今回の作品は題名諸々がクロス先の作品に多大な影響を受けておりますが、あくまで主軸になるのは原作小説の欄に入っている作品になる予定です。
相変わらず亀更新になりそうですが、それでもよければどうぞご覧下さい。
Ⅰ 予言
……異世界…………の門が再び開く
……変革が…………もたらされることとなるだろう
パチリと、炎の爆ぜる音で、はっと、眼前の炎で祈祷を行っていた女性、火川神社の神主の孫娘、火野レイは目を見開いた。
その頬に、つうっと、冷や汗が伝う。
「今のは……」
思わず零れた呟きに、彼女はぐっと唇をかみしめた。
(何かが迫っている……敵? でも今までのようなものとは何かが違う……)
更なる手掛かりが見えないかと目を凝らすものの、再び炎に何かが映ることはなかった。
……異世界…………の門が再び開く
ふっと、耳元で何かが聞こえたような気がして、一人の青年は目を開いた。
「んん?」
呻きながら寝返りをうつものの、不思議な事に眠気もどこかへ行ってしまったらしい。
ふわぁと、あくびを零しながらも起き上がると、窓際に置かれていた勉強机の上にあるデスクトップパソコンが、ブンとスリープ状態から起動する音が耳に入った。
《どうしました? パパ。まだ早朝ですよ?》
聞こえてきた幼い声に、思わず青年は「ユイ」と、彼女の名を呼んだ。
「なんか……聞こえなかったか?」
掠れた声で問いかけると、画面上に、一人の少女が映る。
腰まで届くほどの黒い髪に、白いワンピース姿の、小さな女の子だ。年齢は十歳程度だろうか。
《何か……ですか? いいえ。少なくともこの部屋の中では何も聞こえていません》
「そっかぁ……じゃあ、夢かなぁ……」
起き上がったものの、動く気にはなれないのか、ベットの上に腰掛けたまま、青年はぼんやりとカーテンの閉まったままの窓を眺めた。
《夢ですか……どんな夢だったんですか?》
夜のおしゃべりに付き合うつもりなのだろうか。
話しかけてくれる相手に僅かに微笑んで、その問いかけに、はてと首を傾げた。
「えっと……何だっけ?」
まるで霧が晴れたのかのように。
はっきりと目を覚ました青年は、僅かに残っていた気がする夢の内容を、完全に忘れていることに気づいた。
「うーん……何だったんだろう……」
思わず考え込んだ青年に、画面上の少女は苦笑う。
《あんまり気にすることないですよ。パパ。夢の内容を忘れることは良くあることですから》
「まぁ、そうだな」
それに納得するように、青年も笑う。
もう一度寝直そうと、改めて横たわった青年に、おやすみなさいと、少女も言葉を返した。
これが彼らに巻き起こる、新たな試練の始まりだと気づくことも無く。
グラリと、異様な揺らぎを感じて、一人の女性、冥王せつなは飛び起きた。
「「「せつな(ママ)!!」」」
否、せつなだけで無く、この家の残りの住人である、天王はるか、海王みちる、そして彼女達三人が娘として育てている少女、土萠ほたるもまた、彼女が感じた異変を察したのか、彼女の部屋に飛び込んでくる。
「三人とも……」
頼れる仲間の姿に僅かに笑みを見せるものの、せつなの顔色は紙のように白い。
その理由は、誰に言われるでもなく、せつな自身が分かっていた。
「……異物が入り込みました。どこからかは、正確には分かりませんが……おそらく、異空間を通って」
その言葉に、三人の顔が強張る。
新たな敵対者の存在。
あまりにも短すぎる平穏に、再び自分達を、この星を襲うかもしれない危機に唇をかんだ。
彼らが、彼らの守るべき王女が、シャドウ・ギャラクシアを名乗る強大な敵を倒してから、まだ数ヶ月しかたっていないというのに。
「この時間だ。まだプリンセス達は起きていないだろう」
「まずは私たちで探りましょう。情報が無くては対応も差が出る」
はるかとみちる、双方の言葉にせつなとほたるも頷く。
守るべき王女を守るためにも、まずは自分達が。
これが彼ら外部太陽系戦士と呼ばれる彼らが自らに課す不文律でもあったからだ。