最弱の転生者   作:ファイネス1

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第19話 君が悪いんだよ

 昼間の屋外であるにも関わらず人気がない童見野町のとある川原。

 高台では黒いフードを被り、顔の所に「0」の数字が書かれた人物がいて、その不審な人物が見下ろす河川敷では、

弟を連れた海馬瀬戸と、人形のような風貌の男がディスクを構えて対峙していた。

 

「ふん、神のカードを賭けたこの期に及んで自身で出向くことすら出来ぬ臆病者が。」

『僕にも事情があってね。

 彼は親を殺したショックで僕の完全な意のままに操られる人形。

 この決闘に勝った時、君達兄弟をどこまでも追いかけて殺すようにプログラムされている。

 最初の交渉に応じなかった君が悪いんだよ、海馬瀬戸』

「下劣な真似を。

 いいだろう。相手が神となればこの俺のオベリスクの全力を以てするに相応しい。」

 海馬はそこで傍らの高台の、丁度二人の間で佇む「0」のフードの人物に視線を向けた。

「『転生者』!感謝するがいい!もはやこの大会において何の価値もない敗者となった貴様に味あわせてやろう!

 俺が神を手にし、真の勝者へとかけあがる様を拝める不相応な栄光を!」

「兄さま!

 神なんてやっつけちゃえ!

 決闘開始!」

 

「·········」

 眼下で始まった決闘を睥睨する「0」の人物、『転生者』が

目を移したスマホには、同時進行されている2つのデュエルの盤面が展開されていた。

 一つは、城之内と骨塚。

 そしてもう一つは、グールズの仮面タッグと迷宮兄弟による『ユニゾン』と『グールズ』の代理タッグデュエル。

 バトルシティ中に行われているデュエルの様は、データとして保存されてその場にいなくても見ることが出来る。

 現に舞台裏の運営サイドでは大滝達幹部やノーフェイスがこのデュエルを見ているはずだ。

 にも関わらす、『転生者』は自分達の命運が掛かっているタッグデュエルではなくこの神のカードを賭けたデュエルに直接出向いて見逃すまいとじっと佇んでいた。

 

────────────────────────

 

 <<アンデットワールド>>が破壊されたことで、心なしか薄暗が晴れたデュエル場。

 自らの仕掛けが見破られ、打ち砕かれたもののまだ自分のバトルフェイズである骨塚は城之内との真剣勝負に改めて挑んだ。

「クウッ!

 お前などこのままで十分だ!

 <<地割れ>>で<<ギア·フリード>>を破壊して

 カードをセットして、ターンエンドォ!」

「俺のターン!ドロー!」

(さて、と。あいつの小細工を破ったはいいがどうするか。

 ぶっちゃけ今の俺の手札じゃ厳しいんだよな。

ここは···)

「<<ロケット戦士>>を召喚!

 更に今度は発動させてもらうぜ!

<<稲妻の剣>>で<<ロケット戦士>>の攻撃力を800ポイントアップ!(1500→2300)

 ゆけ<<ロケット戦士>>!

<<メデューサの亡霊>>に攻撃!」

「リバースカードオープン!

 <<死霊の盾>>!

 墓地からアンデットモンスターを除外することで、その攻撃を無効!」

「チ、俺はこれでターンエンドだぜ。」

 

城之内 LP6200 手札3枚

カード1枚セット 稲妻の剣

ロケット戦士(攻撃力2300)

 

ゴースト骨塚 LP8000 手札2枚

真紅眼の不死竜 メデューサの亡霊

死霊の盾

 

「俺のターン、ドロー!

 <<メデューサの亡霊>>をリリースして<<竜骨鬼>>をアドバンス召喚!

 更に<<奇跡のピラミッド>>発動!

 俺の場のアンデットの攻撃力は相手の場のモンスターの数×200ポイントアップ!

 バトル!

 <<竜骨鬼>>で<<ロケット戦士>>にアタック!

 効果発動!

 相手モンスターが戦士属、魔法使い属だった場合、バトル後に破壊する!

 無敵モードの<<ロケット戦士>>も破壊だぁ!」

 

城之内 LP 6200→5900

 

「更に、<<真紅眼の不死竜>>でも攻撃!」

「<<スケープゴート>>で耐え凌ぐぜ!」

「<<奇跡のピラミッド>>の効果で俺の場のアンデットモンスターの攻撃力は600アップするぜ!

 俺はこれで、ターンエンド!」

(しぶといな。

 攻撃、破壊しようとしても永続罠<<死霊の盾>>で防がれるし、モンスターを揃えたら<<奇跡のピラミッド>>でむしろ骨塚のゴースト軍団をパワーアップさせちまう。

 しかもあのカードは、確かアンデットモンスター破壊の身代わりにもなるカード。

 このままでは俺が不利。

 このドローで何か決め手が欲しいぜ···)

「ドロー···!?」

(このカード···そういえばあいつから···使ってみるか。)

「モンスターとカードを1枚セット。

 ターンエンドだぜ。」

「俺のターン!ドロー!」

「リバースカードオープン!

 <<威嚇する咆哮>>

このターンバトルは行えないぜ。」

「フン、悪あがきを。

 俺は<<ゴースト姫-パンプリンセス>>を召喚してターンエンド。」

「俺のターン。ドロー。

 リバースモンスターオープン!

 <<寄生虫パラサイト>>!

 このモンスターがリバースした時、相手のデッキに加えてシャッフルされる!

 骨塚!俺からの贈り物だぜ!」

「何!」

 

 反転召喚されたパラサイトが、骨塚のディスクの山に入り、シャッフルされ、そして···

シャカシャカシャカ···

 

「!」

「ターンエンド。」

「お、俺のターン、ドロー···」

「引いたな骨塚!

 <<パラサイト>>カードは引いた時、お前の場に特殊召喚され、1000ダメージを与えて、更にお前の場のモンスターは全て昆虫になるぜ!」

「お、お前、そんなカードを···」

「いや、元々は俺じゃなくて羽蛾の奴から貰ったっつーか···」

「何っ!

 全国チャンピオンのインセクター羽蛾を倒したというのか!?」

「ああ、丁度お前とデュエルする前にな。」

 

インセクター羽蛾は今回原作にあるようなイカサマは使わなかったものの、(それが決して彼が決闘者としてましになったとかいうのではなく、城之内への油断と寄生虫カードの効果が原作のような小細工をする必要がなかった故なのだが)いざアンティとなった時<<究極完全態·グレート·モス>>や<<インセクト女王>>といった大型エースを渡すのを渋り、(今考えると決闘前のやり取りで賭けるカードを「1枚」とだけ言って具体的に言ってなかったことに気づくべきだった)結局デュエル中にデッキに押し付けてきた<<寄生虫パラサイト>>をそのままアンティカードとして押し切られる結果となったのだった。

 

「随分と往生際が悪く弱小モンスターを押し付けられた形になったが、今となってはむしろ好都合だったなあ···あれ?」

 

 <<寄生虫パラサイト>>が骨塚のフィールドに特殊召喚された時、その場にいた全員、城之内、骨塚だけではなく彼の取り巻き達も含めたディスクが突如警告音を鳴らした。

 

ビー、ビー、ビー、バトルシティ運営からのお知らせです

バトルシティ運営からのお知らせです

 

───────────────────────────

 

時は少し戻り、神のカードを賭けた河川敷での闘いに移る。

 

『僕のターン。

 ドロー。

 永続魔法<<暗黒の扉>>。

 モンスターとカード2枚をセットして、ターンエンド。』

「ふうん、俺のターン、ドロー!

 <<カイザーシーホース>>を召喚してバトル!」

『破壊されたのは、再生能力を持つ<<リバイバルスライム>>。

 戦闘破壊された時、ライフを1000支払うことで(LP8000→7000)次のターンのスタンバイフェイズに守備表示で特殊召喚される。』

「俺はこれでターンエンド。」

『罠カード<<無謀な欲張り>>。

 ドローフェイズ2回のスキップと引き換えに2枚ドロー。

 僕のターン。ドローはスキップ。

 このスタンバイフェイズ、<<リバイバルスライム>>は

特殊召喚さる。

 メインフェイズ開始時、<<強欲で金満な壺>>で融合デッキを6枚除外して2ドロー。』

 兄を応援しながら観戦していたモクバは、戦況を見て顔をしかめた。

(ライフはリードしているけど、<<リバイバルスライム>>は復活しちゃったし、<<無謀な欲張り>>と壺によって実質3枚ものドローになっちまった。

今、マリクの手札は5枚。

神のカードを引き込んだか?)

『モンスターをセットして、ターンエンド。』

「俺のターン、ドロー!

 <<ミノタウルス>>を召喚!」

(<<暗黒の扉>>がある限り、モンスター1体でしか攻撃が出来ない。

 <<リバイバルスライム>>を倒してもまた復活される。

 それなら。)

「<<ミノタウルス>>でセットモンスターに攻撃!」

『永続罠<<ディフェンススライム>>。

 セットモンスターへの攻撃を<<リバイバルスライム>>に移し替えて1000ライフで復活する。』

「俺はターンエンド。」

『僕のターン。

 ドローはスキップ。

 <<リバイバルスライム>>を特殊召喚。

 リバースモンスターオープン<<X·E·N·O>>!

 リバース効果により、君のモンスター<<カイザーシーホース>>のコントロールを得る。

 ふ。やはりファラオと違って千年アイテムの所有者でもない君では僕に勝つことは出来なさそうだ。』

「貴様···!」

『戦術とは、謂わばデュエリストの器に満ちた水。今の君のデュエルで君のデュエリストとしての底と器が知れた。

今からその器を丸ごと壊す巨石を投じてみせよう。

 フィールドのモンスター3体をリリース!』

 マリクがカードをかざした時、石のように動かない『転生者』に対してモクバはその体を強ばらせた。

(な、何だよ、この威圧感は。

 まるで深い海の底にでもいるかのよう。

 まさか、神が···)

『これが神だ!

 <<オシリスの天空竜>>』

 

ガアアアアア!!

 

 モンスター3体のリリースと共に2つの口を持つ巨大な体を持った竜のような姿のモンスターが、マリクのフィールドに降臨した。

 

「これが、神か···」

『驚くのはまだ早いよ。

 オシリスの攻撃、<<超電動波 サンダー·フォース>>!!

オシリスの攻撃力は手札の数×1000!

今の僕の手札は3枚、よって3000!』

 

バリバリバリバリ!

 

「グウ!」

海馬LP8000→6700

 

『ターンエンド。

 <<無謀な欲張り>>によるドローロックは次のターンから消える。

 神は果てしなく強くなり、手がつけられなくなる』

「俺のターン、ドロー。

 それが<神>か。

 なら俺は、その<神>をなぎ倒して見せる!

 魔法カード<<召喚士のスキル>>で

<<青眼の白龍>>をデッキからサーチ!

<<融合徴兵>>で融合デッキの<<青眼の究極竜>>を見せ、デッキから2体目のブルーアイズを加える!

 フィールド魔法<<融合再生機構>>を発動し、

手札を1枚コストにデッキから<<融合>>を持ってくる」

『例え<<究極竜>>を出しても無駄だよ。

 イシズ姉さんから聞いたろう。

 オシリスの上の方の口からは君の場に出たモンスターに

表示形式の数値に2000のダメージを与える。

 <<究極竜>>は生き残るがそれでも2500。

 3000の神の敵ではない。』

「誰が<<究極竜>>を出すと言った。」

『何っ!?』

「<<融合>>で俺は手札の2体の<<青眼の白龍>>を融合!

 現れろ!<<青眼の双爆烈龍(ブルーアイズ·ツイン·バースト·ドラゴン)>>」

『オシリスの効果!

 <招雷弾>』

 

海馬のフィールドに降り立った2つの青眼の頭を持つ竜に、オシリスの上の口からの雷鳴が襲った!

 

『攻撃力1000で耐えきったか。

 だが、それでは神になす術なく敗れる!』

「フン、果たしてどうかな?

 <<双爆烈龍>>で神に攻撃!

 ダメージは受けるが<<双爆烈龍>>は戦闘では破壊されない。

 そして効果発動!

 このモンスターと闘って破壊されなかったモンスターを除外する!」

『何っ!?』

「ブルーアイズよ!

 <神>を葬り去れ!

 ディメンション·バースト!」

 

ガオオオオオ!!

 <<双爆烈龍>>の雄叫びと共に、<<オシリス>>は空中に空いた穴に吸い込まれていった。

 

『神がやられるだと!?』

「俺の前に立ちふさがる物は、例え神でもなぎ倒す!

 カードをセットしてターンエンド。」

『クッ、ドロー!

 まだ手札はある。

僕のデッキの本領は···』

「いいえ、ここで終わりです。」

 

 突如、川原に凛とした女性の声が響き、声の主が土手の上、『転生者』の傍らから下ってきた。

 

「イシズ···」

『姉さん···』

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