最弱の転生者   作:ファイネス1

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お久しぶりです


第15話 魔導騎士ギルティアーソウル・スピア

バトルシティ開始直後、遊戯と別れて孤軍奮闘する気でいた城之内ではあるが早速頼もしい友と合流した。

 

「漠良、遅かったな。」

「いやあ、ごめん。

 ちょっと新作のTRPGのシナリオ考えていたら遅くなっちゃって。」

「俺も昨日は夜遅く迄デッキや戦い方研究して時間忘れちまったからな。

 その成果見せてやる!」

 

意気込んだ城之内がいざ勝負を挑んでみたものの…

 

「おい、お前もバトルシティ参加者なら…」

「ゲッ城之内!

 い、いや、俺なんかより、もっと相応しい相手が…」

「お、おい!

 …タクッ、これで何度目だ?」

「有名税ってもんだよ。

城之内君の名前はペガサス城で知れ渡って優勝候補になっちゃったからね。

 チップはおろかレアカードまで賭けられるとなったら、余程腕に覚えがないとまともにぶつかろうとは思われないよ。」

「俺なんかはむしろ優勝狙うならどの道つえー奴と戦ってなんぼなんだがな。」

「そういえば知ってる?

 ほら、これ。」

 漠良が見せたスマホには、現在進行中のバトルシティに関する掲示板があり、彼がその記事の一つのリンクをタップすると、頭に「1」と書かれた黒いフードを被り、顔や頭は勿論、全身を黒いコーデで覆って素肌が見えない、怪しさ満点の人物が現れた。

 城之内は思わず昨日襲来してきたグールズを思い起こしたがどうやら違う奴ららしい。

「この大会の参加者の中に、素性が一切不明の謎の黒づくめの集団が紛れ込んでいるんだって。

 頭に『0』から『3』までの数字を付けた計4人が確認されていて、『メン・イン・ ブラック』って呼ばれているよ。」

「何モンだこいつら?」

「反KC企業の回し者や政府の者、或い精霊や宇宙人だとも言われているんだ。

 最後らへんのはともかくとして、元々この大会には世界中の企業や富豪達が自身や代打ち何かを出して挑んでいるっていうからね。

バトルシティのウォッチャー達が彼等の居場所や動向をSNSで追って報告しているからそれを辿れば…って、えええっ!?」

「何だ?どうした漠良!」

「『0』の数字が付いた者は早々に脱落したけど、他の者達はストレート勝ちして、今、パズルピースを集め切って予選を突破してしまったんだって。」

「嘘だろ!まだ始まって2時間も経ってないんだぞ!

小波の他にもそんなバケモンがいんのかよ。

どんな奴か気になってますます予選を突破したくなったぜ。

遊戯とは決勝か本戦あたりでぶつかるとして…あっ!そうだ!

 この大会前に会った羽蛾や竜崎とかだったら断らねーだろ!

 出来れば舞もいればよかったんたが…」

「だったらSNSで彼等の動向や居場所サーチしてくるね。

オカルトやTRPGといったマイナーな趣味を嗜む以上、そういったツールやコミュニティには精通しているから。」

「お、おう…」

(頼もしいが…俺のこととかもウォッチャーとかいう奴らに逐一見られて上げられてるのかな。

 SNSってやっぱこええな)

「ええっと…ああ、この近くだと竜崎くんが現在、エスパー絽馬と決闘しているらしいよ。ほら、あそこで。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「グッ!」

「じゃあ、パズルピースと『フロストザウルス』は頂くね。」

「おいおい、全国大会準優勝者のダイナゾー竜崎が敗れたぞ。

 エスパー絽馬ってつえーんだな。」

「というか竜崎ってやつが大したことねえだけなんじゃね?」

 

城之内が辿り着くと、そこでは竜崎と絽馬の結局が終わった所だった。

 

「せっかく見つかった対戦相手やったのに…おかげでたった1枚のパズルピース失ってワイはここで脱落や。」

「フフ…ッ!」

 

 竜崎が地に伏して悔しがる一方、絽馬が目をあげて城之内の姿を見とがめると、勝利の余韻で綻んでいた表情を強張らせた。

 

「こんなに早く会えるとはね城之内くん。

 ピースを5枚集めて決勝進出も兼ねて君を探し出して挑むつもりだったんだけど。」

 

 そう言ってディスクを構える絽馬。

 初対面ではあったが、決闘者として大会参加者としてその仕草をした以上、交渉やコミュニケーションなどといったものが必要なはずなかった。

 

「ようやく会えたぜ対戦相手!

 こっちも準備万端!相手に不足なし!

 いくぜ!

 決闘!!」

 

城之内・先攻 LP 8000

絽馬・後攻  LP 8000

 

「先攻は俺!ドロー!

 まずは≪魔導騎士ギルティアーソウル・スピア≫を召喚!」

 

「「「は?」」」

 

 城之内の自信満々の一手に、対戦相手の絽馬、観戦していた竜崎と漠良も、思わず間の抜けた声を上げた。

 

「な、何だよ、何かおかしなことしたか俺?」

「いや、確かにそのモンスターは、自分フィールドに他のモンスターがおらん場合、通常召喚出来るから別におかしなことはあらへんが…」

「攻撃力も1850あるから、壁としても悪くはないけれど…」

「?だったら何もおかしくねーだろ。

 ≪ギルティアーソウル・スピア≫のモンスター効果!

 手札を1枚捨てて、≪真紅眼の黒竜≫を持ってきて、

カードを1枚セットして、ターンエンド。」

「僕のターン。ドロー。

…城之内くん。

 僕だったら君が捨てた≪ランドスターの剣士≫をセットするけどね。」

「何?」

「≪ギルティアーソウル・スピア≫は召喚した時に相手のモンスターを除去出来る能力を持っている。

 ≪ランドスター≫で凌いだ後、返しのターンで出した方が効率的だよ。」

「ウッ…うっせえ!

 これが俺のやり方なの!

 人のプレイにごちゃごちゃ水を刺すもんじゃねえぜ!」

「そりゃ失礼。

 じゃあ僕は≪魔鏡導士サイコ・バウンダー≫(ATK 1700)を召喚。

≪宇宙の法則≫を持ってきて発動!

 城之内くん、君にデッキから罠カードをセットさせてあげる。」

「マジか!じゃあ…」

 

 お言葉に甘えようとした城之内を見て、漠良は思わず声を上げかけた。

 

「…っダッ!」『おおっと、そいつはよしたほうがいいぜ。』

(っ…僕の中のこの声は…っ!)

『主人格様よ、お前もこの大会の参加者なんだろ。

 見てみな、この往来で審判もギャラリーもひしめいてやがる。

 大会の規定では『外部からの助言は禁止』とある。

 つまりここでお前が余計なことをすれば、証人も審判もいて言い逃れが出来ずにお前が失格になるって訳だ。

 ま、自分が失格になってもそいつを助けたいってなら別だがな。』

「クッ…」

「よし!≪悪魔のサイコロ≫をセットだ!」

 

 城之内の選択を見届けた竜崎は「あのアホが…」と、頭を抱えた。

 

「どうしたんだよ竜崎?」

「アホンダラ、何で敵にそんな塩送るねん。

 絶対、何かあるに決まってるやろ。」

「罠をセットしたね。

 じゃあ、それによって僕もデッキからエースモンスターを呼び出すよ。

 来い、≪人造人間 サイコ・ショッカー≫!!」

 

ビビッビッビ!

 ピシューン!

 サイケデリックな電光の演出と共に絽馬のフィールドに、禿頭を拘束具とバイザーで覆った禍々しい長身の男性のモンスターが現れた。

 

「魔法カードで攻撃力2400の大型モンスターをデッキから特殊召喚だと!」

「≪サイコ・ショッカー≫がいる限り、フィールドにセットされている罠カードは発動出来ない!

 よって君がセットした≪悪魔のサイコロ≫は使えない。」

「セットした意味がねーってことかよ!」

「更に、相手の方に魔法・罠カードがある時、≪サイコ・ギガサイバー≫を特殊召喚。

≪サイコ・ショッカー≫!

 ≪ギルティア≫を攻撃だ!

 『電脳エナジーショック』!」

 

ビビビビビ!バシュー!

 

「ダメージステップ開始時!

 セットカード≪天使のサイコロ≫を発動だ!」

「何っ!」

「魔法カードなら、いいんだろ?」

 

サイコ・ショッカーから放たれた球状のエネルギーがギルティアを飲み込まんとする刹那、フィールドに現れた場違いな天使が持っていたサイコロを投げた。

 

「頼んだぜ…来い来い来い…

来たー!6!

 ≪ギルティア≫の攻撃力が600ポイント上がって返り討ちだ!」

 

≪魔導騎士ギルティアーソウル・スピア≫

ATK 1850→2450

 

 ギルティアが自分に襲いかかってきたエネルギーを所持していた槍で払い除けたばかりか、槍を更に振り翳してサイコ・ショッカーをも打ち払った。

 

「わあ!」

絽馬 LP8000→7950

 

「クッ!」

 

「カードを2枚セットして、ターンエンド。」

(・・・・・・・・・)

 

 絽馬が未練がましく見やったセットカードの1枚。

 サイコ・ショッカーの必殺技カード≪電脳エナジー・ショック≫。

 これを使ってサイコ・ショッカーの攻撃力を上げたら、ギルティアを確実に処理出来ていたはず。

 だが…

(例えやり直していたとしても、僕はこれを使わなかったろうな。)

 ≪天使のサイコロ≫を使用されたダメージステップには発動出来ないとはいえ、唯一サイコ・ショッカーを撃破出来る6分の1に賭けたり、そんな可能性に備えるなど、まともな決闘者の感覚ではまず、ありえない。

 一般的、効率的、確率的に考えても絽馬のプレイにミスと言えるものなどなかったはずだった。

 そして絽馬は、城之内克也を決闘者として見定めた。

(城之内。

 この男の決闘…予想や想定を()()()()()()()()やりづらい。)

 

 その決闘を観戦していた竜崎達もそれは感じていた。

 

「なんつー運任せのメチャクチャなやり方や。」

「プレイングだったら、城之内君は絽馬君や竜崎君に大きく劣っている。

 けど、本当に不思議なことに勝負事だと1枚や2枚の差が勝負を決める一方、10枚や20枚の差だと逆に上級者の判断やスタイルを大きく狂わせていくんだ。

 いわばこれは、プレイングと運の戦い。」

 

「俺のターン、ドロー!

 よしっ来たぜ!

 手札を捨てて≪ライトニング・ボルテックス≫(制限)でお前の場のモンスターを全破壊!

 *サンダーボルトはこの大会のレギュでは禁止

≪はやずぎた埋葬≫(制限)で、今捨てた≪真紅眼の黒竜≫を蘇生!」

「1枚しか入れられないはずの制限カードを、次々と…!?」

「バトル!一気に行くぜ!

ギルティアでダイレクト・アタック!」

「≪リビング・デッドの呼び声≫で≪人造人間サイコ・ショッカー≫を蘇生!」

「絽馬君も制限カードを使ってきたか。

 ≪リビング・デッドの呼び声≫は、むしろサイコ・ショッカーと相性がいい。

 よく考えてるね。」(勿論、友達としては城之内君を応援したいけれど、決闘者としてどちら勝って欲しいかと言われると…)

「バトルフェイズは終了。

 ターンエンドだ。」

「ドロー…さあ、反撃開始だ。」

 




✴︎修正
バーン制限の設定により、≪サイキック・ウェーブ≫の使用描写を削りました
ネタバレになりますがこのカードや≪人造人間 サイコ・ロード≫とかを使えていたら決闘の成り行きや勝敗は大きく変わっていたでしょう
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