何処とも知れぬ室内。
「0」のフードを被った『転生者』は、スマホの画面に表示されている城之内の様子を眺めた。
「城之内は予選を突破したか。
現在、彼は梶木漁太と接触して……彼の方はうちの「2」の者にやられてスターチップ全てを失っていてもはやこの大会の決闘者としての資格を失っているから
影響は直接はないが……妙な雰囲気だな。
まあ、いい。
原作通りとはいかずとも彼が幾多の試練やデュエルを通じて関門を突破したのは確か。
……原作では遊戯、海馬、城之内の3者は、それぞれがこのバトルシティの戦いの果てに、勝者となったと、作者は記していた。
だが、この世界のバトルシティでは、少なくとも遊戯は敗者となった。
果たして城之内と海馬は勝者になれるかな。」
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午後6時。
バトルシティ――G地区442地点
童実野スタジアム建設予定地
バラバラバラ………
パズルチップで示された決戦の地と時刻に、ヘリで海馬瀬戸と弟モクバが降り立った。
「磯野、あいつらの手配は?」
「はい。
話題となっている例の者達は、ここを悟られぬよう、予選突破と共にKCで保護し、今、こちらに。」
磯野が示した先には、黒フードの「1」「2」「3」の番号の人物達が出そろっていた。
「2」の者は180センチはありそうな偉丈夫であったが「3」は更に大きく、2メートルはありそうな体格だ。
「1」は元々背丈のほどは150センチ程とかなり小柄な上に、傍の二人と比べることで子供かと思われる程の有様だが
寧ろ得体の知れなさを引き立てていた。
「登録名は「No.1」「No.2」「No.3」。
保護されている間も、フードを一切取り外しませんでしたが……よろしかったのですか?身元の確認などは。」
「ふん、予選突破が果たせなかった『奴』の麾下である以上、これから先の本選で、少なくとも俺によってその化けの皮が剝がされる定めだ。
むしろ楽しみに取っておくとしよう。
他の奴らは?」
「はい。来たのは2人の黒人。
刺青をした男と、少年です。
登録名は、少年の方はナム。
刺青の方は、マリクと。」
「やはり来たか、マリク……」
それから数十分して、城之内もフィールドにやってきた。
「まさか本選まで来るとはな凡骨。」
「あいっ変わらずムカつくヤローだぜ。
···おい、あいつらか、真っ先に予選突破した『メン·イン·ブラック』って奴は。
何者なんだ一体?」
「ふん、せいぜい期待外れでないことを祈るくらいだ。」
「そういえばよ、『マリク』って奴は来てないか?」
「···マリクだと!?
その名をどこで知った!」
「何か俺を襲ったグールズのボスっぽい奴の名前みたいだからよ、この大会にもいたりしてな。」
「教えてやるよ。」
その時、ついさっきまでの聞き覚えがある声色で、かなり久々に聞く口調という一種矛盾した声が響き、思わず城之内がそちらを向くと、そこには見覚えがありつつ久々に見る少年がいた。
「漠良!
いや、まさか今のお前は···」
「俺もこの大会に飛び入り参加して、予選突破してきたのさ。
城之内、マリクは俺様と同様、千年アイテムの所有者。
このリングが引かれ合って示しているぜ、そいつを。
どうやら、お出ましのようだ。」
バクラの首にかけたリングが指し示す方向を見ると
そこにはフードを被り、頭に入れ墨を入れ、手には先端にエジプトのウジャトの眼の飾りがついた金色の杖を持った大柄な黒人男が会場に現れた所だった。
「お前が···マリクか?」
「如何にも。
私こそがグールズの総帥、マリク。
神のカードを全て手中に納め、この大会を制するのは、この私だ。」
「ヘッ、卑劣な盗賊の大将の分際で随分大物ぶってやがんな。
これで7人か。
確か決勝に進めるのは8人って聞いたから、あと1人は遊戯か?」
しかし、その後ナムと名乗る黒人の少年が8人目として会場に入ってきた。
「わあ、皆さん初めまして。
あっ!あなたが城之内さんですね。
王国準優勝の優勝候補。
やっぱりここに来ましたか。」
「いや、まあな。」
(初見だが見たところ単なる一般人か。
グールズとか漠良とかが関わってくる闘いに巻き込ませるわけにはいかないな。
注意しねえと。
ん?待てよ、これで8人全員?)
「おい待て、遊戯はどこいった?」
「ふん、ここにこれなかった以上、奴もその程度の決闘者でしかなかったということだ。
いない奴の心配などよりも、無様を避ける自分の負け様でも考えておけ。」
「んだと海馬!」
(兄さま···)
(このフードの男が俺達に弓を引いてさんざふざけた真似をしてくれたマリクだと···?)
(クッ···遊戯もだけど、杏子も本田も舞もいねえ。
漠良は邪悪な方だし、海馬は相変わらずだし、
マリクやあっちのフードの正体不明の3人といい、
全くのアウェーかよ。
今のところ気の置けるのは、なにも知らない一般参加者の、ナムって奴くらいか。
静香···お前には見えないだろうが、必ず俺は、今度こそお前を···)
かくて揃った大会参加者と関係者達は、この後飛来してきた決闘艇に乗り込み、高度1000メートルの決戦場へと向かった。
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どこか分からない部屋。
だだっ広いその部屋の前面には3台の大きい液晶画面が並べられ、それぞれに仔細は異なるものの1人称視点で同じ飛行艇に乗っていくシーンの映像が写っていた。
部屋の中で椅子に座りそれらの画面を遠巻きに眺めている、元KC幹部で、現在は新企業「ユニゾン」の幹部。
大下 幸之助
大瀧 修三
大岡 筑前
大田 宗一郎
大門 小五郎
無地の仮面を被った異様な、彼等と同じように椅子に座り食い入るように画面を眺めている人物。
ノーフェイス。
そして。
彼等の中央に陣取る、「0」のフードを被った人物。
「参加資格がない者があの船に乗る資格がないが、彼等の眼を借りて観戦すること自体は構わないね。
KCの最新軍事技術を駆使して作った、対象とほぼ同じ目線を得られるコンタクトレンズカメラ。
発進時間から暫くは自由時間だからプライベートモードにしたようだ。」
「転生者」が言い終わる頃には、各々が部屋に入ったあたりで3つの画面が全て暗転した。
やがて再び画面が切り替わると、磯野がアルティメットビンゴマシーンにより決まった最初の対戦を発表した。
「第一回戦。
「No.2」 vs 獏良了!」