みんなの太陽ダイタクヘリオス   作:ねえ、あなた今ヘリオスの事見てたでしょ?

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どうしようもないもの

 

 

 

 

 

 

あなたは、太陽というものを知っている?

 

 

 

 

 

 

 

・・・・いや、物理的な太陽じゃなくて.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・まあ、確かに。あの子はみんなにとって、本当の太陽みたいに輝いているんでしょう。

だからいつも、周りには人がいるし、集まってくる。

 

 

 

当然だ。それだけの明るさとポジティブな性格と、友達思いで優しいところがあれば、誰にだって好かれる素質はあるだろう。

 

 

あの子が居るだけで周りは明るくなり、状況はガラリと変わる。怯えていた子は勇気を貰いずるい、愛や絆に飢えている者は充足を感じるゆるせない

 

 

 

・・・・ああ、これだけでも気に食わないのに、まだ腹立たしいことがある。

何を隠そう彼女はウマ娘だ。

 

 

 

 

・・・・・・だからどうしたって?

分からない?ウマ娘にとっての本懐の一つ。

 

 

 

 

 

そう、レースのこと。

 

 

 

 

 

彼女はあのコミュ力に加えて、レースにおいて屈指の実力を持つ。

 

 

 

決して最強議論に名を連ねるわけではないけれど、それでも他の大勢のウマ娘からしてみれば群を抜いた強さである事は火を見るより明らかだ。

 

 

 

特にその気持ちのいい“爆逃げ”と呼ばれる戦法は、人の見る目を惹き付けてやまない。そのレース観で心動かされた人、いやファンは多い。勿論、ウマ娘も。

 

 

 

 

・・・ああ、本当にズルいなぁ。ずるくて妬ましい。本当に嫌いだ。

 

 

 

彼女みたいな存在がいるから、私達は結局負けるのだから。

所詮は1人のモブウマ娘としての宿命。

 

 

 

彼女がどれだけ人が良かろうが、近寄り難い子とも仲が良かろうが、酷い相手をも許してしまえる心の広さを持っていようが、私達には関係が無い。

 

 

 

 

 

 

彼女という存在がいる。

その1点のみで、彼女は私達の敵になるしか無いんだから・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────なーんて、愚かな事を考えている子は居ないでしょうね。

 

 

 

 

大体はあの子の眩しさに焼かれて友達になってしまうか、あるいは良きライバルになってしまうんでしょう。

 

 

 

そんな酷いことを考える・・・・・・・・・ましてや行動に移す子なんて、いるわけが無いんだから。

 

 

 

 

 

そう、ここはウマ娘の世界。

たとえ天地がひっくり返ろうが、余程の事でもないとそんな誰かに危険を及ぼすような事は起こらない。

 

 

 

 

そんな事実を知ってしまっている私にとって、こんなのは全部茶番でしかない。ありふれた日常の一コマを、限りなく非凡に彩って見せているだけの色褪せたページ。そんな他愛ない世界で生きているあの子も、その周囲の連中も、そして学校も。大人達も。

何より、そんな環境にのうのうと未だ居座っている自分が。

 

 

 

 

本当に最低で──────反吐が出る。

 

 

 

 

 

 

 

こんな光景──────見るに堪えない。1秒足りとも視界に収めたくない。

 

 

 

きっと私のことだって見えていないんでしょう?

まあ、それはあえて見えないところにいるから当然なのだけど。

 

 

 

 

ああ、自分が最低なヤツなのは分かっているからわざわざ言わなくていいわよ。

 

 

それと、この思考は誰に向けたものでもない。

自分に対する自己嫌悪みたいなもの。

 

 

 

我ながら子供っぽいなと思う。

こんな事をしている暇があったらさっさと立ち去れと。

 

 

 

 

 

 

 

 

──────そう、私はわかってるんだ。こんな行動に意味なんてないことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────なら、なんで私はさっきから、彼女の事を目で追っているの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・っ!ちょっと待って。なんかこっちに来てない?あ.....

 

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に青いインナーカラーの髪をたなびかせて入って来たその人物こそは、みんなの太陽ダイタクヘリオス。

持ち前の明るさで今日も教室に入る前から騒がしい。その様子は周りの寝ぼけていたり眠そうな目を擦っている子らの目を愉快な気分で覚まさせる。

・・・・・一部を除いて。

 

 

 

 

「スーぴょんおはー!どしたん!?なんかサゲな感じ?それともいつものくろぶーチャージタイム!?とりま!うちと話そ〜!」

 

 

 

「あっ.....ヘリォ.....いや、ち.....近.....」

 

 

 

「つーか聞いて!?ねー聞いて〜!?今日バリ寝坊して〜!!爆速で走ってバス乗ったんけど!めーっちゃ混んでて〜!

で!おまけにバス動かんくて詰んだー!!って思ったら、いや、そもそもウチちゃんウマ娘なんだから自分で走った方がパヤくない?つーか最初からそれでおけまるだったじゃんウケる〜!てなったんよ!

てか、ウチいつも寮から歩いて行ってたわ〜!なのに謎にバス乗ってんの!しかも走ってく途中、風で髪ぶわっ〜ってなって〜!直すの大変なんだが〜!?たは〜!やらかしたわ〜‬!

その髪型鏡で見た時にさ〜!もう今思い返して勝手にばくわらなんだけど!ウチまじくおもろくない〜?」

 

 

 

「う.....うん。.....そうだね.....でも朝寝坊しちゃうのは良くないかもね.....」

 

 

 

「あ!やっぱスーぴょんもそういうフィルった!?それな〜?やっぱ朝は爆音EDMかけて目ぇ覚ますに限るっしょ!?あ、でもそれじゃ近所迷惑的な?やっぱやめとこ〜☆」

 

 

「.....えっと、同室の人ってどうしてるの。ほら、あの」

 

 

「ああ!ちゃんタプ!?なんか朝は早くにダンスの練習の約束あるとかでー?起こせなくてマジソーリーって感じだった!」

 

 

 

「.....そっか。だったらさ、私が起こしに行ってあげようか?

.....そしたら寝坊しないでしょ」

 

 

「え!マジ!?もうちょー感謝!あ、でも怒られっかもしれんし、やっぱメンゴ!嬉ピーチだけど遠慮しとくわ!もし寝てたらモーニングなコールでよろ!」

 

 

「うん、分かった。じゃあ毎日私がモーニングコールかけて起こしてあげるね.....」

 

 

 

「マ!?ノリで言ったのにやってくれるとかバリヤサ娘じゃん!?

スーぴょん聖人すぎでありがてぃー!やっぱ持つべきものはダチってことよな☆」

 

 

 

「.....別にそれくらいなら、いつでも頼めばしてあげるけど.....?」

 

 

 

「神かー!?聖人通り越してもはや天使じゃん!?よっ!マイエンジェルスーぴょん!!」

 

 

「.........!!マイ.....エンジェル.....ふふ♪」

 

 

 

「あ!なんか機嫌うぃーね!!元に戻った!そういえばさぁ!そのネイルばりかわちぃね!やっば、ウチもリスペクっておそろっちにしよーかなー☆」

 

 

「.........ん、うん。.....んぇへへ.....♡」

 

 

 

実のところ、ヘリオスに見てもらうためだけにやってきたのだが、気づいてもらえて良かったと内心ほくそ笑んでいる。

 

 

「え、というか.........おろそっち.....いいと思う.....」

 

 

 

「はぁっ〜〜.....やっぱそうおもーよね!?よっしゃ!今度遊び行ったときやろ〜☆」

 

 

「.........................え?遊び?」

 

 

「んぉ?うん!!今度ジョーダンとパマちんと一緒にネイルやりに行くん!で、ついでにオケったりタピったり遊び散らかせ〜!って感じ!あ、そだ!スーぴょんも来るー!?」

 

 

「..........................................待って。その話知らない」

 

 

 

「いや、そりゃ今言ったし!?てかもう話した気になってたわ〜、ごめんちゃい!ま、そゆことで。トゥゲザる?トゥゲザっちゃう!?」

 

 

 

「..............................................................................................................................うん。私も行こうかな。ヘリオス一人だと心配だし」

 

 

 

「ぶっは!勝手におひとり様にされててウケる〜!!つか、まだ日にちも決めてね〜し、ゆーてだいじょーぶだべ!!!」

 

 

 

「.........やっぱ普通に不安だから着いてくね」

 

 

 

 

 

そんな事を話しながら、彼女達は予鈴のなる教室にて会話を弾ませる。やがて教師が来て、彼女らの前の教卓に立つと、流石の騒々しかった教室も静寂を取り戻す。

 

 

 

 

教師が淡々と話を進める中、後ろの方の席(本来ならばヘリオスは前の方、あるいは中央の席が定石なのだが*1)で、隣同士のヘリオスとそのウマ娘は、小さな声量でこっそりやり取りする。

 

 

 

「とりま、放課後はタピるってことで、よろ☆」

 

 

「.....よろ」

 

 

 

教師に見つからないようにしつつ、小声で放課後の約束を取り付ける。そんな普通の女子高生のような一幕が、そこにはあった。

 

 

 

 

 

 

「.............ねえ、それって二人きり?」

 

 

「んぁ?えっ〜とねぇ、あ!パマちん誘ってたわ!!」

 

 

「.........................................そう」

 

 

 

 

複雑な感情を隠せないで陰る表情を出すが、そんなところで少し大きくなった会話を教師に見咎められそうになり、慌ててヘリオスはピシッと前を向く。

 

 

 

 

悲嘆に暮れることすら出来ず、多少むっとした心の機微は誰に悟られることも無く、彼女も前も向きまた物思いにふける。

 

 

 

 

 

 

教室に一陣の風が吹き抜けるが、それはただ、夏の心地よい涼しさを運んで来るだけだった。

 

 

 

 

 

 

彼女の名はストレメイゼス。

 

 

──────太陽に焦がれたとある()()()である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえずは、あの邪魔なズッ友とやらをどう退けようか。なんてことを、考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

*1
特に今のところ公式設定があるわけでは無い。単なる筆者の妄想・解釈






とりま分かりやすく簡単な現状を.........といった感じで。


過去編やらストーリーの続きやらは気が向いたら書きます。
基本はオムニバス形式になるのかなと。
あとはイベント熱がある内にイベントにもオリ主出したいなと。
間に合うかは.............未定です。

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