最弱の転生者   作:ファイネス1

11 / 31
第10話 一手

 光と闇。

 二つの対照的な力を持つドラゴンが、両者のフィールドに対峙した。

 しかし、その瞬間。

 

「罠≪激流葬≫。」

「何っ!?≪レッドアイズ≫が!」

 

 小波が発動させた罠カードにより盤面に巻き起こった洪水で、両者のドラゴンは押し流された。

 やがて、盤面を覆い尽くしていた水流が引いた。

 

「墓地の≪霊廟の守護者≫は、場のドラゴンが破壊された時、特殊召喚できる。

 更に墓地の≪ホーリー・ナイツ・ドラゴン≫を手札に戻す……ん?」

「あっ。

 城之内君の場にも≪レッドアイズ≫が!」

「危ねえ危ねえ。

 こっちも罠カード≪レッドアイズ・スピリッツ≫で破壊された≪レッドアイズ≫を復活だぜ。

 更に装備魔法≪闇竜族の爪≫を≪レッドアイズ≫に装備。」

 

真紅眼の黒竜 ATK 2400→3000

 

「バトルだ≪レッドアイズ≫!

 『黒炎弾』!」

 

ガオオオオ!

 

 黒竜の炎が容赦なく≪霊廟の守護者≫を焼き払い、小波のフィールドからは今度こそ一切のカードが消えた。

 

「更に1枚、カードをセット。

 ターンエンド。」

「城之内君が、小波君を押している……」

「城之内君の成長スピードは、僕たちの予想を遥かに上回っていたようだね。

 流れは今、完全に彼の方にある。

 多分、≪モンスターBOX≫での勝負でも分があるだろうね。」

「城之内……あんた……」

 

 城之内を応援する皆が、予想以上の彼の成長ぶりに感嘆している一方、テーブル中央で立ち合いの形になっていた大下はやや不服気に机の下のヒールの爪先で床をコツコツと叩いていた。

 

(こんままノッて城之内の勝ち?

 マジつまんねーんだけどそんな展開。

 小波ぃ、あんたこっから何かしてくれるんでしょうね。

 まず、≪モンスターBOX≫とかを何とかしてくれないと……)

 

「ドロー。

 ≪聖なる篝火≫。

 デッキから、≪聖夜に煌めく竜≫をサーチ。

 更に、相手フィールドに闇属性モンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合。

 手札からドラゴン族・光属性モンスターを特殊召喚出来る。

 七つの星煌めく聖夜に、荘厳で聖なる体躯と輝きを示せ!

 ≪聖夜に煌めく竜≫!」

 

グオオオオ!

 

「そして≪聖夜に煌めく竜≫の効果。

 ≪モンスターBOX≫を破壊。」

 

バシュウウウウ!!

 

 神々しい光を放つ白竜から放たれた白光が、ゲームセンターのもぐら叩きの如き装置を焼き払った。

 

「グッ」

「≪ホーリーナイツ・レイエル≫を召喚し、≪聖夜の降臨≫を手札に加える。

 バトル。

 ≪聖夜に煌めく竜≫で、≪真紅眼の黒竜≫に攻撃。

 『ホーリー・フレイム』」

 

 主の呼びかけに応じ、聖夜竜は黒竜に突っ込んでいった。

 

「攻撃力2500で、攻撃力3000になってる≪レッドアイズ≫に攻撃!?」

「≪聖夜に煌めく竜≫は、相手モンスターに攻撃するとき

モンスターをエンドフェイズまで除外してもう一度攻撃できる。

 聖なる力で相手を封じよ!

 セイント・シール!」

 

 ピカアアアアア!

 聖夜竜と黒竜がぶつかる瞬間、聖夜竜から放たれた輝きが黒竜の姿を消し去った。

 

「更に、≪聖夜に煌めく竜≫で、再び攻撃!」

「≪スケープ・ゴート≫!

 子羊トークン4体を出して凌ぐ!耐えてくれ!」

 

 メエー メエー メエー メエー

 

 フィールドに4体の子羊トークンが召喚され、≪聖夜に煌めく竜≫と≪ホーリーナイツ・レイエル≫による連続攻撃を2体を犠牲にして何とか凌いだ。

 

「危なかった。≪スケープ・ゴート≫が無ければ、城之内君はこのターンでやられていたよ。」

「≪モンスターBOX≫と≪闇竜族の爪≫による万全の態勢だったフィールドを、実質≪聖なる篝火≫1枚で突破してきた。

 たった1手で、城之内君の5手分を上回るなんて、やっぱり彼の実力は桁外れだ。」

「カードを2枚セットして、ターンエンド。

 除外された≪真紅眼の黒竜≫はフィールドに戻る。」

「グッ!」(やっぱり強え。正直、今のこの1枚の手札じゃ、勝つイメージが全く思い浮かばねえ。ここまでか……)

「諦めんじゃないよ城之内!」

「舞……」

「あんたがここで諦めちまったら、あんたに敗れたアタシたちの立場はどうなるっての!」

「そうだよ城之内君!君は今までだって、どんなピンチにも諦めずに、突破してきたじゃないか。」

「城之内君!

 自分を、カードたちを信じるんだ!」

「みんな……

 ヘッ。らしくもなくへこたれちまったぜ。

 そうさ。分かってたじゃねぇか。

 そう簡単にいくはずねえって。

 だから俺達決闘者は、最後まで逆転を諦めずに、目の前のカードを、支えてくれる仲間達を信じているんじゃねえか。

 ありがとよ……ドロー!」

 

 城之内が運命を賭けたドローを確認した瞬間。

 へリの内部が静寂に包まれた。

 そして。

 

「来たぜ………遊戯………」

 

『城之内君。決勝に出るなら、このモンスターとか入れたらどうかな。』

『いいのかよ遊戯!

 こんな最上級モンスターカードなんかを……』

『確かに、決勝でペガサスや城之内君とかと戦う時に主力になりそうだと思ったけど、

もう、僕は出れないし。

 それに、今の君のデッキには合うと思うんだ。』

 

「これが俺の引いたキーカード!

 ≪融合≫!

 ≪真紅眼の黒竜≫と手札の≪デーモンの召喚≫で融合!

 黒き竜と悪魔の魂よ、その力を束ねし業火で敵を焼き払え!

 融合召喚!

 ≪悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン≫」

 

グアアアアアア!!!

 

「な、何あのカード!

 あんなの、城之内のデッキに……」

「城之内君、僕のカードを……」

 

 ≪真紅眼の黒竜≫や≪聖夜に煌めく竜≫より更に一回り以上大きく、背には炎が炎々と燃え盛る翼を持ち、全身から青白い雷をバチバチと迸らせ、爛々と瞬く深紅の瞳で敵のみならず場全体を威圧する、禍々しい竜が、フィールドに降り立った。

 

「≪ブラック・デーモンズ・ドラゴン≫の攻撃力は3200。

 ≪ホーリーナイツ・レイエル≫を攻撃して1400のダメージを与えられるだけじゃない。

 バトルフェイズ終了時、墓地の≪真紅眼の黒竜≫をデッキに戻すことでその半分、1200ダメージを与えられる。*LP4000のため、バーンダメージは半分に調整。

 更に≪ブラック・デーモンス・ドラゴン≫の攻撃中、相手は一切の効果を発動できないから、≪聖夜に煌めく竜≫の効果も使えない。

 これで残りライフ2900しかない小波君に、大ダメージを与えられる。

 土壇場でこんな逆転の手を引くなんて……城之内君……君は本当に強くなったんだね。」

「よっし!これで終わりだ!バトル!」

「バトルフェイズ突入前、≪聖夜の降臨≫の効果を発動。

 手札から≪ホーリー・ナイツ・ドラゴン≫を特殊召喚。」

「今更そんなモンスター出したところで、蹴散らしてやる!」

「リバースカードオープン!

 ≪突撃指令≫!

 ≪ホーリー・ナイツ・ドラゴン≫をリリーズして≪ブラック・デーモンズ・ドラゴン≫を破壊。」

「は?」

「城之内。

 俺にとって通常モンスターの≪ホーリー・ナイツ・ドラゴン≫は、≪聖夜に煌めく竜≫と立ち並ぶエースカードなんだよ。

 その身を捧げて悪魔竜を撃て!」

 

 ≪ホーリー・ナイツ・ドラゴン≫の全身が光に包まれるや≪ブラック・デーモンス・ドラゴン≫に突撃し、その身ごと爆破させた。

 

「はは……つえーな、お前やっぱ。

 ………ターン、エンド」

「俺のターン。

 ドロー。

 ≪ホーリーナイツ・レイエル≫を手札に戻して手札の≪ホーリーナイツ・シエル≫を特殊召喚。

 ≪ホーリーナイツ・レイエル≫を召喚してデッキから≪煌めく聖夜≫をサーチして発動。

 ≪煌めく聖夜≫の効果で≪ホーリーナイツ・フラムエル≫を更に召喚。

 バトル。

 ≪ホーリーナイツ・フラムエル≫と≪ホーリーナイツ・シエル≫で残りの子羊トークンを攻撃。

 ≪ホーリーナイツ・レイエル≫と≪聖夜に煌めく竜≫で、ダイレクトアタック!」

 

城之内克也 LP 3750→0

 

ピー。

 

「これにて、決勝戦(仮)終了!

 賞金は、小波遊一に捧げられる!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。