ようこそ現役ホストのいる教室へ   作:カスのホスト

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第5話 動き出す時計の針

 

 

 

 不用心な有栖ちゃんに意地悪なお仕置きをしてから十数分。俺と有栖ちゃんは、ひょんなことから学校敷地内にあるファミレスへと足を運んでいた。

 

「なんか凄い久しぶりな気がするな。マジで小学校以来とかかもしれない」

 

 自炊する予定を取っ払ってここに来た理由は単純、拗ねた有栖ちゃんが部屋から出て行ってくれなかったからだ。夜ご飯を作って懐柔する手も考えたが、そもそもテーブルを買っていなかったためそれも叶わない。

 ということで、せっかくなら一緒に行こうと俺から誘った形となる。この時間帯だと他に人もそんなにいないだろうし。

 

「私もあまり来たことは無いですね。家族の予定が合う時がそんなに多くなかったので、せっかくならといつも良い所に連れて行ってもらっていました」

 

「やっぱりそんなもんか。この学校の理事長となれば多忙そうだもんね」

 

 父親の職業を聞いたときから、何ならその前から予想はついていたが、やはり相当なお嬢様のようだ。朝拾ったハンカチも相当高そうなものだったし。

 とすれば、この学校のお小遣いの額についても理解を示してくれそうだ。ひよりちゃんは庶民的な子だと思うから言えなかったけど。

 

「放課後特にすることもなかったので各クラスの様子を見に行きましたが、やはり高辻君の仮説は当たっていると考えて良さそうです。明らかに生徒の雰囲気が違っていましたから」

 

「来月もらえるポイントについては聞いた? こっちは答えられないってはぐらかされたけど」

 

「私のクラスも概ね同じです。皆さん察しが良かったので、その後は気を引き締めて話を聞いていましたよ」

 

 それは羨ましい限りだ。こっちはみんな浮かれて騒いで酷いものだったからな。

 

「俺も勉強とか力入れてAクラス目指そうかなー。多分成績上位者はクラス移動とかできるだろうし」

 

『学年ごとのクラス替えが存在しない』という文言に含みを持たせていたのは、恐らく塾や進学校と同じように成績上位者が上のクラスに行くシステムだからだろう。

 成績が下がったら下のクラスに行き、一定の学力を下回ったら退学となる……みたいな感じと予想している。Dクラス以外のクラスでちらほら退学者が居るのは、恐らくこの学校の校風と合わないから自主退学した可能性が高そうだ。

 

 だが、そうなると二年生が()()()()退()()()()()()()()()()()にはならないのだが……正直情報が無さすぎるので考察のしようがない。俺も明日こっそり先生に聞きに行こうかな。

 

「にしてもAクラスなのが羨ましいよホント。きっと来月には貰えるポイントめっちゃ増えてるだろうし」

 

「増える……ですか? 確かに可能性が無いとは言いませんが、これ以上高校生に与えるのは不適切だと思いますが」

 

 タブレット式のメニューを見ながらそんなボヤキをしてみると、有栖ちゃんは不思議そうに首を傾げて俺の方を見つめた。

 

「えっ? だって一か月10万円分だよ? たったの」

 

「……失礼な質問をしますが、毎月どの程度のお小遣いを貰っていましたか?」

 

「俺親の店で手伝いとかしてたんだけど、それ含めて大体……一番多い時で1000万ちょっとかな。月によってバラつきはあったけど」

 

 最終月の売り上げが約2000万円、その半分が俺の手元に来ることになるのは他のホストと変わらない。

 基本服とか家具とかは、買いたいものあったら言えば買ってもらえるから、あんまり月々いくらもらうって感じでは無かったんだよな。

 

「聞き間違え……ではなさそうですね。……はぁ。確かに育ちが良いとは思いましたが、まさかここまでだとは思いませんでした……」

 

 ホストやキャバ嬢には、上に行けば行くほど品格が求められるからね。食事の作法やマナーなんかは、小さい頃から親に叩き込まれた。

 確かに一般家庭よりは流石に多いだろうが、それほど驚く額でもないはずだ。

 

「有栖ちゃんもそんなもんでしょ? 俺の場合親の手伝いしてたから少し多いってだけで」

 

「同じにしないでください。……全く、私はお父様に感謝しないといけませんね。その時計も見るからに高そうじゃないですか。盗まれても知りませんよ、私」

 

「これ? ……何だろ。男性物のブランドはあんまり詳しくないんだよね」

 

 純粋に興味が湧かないんだよな。プレゼントはハイブランドでも安物でも同じようにリアクションするし、貰ったまま部屋のクローゼットに積みあがっているっていうこともザラにある。

 因みに俺が今つけているのは、俺が売り上げ1000万を記録したときに親父からプレゼントしてもらったものである。「もしこれからホストを続ける際、客の前で付けても恥ずかしくないもの」と言っていたが、純粋に親父からのプレゼントという点で気に入って使っている。ブランド名は……なんだっけ。

 

「見せてください……オーデマ・ピゲの時計ですね。しかもこれ限定品じゃないですか。相当高いですよ、ほら」

 

「どれどれ……おいおい」

 

 有栖ちゃんは俺の腕時計の写真を撮り、画像検索機能で価格を調べたようだ。どこか疲れたように目を瞑って見せてきた画面には、8桁の数字が並んでいる。

 

「あのバカ親父」

 

 調べずにつけていた俺も悪いが、2000万円の売り上げ達成したホストが、1000万円以上の時計を翌月に付けて出勤したら怪しまれるだろうが! 

 翌月に辞めて正解だった。マジで危ない。

 

「……もしかして、服なども高いものばかりで揃えていましたか? ユ〇クロ等のファストブランドではなく」

 

「えっ、ユ〇クロってエア〇ズム専門店じゃないの?」

 

 あれマジで良いんだよな。下手なブランドの下着より着心地いいし。自分で買いに行ったこと無いから値段は分かんないけど。

 

「そんなところだと思いましたよ。それじゃあ、ここで着る服にも困っていたんじゃないですか?」

 

「そうだね。10万じゃ2,3着買ったら終わりだもん」

 

 別におかしなことは言っていないと思うのだが、有栖ちゃんは呆れたようにため息を吐いて俺の手を取った。

 

「仕方ないですね……。放課後予定が空いている日に一緒に私服を買いに行きましょう。ハッキリと言いますが、貴方の金銭感覚は相当狂っています。実際に値段を見て是正する必要があります。ファストブランドにも、安くて良いものは沢山ありますし」

 

 それはありがたい話だ。選び方とかマジで分かんないから助かった。

 

「それと、この腕時計をつけて学校に行くのはやめてください。お父様からの大事なプレゼント、盗まれたら大変ですよ」

 

「分かった……分かったよ」

 

 俺の手に重ねる形で小さな白い手を乗せ、有栖ちゃんは子供に言い聞かせる親のような口調でそう語った。まるで俺が小さい頃の母さんのようで、自然と気だるげな反応になってしまう。

 

「ふふっ、まさか高辻君にこんな欠点があったとは思いませんでした。私が居なかったら大変なことになっていましたよ?」

 

 しかし俺の反応を気にすることなく、有栖ちゃんは何故か嬉しそうに笑いながら失礼なことを言って来た。

 

「はいはい。ありがとうございますっ」

 

 面倒見のいい女性はかなりタイプだったりする。……母性を感じるには些か危ない見た目だけど。

 まあ、言いたいことは色々あるが、ともかく機嫌を取り戻したようで安心だ。

 

「話が逸れてしまいました。私も注文終わりましたし、食べ終わったら本題に入りますよ」

 

「はーい」

 

 やり取りだけ見ると母親と子供だな。まあ、今日は弄りすぎたからこれくらい許してあげようじゃないか。俺は優しいからね。

 すると、ちょうどいいタイミングで店員さんが料理を持ってきてくれた。

 

「お待たせしました。モッツアレラのサラダ、コーンクリームスープ、プチフォッカ、ハモンセラーノ、マルゲリータピザ、イタリアンハンバーグライスセットでございます」

 

 来た来た! 久しぶりに食べるから楽しみにしてたんだよなー。テーブルに並べられている料理をみると、自然と唾液が分泌されてくるものだ。

 ちなみに、個人的に一番好きなのはイタリアンハンバーグである。上に掛けられたチーズが最強なのだ。

 

「……多くないですか?」

 

「そう? 確かに、一度に来るのは予想外だったかも。ごめんね」

 

 テーブルの半分以上が俺の皿で埋まってしまっているため、こちらに寄せてスペースを確保する。

 

「そういう問題じゃないんですが……」

 

 普通順番で来るものだが、この値段でそれを求めるのは酷だろう。

 

「でもチーズハンバーグって……ふふっ、意外と子供舌なんですね?」

 

「は?」

 

 チーズハンバーグが至高の食べ物。異論は認めないぞ! 

 

「いえ、すみません。どうぞお先に食べてください。私のはもう少し時間がかかるでしょうから」

 

「やったね。いただきます」

 

 ここにはマナーにうるさい両親や、品格を示さないといけない姫様もいない。目の前に居るのは負けず嫌いな可愛い女の子だけ。久しぶりに肩ひじ張らずに食事ができる。

 

「意外と勢いのある食べ方をするんですね」

 

 もちろん体に染みついた食事の作法は抜けないが、あまり考えないで食べられる食事は結構楽しいものだ。

 

「うん。だって凄いお腹空いてたから。お昼食べてなかったし」

 

「そうですか」

 

 微笑ましそうにこちらを見る有栖ちゃん。

 ……あんまりジロジロ見られると気が散るんだけどな。

 

「拗ねてるのもいいけど、笑ってるのも可愛いね」

 

「……何ですか、急に」

 

「思ったことを言っただけだよ」

 

 やっぱ急に褒められるとビックリするよな。俺もひよりちゃんに言われて久しぶりに動揺したもん。

 

「どうせ、他の方にも言ってるのでしょう?」

 

 大正解だ有栖ちゃん。流石の洞察力だね。……とは言えないため、ヘラヘラと笑いながら適当に誤魔化す。

 

「そんなことないって~」

 

 ────そんなゆるーい談笑を繰り返しながら、俺たちは閉店間際まで店で過ごすのであった。

 

 

 

 

 

 ────────────────

 

 

 

 

 

 入学式を終えた夜。コンビニで堀北と別れたオレは、どうやらそのまま自分の部屋で眠ってしまったらしい。

 制服姿のまま、ベッドから起き上がる。電気をつけっぱなしにして寝たせいかやけに目がショボショボする。

 

「……喉乾いたな」

 

 人生初のコンビニに行ったオレがしたことと言えば、堀北に罵倒され、須藤のカップ麺を立て替え、そして須藤がまき散らしたカップ麺の掃除をしただけ。

 ……自分で言いたくないが、中々最悪な1日だったな。

 

 学生証を持ち、学校指定の皮靴を履いて外に出る。コンビニまでは少し遠いが、背に腹は代えられないだろう。

 オレの部屋は401号室。部屋を出てすぐに2台のエレベーターがある。部屋割の運は上々といったところか。

 外に出ると、丁度左側のエレベーターが4階に到着し、1人の男子生徒が出てきた所だった。

 

「じゃ、また明日ね有栖ちゃん。おやすみ」

 

「はい。おやすみなさい」

 

 どうやら放課後は誰かと一緒に過ごしていたようだ。相手の姿は見えないが、声的に女子生徒だろう。……初日から女子とデートか。羨ましい限り限りだ。

 いや、見方を変えればオレも堀北と……無いな。そんなことを言ったら何されるか分からない。

 

「あれ、隣の部屋の人?」

 

 部屋の鍵をかけながらそんな想像をしていると、オレの存在に気が付いた男子生徒が声をかけてきた。

 ……しまった、偶然とはいえ女子生徒と一緒にいる所を見てしまった。しかも背を向けながらとか不審者が過ぎる。

 

「ああ、すまん。盗み聞きするつもりじゃなか……った、んだ」

 

 謝りながら後ろを振り返るが、思わずその顔を見て言葉が詰まってしまう。

 

「ん? ああ、大丈夫だよ。別に減るもんでもないからね」

 

 人見知りしない性格なのか、こちらの目を見てにっこりと笑う男子生徒。オレはそんな彼の姿を見て、とある激情に駆られていた。

 

「……そうか。なら良かった」

 

 それは驚愕と感心である。何故なら、その男子生徒の顔が余りにも良すぎたためだ。

 身長はオレと同じか少し低い位。漆黒で艶のある黒髪マッシュはどこか幼い印象を与えるが、整いすぎた力強い顔面が絶妙なバランスを保っている。女子の間ではカワイイ系かカッコいい系で好みが分かれるとはよく言うが、彼に関してはどちらにも受け入れられる顔付きだな。

 

「? えっと……」

 

 Dクラスのイケメンと言えば平田が挙げられるだろう。しかし、あくまで一般人的な整った顔付きの平田とは違い、目の前の生徒からは何処かキラキラしたオーラまで見えてくる。もしかして芸能関係の仕事をしているのだろうか? 

 

「もしもーし。大丈夫?」

 

 男子生徒が下からのぞき込むようにこちらを見上げ、ひらひらと目の前で手を振ってくる。

 そこで初めて顔を見て固まっていたことを思い出した。

 

「あ、ああ。大丈夫だ」

 

「良かった。もしかして疲れてる? 色々大変だったもんね」

 

 大分挙動不審だったが、男子生徒は気にせずにこちらの心配までしてくれた。顔だけじゃなくて性格もいいのかっ! 

 

「いや……驚いて固まってたんだ。何せ、余りにもイケメンだったからな」

 

……何を言っているんだ俺は!?  

 

 初対面、それも男に口説くような真似をしてしまった。多様性の時代とはいえ、出会っていきなりそんなことを言われたら気持ち悪がられるに決まってる。

 ……マズい。何かフォローを考えないと。考えろ、考えろオレの頭ッ! 

 

「そう? ありがとう。嬉しいよ」

 

 滅茶苦茶いい子じゃん……。平田もそうだが、イケメンって性格良いやつしかいないのか? 

 堀北と須藤に荒らされた心がどんどん癒されていくのを感じる。……部屋が隣って言ってたよな。友達になってくれないだろうか。

 

「Cクラスの高辻清夜だよ。長い付き合いになるだろうし、これからよろしくね」

 

 そんなことを考えてたら。男子生徒……高辻の方から右手を差し出してきた。

 

「Dクラスの綾小路清隆だ。よろしく」

 

「……清隆君ね。随分遅い時間帯だけどどうしたの?」

 

 いきなり名前呼びだと? ……これが陽キャだっていう生き物なのか……

 

「あっ、ごめん。知り合いに綾小路って苗字の人居てさ。混ざっちゃうから下の名前で呼んじゃった」

 

 ……珍しい名字だとは思うんだが、まあそういう偶然もたまにはあるか。

 

「大丈夫だ。喉が渇いたから水でも買いに行こうと思ってな」

 

「なるほどね。下に自販機あるけど場所分かる?」

 

「……いや、存在すら知らなかった」

 

 寮のパンフレットには部屋の説明や規則についてしか書かれていなかったが、他の生徒はどうやって情報を仕入れるのだろう。……普通は友達に聞くか。

 

「そっか。じゃあ一緒行くよ」

 

「いいのか?」

 

「うん。俺も丁度何か飲みたい気分だったし」

 

 勝手に自己嫌悪に陥っていると、高辻はそんなありがたい提案をしてくれた。コンビニまで行くのは面倒だったため凄く助かる。

 それに、一緒に飲み物を買いに行くなんて、もう友達と言っても過言じゃない。

 

「水とか以外にも色々あるらしいけど、俺まだ行ったことなかったんだよねー」

 

 見ているか堀北。オレはしっかり自分の意志で会話して友達を作ったぞ! 

 散々馬鹿にしてきた堀北に心の中で言い返し、上から降りて来たエレベーターに2人で乗り込むのだった。

 

 

 

 

 

 ────────────────

 

 

 

 

 

 入学してから1か月が経ち、今日は待ちに待ったポイント振り込みの日。

 ……とはいえ、この1か月の間に得た様々な情報から、貰えるポイントが増えることはまずあり得ないと考えられる。……金銭感覚も有栖ちゃんに矯正されたからね。

 

 端末を開き、ポイントの推移を確認する……増えたプライベートポイントは丁度6万。これが、俺が……俺たちが学校側から受けた評価ということになるのだろう。

 ため息を吐きたい気分ではあるが、ここで弱音を吐いても何も変わらない。ひとまず学校の準備を済ませよう。

 

 端末をいじりながら朝食を作る。見ている内容はクラスのグループチャット。……と言っても、40人中30人程度しかいないんだけどね。龍園君とかその他の生徒は参加していない。

 

 ちなみに初日にひよりちゃんを隠して取った自撮り画像、その顔写真の部分がグループのアイコンとなっている。……慣れはしたけどいい気分では無いな。グループ開くたびに、映りの悪い自撮りを毎回見なきゃいけないのは。

 

『ねえ、皆ポイントどのくらい振り込まれてた?』

『6万ポイントピッタリ。やっぱり高辻君の言ってた通り、ポイント減っちゃうみたいだね』

『えー、残念。何で減らされたんだろうね』

『まあ、流石に今日説明されるんじゃない? それまで大人しくしてようよ』

 

 流石に事前に説明していたためか、混乱している人は居ないようだ。

 

「おはようございます高辻君。ポイントの推移、予想通りの結果になりましたね」

 

 待ち合わせの約束をしていたため。寮のエントランスでひよりちゃんと合流する。()()()()()()()()()()()()()()()()()仮説が有力になってから、有栖ちゃんからのお誘いはめっきり減ってしまった。

 今ではたまに付き添いの生徒数人を連れて歩いているところが見られるため、彼女もクラスの掌握に躍起になっているのだろう。

 

 とすると、不気味なのはこういう時に首を突っ込んできそうな龍園君だが……今のところ、何の音沙汰もない。このまま行けば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。正直面倒だからやりたくないけど。

 これから待ち受ける展開にげんなりしながら通学路を歩いていると、目の前から見覚えのある生徒が歩いてきた。

 

「よう。こうして話すのは久しぶりだな高辻」

 

 噂をすれば、龍園君である。

 両隣には犬猿の仲だったはずの石崎君や、いつの間にか関係性を築いたのか、アルベルトという大柄の黒人生徒が立っている。

 

「今日の放課後ツラ貸せよ。お前に話がある」

 

「断ったら?」

 

 敢えて挑発するようにニヤニヤと笑って問いかける。

 

「その時は隣の女を潰す。もう今まで通りイチャつけねえようにしてやるよ」

 

「……そうかい」

 

「一体何の話をしているのでしょうか? 高辻君に用があるなら、今ここで話した方が「うるせぇよ」っ!」

 

 不穏な空気を感じ取ったひよりちゃんが声を上げるが、龍園君は一蹴するどころか右手を彼女の頬に打ち付けようとした。

 二人の間に割り込んで右手を掴んで止めると、龍園君は心底愉快そうに喉を鳴らして笑った。

 

「白昼堂々と女の子に手出すとは、見下げた根性だね龍園君」

 

「そう睨むなよ。綺麗な顔が歪んでるぜ?」

 

 はぁ……可もなく不可もなく、普通の学校で平穏に女の子と遊びたかっただけなのに、どうしてこうなったんだか。

 

「俺に話があるんだろ? どこにも逃げないから、放課後まで大人しく待っててくれないかな」

 

 だが、身に注ぐ火の粉を甘んじて受け入れる程、俺も善人じゃない。荒事に対処する術は、ホストクラブを運営するにおいては必須だからね。

 

「ククク……そうかい。なら待っててやるよ。せいぜい残り少ない穏やかな学校生活を謳歌するんだな」

 

 そう言って、龍園君は立ち去って行った。

 

 

 





カスホストの弱点:天然の女の子
         面倒見のいい(母性のある)女←new!!
 弱点ですが特攻でもあります。ポケモンでいうゴースト、ドラゴンタイプですね。金銭感覚に関しては坂柳さんに矯正されました。

 初期の綾小路は間抜けで好きです。最新刊含めての地の文のうち、『!』の半分はここで使ってそうなくらい感情豊か。

 ということで最後はほぼ次回予告です。ここから面白くなると思うのでお楽しみに!



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どこを重点的に見たいですか?(ヒロインは1章ごとに1,2人増やす予定です)

  • 主人公とヒロインの絡み
  • 主人公と龍園、綾小路等との絡み
  • バチバチのクラス間闘争
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