最弱の転生者   作:ファイネス1

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第9話 ジジイ

 クリケッツによる爆破予告から30分程。

 爆破まで半分を経過した頃には選手たちは城の屋上のヘリの一つに乗って島を脱出していた。

 ヘリは十人は収容できるかなり大きなもので行きの船に比べたら早いもののそれでも帰国までに3時間はかかるだろうとのことだ。

城之内が乗ったヘリに同乗していたのは運転手を除くと

舞、遊戯、獏良、大下由美子、小波、クリケッツの計6名だった。

 

「ん?キースはどこいったんだ?」

「海馬君は?」

「屋上にこれと同じヘリが何台かあるのを見ただろう。

 他の使用人や海馬コーポレーションの重役たちに交じって彼等も脱出しているはずだ。」

「残念だったね城之内君。

 ここまで来て、中止だなんて。」

「クソ。せっかく賞金を得て、あいつの目を……」

「じいちゃんが元に戻ったのはいいけれど……ペガサスは、一体どうしたんだろう?」

「あー、ちょっちいい?」

 

 片手にスマホをくるくる回す大下の胸元の起伏が少なめな上半身は、むしろモデルのようないで立ちの彼女の色黒できめ細やかな肌と、露出が少ない服によって惜しげもなく晒された長い肢体、そしてくびれたウエストが醸し出すスレンダーでシャープな雰囲気を引き立て、改めて見るとおなじ蠱惑的ながら色白で豊満な印象の孔雀舞とは対照的だ。

 

「ジジイに連絡してみたらさー、オッケーだって。」

「はあ?何がだよ?」

「だからぁ、ここで小波とデュエルして、勝った方にお詫び兼ねて倍額の賞金出すって。」

「まじか!?」

 

 その言葉に、ヘリの中の空気が色めき立ち、城之内が思わず立ち上がった。

 

「大下さん、君が言うジジイって?」

「ああ、遊戯。

私のじいちゃんはこの大会の舞台裏にいる海馬コーポレーションの重役の一人なの。

 んで、デュエルフィ―ルドは確かここに……」

 

 大下が手元の壁のスイッチを押すと、ゴゴゴゴゴ……と床が開き、恐らく元来はポーカーかバカラの類でも楽しむためのものだったのであろう長机のデュエルフィールドが登場した。

 城之内が辺りを見回すと、天井辺りに別のヘリの黒幕達に配信を流すものであろうカメラが設置してある。

 それまで後ろ手に組んで眠っていたらしい小波がやおら立ち上がってフィールドの端に付き、その対面にはごく自然に城之内が。

 そして長机の長辺の傍ら、真ん中辺りに立った大下は、大手を振るって宣言した。

 

「ハイハーイ。それではこれより帰国までの余興としてデュエル王国決勝戦を執り行いまーす。

 両者、準備オーケー?」

「おう!やってやる!」

「やろうか。」

「これが最後の対決か。

 城之内君、頑張って。」

「城之内!負けるんじゃないわよ!」

 

 城之内なりには妹の運命を賭けた負けられない決闘であることは違いなかったが

遊戯にしてみたら少なくとも祖父や友達の命が危機にさらされたり闇の力などに脅かされることもない、純然に楽しんで観れるデュエルという、この大会ではそれまで味わったことのない、それまでは当たり前にあって長らく求めていたものをようやく拝めて正直、大会が中止になってしまったことは悪いことばかりではないなと思わされた。

 出鼻をくじかれた感のクリケッツが大下の対面に立って進行した。

 

「まず先攻と後攻を決める。

 このコインの表だったら城之内。

 裏なら小波の先攻だ。

 ………よし。

 先攻は城之内克也。

 それでは決闘王国決勝戦(仮)をこれより開始する。

 優勝者には、海馬コーポレーションより莫大な賞金が与えられる。

 では。

 決闘開始。」

 

城之内克也 LP 4000 小波遊一 LP 4000

 

「俺のターン!

 ドロー!」

(相変わらず帽子で表情が読めねーが、

相手はあの遊戯すら倒した最強クラスの相手。

 恐らく今迄で一番つえーはずだ。

 慎重にすすめねーと。)

 

「漆黒の豹戦士パンサーウォリアーを召喚。

 カードを2枚セットして、ターンエンド。」

(よし。2000もの高攻撃力のパンサーウォリアーなら、あいつもそうそう初手から攻め込めないはずだ。)

「俺のターン。ドロー。

 …モンスターとカードをセットして、ターンエンド。」

「俺のターン。ドロー。

 ………」

「流石に城之内君も、かなり考えているみたいだね。」

「ハハ…(獏良君に悪気はないんだろうな)。」

(裏守備モンスター1体と伏せカード1体か。

 遊戯の時も、舞の時も、あいつはあんな感じで、

あの伏せモンスターで更なる後続を呼び寄せたんだよな。

 そうなると、迂闊に攻撃するのは危険だな。

 ここは。)

「俺もモンスターをセットして、ターンエンド。」

「俺のターン。ドロー。

 セットモンスターを反転召喚。

≪霊廟の守護者≫」

 

フンッ!

 

フィールドのソリッドビジョンに、翼や角や鱗が生えた峻厳な印象の老人が座り込んで登場してきた。

傍目から見たら人型だが種族はドラゴン族。

攻撃力は0だが守備力は2100もあった。

 

(よし。パンサーウォリアーで攻めなかったのは正解だったぜ。)

 

「≪霊廟の守護者≫は、ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する際に2体分のリリース素材として扱える。

 出でよ、≪ホーリー・ナイト・ドラゴン≫!」

 

キシャアアアア

 

「出やがったな。」

「≪ホーリー・ナイト・ドラゴン≫で、裏守備モンスターを攻撃。

 セイント・ホーリー・バースト!」

 

バシュウウウウウ!

 

 ホーリー・ナイト・ドラゴンの2500もの攻撃が裏守備モンスターに迫った時、

城之内はニヤリと笑った。

 

「そいつを待ってたぜ!

 リバースカード・オープン!

 ≪モンスターBOX≫!」

「!」

 

 城之内がカードの宣言をすると、彼の側のフィールドにもぐら叩きのような台が現れ、

フィールドの裏守備モンスターを隠した。

 

「お前のモンスターには、光線なんかじゃなくて自分で突っ込んでもらう!

その攻撃の成功確率は2分の1だ!

さあ!来やがれ!」

 

 城之内の挑発に応じるように、ドゴウ!と、≪ホーリー・ナイト・ドラゴン≫が穴の一つに直接突っ込んで煙が上がり、やがてやがてそれとは別の穴から守備表示の≪伝説の剣豪 MASAKI≫が現れた。

 

「よっし当たり!

 ≪ホーリー・ナイト・ドラゴン≫の攻撃力は0になり、ダメージを受けてもらう!」

「クッ!」

 

 バシュッと≪ホーリー・ナイト・ドラゴン≫が弾かれ、小波のライフがMASAKIの守備力1100分削られ、2900になった。

 

「上手い!城之内君!

 小波君のエース、≪ホーリー・ナイツ・ドラゴン≫の攻撃を躱したばかりかダメージまで与えるなんて!」

「この大会を通じて、城之内君は確実に成長してきている。

 ひょっとしたらひょっとすると……」

「………ターンエンド」

「よし、この流れに乗る!

 俺のターン!ドロー!

 !

 まずは≪モンスターBOX≫のライフコスト250を支払う(LP4000→3750)。

来たぜ!この大会で手に入れた、俺のエースモンスター!

モンスター2体をリリースして、現れろ!

真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラック・ドラゴン)≫!!」

 

ガオオオオオ!!

 

悪しき者を焼き払う炎を放つ、神聖な力を持つドラゴンの前に

憎悪の炎で目に映る敵を焼き尽くす、闇の力を秘めたドラゴンの威容が現れた。

 




「炎の剣士」は融合モンスターであるため
流石に融合元くらいは入っているだろうと思って投入しました
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