みんなの太陽ダイタクヘリオス   作:ねえ、あなた今ヘリオスの事見てたでしょ?

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1話、2話と比べると半年以上前の話です。学年もひとつ下がって1年になっています。


モテモテと風紀委員

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえねえ!聞いた?ヘリオスが今度パーティーやるんだって。多い方が楽しいって私誘ってくれたんだけどね、他の子も誘っていいって言うから一緒にどう?」

 

 

「えー!?まじでー?楽しそ〜行くいく!」

 

 

 

今日は珍しく静かだと思ったら教室の雑音を拾ってしまった。

 

 

年相応にはしゃぐ子達の声は、キンキン響くような高さで頭を殴りつけてくる。

.........せめてもう少し声量抑えなさいよ。

 

 

 

ヘリオスとかいうワードがあったせいで、余計に耳を澄ませてしまったのが失敗だった。

普段ならどうでもいいノイズとして自動で脳内フィルタリングして聞こえないようにしていたのに、あの憎たらしい名前のせいで酷い目にあっている。

 

 

今度あったら文句を言ってやろうかしら.........いや、関係ないことで怒るのはさすがに大人気ないか。

 

 

 

 

というか相変わらず人気者ね、あの子は。

・・・・・・みんなヘリオスヘリオスって、何がヘリオスよ.........私だって。

 

 

 

 

「はぁ.........」

 

 

 

溜め息を吐きながら教室を後にする。柄にもなく放課後に残りすぎた。

 

 

 

 

別に私は高一だから、もう教室で一人で過ごすことに違和感は無い。

 

 

というかそもそも、曲がりなりにも転生者なのだし、わざわざ二度目の人生で無理して友達を作る必要性が薄い事もわかっている。

 

 

 

勿論、破滅したいわけじゃないから友達を作るメリットだって分かっているけれど。無理はする必要なくても、機会が向こうからやってきたらきちんと掴むくらいの心構えはあるつもりだ。

 

 

 

 

 

 

 

─────────それが間違いだった。

 

 

 

 

よりによって近づいてきたチャンスは、あの()()()()()だった。

 

 

おかげで、傍から見れば私は、あいつが居ない時は一人きりで居る寂しい奴になってしまった。

 

 

別に責任全てがあいつと言うつもりは無いけれど、半分ぐらいはあいつに擦り付けてもいいと思う。だいたい、この感情はあいつが関わってからあるものなんだから、私個人でどうにかしなきゃいけない義理はない筈だ。

 

 

 

・・・・話が逸れた。

 

 

まあつまり私が言いたい事は、放課後一人で私をほっぽり出したあいつにどうやって仕返ししてやろうかということだ。

 

 

 

会うたび会うたび別の女引き連れて・・・・・・そのくせ私みたいのにも絡んでくるし・・・・・・何?モテ自慢なの?こんなに私モテますけど貴方は?って?

 

 

 

 

そもそも、今日教室に残っていたのだってあいつが.................

 

 

 

 

 

 

・・・・・やめておこう。こうやってあいつの事を考える度にどんどんど壺にハマっている事を自覚しなきゃ.....。

 

 

 

 

「.........ほんと、めんどくさい」

 

 

 

 

二重の意味で吐いた言葉も、誰に届く訳もなく。

 

 

 

 

 

これ以上は複雑な感情にしかなれず、私は帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、特にそのまま何も無く一日の終わりを迎えようとしていた私に、厄介事が舞い込んで来た。

 

 

 

 

「.............................」

 

 

 

 

壁に人が埋まっている。

 

 

 

いや、何を言っているのかと思われるかもしれないが、事実である。

 

 

 

思いっきり頭から埋まっている*1。おそらく穴に勢いよく突っ込んで抜けなくなった、という辺りだろう。どうせ。

 

 

・・・・いやバカなの???普通そんな風になる???

 

 

正直無事なのか疑いたくなるが、ウマシッポがあるので多分大丈夫だろう。ウマ娘の頑丈さを舐めてはいけないのだから。

 

 

 

 

 

.....というか、これは──────

 

 

 

 

 

「.................えっと、バンブーメモリー.....さん?」

 

 

 

 

壁に生えている尻に話しかける。あまりにおかしな光景だろう。だが、見覚えのある人だったから声をかけない訳にはいかなかった(尻に見覚えも何も無いが)。そもそも、学園のほとんどの子はヘリオスと知り合いだ。

 

 

そんな中、放置してそのまま帰ったなんて悪評を広められたら私の学校生活を送る上で色々と面倒だ。

 

 

 

 

 

.........だから、これは決して自分から厄介事に首を突っ込んでるわけじゃない。

 

 

 

「おお!その声はストレメイゼスっすか!?ちょっと今抜けられなくなってしまって、助けて欲しいっす!」

 

 

「.........助けるって、引っ張ればいいの?」

 

 

「はいっす!多分踏ん張れれば自分で抜け出せるハズなんすけど、よりによって足がギリギリ届かない体勢で、しかも物を持ってるから腕で押すことも出来ないんすよ!」

 

 

「.........」

 

 

 

 

いや、なんというか、まあ、うん。

とりあえず引っこ抜くか.........。

 

 

 

 

「ふんっ〜〜〜.........」

 

 

「あとちょっと、もう少しっす!」

 

 

「んぐぅ〜〜.........」

 

 

「頑張って下さいっ!ファイトっす!」

 

 

「うぐぉぉ.....!」

 

 

 

スポンっ!

 

 

 

「うわっ.....!」

 

 

「おっとっと!」

 

 

 

まるで音が鳴っているかのように勢いよく抜け出したバンブーメモリーは、そこから見事な回転をして地面に着地した。

 

 

いや、体操選手かよ。つくづくこの世界の女子高生の運動神経の良さには驚かされる。と言うよりも、ウマ娘全般のスペックが良いのだろう。

 

 

と、この世界では当たり前なことに改めて関心していたら、横をバンブーメモリーが通り過ぎて、後ろへ声をかける。

 

 

「はい!これでもう大丈夫っすよ!次は投げちゃダメっすからね!」

 

 

「うん!ありがとお姉ちゃん!」

 

 

「どういたしましてッス!」

 

 

気づけばバンブーメモリーは、見知らぬ女の子に鞄を返していた。

どうやら、あの女の子が投げ飛ばした鞄をわざわざコンクリの柵の穴に突っ込んでまで、草むらへ潜って取って来ようとしたらしい。

 

 

思えば私が引っこ抜いた後に彼女が見事な着地を披露した時、後ろでキラキラした目で拍手していた女児がいた気がする。この子がそうか。

 

 

ちょっと意味不明だが、まあ何があったかは把握した。

その女の子は年相応のぎこちなさの残るお辞儀をした後、懲りずに走って去っていった。

 

 

「次は気をつけるっスよー!」

 

 

女の子が見えなくなった辺りで、まるでやりきったかのような顔をしたバンブーメモリー。その隣で、私は心の中で悪態をつく。

 

 

なんというか、お節介の権化みたいな人だ。

助けた相手があのくらいの歳の子だからこそ、微笑ましい光景になっているが............

 

 

もしあれが大の大人とかでも助けるのだろうか。・・・・・・助けるんだろうなぁ.........

 

 

 

そんなことを考えていたら、どうしようも無い感情が溜まって、つい口から飛び出ていた。

 

 

「お人好しね」

 

 

「え、そうっすか?まあ確かに、言われればそうかもしれないっすね!」

 

 

・・・・皮肉で言ったんだけど、通じなかったらしい。

まあ、通じるような人は、わざわざ草むらに突っ込んでまで物を取ろうとして穴にハマったりしないか。.........しかも見ず知らずの人の物を。

 

 

 

 

 

・・・ほんと、いい性格ね。・・・・・・羨ましい........

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、それにしても助かったッス!ありがとうごさいました!

でも風紀委員なのに助けてもらうなんて情けないっすね・・!

精進するっす!」

 

 

「ああ・・・そう。頑張って」

 

 

なんか勝手に猛省して勝手に納得してるわ・・・・。

 

 

 

「あっ、そうだ!お礼になんかさせて下さいっす。

なにか困ってることとかないっすか!?」

 

 

「いや、気にしないで.....

そういうの大丈夫だから、本当.........」

 

 

 

めんどくさい気しかしないから早く帰ろう・・・・。

 

 

 

「うーん、わかったッス!

もし何かあれば遠慮なく言って欲しいっす!じゃあ本当にありがとうございましたッスー!」

 

 

私はそう言う彼女を尻目に、挨拶もしないで去っていこうとする。相変わらず無愛想で、可愛げ無いなと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────だけど.........

 

 

 

 

 

 

.................ふと、どうしても気になってしまい、振り返ってバンブーメモリーに問いかける。

 

 

 

 

 

 

「ねえ、あなた・・・」

 

 

「うん?なんっすか!?」

 

 

 

うるさっ.....じ、じゃなくて.........

 

 

 

「・・・・・・・・そのハチマキっていつもしているの?学園でも無いのに」

 

 

てか、──夢──ハチマキって何よ・・・・・・?

 

 

「あ、気になっちゃったッスか?

いやーたまに聞かれるんスよね!これ。実はッスね──────」

 

 

あーもう、こんなことが聞きたいんじゃない、のに。

.........というか、答えるのね。

 

 

・・・・・・律儀な性格ね。

 

 

 

「このハチマキは、常に自分が風紀委員の一員であると心がけるために、できるだけつけるようにしているんス!その方が、皆も分かりやすいというのもあるっス!

なんというか、自分の在り方を示しているものの一つなんすよ!だから、大事な物に変わりは無いっすね!もちろん、何かあればつけるタスキも同じ理由ッスよ!」

 

 

「なるほど、だからいつも身に着けてるのね」

 

 

「いままで頑張れてきた要素の一つでもあるんス!だから、思い入れもあるっスよ!・・・・・・あ、これちゃんと質問の答えになってるんスかね?」

 

 

「構わないわ。だいたい分かったし」

 

 

聞いてもいないことまで答えてくれた。一貫して親切心の塊みたいな人だ。

 

 

・・・・・・ではなく。もう、ちゃんと言わないと。

せっかくここまで引き止めてるんだから、このまま、はいさようなら、はなんか気持ち悪いし・・・・・・

 

 

 

意を決して聞いてみる。

私のことが見透かされないかなんて、必要の無い不安を抱きながら。

 

 

 

「・・・どうして、そんな風に頑張るの?

見たところ、別に普通の学生生活を遅れているようだし、わざわざ苦労して風紀委員なんてやらなくてもいいと思うのだけど」

 

 

なんだか想定と違う質問をしてしまったけれど、まあいい。本質はだいたい同じだ。どちらにせよこの質問に答えてくれれば、ある程度分かる事だもの。

 

 

 

「んー、そうッスね〜・・・・・・・・・」

 

 

 

彼女にしては珍しく考え込んでいる。もしかして、聞かれたくないことだっただろうか。そういうのは確かに誰にでもあるだろう。私がそうだし。

だとしたら.....この質問は失敗だった。

 

 

「あ、いや。やっぱ忘れて・・・・・・聞かなかったことにして。こんなこと聞かれても迷惑でしょうし」

 

 

 

「迷惑なんかじゃないっスよ!どうして頑張るのかッスか・・・・。

やっぱり、私は風紀委員としての役割をきちんと全うしたいんす。その中で、誰かが例え規則を守らなかったとしても、この頑張りが届いてくれれば、いつかは変わってくれるんじゃないかって、そんな風に信じてるからっす」

 

 

「・・・・・」

 

 

恐らく、自分の求める結論では無いのだろうとわかっていても、こちらから聞いて、そして答えられてしまった手前、この会話をぶった切る訳にもいかず、彼女の言葉の続きを待つ。

 

 

「もちろん、何もかも押し付ければいいという訳では無いッス。その人なりの芯がきっとある筈ッスから!なら、私はその頑張りも大事にしたいし、私自身もこの仕事と自分の頑張りを大事にしたい!それだけなんっス!」

 

「そのためにも、お互いが気持ちよく学園生活を送れるように、自分は日々勤しんでいる・・・・なんて、流石にちょっと上から目線すぎるっすかね?」

 

 

「まあ・・・・いいと思うわよ、そういうの。

私は・・・・・・自分では出来ないから素直に尊敬するわ」

 

 

半分くらい本音の賞賛を発しながら、「悪かったわね、変なこと聞いて。じゃあね」と言って、再び踵を返す。

 

 

 

「はい!じゃあ、また明日っす!気をつけて帰るんっすよ〜!」

 

 

 

「・・・ええ、また明日」

 

 

 

 

 

やかましい大声で見送られながら、その場を後にする。・・・しばらくこちらを見ている気がしたので、悪態をつく気にもなれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・やっぱり、思いつきなんかで人に質問するものでは無かったわね・・・・さっさと帰りましょう。

 

 

 

 

 

そうして結局、私の帰路は再び平凡なものへと回帰して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日。

 

 

 

 

朝の登校時間。そこそこの余裕を持って校門前までたどり着く。

 

 

・・・えぇ?早めに来れて偉い?いいえ、わかってるでしょう?

 

 

ただ単純に寮でやることがなくて、何もする気になれなくて、ここに来ただけ。時間を持て余しているから、間に合っているようなものよ。

 

 

・・・・・・私は、本来怠惰な性格だと思うし.........多分。

 

 

 

「あッ!ストレメイゼスじゃないっスか!おはようございますッス!」

 

 

 

なんて、今日も憂鬱な気分で登校しながら校門前まで迫ったところで、煩いのに捕まってしまった。

 

 

「・・・おはよう」

 

 

 

あぁ.........そういえば、今日は彼女が挨拶運動の当番だったわね・・・・・・

 

 

 

ええ、そうよ。昨日の今日、二連続であの子に会ってしまったわ。

 

 

 

「昨日はありがとうございましたッス!

それにしても早めの登校とは感心っすね!偉いっす!いつもしているみたいで、私も見習いたいっすね!ぜひこれからも続けて欲しいっス!」

 

 

 

「ええ、どういたしまして。ありがとう、もう行くわね」

 

 

 

めんどくさくなるので挨拶も返したし会話も交わしたが、これ以上付き合う義理はない。タダでさえ有名人に絡まれて目立っているのだから、これ以上目立つようなことは言わないで欲しい。だから昨日私が助けたとかいう余計な情報は発さないでちょうだい。

 

 

・・・・というか、相変わらず人気ね。この子も、さっきから校門を通る子達が、軒並み全員バンブーメモリーに挨拶をして入っていく。中には、好意を持った目で彼女を見つめる子達も居たわ。

 

 

 

まあ、こんないかにも品行方正で、清廉潔白。オマケに性格も良くて、万が一困った時は誰かのために、下手すれば自分のために全力で行動してくれる人なんて、モテるに決まってるわね。

 

 

 

そういえば、前にも彼女が当番で朝の挨拶運動をしている時に、何人かの子に囲まれていたわね。あの時はほとんど他人だったから気にしていなかったけれど、今思い返したら、めちゃくちゃモテてるじゃない。別に私は当事者じゃないけれど、なんか無性にムカつくわね。

 

 

 

まあ、良いわ。今日のところは特に引き留められもしないみたいだし、さっさと中に入ってしまいましょう。

 

 

 

 

 

 

そうして、その場を去ろうとしたところで、大きな違和感が目に留まる。

何故、今まで気づかなかったのか。いや気づいていてもあまりに有り得ないこと過ぎて認識が遅れたのだろう。

 

 

普段の彼女なら、絶対に起きえないことだと分かっていたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────バンブーメモリーのハチマキが、無い。

 

 

 

 

 

「ねえ.........それ、どうしたの?」

 

 

驚きのあまりに、思わず聞いてしまった。だってそうだろう。バンブーメモリーと言えば、あのハチマキがトレードマークといっても過言では無いはずだ。それが無いなんて、何かあったとしか思えない。

 

 

「ん、あぁ。コレっすか?いやぁお恥ずかしいっす.........実は今朝、挨拶運動の準備をしている時に何処かへ落としてしまったんスよ.....。風紀委員として風上にもおけない失敗ッス・・・面目ないッス・・・・・・」

 

 

そう言って、彼女らしくもなく(いや、それほど付き合いがある訳でもないけれど)たははと落ち込む様子を見せるバンブーメモリー。

なるほど、通りでいつもよりも挨拶の覇気が弱いわけか。・・・いや、十分うるさかったけれどね。多分、本当に微々たる差なのでしょうけど。

 

 

「昨日ストレメイゼスには、あんなことを言ったのに、ほんとに情けないっすね・・・自分・・・」

 

 

・・・彼女みたいな人でも、失敗はするし、落ち込むってことかしら。

 

 

「まあ、そういうこともあるわよ。人生で失敗しないなんて同じ生き物とは思えないわ」

 

 

「うう・・・・・・そう言ってくれるとありがたいッス・・・」

 

 

私って最低ね。本当・・・・・・。こんないつもは明るい人の悪い面を見て、少しほの暗い喜びと優越感を感じてしまっている。

 

 

しかし──────彼女みたいな人達は、そこでへこたれたりはしない。故に、私たちとの()というものがあるのだろう。

 

 

「でも、自分の失態で大事な朝の挨拶当番を欠けさせる訳には行かないっす!!だからこそ、今は無いハチマキの分も頑張って声を出すんッス!」

 

 

そう言うと、「うおおおおぉ!」と大声を上げながら門を潜る生徒達に再び挨拶をして行く。先程よりも、大きな声となったそれには、確かに焦りや不安がありつつも、それを全て根性と元気で吹き飛ばさん限りの、明るいものだった。

 

 

 

彼女の眩しさが、どうしても自分の心臓の奥がギュッと締め付けられるような気がして、衝動が抑えられなくなってしまう。こういう暗い感情は決して表に出したくは無いのに.........

 

 

 

 

「ごめんなさい.........ちょっと失礼するわ」

 

 

「ん?あッ!ちょっと.....!どこ行くんすかストレメイゼス!?」

 

 

 

学園の門を通るのも、その場に居るのにもいたたまれなくなって、走ってそこから逃げ出した。別に行く先が決まっているわけでもないのに。相変わらず私は考え無しの馬鹿だなと、どんどん自嘲が重なっていく。

 

 

 

 

 

まあ・・・・・・何もかも今更だから、別にいいのだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこまで運動が得意じゃない私でも、息ひとつ切れていないのだから、本当にウマ娘というのはすごい。ウマ娘専用の走行レーンが道路に作られるわけだ。

 

 

 

どうしようも無い気持ちを落ち着けたくて、思わずこんなところまで走って来てしまった。チラッと後ろを振り返って見るが、誰かついてきている様子は無い。先程も彼女が言っていた通り、役割を放棄してまで追いかける訳には行かないのだろう。ある意味、朝の時間に起きたことでよかった・・・・・・のかもしれない。

 

 

 

そうやって、校門から少し離れた学園の外周辺りに来たところで、気になる話し声が聞こえた。

 

 

 

「.........ねぇー、ほんとそれ.........だし、.........あは.........」

 

 

「まじで.........ていうか..........むかつ.........」

 

 

「.............ってやつじゃない?.........ウケるー!」

 

 

 

何やら、それなりに聞き馴染みのある話し方が聞こえてくる。

 

 

一瞬ヘリオス達かとも思ったが、声が違う。何より、この独特の声。ウマ娘イヤーでバッチリ聞き分けられる。私達ウマ娘とは違う声色だ。

 

 

 

これは.........ヒトの女子高生かしら.........?

 

 

 

 

バレないように、物陰からチラッと様子を伺う。

 

 

 

 

見たところ、複数人の女子高生が、何やら盛り上がって話し込んでいるようだ。私もだが、まだ登校時間には早いから、暇を持て余しているのかもしれない。

 

 

 

 

特に気になることも無さそうだし、そのまま仕方なく学園の方向へ足を向けようとした。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・思えば、この時の私はどうかしていたのかもしれない。

ここで余計なことをせずに、素直に諦めて学園に戻っていれば、あんなことに巻き込まれずに済んだし、あんな惨めな思いをしなくて済んだのに。

 

 

 

 

 

 

後悔してももう遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その人間の女子高生達が笑いながら話しているその手には、

 

 

 

 

 

 

 

手の中でぐるぐると振り回されているその手の中には──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────バンブーメモリーの・・・・・・

彼女の“理由”である、大事な筈のハチマキが乱暴に握られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
いわゆる壁尻状態






モブがバンブーメモリーを呼ぶ呼び方がわからぬぇ.........


もし知っている方居たら教えて欲しいです・・・・
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