最弱の転生者   作:ファイネス1

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「銀幕の鏡壁」のライフコストは半減させました。
LP4000だとそれくらいのハンデは必要でしょう


第4話 大下 由美子

 時間は少し遡り、太陽が完全に沈む少し前。

 遊戯達からやや離れたフィールドで、太陽を背にする一方のゴンドラには、妖艶な大人の色気を放ちつつもその目には修羅場を潜ってきた戦士さながらの闘志を備え持つ孔雀舞がスタンバイしていて、

陽光を真正面から浴びるもう一方のゴンドラの少女、大下由美子は色黒の肌とカラフルな付け爪、所々に今時の若者ぽいコーデをつけ、高校生くらいながら同年代女子と比べてシャープなスタイルと露出が少ない服で若さ故の魅力を余すことなく活かし、流行りの遊びにでも繰り出そうとでもいうかのような軽さが、その全体から伺える。

 甲乙つけがたい魅力を持つ女性二人の本選出場を賭けた決闘の火蓋が、今、切って落とされた

 

「「決闘!!」」

 先行 大下 由美子

 

「あー、じゃあ、ドロー。

モンスターをセットー。

 カード1枚セットしてー、ターンエンド―。」

「私をバカにしているの?」

「は?」

「単なる壁モンスターとセット1枚だけ。

 大方ミラーフォースのような攻撃反応系罠でしょう。

 そんな闘志を感じられない臆病者のデュエルなんかでは、私に勝つことは出来ないわ。」

「………ハア………ウッザ。」

「何ですって?」

「ペラペラ喋ってないでさー。

 そんなに自信満々に言うんなら何かしてみなよ。

 あんたの方こそ、そんなにイキッて何したいわけ?

 アタシにカマでもかけようってセッコい腹なわけ?」

「ッ!私のターン!ドロー!

 フィールド魔法!≪ハーピィーの狩場≫!」

 

「ええっと、何々………」

 

――――――――――――――――――――

 

 ペガサス城内、

孔雀舞と大下のデュエルのモニターを見ていたペガサスは、フィールド魔法発動時の大門の手元の動きが気になり、別方面のカメラでゴンドラ下の彼女の手元を確認させた。

 

「これは………成程、ガールはスマホで我が社のHPからレディーの発動したカードの効果を確認しているようですね。」

 

 ペガサスの断定に、中継を繋いでいたその試合の立ち合いをしていた黒服が応じた。

 

『では、すぐにでも大門氏の処分を……』

「処分?何を言っているのです?」

『は?い、いや、彼女が今やっている不正を……』

「ノー、大下ガールは今の所はデュエルにおける不正をしていません。

 そのまま放置しておきなさい。」

『え?』

「デュエルは続行です。宜しいですね?」

『は、はい!』

 

 通信を終えたペガサスは、手元の大下の資料に目を通した。

 

「大下由美子。彼女はジーニアス。

 厳しい躾の反動からか素行に問題は見受けられますが

全国模試では10番台の上位をキープ、志望先の日本の最高学府はA判定、

嗜みとして身に着けさせた護身術の空手は部活のインターハイで優勝、この大会で発揮された料理などの家事でも凡庸ならざる才覚を発揮させていまーす。

 孔雀舞は果たして彼女を打ち破ることが出来るでしょうか……」

 

 ペガサスの後ろでは、海馬KC幹部、大下幸一郎がやや渋い顔をしてモニターを見ていた。

 

「ううーむ、出来自体は優秀なのだが、有り余る才覚で世の中や人をナメてかかる傾向があるのは相変わらずか……

 この大会では、むしろ多少は壁に突き当たってくれるといいのだが……そういう意味では、正直あのハーピィーレディー使いの方を応援している方だな。」

 

――――――――――――――――――――――

 

 舞がフィールド魔法を置くと、ヴォン!と、ゴンドラ周辺が荒野のような場所に変わった。

 まだモンスターが出ていないにも関わらず、ゴンドラ周辺には、ハーピィーレディーが飛び回り、キシャ―、キシャ―、と獲物を狙う猛禽の目でプレイヤーを睥睨していた。

 

「来なさい!≪ハーピィー・レディー≫」

 

シャー! 

ハーピィ・レディ ATK1300→1500 DFP 1400→1600 (≪ハーピィーの狩場≫により、攻守200アップ)

 

 フィールドを飛び回るハーピィーと見た目が同じハーピィがモンスターとしてフィールドに現れるや否や、フィールド魔法によるグラフィックでゴンドラ周辺を飛び回っていたハーピィーが突如大門のセットカードに羽根を放った。

 

私のフィールド(ハーピィの狩場)では、≪ハーピィ・レディ≫が場に出た時に魔法・罠は破壊させられる。

 小賢しい伏せカードなんか、通用しないわよ。」

「んじゃーその罠はつどー。

≪メタバース≫でデッキからフィールド魔法を張り替えね。」

「何ですって!?」

「確かフィールド魔法って1枚しかありえないんだよね?」

 

 荒野の風景が辺りのハーピィーごとヒビが入りバリンと割れたかと思うと、新たに密林の集落のようなフィールドとなり、ハーピィーのステータスも元に戻った。

 そして新たなフィールドに張り替えられたゴンドラの外には、またもやフィールド魔法の効果によるモンスター達が現れた。

 大下同様の、褐色の肌を持つ野性的な印象の美麗な戦士たち。

 その威容に、孔雀舞は思わず身をすくめた。

 

「な、なんなのこいつら?」

「≪アマゾネスの里≫。

 こっからはアタシの番ね。」

「まだ私のターンは終わってないわよ!

 そう……≪アマゾネス≫……それがあんたのモンスターってわけ。

(となると、恐らくあのセットモンスターは私のと同様、フィールド魔法の効果によってステータスがアップされているアマゾネスモンスター。

まだ羽根帚はないけれど……)

突っ切るわ!これでハーピィをより強く彩る!

≪サイバーボンテージ≫を装備!」

 

ハーピィ・レディーの胸当てや四肢に仰々しいプロテクターが装着され、そのステータスが上昇した。

 

 ハーピィ・レディ ATK1300→1800

 

「バトル!行きなさいハーピィ・レディ!

 スクラッチ・クラッシュ!」

 

キシャ―!バシュン!

 

「破壊された≪荒野の女戦士≫の効果はつどー。

 現れろ、頂に立つ宿命と闘気備えし戦姫、≪アマゾネス王女≫。」

 

トリャーッ!

羽根飾りがついた大きな被り物をして長槍を持った、浅黒い活発な印象の少女がフィールドに降り立った。

 

「効果発動。≪アマゾネス≫魔法、罠。≪アマゾネスの叫声≫を持ってくる。」

「クッ!私はカードを1枚セットして、ターンエンド。」

「アタシのターン、ドロー。

≪アマゾネスの叫声≫で、デッキから≪アマゾネスの戦士長≫をサーチして特殊召喚。」

 

 ハッ!

ただでさえ大柄でそんな彼女の身長程もある長い槍を持った、如何にも荒々しい印象の女戦士が、小柄な女王の横に召喚されたことで更にその威容を強調させる形でフィールドに降り立った。

 

「戦士長の効果。

 デッキから≪アマゾネスの急襲≫をセット。

 バトル。

 ≪アマゾネスの戦士長≫で、ハーピィ・レディを攻撃。」

 

ハアアアアア!!

 元来の1900という高ステータスに加えて専用フィールド魔法、≪アマゾネスの里≫の効果で2100にまで上がっている戦士長が、長槍を構えて一直線に攻撃力1800のハーピィ・レディに咆哮と共に突撃してきた。

 しかし、孔雀舞は慌てる様子もなく、リバースカードを発動させた。

 

「私のハーピィは傷つけさせないわ!

 罠カード、≪銀幕の鏡壁≫!

 攻撃してきたモンスターの攻撃を半減させる。

 つ・ま・り。

 戦士長の攻撃力はたった1050。

 野蛮な力押しでは私のハーピィーは倒せないわよ。

 返り討ちなさい、ハーピィー!」

 

 戦士長の前に鏡の壁が出てき、鏡に映った自分の姿を突いた戦士長の攻撃力が下がるや、壁の向こうから現れたハーピィ・レディが容赦なく≪アマゾネスの戦士長≫に襲い掛かった。

 

バシュ!

 

大下 LP 4000→3250

 

「ふーん、≪アマゾネスの里≫の効果発動。

 1ターンに1度、≪アマゾネス≫モンスターが破壊された場合、そのレベル以下の≪アマゾネス≫モンスターを特殊召喚できる。」

「レベル4じゃ、どんな脳筋モンスターを呼んでも銀幕に守られたハーピィに勝てないわ。」

「こっちとしてはミラフォじゃなくて安心したわ。

 ≪アマゾネスの斥候≫特殊召喚、そのまま攻撃。」

「はあ?」

 

 孔雀舞が思わず奇声を上げるのも無理はない。

 里によるバンプを加えても1000にしかならない小柄な斥候が、銀幕によって500にまで下がったことでボンテージをつけた攻撃力1800のハーピィ・レディにあえなく倒された。

 

大下 LP 3250→1950

「里の効果は1ターンに1度だけ。

 代わりに斥候は、戦闘破壊された場合墓地から≪アマゾネス≫モンスター1体を手札に戻す。

 これで戦士長を回収。」

「………あんた、それでも決闘者?

自分のモンスターをそんな風に扱って、心が痛まないの?」

「要は勝てばいいんじゃね?」

「………気に入らないわね。」

「じゃあ、≪アマゾネス霊術師≫を≪アマゾネス王女≫を手札に戻して手札から特殊召喚(守備表示)。

 この効果でデッキから≪融合≫を手札に加えて、≪アマゾネス王女≫を通常召喚して、効果で≪アマゾネス転生術≫を手札に加えてセット。

 ターンエンド。」

 

孔雀舞 LP 4000 手札2枚

銀幕の鏡壁 サイバー・ボンテージ(ハーピィ・レディ)

ハーピィ・レディ ATK1800

 

フィールド魔法 アマゾネスの里

 

大下 由美子 LP1950 手札6枚(融合 アマゾネスの戦士長)

アマゾネス霊術師(守備表示) DEF 1800 アマゾネス女王 ATK 1400

(アマゾネス転生術)(アマゾネスの急襲)

 

(何なの?相手のライフは大幅に下がっていて、銀幕によって完全に攻撃が封じられている。

 サイバー・ボンテージで強化されたハーピィで女王を撃破出来るし、ドロー次第では霊術師の方すら撃破して一掃が可能。

 盤面では私の方が圧倒的優位なのに。

 この女の余裕は。追い詰められているこの感覚は。)

 

 決闘者としての感で不穏さを感じている孔雀舞とは対照的に、やることをやり切ったといった感じの大下は、懐から細長いものを取り出した。

 

「あんた、何それ?」

「ん?ガム。クチャクチャ。

 アタシの好きなオレンジ味。」

 

 あまりに対戦相手を舐めた態度に、孔雀舞の頭がガアッと沸き立ち、それまで慄いていた体の緊張が吹き飛んだ。

 

(こ、このクソガキがっ!!)

「ドロー!

 クッ、≪銀幕の鏡壁≫は、スタンバイフェイズに維持コストでライフポイントを1000支払う。

 でも、とうとう引いたわ。エースモンスターを呼び込む、私のデッキのキーカード。」

「へえ。クチュクチュ」

「≪万華鏡 華麗なる分身≫!

 来なさい!≪ハーピィレディ・三姉妹≫!」

 それまでいた≪ハーピィ・レディ≫に加え、

更に三体(内一体は、既にいるハーピィ・レディと同一個体らしい)、モンスターとして場に召喚されたのは二体ながらソリッドビジョンでは合計四体ものハーピィ・レディが並んだ。

「貴方の伏せカード二枚は何れも罠カード。

 だったら、これでそれを封じるわ。

 ハーピィ・レディの必殺技カード≪トライアングル・X(エクスタシー)・スパーク≫!」

「チェーンして、≪アマゾネス転生術≫発動。

 アタシの二体≪アマゾネス≫モンスターを破壊して、墓地から同じ数の≪アマゾネス≫モンスターを特殊召喚する。

 ≪アマゾネス王女≫、≪アマゾネスの斥候≫を特殊召喚。

 ≪アマゾネス王女≫の効果で≪アマゾネスの叫声≫をサーチ。

 ん。ガム食べ終わった。」

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

ペガサス城内部

 

「あれ?≪トライアングル・X・スパーク≫で罠カードは発動することが出来ないのではなかったっすか?」

 戦いを観戦していたオレンジ色の髪をしたメイドの質問に、デュエルモンスターズの創造主であるペガサスが答えた。

「≪トライアングル・X・スパーク≫により罠カードが封じられるのは、そのカードの効果がチェーン処理で適用されてからでーす。

 ≪トライアングル・X・スパーク≫の発動自体へのチェーンは、まだ罠カードを発動することが出来るタイミングなのです。

 大下ガールは孔雀舞のカードがハーピィ軸であることを知ってスマホで調べたハーピィカードで、その戦法を見抜いて対応するトラップを仕込んでいたのでしょう。」

 

 それを聞いたその場の者達、質問者のメイドは勿論のこと、KC幹部、ペガサスによって育てられたペガサスチルドレン達は戦慄した。

 彼等腕利きのデュエリストを以てしてすら、たった今知って調べたテーマとカードなど、その戦法や回し方すらまず自身で何度も確かめる必要があるというのに、ペガサスが「ジーニアス」と称した彼女はデュエルの最中にとっさにそれへの対抗策までをも導き出してしまったというのか。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「最後に、私の可愛いペットに登場してもらうわ。

 いでよ、忠実なるハーピィの僕。

 ≪ハーピィズペット仔ドラゴン≫」

 

 それまで華麗な印象のモンスターが並んでいた孔雀舞のフィールドに、突如似つかわしくない小型のドラゴンが現れた。

 よく見るとそのドラゴンの首には首輪が繋がれており、召喚されていた≪ハーピィ・レディ≫がそのドラゴンのリードを握って自分に匹敵する身長のドラゴンを当然のように従えていた。

 

「≪ハーピィズペット仔ドラゴン≫は、フィールドに主の≪ハーピィ≫が2体存在するとき、力が倍になる。

 今、この子の攻撃力は2400!

 これで、あなたの場のモンスターを一掃して、私の勝ちよ!

 さあ、≪ハーピィ・レディ≫!≪アマゾネス王女≫を攻撃なさい!

 スクラッチ・クラッシュ!」

「≪アマゾネスの里≫の効果。

 デッキから、≪アマゾネスペット仔虎≫を特殊召喚、当然守備表示。」

ニャー。

 王女の危機に、虎というよりは虎柄の猫を思わせる獣族モンスターが特殊召喚された。

「く。ライフは削れないわね。

 だけど、あなたのモンスターは全滅させるわよ。

 ≪ハーピィズペット仔ドラゴン≫!その猫ちゃんを攻撃なさい!

スレイブ・ブレス!」

ギャオー!という咆哮と共にドラゴンから放たれた火炎放射に、成すすべなく仔虎がニ

ャー!と、焼かれて消滅した。

「これで最後!

 ≪トライアングル・X・スパーク≫!」

「≪アマゾネスの斥候≫の効果、忘れないでよね。

 墓地から≪アマゾネス王女≫を、手札に回収。」

「ターンエンド。」(銀幕は次のターンが限界か。でも、相手の盤面を一掃したし、何とか凌げそうね。)

「わたしんターン。

 ドロー。

 墓地の≪アマゾネス霊術師≫の効果。

 自分フィールドの≪アマゾネスの里≫を手札に戻し、このカードを特殊召喚。」

 

 戦乙女であるアマゾネス達の中では比較的大人しそうな印象の個体がフィールドに現れ

ると共にソリッドビジョンによる周囲の里の風景が割れ、まるで夢から覚めたかのように

辺りは、日の入り寸前の草原に変わった。

 太下の褐色の顔が、夕暮れの群青色と陽光により微かに残ったオレンジのグラデーションを描いていく。

 

「効果で≪融合≫を更にデッキからサーチしつつ、墓地の≪アマゾネスペット仔虎≫を特殊召喚。」ニャー。

「あたしんフィールドが≪アマゾネス≫のみのため、≪アマゾネスの戦士長≫を特殊召喚。」フンッ。

「≪アマゾネスの戦士長≫の効果でデッキから≪アマゾネスの秘宝≫をセット。」

「≪アマゾネスの叫声≫でデッキから≪アマゾネス女王≫をサーチ。

 ≪増援≫で、≪アマゾネスの剣士≫をサーチして召喚。」ハアッ!

「セットしていた≪アマゾネスの秘宝≫を≪アマゾネスの剣士≫に装備。」

「墓地の≪アマゾネスの叫声≫を≪アマゾネスの剣士≫を対象にして除外。

 バトル。

 バトルフェイズ開始時、罠カード≪アマゾネスの急襲≫を発動させて効果使用。

 手札から≪アマゾネス女王≫を特殊召喚して

 ≪アマゾネスの剣士≫で≪ハーピィズペット仔ドラゴン≫に攻撃。」ハアッ!

「何を考えているの!?≪ハーピィズペット仔ドラゴン≫の攻撃力は2400。

 銀幕で攻撃力が750に半減した≪アマゾネスの剣士≫では歯が立たないのよ!」

 驚愕する舞だが、攻撃を取り消す動作がない大下の指示で、褐色の剣士がドラゴンに切りかかり………

 

「ハアアアアアァァァァア!!!」

 

 バシュッ!

 

「………え?」

 

 孔雀舞は、デュエルマスターズのルール自体が咄嗟に変わってしまったのかと本気で思った。

 目の前の事態は、いっそその方が納得出来てしまうくらいに、理解不能だった。

 デュエルでは、攻撃表示同士のモンスター戦闘は、攻撃力が低いモンスターの方が破壊され、その差分のダメージを受けるはずだ。

 なのに。

 

「どうして………どうして、≪ハーピィズペット仔ドラゴン≫が破壊されて、私の方のライフが減っているの!?」

 

孔雀舞 LP 3000→1350

 

「≪アマゾネスの剣士≫の戦闘で受けるダメージは、相手に受けさすの。

 そして、≪アマゾネスの秘宝≫は、装備モンスターと戦闘を行ったモンスターを効果で破壊し、≪アマゾネス女王≫が場にいる限り、≪アマゾネス≫モンスターは戦闘で破壊されない。

 そして、≪アマゾネスの剣士≫で、今度は≪ハーピィー・レディ三姉妹≫を攻撃。」

「待ちなさい!モンスター1体は1回しか攻撃出来ないはずよ!」

「≪アマゾネス叫声≫の除外効果で、剣士のみによって全ての相手モンスターに攻撃できんの。」

「じゃ、じゃあ………」

 

ハアアアアア!!

キシャアアアアアア!!

ビカアアアアアア!

ギャアアアアアア!

 呆然とする孔雀舞の前で、剣士に切りかかられたハーピィが反撃したものの、剣士が身に着けた秘宝が輝き出して逆にハーピィ達を焼く。

 そしてその痛みは、本来受けるべき者ではなく相手に返される。

 

孔雀舞 LP 1350→1050

 

「いや……やめて……私の、ハーピィを……」

 

 付き合いがあってまだ2日しかないものの、城之内や遊戯達には到底信じられない、少女のようにか弱い表情と弱弱しい声音で嘆願する舞。

 サレンダーしようとするものの、機器は自分のターンでないとサレンダーを認めない。

 或いはそれが、冷徹な鎧に隠してきた、孔雀舞という「女」の本質なのかもしれない。

 

「≪アマゾネスの剣士≫で≪ハーピィ・レディ≫に攻撃」

「やめてえええええええ!!」

 

孔雀舞 LP 1050→0

 

「やりー。

 これで終わりーっと。」

 

 日が、完全に沈んだ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『ヴィヴィアンの方が強かったなー』

 

 さしたる苦戦の色合いもなく、準備運動がてらといった様子で試合を後にする大下由美子の映像が流れるペガサス城内で、KC幹部達は思い思いに言い合っていた。

 

「ふむ、やはりあの女では勝てんかったか。」

「元来なら、闇のPKにやられて脱落してたような奴だったからな。」

「本選の相手なら、もう少し歯ごたえのある相手と会えるだろう。」

 

 ペガサスはその時、部屋の隅にいつの間にか『いた』男に視線を向けた。

()()()()()()、君も何か言うことがあるのですか?」

「………先程の者が言ったことは正しい。

 彼女は、あの夜の敗北の時点で退くべきだった。

 誇りを捻じ曲げて得た勝利や栄光には、いずれ裁きが下される。」

「今回の敗北のように?」

「いや。彼女がこの戦いにおいて栄光を掴むに至らないのは、この戦いが始まってから定められた宿命。

 彼女に下される裁きは、これから訪れる。

 あの夜の決断を心から後悔する、その裁きが、いずれ……」

 

決闘王国本選出場者

 

・小波遊一

・大下由美子

・キース・ハワード

・城之内克也

 

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