ところでブリッジトイボックスのIncenceの意味ですが……調べてみると面白いかもです。
あと今回はわりと原作改変あります。でも多分無くても大丈夫なシーン……のはず。
翌日、アビドス市内の病院。
セリカとアヤネはお見舞いの品を持って、ある病室へ向かっていた。
「大将、大丈夫かな……」
「ケガの方は、特に問題なかったと思うけど?」
「そうじゃなくて。……お店のこと」
「あ……」
「跡形も無くなっちゃったし、それで塞ぎこんでたらどうしようかなって……」
「あ、あの人なら大丈夫だよ!きっと」
アヤネとセリカはそう話しながら、目の前の病室の扉を開けた。
「この馬鹿弟子がーーっ!!!」
「師匠ーーーー!!?」
「「た、大将ーーーーっ!!?」」
よく分からない渦に巻き込まれた大将に二人が悲鳴を上げるが、それを上回る怒声が病室に吹き荒れる。
「あれほど朝の仕込みと不審物の確認は徹底しろといったのになんだいそのざまは!えぇ!?」
「し、師匠……これには訳が」
「理由も何もあるか!あたしの眼が無いからってまた腑抜けに戻ったのかぁぁ!!?」
「ちょ、いだだだだだ!!傷が!傷が開いちまう!!」
「安心しな、骨折は唾つけりゃ治る」
「それで治ったら俺ここにいねぇって!?」
突如病室で起こった怪奇現象に立ち尽くしていると、柴大将の視線がセリカを見た。
「ん?セリカちゃんじゃないか。それにアヤネちゃんも」
「あ、た、大将」
「セリカ?」
大将を怒鳴りつけていた、おそらく佐賀犬と思しき犬の女性が二人を睨みつけた。その眼光は犬と言うよりかは得物を狙う山犬のようで、一年生二人の喉から空気が抜ける。服越しにも分かる筋肉が、ただのおばさんではないことを言葉にするまでもなく、ありありと語っていた。
「セリカってことは……ああ、柴んとこのバイトかい。こんな朝早くからご苦労だねぇ」
「ど、どうも……」
「えと、貴方は?」
「そういえば名乗ってなかったね。
あたしはD.Uで飯屋やってる赤熊食堂の女将さ。うちの馬鹿弟子36号が店を爆破されたなんて泣き言言うから喝を入れに来たんだよ」
女将は柴大将の頬をぐりぐりしながら話しかける。見てくれはヤ○ザそのものだが、大人の常識を持ち合わせていそうな人だ。
ただセリカもアヤネも、ミシガンの如き右ストレート(回転)を直視したせいで未だに2メートルほど距離を置いているが、まぁ気にしていないのだろう。女将は陽気に笑っている。
「すまねぇな、セリカちゃん。バイトできなくなっちゃって」
「そういう問題じゃなくて……」
「あ、これ。お見舞いの品です」
「おお、ありがとうなアヤネちゃん」
「全く。お客さんによいしょにおんぶかい。そういうところは直っちゃいないんだから」
女将の文句に、大将は耳を下げながら申し訳なさそうに謝った。
「ほんとすまねぇ、二人とも。師匠にも、謝らなきゃいけねぇ」
「なんだい、んな神妙な顔して」
「……ホントはもっと早く言うつもりだったんだ」
「大将?」
「実は、ちょっと前から退去通知を受け取っててな、もうすぐお店を畳む予定だったんだ」
「た、退去通知?な、何の話ですか?アビドス自治区の建物の所有者は、アビドス高校で……」
「……そうか、君たちは知らなかったんだな……
何年か前、アビドスの生徒会が借金を返せなくて、建物と土地の所有権が移ったんだ」
「えっ!?」
「う、嘘!?アビドスの自治区なのに!?じゃあ今は一体誰が!?」
動揺する二人に、女将は口を挟んだ。
「そういうことは早く言いなこのドベ!おかげで嬢ちゃんたちにも迷惑かけてんじゃないか!」
「いでぇ!?わ、悪い。セリカちゃん、アヤネちゃん」
「いや、大将が謝ることはないし……それよりミシガン先生に伝えないと!」
「ミシガン?あの頑固親父のことかい」
「え、女将さん。知ってるんですか?」
「知ってるも何も、あいつはうちの店の常連さ。しばらく顔を見せないと思ったら……なるほどね、そういうことかい」
「大将の師匠の知り合いって、そういうことだったんだ……」
セリカとアヤネはお見舞いを置くと、すぐに扉へ駆け出した。
「すみません!私たちはやることがあるので、これで!」
「大将、早く元気になってね!」
「おう待ちな嬢ちゃんども!」
病室から外に出ようとした二人を、女将の大声が止める。
「ミシガンの親父に会ったら伝えときな。『うちのバイトは明日休みだ』ってな」
「「?」」
「ほら、早く行きな!急いでるんだろ」
「俺の事は気にしなくていいから、行ってくれ」
今度こそ病室の扉を開け、二人は走り抜けていった。
「……そういえば、店の前に金の入ったカバンが置いてあったんだが、聞くの忘れちまったなぁ」
「大方あんたの鈍臭さに飽きれたおてんとさんが置いてってくれたんだろ?遠慮なく使わせてもらいな」
「わ、分かったよ師匠……」
朝の太陽を直視し、砂混じりの空気を思い切り吸って吐き出しながら、誰もいない校門を抜ける。キヴォトスに来て二度目の徹夜。一回目は連邦の方から回された書類の山だったか。
まさかアビドスにここまで資料が残っていなかったとは、おかげでただの調べ物に大分時間を食わされた。が、収穫はあった。
アビドス自治区は既にアビドスのものではなかった。今の別校舎以外のほぼ全て、約98%ほどがカイザーコンストラクションの所有している土地だった。
背負っている借金の担保か、返済の足しにか。自らの土地を二束三文でカイザー側に売り渡したのだろう。結局は、その場しのぎの対応に過ぎなかったのだろうが。
書類の取引が行われているだけ、ルビコンよりはマシかと考える自分をぶん殴っておく。校舎の目と鼻の先までその手を伸ばしている、一目見ればそうと分かる強圧的なドミナント戦略。ベイラムが得意としていた勢力拡大の手法だ。
そして昨日、撤退直前にゲヘナの風紀委員長が耳打ちした言葉。
『アビドスの捨てられた砂漠で、カイザーが何か企んでる』
つまり、カイザーの狙いはこの土地にあるということだ。書類では何が狙いなのかまでは分からなかったが、敵の目的が鮮明になっただけ大きな一歩といえるだろう。
だがもう一つ知りたいことがある。それもあいつしか知らないであろう情報が。
「ホシノ、いるか?」
扉を開けてそう言うと、いつもの定位置にホシノはいた。ノノミとシロコも座っている。
だが空気が悪い。さっきまで喧嘩していましたよ、みたいな雰囲気が隠し切れないくらい漏れている。シロコがちらちらとホシノを流し見してるからそこの間でか。当のホシノも寝ぼけているように警戒をしている。
「お前ら二人が喧嘩とは珍しいな、昼寝場所の取り合いでもしたか」
「先生……」
ノノミが何か言いだそうとすると、ドタドタと廊下を走る音が聞こえ、後ろの扉が再び開いた。
「先生、いる!?」
「廊下は走るな!砂埃でスケートでもするつもりか!?」
「あ、ご、ごめん……ってそんなこと言ってる場合じゃなくて!」
セリカとアヤネが揃い、今日の対策委員会は号令なしで始まった。
「アビドスの自治区を、カイザーコーポレーションが所有している……!?ホントですか、先生!?」
「ああ、かき集めた退去通知は全てカイザーコンストラクションから出されたものだ」
「……柴関ラーメンも?」
「……はい。大将はそのことを知っていて、ずいぶん前から退去命令も出ていたとかで……」
アヤネが沈痛な面持ちで、大将から聞いたことを話す。いくつかボロが出ていたのに改装しなかったのは、そういうことか。あのババァの弟子が店の掃除をしないはずはないと思ってはいたが……
「で、ですが、どうしてこんなことに?学校の自治区の土地を取引だなんて、普通できるはずが……」
「アビドスの生徒会しかいない、そうだろう」
「うん……先生の言うとおり。土地の取引をしたのはアビドスの生徒会だと思う」
俺の発言にホシノが肯定する。しかし「思う」か。
「おそらくアビドスの生徒会は、借金のカタか何かでカイザーに土地を売ったんだろう。だが駅近五分の好物件ならともかく、普通こんな砂漠の辺境に値はつかない。それを繰り返した結果が、今のアビドスだ」
セリカがギリギリと拳を握り続ける。着火寸前の爆弾の頭に手を当てると、肩の力が少しだけ抜けたのが分かった。その怒りは、今ここで開放するもんじゃない。
「俺が確認できる限りだが、最後に取引が行われたのは2年前の3月。アビドスの生徒会が取引したことによる近くの住民への退去命令だ。ホシノ、その取引の書類か何かは持っているか」
「……ごめんね~先生、そこまで調べさせちゃって。でも、そもそも私もその辺の生徒会の先輩たちとは、実際に関わりは無くってさー。私が生徒会に入った時には、もう生徒会の人たちはほとんど辞めちゃってたから」
ホシノが当時のアビドスの状況を訥々と話し出す。二桁の在校生に加え教職員もなし、当然授業はとうの昔からやれなくなった。砂漠化から逃げるように校舎をとっかえひっかえしていた時期で、形式的な書類すらも無かったという。
もはや戦争に巻き込まれた学校の如くだ。しかも相手は自然災害、銃を向けるべき人間もいない。八方塞がり、四面楚歌。まさにそういった苦境だったという。
ホシノはそれを後悔していたが、シロコのフォローにより気まずい空気は換気できた。一人で突っ走るだけかと思えば、よくできた後輩だ。ホシノは気づいているのだろうか。
「話を戻すぞ。アビドスは最初から騙されていた。
カイザーローンからの借金を圧力に、土地をカイザーコンストラクションに売る。そうやってアビドスをカイザーの物にし、ゆくゆくはアビドス全域がカイザーのものとなる。奴らのシナリオはこうだろう」
「ですがアビドスの生徒会が消えてしまい、土地の購入が出来なくなりました。そして「最後の土地」であるこの学校を奪うために、ヘルメット団と便利屋さんたちを雇用していた……!」
「カイザーの狙いはお金じゃなくて土地だった……悔しいけど、私たちはずっと騙されてたってことなのね……でも、なんでカイザーの奴らは土地を狙ってたの?」
「アビドス自治区は、もうほとんどが荒れ地と砂漠、砂まみれの廃墟になっているのに……」
「……」
「……先生?」
「……昨日ゲヘナの風紀委員長、空崎ヒナが言っていたことだ。
『アビドスの捨てられた砂漠で、カイザーコーポレーションが何かを企んでる』。万魔殿もティーパーティーも知らない情報、と言っていた」
俺の発言に、対策委員会は疑問の声をあげる。なぜそんなことをゲヘナの風紀委員長が知っているのか、だが。
「俺の推測だが……この砂漠に何かの資源を求めて来ているんだろう」
「資源……ですか?」
「でも、アビドスには油田も鉱脈もないと、地質調査の記録には書いてありましたよ」
それはここに来た初日に目を通している。
俺が感じているのは、この状況だ。
廃れかけた地元の組織に、それを脅かす企業の圧力。そして両者の求めるもの……
「昔、こういう状況になった時がある」
「アビドスと?」
「ああ。といってもここじゃない。
ルビコン3、辺境の星の話だ。
そこでコーラルという物質が発見されてな。情報導体として優れた伝達速度、燃やせば半世紀以上安定稼働し続けるエネルギー。他にもドラッグになったりだのなんだの……ガキが絵に書いたような、夢のような資源だった」
「情報導体とエネルギーにドラッグ……?なんか、盛りすぎじゃない?私だったら詐欺だと思うけど」
「多少は知恵がついたようだなセリカ、俺も耳に聞く限りじゃそう思った。だが幸か不幸か、コーラルの特性は事実だった。
多くの企業がコーラルを手に入れようとルビコンへ入星した。だがルビコンでは現地の住民が既にコーラルを利用して生計を立てていた。企業はそれを手に入れようとし、住民はそれに抵抗を始め……」
「そこで戦争が起きた」
ホシノがそう括り、ノノミが口を出す。
「じゃあアビドスにも、そのコーラルがあるかもしれない、ということですか?」
「そうは言っとらん。だがカイザーの連中が求めているのは、それに近いものなんだろう」
「石油とかじゃない、ある意味異常な物。ってことか」
そこでセリカが勢いよく手を挙げる。
「色々あるのは分かるけど……とにかく、カイザーがうちらの自治区で何かしてるのは事実なんでしょ?なら、直接行って確かめれば――!」
「その話なんだけどさ」
二の句を継ごうとしたセリカを、ホシノが止めた。
「ちょっと、明日にしないかな?」
「ホシノ先輩……?」
「……」
「いや、ちょっと今日はよく寝れなくてさ。砂漠を横断するのはおじさんの体力的にきついかなーって」
「あんなにいつも昼寝してるのに……?」
「それは一理あるかもしれませんが……」
「それにさ、シャーレの生徒さんたちも、明日応援に来れるんでしょ?せっかくだし、大人数で行った方が良いんじゃないかなー?あ、いや言い訳とかじゃないからねー?」
あからさまなホシノの誘導に、流石にセリカでもばれる違和感はあったようだ。前なら拳骨を食らわせてでも聞き出すところだったが、はぁ。
「……まぁ、いいだろう。不眠症のおじさんの尻ぬぐいはしてやる。今日は全員明日に備える、ということでいいな?」
了承を得、その日の対策委員会は解散となった。
俺も流石に溜まりまくったシャーレの書類を少し片づけておくか、と出る矢先、
「先生、ちょっと時間いい」
誰も居なくなった廊下にシロコが立ちはだかっていた。
雲の多い夜空だった。
いつもなら見えるはずの一等星が雲に隠れて、いつもより心なしか暗い。そんな夜でも相変わらず風は涼しくて、頭を冷やすのにはちょうどいい、これ以上ない適温である。
にもかかわらず、小さな影は砂粒が鬱陶しそうに頭を振る。水気の取れない犬のように。
屋上の扉が開き、大股に踏みしだく足音が聞こえた。
「小鳥遊ホシノ」
「あ、先生」
シャーレからやってきた大人は、いつもより厳めしい顔つきでこちらに向かってきていた。
「先生も大変だねー、こんな夜遅くまでお仕事なんて。体壊しちゃうよ?」
「俺が何の用でここに来たか分かっているな」
ホシノのはぐらかしを一蹴し、ミシガンはホシノを見下ろす。年端のいかない少女と歴戦の偉丈夫が並ぶ姿は、否が応でもその差、というものに目が行ってしまうが、彼にしてみれば些事だった。
ホシノの答えを待たず、ミシガンはそれを目前に押し付けた。
”退部・退会届 小鳥遊ホシノ”と書かれた紙を。
「それって……うへ~、いつの間に……!これ、盗ったのはきっとシロコちゃんだよね?」
「自覚があるならお前が指導しろ。それで、聞かせてもらおうか」
「うーん。逃がしてくれそうには……ないよね~?」
「お前が夜の40kmジョギングをやりたいなら逃げてもいいが?」
「……分かったよ。でも、面と向かってっていうのも何だし……先生、ちょっとその辺一緒に歩かない?」
そうして屋上を降り、誰も居なくなった校舎を二人が歩く。砂まみれの校舎に文句を言いながら、儚い笑顔を月光で彩りながら。俺がこんな雅な表現をするとはと、男は内心せせら笑う。
「……砂漠化が進む前、アビドスはかなり大きくて力のある学校だったって言われてるけど……そんな記憶も実感も、おじさんには全く無いんだよね~。最初から全部めちゃくちゃで、ちゃんとしたものなんて何一つない学校だった。おじさんが入学した時のアビドス本館は、今はもう砂漠の中に埋もれちゃったし。当時の先輩たちだって、もうみんないなくなっちゃった」
少女の脳裏に一人、男の記憶に一つ。校内随一のバカと呼ばれた生徒会長がよぎる。開け放たれた窓から入る夜風が、分不相応な長い髪を靡かせ続けた。
「……ま、でもここに来てシロコちゃんやノノミちゃん、アヤネちゃんにセリカちゃんと会えたから……うへ、やっぱり好きなのかもしれないな~」
ホシノは笑みを消し、不動と立つミシガンを真っ直ぐ見た。二色の瞳が、褪せながらも燃える瞳を見抜く。
「先生、正直に話すよ
私は2年前から、変な奴らから提案を受けてた。カイザーコーポレーション……提案というかスカウトというか……アビドスに入学した直後からずっと、何回もね。奴らに入れば、借金を半分建て替えるって」
その発言に、男は訝しむように睨んだ。その眼は、少女を見てはいない。
「それは誰から見たって破格の条件だった。でも、当時は私がいなくなったらアビドス高校が崩壊するって思ってたからこそ、ずっと断ってたけど……あいつら、PMCで使える人材を集めているみたい」
「たった一人の小娘に、それだけの条件を出してか?」
その疑問に、ホシノは黙り込む。一秒にも満たない時間だった。
「昨日の空からの奇襲、お前はあれが何だか知っているな」
「……うん、そうだよあれだけのものに攻め込まれたら、アビドスは……」
「増援と共に向かうつもりで昼間ああ言った、そう取っていいな」
頷き、俯く顔に何が浮かんでいたのか、この場の誰にもそれは分からなかった。
ホシノは唇の端を歪め、再び男に向き直る。
「先生。私からも一つ、聞いていいかな」
沈黙が答えだった。
「お昼に、ルビコンって星の話をしてたよね。資源獲得競争……企業がカイザーで、ルビコンの人たちが私たちって例え話。あれでさ……
先生は、どっち側だったの?」
「企業側だ」
「……そっか」
その答えに満足したのか、少女は話を終わらせようとして。
「あの昔話には前日譚があってな」
「……?」
「昔別の企業に所属していた俺は、その企業と戦争することになってな。兵站を荒らして物量だけの戦力を真正面から粉砕してやった。
だが戦争には負けた。停戦条約で奴らが俺の身柄を要求してきてな、その条件だけは吞むしか無かった」
「……」
「ここからが問題だ。俺がその企業、ベイラムに入った直後にやったことがある。何だか分かるか?」
ホシノは小さい頭を揺らしながら悩みぬくが、答えは出なかった。
「貴様には社会の勉強が必要なようだなホシノ……答え合わせは明日にしてやる。今日はもう帰って寝ろ」
「……うん、分かった」
ホシノはまた表情をとろけさせて、退部届を窓から放り投げた。
「うへ~、スッキリした。ごめんね先生、こんな話に夜遅くまで付き合わせちゃって」
「シロコは随分と心配していたぞ。俺ならこれを見た時点で一発入れているところだ」
「う、うへっ。シロコちゃんには感謝しないとだな~。
いや……皆には明日ちゃんと話さなくちゃ。随分心配かけちゃったみたいだし。
じゃあ、さよなら」
校門に向かって歩き出すホシノの背中が、今にも消え入りそうだった。
「ホシノ!」
驚いて振り返った先には、こちらを真っ直ぐと見つめる、
「俺は遅刻の理由は聞かんからな。よく頭に入れておけよ!」
呆然とする少女は、ニヘラと笑った。
「……うん。分かったよ、今日は早めに寝るね
ありがとう、先生」
その翌日。
対策委員会は4人となった。
カイザー理事なんていなかった(嘘)
巻きで行くって言ったのにあんたに取る尺まで用意できないよ。