新曲がいいね!
「お疲れさま!!」
「「「「「「「かんぱーい!!!!!!」」」」」」」
ライブを終えて近場の居酒屋で打ち上げすることにした俺たち。
「お前たち、ライブよく頑張った。今日は私の奢りだから飲め」
「お姉ちゃんありがと~!私達飲めないけど」
「先輩好き~」
「お前は自腹だよ!くっつくな!」
「ていうか、この方は誰ですか?」
「誰よりもベースを愛する天才ベーシスト~廣井きくりで~す。ベースは昨日飲み屋に忘れました~どこの飲み屋かもわかんな~い。えへへへ」
「一瞬で矛盾したんですけど?」
廣井さんは自己紹介するがあまりのポンコツぶりに唖然する結束バンドの面々。
「私、よくライブ行ってました!」
「え~ほんと~?君見る目あるね~!」
「観客に酒吹きかけたり泥酔しながらのライブ最高です!顔面踏んでもらったのもいい思い出です!」
いや、どんなライブだよ!?酒を吹きかける!?顔面を踏む!?なんのこっちゃ!?
「……でも、実力あるのにそんなに売れないの残念。」
「こんなん大衆にウケたら、世も末だわ。」
「私ってまだロックのことぜーんぜん理解してないみたいです」
「多分理解しなくても大丈夫かも」
ロックすぎるからまねしなくてもいいと思うよ。
「でも~、ライブ最後は大盛り上がりでよかったね~。」
「観客10人くらいでしたけど」
「でも~、その人達は全員満足してくれたじゃ~ん」
「ですかね?」
「ま、続けてけば、どんどんファン増えてくよ」
店長さんも言うとおり次のライブの時にはもっとファン増えていくよ。俺も応援していくからさ。
「次のライブでも頑張れよ。ちゃんとノルマ代は払ってな。」
「……最後のセリフさえ無ければ、感動したのに…‥‥‥」
ノルマのことでせっかくの感動のセリフが台無しだ……‥‥
「そういえば後藤さんは?」
「あれ、そういえば……‥‥ええっ!?」
すみっこで壁にもたれながら真っ白燃え尽きている後藤さんを見つける。
なんか一言も喋らないと思ったらこんな状態になっていたとは‥‥‥‥
「後藤さん、起きてー」
「っは!あ、あれ、ここは‥‥‥‥?」
「居酒屋さん。俺たち打ち上げに来たんだろう?」
「あっ、そうでしたね……‥‥」
「ほら、ご飯食べたり飲み物飲んだりしよう」
「あっ、はい」
後藤さんを連れて自分の席に戻る。
「よいしょ」
「隣、失礼するわね!」
「えっ?」
さっきまで山田先輩の隣にいた喜多さんが俺の隣に座ってきた。
「喜多さん、山田先輩の隣で座ってたはずじゃ‥‥‥‥」
「私、アボカドのクリームチーズアボカドのクリームチーズのピンチョス。あとスパニッシュオムレツのオランデーズソース添えください!」
「なんて?」
たくさんのカタカナと呪文のように長いメニューに困惑する店長。
なんかス〇バのカスタム注文する時みたいでさすが陽キャだと思った。
「ぼっちちゃんは何頼む?」
「あっじゃあ……マチュピチュ遺跡のミシシッピ川グランドキャニオンサンディエゴ盛り合わせで……」
「なっ何ィ……!?」
「マチュピチュマチュピチュ……ど、どこだ……!?」
後藤さんの訳の分からない存在しないメニューを必死に探す店長。
店長、そんな料理ここどころか世界中探してもありませんよ!?
「あっ、フライドポテトで‥‥‥」
「最初からそう言ってよ…‥‥‥加門は?」
「俺ですか?えっと‥‥‥‥」
「加門君、唐揚げとチーズあるわよ」
「あっ、ほんとだ」
俺の好きな唐揚げとチーズを見つけてくれる喜多さん。
あれ、なんで俺の好物なの知ってるんだ?
そんなこんなで注文した物が続々と俺たちの席まで運ばれてきて机の上はおいしそうな料理たちでいっぱいになった。
「イソスタにあげちゃおっ♪」
料理やグラスの写真を撮ってイソスタに載せる喜多さん。
「それって何が楽しいの?」
「えっ?友達が楽しそうだと楽しくないですか?(キターン!)」
「うっ!」
「いいぞ~喜多ちゃんパワーでお姉ちゃんの捻くれ体質を浄化しちゃえ!」
「捻くれ?店長さん、優しいじゃないですか(キタキターン!)」
「やめろ…‥‥‥死ぬ‥‥‥‥」
喜多さんの陽キャオーラで塵と化す店長。
その気持ちなんだかわかりますよ。
「さぁて、食べようっと」
「あっ、私取ってあげるわ!」
「えっ、あ、ありがとう…‥‥」
喜多さんが俺のお皿に料理を次々に盛っていく。
しかも俺の食べたいやつだけ見事にのせていってるな。
「はい、どうぞ!」
「ありがとう」
料理が盛られた皿を受け取りもくもくと食べる俺。
うめぇ~これが居酒屋の料理の味か~
「ね~加門君と喜多ちゃんってもしかして付き合ってんの~?」
「ええっ!?」
「ぶぅぅぅっ!!」
廣井さんにそんなこと言われ戸惑う喜多さんと口から料理を吹き出しそうになった俺。
「な、なにを急に?」
「だって~なんかめちゃ仲いいし距離も近そうだからさぁ~」
「そ、そんな、俺たちはただの友達って関係で‥‥‥‥」
「そうですよ!つ、つ、付き合ってるだなんて!!そんなわけないですよ!!あ~料理おいしい!!」
料理をパクパクと食べていく喜多さん。
あっ、俺のくいかけの唐揚げまで食べちゃった!
「あはは!喜多ちゃん面白いね~」
「おい、あんまいじめんなよ」
「いじめてないですよ~」
「でも喜多さんの反応見てると面白いですよね~」
大人三人組の会話を聞いてるといつの間にか伊地知先輩と後藤さんの姿がなかった。
トイレかな?
「そういえば、郁代。」
「!!」
「今日のライブ、ギター初めて3ヶ月かそこらでよく頑張った。」
「え?郁代って誰だっけ?」
「へ、へへへ……だ、誰でしょうね?…そんなしわしわネーム、誰の事かな~…?」
「お前の名前だろ!」
喜多さんの顔は後藤さんみたいに変な感じに歪んで自分の名前を誤魔化そうとしていたが店長にツッコまれる。
「あ~、喜多ちゃんのことか~」
「その顔、伝染するんですか~。」
「あー!ずっと隠してたのに!この名前嫌なんですよ~!!!」
「なんで?かわいいじゃん」
「店長さんみたいに『星の歌』なんて書く素敵ネームの人にはわかりませんよ~!」
「おっ!荒れてるね~」
「だってダジャレみたいでしょ!?「きたーいくよー」って。あはは!アホか~い!あはははははは!!」
「おい、ぶっ壊れたぞ……」
名前のせいで喜多さんが壊れてしまった。
ちなみにお酒とか飲んでないよね?酔っ払いみたいにも見えるよ?
「き、喜多さん…‥‥‥そんな気にしないで。俺も変な名前だよ?加門はCome on(来て、来い)豪はGO(行く、向かう)だし」
小学生の頃、同級生にこれでネタにされてたのを思い出した。
まぁ、ウケてたからいい思い出だからいいや。
「あ~、確かにそんな風に聞こえるね~」
「それに喜多ちゃんの名前とイントネーション似てますね~」
「カモン…‥‥ゴー‥‥‥ぷっ!」
「おい、あんま笑ってやるなよ」
「いえ、大丈夫です。喜多さん、元気出して…‥‥‥」
「加門君…‥‥‥‥うん、ちょっと元気出たわ、ありがとう!」
元に戻りいつもの調子に戻った喜多さん。
これでまた楽しく飲んで食べれるね。
「さぁ~飲むぞ飲むぞ~!」
「お前の飲んだ分は自腹だからな」
廣井さんはめっちゃ飲んで賑やかな打ち上げは終わっていった。
「打ち上げ楽しかったわね!」
「うん、そうだね」
打ち上げが終わり私と加門君は帰路に着いていた。
「喜多さん、改めてライブお疲れ様。演奏も歌も良かったよ」
「!!あ、ありがとう!!」
加門君に褒められた!めちゃくちゃ嬉しいわ!!
「それにしても歌ってる時はいつもと違って声がかっこよかったね」
「え、ええっ!?そうかしら?」
「うん、なんか普段とのギャップが違くて新鮮だったよ。かっこいい喜多さんもいいね」
「っ!!」
きゃーーーーー!!かっこいいだなんて!!加門君の方が100倍かっこいいわよ!!
「ね、ねぇ!加門君!」
「なに?」
「ちょっと、あそこの公園で話さない?」
私は近くにあった公園に指を指す。
「いいよ」
「じゃあ、ベンチに座りましょう!」
公園内にあるベンチに座り夜空を見上げる。
「星がきれいね」
「そうだね。東京でもこんなにきれいに見えるんだね」
夜空に小さく光ってる星を二人で見る‥‥‥‥すごいロマンチックだわ~!
「次のライブも楽しみにしてるね」
「うん、私ももっと演奏上手くなるわね」
次のライブに向けて練習頑張らないとね!もうあんな無様な姿を加門君に見せられないわね!
「……‥‥‥ねぇ、喜多さん」
「なに?」
「ちょっと聞いてほしい話があるんだけど…‥‥‥‥」
「えっ、何の話?」
加門君が何か言いたそうにしている。なんだろう?
「実は……‥‥‥‥俺、気になってる人……‥‥‥‥好きな人がいるんだ」
「えっ……‥‥‥‥?」
次回、最終回。
加門君と喜多ちゃんの運命はいかに?