バトルシティ開催により、原作モブキャラの宣言通りにあちこちで特有の闘気を放つ決闘者による決闘が繰り広げられる戦場となって童見野町。
その裏路地では、決闘者による決闘とは別の意味の、ひりつく争いが繰り広げられていた。
「おのれ······」
「兄さま···」
背後にモクバを庇ったバトルシティ主催者、海馬瀬戸が殺意を向けている先では、海馬コーポレーションの社員証を付けた黒服サングラスの男性が銃口を向け、その兄弟を護衛するかのように、全身白づくめのフードと衣服で体や顔を覆い、手にも手袋をつけている二人組が、鍛えられた中華の武術の構えを取っていた。
黒服の男は、基本人を容易く信じない海馬瀬戸が信用を置いて主な業務を任せていた男だ。
そんな彼に、海馬は忌々しげに毒づいた
「
『部下達はともかく、この大会の一回戦で負けた『転生者』は決闘者としては脅威たり得ないが、抜け目はなかったようだね。
武藤遊戯が死んだと知るや部下達に割いていた護衛を最低限にして神のカードを所有している君、海馬瀬戸の方に主力を回した。』
中国拳法の構えを取っている白フードの二人組は、堂々と名乗った。
「我等流浪の番人、迷宮兄弟。」
「依頼を受けたからには、この兄弟に指一本触れさせん。」
『今の世情にかこつけた感染症対策の名目で相手の素肌に触れることでその人物を操るロッドへの対策も揃って完璧か。
イシズ姉さんも随分とやってくれる。
まあいい。海馬瀬戸。
君が受け入れようと拒もうと、ファラオは正真正銘死んで、その魂が闇に送られたことで僕の目的は半分は果たした。
後は3枚の神のカードを手に入れてこの僕が決闘王になればいい。
君が持っている神のカード、『オベリスクの巨神兵』を渡しさえすれば、グールズは以後君や大会には介入しないことを約束しよう。
なんなら解散してもいい。
僕にとってもはや利用価値がないからね。』
「賎しい窃盗団相手からの要求や交渉に価値を見出だす価値観は俺にはない。
貴様らが解散するとするなら、逆鱗に触れた俺により神のカードを全て奪われた末の後悔を伴う壊滅以外ありえん!!」
『君の部下を虜にした時点で、僕が君達をどうにでも出来ることは明白なんだがね。
だが僕もこの大会に参加している決闘者。
アンティルールに則ったデュエルで神のカードを奪わせて貰おう。』
その申し出に、海馬より先に護衛の迷宮兄弟の方が応じた。
「そのような決闘を。」
「我等が許すと?」
「我等は元よりこの大会の参加者にあらず。」
「決闘の妨害、乱入という規定違反を恐れる身ではない。」
『神のカードには神のカード。
君に放つ刺客は、神のカードの所有者。
つまりこの決闘に勝てば、君は2枚目の神のカードを手に入れられる訳だがいいのかい?海馬瀬戸。』
海馬瀬戸はスマホを取り出しどこかにかけると、スピーカーモードでそれをかざした。
「貴様らの雇い主の『転生者』からの伝達だ。
よく聞くがいい。」
スピーカーからは、変声機による年齢、性別不明な音声が流れた。
【迷宮兄弟。
現時点を以て海馬瀬戸への護衛任務を解除する。
そして新たな指令を出す。
グールズが仕掛けるタッグデュエルを受けよ。】
「「何っ!!」」
『同時進行で向こうとも交渉させて貰ってね。
丁度こちらにもタッグデュエル決闘者がいるんだ。
君達が勝てば、グールズの大会への介入、及びこの大会に於ける千年アイテムの使用を控えよう。
だがこちらが勝ったなら、逆に君達にはこの大会から引いて貰う。
既に予選を突破した参加者は構わないが、君達護衛や運営はかなり厄介だからね。』
【この大会はKCと我等ユニゾンの共同開催だ。
つまり負けた場合、大会の今後の主導権はKC側が担うということだね。】
『そういうことだ。
場所は後で知らせよう。』
【安心しなさい迷宮兄弟。
報酬は更に支払おう。】
「それが我等に課せられた新たな闘いでタッグデュエルなれば。」
「我等に受けぬ理由はなし。」
グールズは既にKC内部に千年アイテムの魔手を伸ばして、好きに出来る。
大会がKC主導になるといえことは、グールズにとってむしろ都合がいいということ。
海馬はギリ、と歯を食いしばった。
(おのれ······この屈辱は忘れんぞ。
まずはこの決闘に勝って2枚目の神のカードを手にしてやる。覚悟しておけ、グールズ)
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ゴースト骨塚 城之内
LP8000 LP6200
メデューサの亡霊
ピラミッド·タートル
ゴースト骨塚との決闘で、城ノ内は戦況以上に不可解な現象により、心理的に苦境を強いられていた。
(クッ、どうなってやがる。
何か呪いでも掛けられてるってのかこのデュエル。)
臆病な城之内は、内心沸き上がる心細さと不気味さに、思わず自分の後方に向けて声をかけた。
「おい、獏良。
さっきから応援もしねーで何黙ってんだ。
た、単におめーに何かあったんじゃねーかって心配で···あれ?獏良?」
城之内が振り向いた先の、先程まで獏良がいた場所の床に書き置きがしたためられているだけだった。
『御免城之内くん。
僕も少し気になることあったからここを出る。
一人で頑張って。』
「~~~~~~~~~~~~~」
「ヒャヒャヒャ、お前の情けなさに、ギャラリーからも見捨てられたようだなぁ。」
「········クソッ、あいつ!」
『そうそう、ここから少し先の君が踏みぬいて壊してしまった床のことなら、ちゃんと避けて通るから気にしないでおいて。』
「余計なお世話だっつーの!
ったく、変なことまで思い出させやがって、あんな床のことなんて···あれ?」
城之内が思わず目を向けた先は、ここに来るときに自分が思わず踏みぬいて壊してしまった床があるばずであったが、その穴は綺麗になくなっていた。
まるで、そんなもの初めから存在していなかったように。
(ありゃ?いつの間に?あの時俺は確か···!!!)
次の瞬間、城之内の頭に突然雷鳴が閃き、咄嗟にスマホであるカードを調べた。
(まさか、そんな馬鹿げたこと···いやでも、そうすると···)
「···デュエルを続けるぜ、骨塚。
俺のターン、ドロー。
モンスターをセット。
カードをセット。
ターンエンドだ。」
「俺のターン!ドロー!
ククク。城之内ぃ、お前確か、<<真紅眼の黒竜>>も持ってたよなあ。」
「あん?それがどうした。」
「それもこの戦いのアンティで奪わせて貰うが、そんなお前に引導を渡すのにピッタリのカードがきたゾォ!
<<ピラミッド·タートル>>をリリースしてアドバンス召喚!
<<
グオオオオオオ!
「これは···レッドアイズ···?」
「レッドアイズが不死の力を得て進化した、俺の真のエースだぁ!」
フィールドに登場したドラゴンは、造形は城之内の愛用している<<真紅眼の黒竜>>ではあったがその周囲に青白い煙を纏った、どこか異形じみた造形をしていた。
「バトル!
<<真紅眼の不死竜>>でセットモンスターに攻撃!」
グオオオオオオオ!!!
元来のレッドアイズの威容を感じさせるものとは違う、どこかおどろおどろしさを感じさせる雄叫びを挙げて不死竜の攻撃がセットモンスターに直撃した。
「セットモンスターは<<
このモンスターが戦闘により破壊された時、デッキからレベル7以下の<<レッドアイズ>>モンスターを特殊召喚する!」
「<<真紅眼の不死竜>>の効果!
このカードが破壊したモンスターを俺の僕としてしまうゾォ。」
「幼竜はこの効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力300ポイントアップの装備カードになるからその効果は効かないぜ!」
「チッ。」
「俺が特殊召喚するモンスターは<<
このモンスターに幼竜が装備された時、効果発動!
その装備カードを破壊して、相手の魔法·罠を破壊する!」
「何っ!
俺の魔法·罠だと!
そんなものなんて···」
「お前の<<アンデット·ワールド>>を破壊だ!」
赤い炎を纏った鉄騎士の「ハア!」という掛け声と共にバリン!という音がフィールドに鳴り響いた。
「ば、バカなあああああ!」
「やっぱりな!
お前がこのフィールドにわざわざ誘い込んでデュエルしたのが、作戦!
お前は1ターン目からこっそり、<<アンデット·ワールド>>を発動させてたんだ!」
フィールド魔法によるソリッドビジョンは、プレイヤーの周囲数メートルに渡って展開される。
骨塚達は、予め暗くてよく見えにくく、<<アンデット·ワールド>>に似せたフィールドでデュエルすることでこっそりと自分に有利なフィールドを展開していたのだ。
「<<アンデット·ワールド>>の下では場と墓地のモンスターは全てアンデット属になる。
だから戦士属に効果を発揮する<<稲妻の剣>>が発動出来なかったんだな。
セコい真似しやがるぜ。」
「バカな!
何故、こんな奴に見破られた!」
(獏良の野郎、これを見抜いてあんな書き置きの文句残しやがったんだな。)
「お前の得意な戦場は崩れたぜ骨塚!
てめぇの青白いゾンビレッドアイズと、
俺の真っ赤な炎のレッドアイズの真っ向対決といこうぜ!」