるアリバイを持っていない。

 

「証明できるアリバイが無いのはBクラスも同じようですね」

 

「この試験の嫌なところが出たと言っていいかもね。先生はクラスを無視してグループとして試験を進めてほしいって言ってたけど、実際のところはそうはいかないだろうし」

 

 ひよりちゃんの発言に同意する形で続けて話す。

 

「裏切り者はこれを狙ってたのかもね。まだ各クラスの人たちがが疑心暗鬼になっている段階で、優待者を当ててアリバイを無くさせるっていう」

 

 アリバイ証明をしようと言い始めた段階で予想できたことだ。話し合いを終えた直後に敵になるかもしれない他クラスの人と、好き好んで話そうとはしないよね。

 だが、もちろんそういう傾向にあるというだけで、当てはまらない生徒も必ず存在する。

 

「あ! でも私メールが来たときは高辻君と一緒に喋ってたよ。携帯も触ってなかったし、高辻君は大丈夫じゃないかな?」

 

 思い出したかのように手をポンと叩き、桔梗ちゃんが声を上げた。

 

「何だと? それは本当か?」

 

「そうだよ。多分メールが来る5分くらい前からずっと喋ってたよね」

 

 確認に対してうんうんと首を上下に振ることで肯定する桔梗ちゃん。優待者本人からのアリバイとなればかなり大きいだろう。

 

「この情報はかなり大きいな。Dクラスの3人に続いて高辻が確定で白になった」

 

 神崎君が満足げに頷いている。この時点で13人いるグループで4人候補から外れたということになるね。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんてことも一瞬考えたけど、わざわざ自分が不利になるようなことは言う必要ないかな。わざわざ負けに繋がる一手を打つ必要は無いしね。

 ともかく、今回を合わせてあと5回追放できるから。単純な確率で計算してたとしても追放できる確率は半分以上。逆に裏切り者側からすればかなり苦しい展開になったのは間違いない。

 

「全員平等に怪しいんだったら、各クラスの人数に偏りが出ないように追放していくのが一番いいかもね。ほら、クラスで結託されて票を集められたら面倒だし」

 

 白だと保証されたから話しやすくていいな。さながら人狼ゲームで市民をやっていて、占い師に初日白を出して貰ったときのような気分だ。

 

「となると今回はAクラスから1人ということになるな。問題は無いな、葛城」

 

「……まあいい。裏切り者がボロを出すまでは平等に人数を削っていく。そう約束してくれるなら受け入れよう」

 

 下手に拒否して疑われるよりかはマシだと思ったのか、葛城君は渋々といった様子で受け入れた。

 葛城君視点だと誰が裏切った分からないから仕方がない。坂柳派の生徒が適当に指名したら当たっちゃってた、って可能性も十二分にあるし。その場合仮に追放できたとしても、Aクラスにペナルティが掛かるのだから恐ろしいシステムだ。

 

「もちろんだよ。皆もそれで大丈夫だよね?」

 

 平田君が全員に確認を取る。……竜グループの話し合いはDクラスを中心として進んでいきそうかな? 

 

「肝心なAクラスの誰を追放するかだけど、私は葛城くん以外から選ぶべきだと思うわ。昨日の一件があった上で指名をするとは到底思えないし、他の生徒が暴走した可能性も否定できないわ」

 

「そんなことはあり得ないと信じたいがな」

 

 堀北さんの意味深な言葉に、葛城君は平然とした様子で返す。しかし、俺はその表情が一瞬苦いものへと変わったのを見逃さなかった。

 クラスに反対勢力を抱えながら試験を進めるのはさぞ辛いだろうね。これが実は裏で葛城君と有栖ちゃんが繋がってた……みたいな展開だと中々面白いんだけど、そこまで頭の柔らかい人でないことは先の試験から重々承知だ。

 長い物には巻かれろとはよく言うでしょ? まあ俺はリーダーなんて面倒事を避けて女遊びしたかっただけなんだけど。

 

 ……それが『こんな事』になるとは正直思わなかったけどね。

 しばらく落ち着ける日々が来なさそうだと考えると、少しだけげんなりしちゃうね。

 

『これより10分間の投票時間となります。各自間違いのないよう、投票先の生徒を送信してください』

 

 時間はあっという間に過ぎ去っていくもので、そんな無機質なアナウンスが部屋に響いた。

 

 ────そうして、Aクラスの矢野さんが追放される形で、2回目の話し合いは終了した。

 

 

 





 Aクラス:葛城康平 西川亮子 的場信二 矢野小春
 Bクラス:安藤紗代 神崎隆二 津辺仁美
 Cクラス:椎名ひより 園田正志 高辻清夜
 Dクラス:櫛田桔梗 平田洋介 堀北鈴音

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どこを重点的に見たいですか?(ヒロインは1章ごとに1,2人増やす予定です)

  • 主人公とヒロインの絡み
  • 主人公と龍園、綾小路等との絡み
  • バチバチのクラス間闘争
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