みんな喜多ちゃん好きだね~
ありがとうございます!!!
「今日もバイトか~」
今日はバイトの日でいつも通りSTARYYへと向かう俺。
「だいぶ仕事にも慣れてきたし店のために頑張るか」
STARYYに着き地下へと繫がる階段を降りようとしたその時
「未だにぬいぐるみ抱かないと寝れないくせにーーーーーっ!!」
そう叫びながらライブハウスを飛び出してものすごい速さでどこかに行ってしまった伊地知先輩とすれ違った。
「い、一体何事?」
伊地知先輩なんか怒ってたけど・・・・・・・・てかぬいぐるみって?
「あっ!加門君!」
「喜多さん?」
今度は喜多さんと山田先輩が出てきた。
「今伊地知先輩と会わなかった!?」
「伊地知先輩ならあっちに走って行ったけど・・・・・・・・・・」
「ありがとう!リョウ先輩追いかけますよ!」
「うぇ~」
面倒な顔をした山田先輩の手を引いて伊地知先輩の後を追う二人。
「俺も行った方がいいか・・・・・・・・・・・・・」
バイトの時間までまだあるし遅れそうなら店長に連絡するか。
「みんなどこ行ったんだろう・・・・・・・・・」
三人の後を追ったのはいいが完全に見失ってどこに行ったのかわからなくなった。
「んっ?」
キッチンカーが停まっている広場を見るとそこに伊地知先輩が積まれた土管に寄りかかって飲み物を飲んでいて山田先輩と喜多さんもいた。
「やっと見つけた」
俺は三人の元へ近寄るとこんな会話が聞こえてきた。
「分かりやすくすねてる」
「・・・・・・・うっさい」
「あの先輩、大丈夫ですか?」
「ごめんね、急に飛び出して、でもあんな言い方しなくても・・・・・・」
「あの~」
「あっ、加門君」
「一体どうしたんですか?お店からすごい勢いで飛び出してましたけど・・・・・・」
「あ~それはね」
伊地知先輩は店長に今度のライブ出してもらおうと頼んだが今の実力じゃ出せないと断られそれでこうなったわけであるという。
「そんなことが・・・・・・・・・」
「あんな言い方しなくてもね~」
そんなことを言っていると
「あの・・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・・さっき・・・・・・・かっ・・・・・・・店長さんに・・・・・・・・かはあっ・・・・・・・はぁ・・・・・・・」
顔を青くしてゾンビみたいになっている後藤さんがやってきた。
「ぼっちちゃん、まず息しよう!?」
「私飲み物買ってきます!」
喜多さんがキッチンカーで飲み物を買って後藤さんに渡した。
「ぼっちちゃんどう? 落ち着いた?」
「はい、ありがとうございます……」
飲み物を飲んでだいぶ顔色も元通りになった後藤さん。
「後藤さん、慌ててどうしたの?」
「あっ、それなんですけど・・・・・・・・・」
復活した後藤さんはこんなことを言った。
「店長さんが言ってました・・・・・・ライブはまずオーディション、1週間後の土曜に演奏見て決めるからって・・・・・・・・」
「てことはつまり・・・・・・!」
「うん、オーディション!」
「それに合格すればライブに出られるって事ですね!」
「は、はい!」
「そういうことですね」
「なら最初からそう言えばいいのに~お姉ちゃんの意地悪~」
「あとは頑張るってことだけですもんね! 良かった〜!」
「そ、そうですね!」
「あっ、うん、そうだね」
「この二人が一番不安なんだけどって顔してる」
「ぎくぅ!?」
なにかマズいこと聞かれ冷や汗を掻く伊地知先輩。
喜多さんはギター始めたばかりだから実力不足なのはわかるが後藤さんは弾き方教えられるくらいの実力はあるから大丈夫だと思うのだけれど・・・・・・・・・・
「じゃあ二人のパートはオケ流しておくから、当て振りの練習だけしっかりしてくるように……!」
「「はい!!」」
「だ〜め! エアバンドじゃないんだよ!?」
「でも1週間しかないから今回は頑張らなくても・・・・・・」
「下手っぴでも頑張れば熱意は伝わるって!」
「「下手っぴ・・・・・・」」
下手というワードを聞いて気分が沈む喜多さんと後藤さん。
「ああ!ごめん! でも二人とも最初よりは上手くなってるし! ねぇ、 リョウ?」
「う〜ん・・・・・・・・」
「ちょっとフォローしてよ! ああ! ぼっちちゃん土管の中引きこもらないで〜!」
「さ、作詞してまたちょっと調子に乗ってすみません。すぐに調子に乗ってしまう私のような人間は、この土管のような薄暗くジメジメ湿めぼったい場所ですごしている方がお似合いです・・・・・・・・」
「ああ!ぼっち節が響いて!」
「後藤さん出てきなよ!」
土管の中からネガティブぼっち節が聞こえてきてちょっと怖いんだけど!?
「とにかくほら出ておいで~」
「後藤さん、ほら出ようね」
「あう・・・・・・・・・・」
後藤さんを土管から引きづり出す光景はまるで蛇やウナギが出てくるようにみえた。
「まぁリズム隊が上手ければなんとかなるよ!」
「そ、そうでしょうか・・・・・・・?」
「うん。全員リョウ並みに演奏できるようになってることを求めてるわけじゃないと思うし」
「じゃ、じゃあ何を求めて?」
「うーん・・・・・・・・・・・・・」
伊地知先輩は人差し指を頬にあてて少し考える。
「熱量?バンドとしての成長?」
「成長・・・・・・・?」
「えっと、つまり本気だってことをお姉ちゃんに伝えて納得させればいいんだよ!」
「なるほどぉ・・・・・・・・・」
「だからこれから一週間は猛特訓!!頑張ってオーディション合格しよう!!」
「おーーーっ!!」
「おー」
「お、おっー・・・・・・・」
こうして結束バンドは今度のオーディションで合格しライブに出るという目標を掲げ猛練習を送ることになったのであった。
「何その髪型・・・・・・・?」
数日後、伊地知先輩と買い出しから戻ってくるとマッシュヘアと黒スーツに身を包んだ後藤さんと喜多さんと山田先輩がいた。
「これは一体どうゆうことで・・・・・・・・?」
「バンドマンとしての成長を見た目で表現・・・・・・・だそうです」
「提案者はどいつだ?」
「私」
山田先輩やはりあなたでしたか・・・・・・・・・・
「飲酒、喫煙、女遊び、そして髪型をキノコヘア、これがバンドマン・・・・・・・・!」
「イメージ、コテコテ過ぎる!」
「バンドマンみんなそんな人たちばかりじゃないですよね!?」
「それにしてもよくそんなウィッグあったね」
「ロンキで買ってきました!」
「虹夏には目が半分隠れてうざったい感じの斜め前髪枠が空いてるから」
「そんな枠いらんわっ!」
「じゃあ、ゴウにあげる」
「あっ、結構です」
「え~!加門君なら似合いそうなんだけどな~」
なんかウィッグをつけさせようとぐいぐいくる喜多さん。
「わ、私女遊び無理です。私と遊んでくれる女の人がいません・・・・・・」
「大丈夫。下北沢のビレパン前でギター背負って気怠そうにしとけば多分誰か寄ってくるから」
「偏見に満ちた情報教えない! 真面目にやるの!」
「成長って見た目じゃ分からないし、判断基準ぼんやりしてるし・・・・・・」
「はっきりしてるよ! とにかくお姉ちゃんを納得させればいいんだから! ほらみんな着替えて練習練習!!」
伊地知先輩がみんなを着替えさせて練習を始めるよう指示し渋々と動く三人。
「じゃあ俺は買ったものを置きに・・・・・・・・・・・」
「加門君」
「えっ?」
男装したままの喜多さんがこちらに近づいてきた。
「あ、あのね、お願いがあって・・・・・・・・・・」
「なに?」
「その・・・・・・えっと・・・・・・・・」
もじもじしながら中々言ってくれない喜多さん。お願いってなんだろう?
「喜多さん、なにが・・・・・・・・ってうわっ!!」
「きゃっ!!」
喜多さんに近寄ろうとしたその時地面に落ちていたウィッグを踏んでしまいそのまま喜多さんを押し倒してしまった。
「いたた・・・・・・・・・喜多さん、大丈夫?」
「えっ、あっ、うん・・・・・・・・・・・・・大丈夫・・・・・・・・」
顔まで赤くなってる喜多さんの顔を至近距離で見つめる。男装してても可愛さが残ってるな。
「ほら、立てる?」
「うん、ありがとう・・・・・・・・・・」
喜多さんを起こし立たせてあげる。
「それよりさっきのお願いって何?」
「えっ?ああ!やっぱり何でもないわ!!じゃあ練習行ってくるわね!!」
そう言って急いでスタジオの方へ走って行ってしまった喜多さん。
「何だったんだろう・・・・・・・・・?」
それから結束バンドの面々は練習を頑張りあっという間にオーディション前日となった。
「いよいよ明日か・・・・・・・・」
俺はオーディション見れないけど皆、頑張って!家で応援してるよ!
「加門くん〜!」
「あ、喜多さん」
喜多さんはギターケースを背負ったままこちらに近づいてきた。
「どうかした?」
「練習早めに終わったから 一緒に帰りましょう!」
「いいよ」
練習早めに終わったんだ。多分明日のオーディションに備えて早めに切り上げたんだろう。
「それにしても、喜多さん本当にギター上手くなったよね。」
「後藤さんのおかげね」
たまに練習を見に行ってたけど喜多さんは最初の頃に比べかなり上手くなっていくのがわかった。
「山田先輩にも指の皮が硬くなってるって言われてたね」
「そうなのよ!触ってみる?」
「いや、それはさすがに「いいから!はい!」あっ」
喜多さんが無理やり俺の手を自分の指に触らせる。
山田先輩の言ったとおり指の皮が少し硬くなっていてギター弾いてる人の指ってこうなってるんだな。
「どうかしら?」
「う、うん、硬いね」
「でしょ!毎日ギター弾いてたからね!」
喜多さんは学校でもライブハウスのスタジオ、家でも練習してたんだろう。頑張り屋さんで努力家のところは素直に尊敬する。
「あっ、そうだ。喜多さん」
「なに?」
「喜多さんに渡したい物があったんだ」
「渡したい物?」
俺はカバンからある物を取り出し喜多さんに渡した。
「はい、これ」
「これって・・・・・・・・・お守り?」
喜多さんに渡した物、それは『合格祈願』と書かれた赤いお守りだった。
「オーディション合格できるように昨日買ってきたんだ。アルバイトの初給料で」
「私のためにこれを・・・・・・・?」
「うん」
「加門君・・・・・・・・・・・・・・ありがとう!明日のオーディション絶対合格するわね!」
「頑張ってね喜多さん」
喜多さんとそんな会話をしそれぞれの家へと帰ったのであった。
《《 》》
「ふふふふ♪」
加門君から貰ったお守りを握りしめながら家へと帰る私。
「大切な初給料を私のために使うなんて・・・・・・・・・・・・」
これは必ず合格しなきゃね!このお守りさえあれば百人力・・・・・・・・・いえ、百万人力よ!!
力が溢れ出てきそうだわ!!
「よーし!!明日は頑張るわよ!!」
オーディション合格してライブに出るわよ!!そして加門君に私たちの演奏を見せてあげたいわ!!
《《 》》
次の日
<ティロン♪>
「あっ、喜多さんからだ」
ロインの着信音が鳴り喜多さんからメッセージが送られてきた。
「どれどれ・・・・・・・・・・・・・・・おおっ!」
喜多さんから送られてきたメッセージにはオーディションに無事に合格して結束バンド四人がピースしている写真の画像も送られてきた。
「よかった・・・・・・・!『おめでとう!!』っと・・・・・・・・・」
返事を送り俺は送られてきた写真を見つめ結束バンドがライブに出る日を楽しみにすることにしたのであった。
オーディション合格した後の結束バンドのやり取り
「いや~無事に合格できたね」
「はい!やりましたね!」
「喜多ちゃん、練習の時よりも演奏も歌も上手くなってなかった?」
「えっ、そうですか?」
「あっ、た、確かにそうですね・・・・・・・・」
「なんかコツ掴んだの?」
「う~ん、コツと言うより・・・・・・・・・・愛の力!のおかげかもしれないですね!」
「あ、愛・・・・・・?」
「何それ~?」
「うふふ、それは内緒です♪」