ようこそ現役ホストのいる教室へ 作:カスのホスト
ギャグ多め
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龍園君に呼び出されてから約一時間後。俺と龍園君は倒れた石崎君とアルベルト君を叩き起こし、周りに会話を聞かれないようにするためにカラオケルームに移動していた。
開口一番、俺は先ほどから気になっていたことを石崎君に確認した。
「タマ大丈夫? 潰れちゃったりしてない?」
「お、おう。……一応、多分大丈夫だ」
しきりにポジションを直しながら、どこか気まずそうに答える石崎君。……良かった。もし潰れちゃってたら石崎君の性転換費用を俺の口座から払わなければいけないからね。
だがそれにしても、人前で股間を触るのはマナー違反だしモテないぞ?
「良かった。アルベルト君も、肋骨とか折れてない? 落とせるように結構強めで蹴っちゃったからさ」
カラオケの椅子は巨体のアルベルト君には狭いようで、縮こまりながら首を縦に振った。
「……なんか、拍子抜けっすね。アルベルトがやられたときはどうなるかと思いましたけど」
ニコニコと少し前まで殴り合っていた相手を心配する俺を見て、石崎君が頬をポリポリと掻きながら呟いた。何を言っているんだ。昨日の敵は今日の友とよく言うだろう?
そもそもあの喧嘩自体想定内だったし。その後の展開も含めてね。
「はっ、それもこっちに目に見えた怪我を負わせないように気を使ってな。いけ好かない野郎だぜ」
「これからやることを考えたら、顔とか隠せない場所に傷がつくとマズいんだよ。それに、龍園君たちとはいい関係を築いて行きたいからね。その手向けってことで」
「……どういうことだよ。今まで関係なんてほとんどなかっただろ俺たち」
警戒したようにこちらを睨みつける石崎君。それもそうだろう。龍園君は初日の会話のみ、後の2人に関しては喋った事すらなかったのだから。
「はっ。要は、今日の俺たちの行動はこいつの想定通りだったってことだ。つまり、こいつはハナから俺たちに協力するつもりだった。わざわざ喧嘩を買ったのは、俺に自らの有用性を強く示すためといったところか」
「正解っ。流石龍園君」
裏で石崎君とアルベルト君を手下にさせたり、クラス間闘争について独自に調べて回ったりしていた時点で超凄いし、俺の行動の真意まで読み取ってくれるなんて最高だぜホント。
「チッ、気持ち悪ぃ」
指をパチンと鳴らしてキザったく指を指す俺に対し、龍園君は吐き捨てるように言った。
「酷いなぁ。……まあいいや、本題に入ろうか。とりあえずチャット友だちになろうぜみんな」
そこで俺は、端末を操作しチャットアプリを立ち上げる。そこで友達登録のためのQRコード読み取りを起動した。登録すること自体に異論はないのか、微妙な顔をしつつもQRコードを表示する石崎君とアルベルト君。
龍園君もダルそうにしながらも、こちらに端末を差し出した。……ヤバい、この光景面白すぎる。カメラに納めたい。
「とりあえずグループ作って……名前はどうしようかな」
『Cクラス最強卍會』でいいや。ヤンキーってこんな感じのノリだよね。知らんけど。
「……おい。何だこのふざけたグループ名は」
「……ダッセぇ」
「Great」
上から龍園君、石崎君、アルベルト君と三者三様の反応を見せる。
……うむ。どうやら俺が思っていたヤンキー観は、彼らの常識とは少しだけ異なっていたらしい。アルベルト君だけは嬉しそうにしてくれたけど。
「お前本当にそれでいいのかよ!? クッッソダサいぞこの名前!」
とりあえずアイコンは……俺の自撮り写真でいいや。一番映りがいいのは……有栖ちゃんとファミレス行ったときの写真か。とりあえず俺の顔ドアップで行こう。
「騒ぐな石崎。耳障りだ」
「……はい、すいません」
良いツッコミだったのだが龍園君に怒られてしまった。ドンマイ石崎君。
ふざけている間に送信するファイルを選択し終えたので、資料を開封するためのパスワードと共にPDFとして送信する。
「とりあえず3週間後の中間試験の過去問と、去年一昨年に行われた特別試験の詳細と、プライベートポイントの使い道とその費用についてを資料にまとめたから確認してみて」
「……ほう」
「はぁ!?」
ここに来て初めて嬉しそうな反応を見せてくれた龍園君。石崎君は騒ぐなと言われたのに大声を上げてこちらを見つめている。
「と、特別試験の内容って、龍園さんが上級生に聞いても答えてもらえなかった奴ですよね。……ええっと、缶コーヒーが敷かれてるとかなんとかって」
「いや緘口令ね」
どういう状況だよ。
「石崎の馬鹿は置いておくとして、確かに特別試験の内容は口止めされていると聞いたが。お前がでっち上げた情報じゃないだろうな?」
「そんな訳ないじゃん。優しい親切な先輩が教えてくれたんだよ」
ベッドの上だと緘口令も缶コーヒーも関係ないからね。枕営業もお任せあれということだ。
「……嘘はついてないようだな。全く、どこからこんな情報を引っ張ってくるんだか」
「これでもイケメンランキング堂々の1位ですからねっ。凄いっしょ?」
2位の子とトリプルスコアを付けて1位になりました。これには遺伝子至上主義の有栖ちゃんもにっこり。
因みに隣人として仲良くなって、たまに一緒に飯を食う関係にもなった清隆君はイケメンランキング4位である。理由は俺と2人でいることで一部の腐女子が騒いだかららしい。まあ清隆君は俺に似て顔良いからね。陰キャ過ぎて注目されてなかったけど。
「いけ好かないヤツだな」
ドヤ顔で襟を正す俺に、舌打ちを交えながら石崎君が言い放つ。
おいおい何だよその言い方。かっちーんって来たぞ俺。
「あー! そう言うこと言うんだ石崎君。中間試験の過去問は全く同じ内容が出題されるのに、君って結構成績悪かったよね? 退学になってもいいのかな?」
早口でまくし立てるように言うと、石崎君は驚いたように目を見開いたのち、目線を逸らして謝った。
「……悪ぃ。ありがたく使わせてもらう」
「よろしい」
人間素直なのが一番良いよ。……俺? ほら、欲望に素直じゃん。
「俺の有能さ理解してくれた? 喧嘩も運動も出来るし、成績もこの前の小テストでクラス1位だよ。お望みとあらば他クラスの女の子にハニトラしてもいいし。あ……でも男は無理だからそこはよろしく」
いくら金を積まれても無理なものは無理だ。
「言ってねぇよ!? ……ったく。どうするんですか龍園さん。こんな面倒な奴だと思いませんでしたよ俺」
呆れたようにため息を吐いた石崎君。優秀だと思ってくれてるのは間違いないが、龍園君は怪訝そうにこちらを睨みつけてきた。
「それだけの力を持ちながら俺の下で協力する理由が分からねぇな。単に表に出ずにポイントが欲しいなら、俺を屈服させてスケープゴートに仕立てればいい。お前にはそれが出来たはずだ」
「だって、龍園君俺を倒すまで諦めないじゃん。やだよ男に付きまとわれるの」
ケツを追い回してくるのは有栖ちゃんみたいな美少女だからいいのだ。
猫的な可愛さを求めているのに、イカついドラゴンが追ってきたらたまったもんじゃないだろ?
「俺がこの一度で諦めないと?」
「うん。だって君最初アルベルト君に喧嘩吹っ掛けて負けてたじゃん。それなのに彼が君の下に付いているということは、そういうことだろう?」
流石に状況を逐一推測することは叶わないが、大方トイレだったりで戦えない状況の時に奇襲を仕掛けていたのだろう。龍園君は俺と考え方が凄い似ているからね、そういう発想もポンポン浮かんでくるはずだ。
「龍園君に粘着されてる状況でクラスを率いることは無理。完全に屈服させようにも、君は痛みで恐怖を感じたりするタチじゃないでしょ。退学させようにもペナルティが怖いし」
多分龍園君は頭のネジが外れているタイプだ。だからこそ、ボコボコにされたアルベルト君に立ち向かっていける。
俺に女という弱点がある時点で、感情がある時点で本当の意味で倒すのは不可能だ。人間の弱点を探して突き、最後まで諦めずに支配する龍園君をね。それこそ、
「あと純粋に面倒なんだよね。俺女の子とイチャイチャしたいだけだし。だから適性ある人に任せたいなって」
クラス間闘争を率いていくとなると、必然的に他クラスの生徒と仲が悪くなる、あるいは関係を築きにくくなるのは目に見えている。他クラスにも可愛い子は沢山いるし、機会損失にもほどがある。
「俺が適性ある人間だと? 悪いが、真っ当なやり方で上に上がるつもりは無いぜ。汚いやり方で悪評を買うこともあるだろうな」
「あるよ。断言できる」
大げさに両手を広げて、性格の悪そうな笑みを浮かべる龍園君。しかし俺の答えは即答だ。
男を口説くつもりはないため、これは高辻清夜としての……俺の真意100%を込めた発言をさせてもらう。
「道徳性に気を遣うのは敗者がすることだよ。少なくともこの学校ではね。事実、2年生全体を支配しているAクラスのリーダーである南雲先輩は、そのあくどいやり方で何人もの生徒を退学にさせてその地位を確保した。堀北さんみたいに正攻法で上に上がる方法もあるけど、それは彼のクラスメイトの地力が高いから。少なくとも俺たちが取るべき戦術じゃない」
これからの伸びしろはいくらでもあるだろうが、それは他のクラスも同じ。
Dクラスは……まあ特に脅威になる人物はいないとして、問題になってくるのはAクラスだろう。1か月共に過ごしてきて分かったが、年相応の可愛さはあれど有栖ちゃんは実力は相当なものだ。洞察力、知識量、思考力、行動力どれをとっても高校生とは思えない能力を宿している。
葛城君の性格上対立……派閥争いの様なものが起きるのはほぼ確定だとして、問題はそれが解決してからだ。
有栖ちゃんが残っても、葛城君が残っても厄介。有栖ちゃんはもちろんのこと、葛城君でも正攻法で強いクラスが誕生するだろう。それこそ堀北先輩のクラスのように。
残りとしては帆波ちゃん率いるBクラスだが……ここに関しては正直カモとしか思っていないため無問題。最悪ハニトラで頭を潰せばいい。
「今の俺だと融和的な……それこそDクラスの平田君の様な統治しかできない。クラスメイトは俺にそういう『夢』を見ているからね。……多少の損害を受け入れてクラスを完全に統治。有栖ちゃんと葛城君の体制が拮抗している間に叩き潰すのが正解だ」
「……よく分かんねえけど、そんな上手く行くもんなんですかね。高辻が龍園さんに任せるって言ったって、クラスの奴らも「はい、どうぞ」とはいかないだろうし」
しっかり黙って話を聞いてくれた石崎君だが、話の3割も理解していたら良い方といった反応を見せてくれた。
しかし龍園君に伝わってさえいれば大丈夫。それに、石崎君はかなりいい質問をしてくれた。
「1つだけ、完全に俺から龍園君に支配権を移行する方法がある。だがそれには、君の評価を地の底まで落とすという代償がいるんだけど……」
遠慮がちに問いかけるが、対する龍園君は俺の言っている意味を理解したのか、喉を鳴らしながら窓枠にジャケットを掛けて外からの目線を完全にシャットアウトした。
「ククク……今更俺がそんなことを気にすると思うか? それより、お前も随分と体を張るじゃねえか。面倒だと言った奴の態度とは思えないぜ」
「クラスを率いていくのが面倒って言っただけで、何もお芝居をダルいと言った覚えはないよ。得意分野だからね。…それに、努力が出来る人間が大好きなんだ。俺を含めてね」
「ちょ、何するんですか!? 隠してたら店員が来ますよ」
俺と龍園君の2人だけで成り立っている会話に、意味が分からないと言った様子で割り込んできた石崎君。アルベルト君も同様なのか、静かに首を傾げていた。
「だから手っ取り早く済ませるんだよ。
「とりあえず4、5発位かな。ある程度残る感じで。……あ、でも歯はやめてね。この年でインプラントはやりたくないから。片付け面倒だから血も出ないように」
「注文の多い奴だ。ほら、歯食いしばれよ。舌切ってもしらねえぞ」
なんだよ。やっぱり結構優しいじゃん。有栖ちゃんといい、優秀な生徒は皆ギャップがあるものなのだろうか?
「ああ。一思いにやっちゃって」
「ふっ、言われなくとも────なっ!」
完全に外界からシャットアウトされたカラオケルームに、数発の鈍い音が響き渡るのだった。
龍園君に対する評価が高すぎると思いましたか?
彼がここまで肩入れする理由は、初めて出会った頃の地の文でヒントが出ているので確認してみてください。
ということで、この小説を書く上で一番やりたかった龍園とのタッグが完成しました。性格と周りからの評価は真逆だけど、考え方がそっくりな2人の戦いが今から始まります!
高評価、感想頂けると作者の励みになります。モチベは投稿頻度にも露骨に作用するので、面白いと思ったらよろしくお願いします!
どこを重点的に見たいですか?(ヒロインは1章ごとに1,2人増やす予定です)
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主人公とヒロインの絡み
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主人公と龍園、綾小路等との絡み
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バチバチのクラス間闘争