パヴァーヌ前の小休止のような回です。手抜きは否めませんが、楽しんでいただけると幸いです。
そういえばこの小説を書き始めてそろそろ1年ですね……私はご友人方に何か特別な贈り物を届けられるでしょうか……心配だ……
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AL-1S、記述開始。
今私は日記を書いています。拾い主レイヴンに、勧められたからです。私の今後に役立つから、と言っていました。意味の理解……不能。
曰く参照するデータ量を増やすだけでは、不十分であるらしいです。日記はその解決に役立つためであるとのこと。記述を継続していく。記述終了。
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AL-1S、記述開始。
昨日日記を見せたところ、昨日の出来事は?と言われました。日記は、一日の出来事を書くものであると修正。しかし昨日の分を消そうとするとレイヴンに止められ、「それも日記だ」と言われた。・・・理解不能。
今日は国語の教科書を読了。昨日は確か社会の教科書を読了。記憶野への記録率98%。昨日の社会の教科書の範囲を聞かれ、正しく解答。頭を撫でられ・・・
不可解な感情が発生。記述終了。
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AL-1S、記述開始。
・・・昨日と同じ作業を終了。本機が覚醒してから、100日目経過。
レイヴンから甘味をもらいました。ケーキというものでした。とても、甘かったです。今日は私の記念日だから、のようです。
記念日の概念を質問。「1年に一度、自分にとって大切な日を祝う」と回答を受ける。疑問、その理由は何か。
「記憶は歪んでいく。思い出す作業が大事なのだ」と言われました。
・・・記憶領域に保存。記述終了。
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AL-1S、記述開始。
本日は定期検査の日。実験室内での武装使用や身体能力を発揮。
以前までは見たことの無い武器を確認、質問。ACの武装を人の扱える形にダウンサイジングしたものであることが判明。いつもより武器の使い心地というものを細かく聞かれた。いつか売るらしい。
終了後にゲマトリアのメンバーと遭遇。直接話す機会は無かったが「仲睦まじい様子で何よりです」と言われた。警戒度を引き上げる。
記述終了。
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AL-1S記述開始。
今日はレイヴンのガレージへ出向く。・・・掃除の必要性を強く確認。強制掃除開始。レイヴンが不調を訴え、しばらく休む。
ガレージにはACと、多くの部品が転がっていた(過去形)。ACは埃を被っており、しばらく動かされた形跡は無し。動かす予定があるのかと質問、「いずれ動かす、動かさなければいけない」と回答。
「やってみるか?」と聞かれる。ACには仮想シミュレータ接続システムがあり、それを体験してみないか、という誘いだった。・・・提案を了承する。
最初は動かすだけ。歩行等、基礎的な動作は問題なし。戦闘動作は非常に困難。武器の使い勝手も人の携行用型とはまた違った。MTの撃破数、3。
レイヴンの操縦も見たいと願い出る。承諾。
全ての状況に応じて最適解の行動を最速で移していた。アンドロイドであるという私よりもずっと、機械的な行動だった。不可解な点として、見ているだけであったのに本機の警戒度が上がっていた点。システムチェック・・・オールグリーン。
記述終了。
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(その後しばらくACのシミュレーションと勉強の日々が綴られる)
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AL-1S、記述開始。
勉強が終わり、ACのシミュレータを動かす許可をレイヴンに求める。
レイヴンは机の上で考え込むように写真を見ていた。
一人の男性と思しき、大人の写真。レイヴンとは似ても似つかないいかめしい顔つきが気になり、こんな大人もいるのだと言及。
「むしろ俺のような大人の方が少ない」と返答。大人のサンプルが彼しかいないことに気付く。シミュレータの許可が下りたため戻る。記述終了。
追記:
帰り際、「どうして貴方が……よりによって」と聞こえたような気がする。
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AL-1S、記述開始。
レイヴンがACを起動しました。シミュレータではなく、実際に動かすと。理由を聞いた。
「俺に一つの名前をくれた恩人からの依頼」という。一日空けるからと留守番を依頼、受諾。
レイヴンが帰還、どこか晴れ晴れとした表情だった。・・・胸のあたりがモヤモヤとする。原因不明。
戦闘データを拝見。基地の襲撃に不明兵器の撃破、企業への脅迫活動を確認・・・不明兵器撃破の際に不可解な兵器を発見。「グラインドブレード」という、ACのOSを乗っ取って使用する兵器であり、起動シークエンスの乱暴さからシミュレータでは使えないそう。
シミュレータの使用を強く要望。自己の原因不明な要望に、快諾を受ける。レイヴンと一対一で戦った。
まるで戦いにならなかった。記述終了何が悪かったのか?基礎的な動作習熟の不足だけが理由ではないはず。こちらの行動を全て読まれているようだった。考え過ぎてエラー発生!
布団の中でも頭から離れず、レイヴンと一緒に寝る。
思ったより暖かく、快眠効果を確認。継続を希望、却下された。記述終了。
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AL-1S、記述開始。
初めての外出を許可され、キヴォトスを直接見た。・・・書きたいことが多すぎて、何を書けばいいのか分からない。経験したことの無い感情。
電車とタクシーに乗り、アビドスへ到着。砂まみれで何もない。外部刺激の減少を確認、システムの負荷を軽減。
目的地へ到着。多くの生徒と一人の大人の姿を確に・・・困惑。説明不可能な感情が発露、レイヴンの後ろへ隠れる。
「どうしたG13!今度は子どもを拾ってきたのか!」
!巨大な音声を確認。身体が原因不明の震えを起こす。
目の前に見たことある顔の大人がいました。レイヴンとはもちろんゲマトリアとさえ異なる、巨人でした。実際に会うと身長差と体の大きさからまるで威圧感が違います。
レイヴンが私を前に出して紹介します。・・・なんだか視線が痛いです。早くここから帰りたいと望みました。
「全く。ほいほい拾ってくるところはウォルター譲りだな」と大人が答えました。膝立ちになってようやく顔を正面から見ることができました。自己紹介を促され、なんとかアンドロイドのAL-1Sと答えられました。
他の生徒は驚いていましたが、大人はそのまま挨拶を返してくれました。彼はシャーレの先生のミシガンで、昔レッドガンの総長をやっており、レイヴンとはそこで縁があるようです。一つの名前をくれた人とは、彼の事でした。
すると「貴様もAL-1Sだけじゃ物足りんだろう」といって何かを渡してくれました。赤い幾何学模様でできたマークに「14」と書かれた手作りらしいペンダントでした。
「祝勝会のおまけとして、貴様にはコールサイン『
その後他の皆さんから自己紹介を受けました。アビドス高校のシロコ、ノノミ、アヤネ、セリカ、ホシノ。便利屋68のアル、ムツキ、カヨコ、ハルカ。ゲヘナの風紀委員のヒナ、アコ、イオリ、チナツ。シャーレ特別講習クラスのエリ、クロエ、クレア。ついでに参加したというヒフ、ファウスト。皆楽しそうに過ごしていました。・・・でもペロロはちょっと怖かったです。ミールワームのほうが可愛いです。焼いても美味しいですし、先生も懐かしい味と言っていました。どうしてみんな避けるのでしょう?
先生だけではなく、ほかの人ともいろいろ話しました。シロコに銀行強盗に誘われたり(あとで二人に怒られました)、アルからアウトローとしてのレイヴンの凄さを力説されたり、ヒナの翼を触らせてもらったりしました。すごく楽しくて、こう書いているだけなのにあの時の楽しさが再生されたような、初めての感覚を覚えています。
それをレイヴンに話すと、嬉しそうにしていました。どうしてか、より楽しい記憶として記憶領域に保存されるような。なぜでしょうか。
また行きたいと願い出ると、「これからそういう機会は増えるだろう。お前の名前と同じようにな」と言われました。期待、楽しみです。
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こんにちは。AL-1S、コールサインG14です。より自然な会話を行えるようになる為、日記での練習として書き方を変えてみます。
あれからレイヴンの仕事が忙しくなって、手伝いをする機会が多くなりました。主にネストの受付としてやってくる傭兵たちの対応をしています。中々言葉が難しいですが、時々アルたちが助けてくれてなんとかやって行けてます。
今日はレイヴンの付添人としてゲヘナに向かいました。ぱんでもにうむそさえてぃー?という偉い人たちから依頼があったそうです。何でも専属契約を結びたいということでしたが、レイヴンは断ったようです。傭兵の為にネストの独立性を損なう訳にはいかないのが理由でした。
その後いろいろ難しい話をしたあと、お昼ご飯を食べに行きました。初めて自分で注文をして、焼き魚定食を食べました。美味しかったのですが・・・
突然レイヴンの隣に謎の4人組がやってきて何か話したと思ったら、食堂が爆破されてレイヴンが連れ去られてしまいました!何がなんだか分からず、そのまま車に乗せられて攫われてしまいました。目標が攫われたことでミッションは失敗・・・
そう思考をまとめようとしたところ、先生とヒナと出会いました。二人ともあの四人組、美食研究会を捕縛しようとしていたところだったので、なぜかレイヴンも連れ去られてしまったことを話しました。そしたら先生が「来いG14!お前の遠足はまだ終わっとらんぞ!一度盗られたなら奪い返せばいいだけの話だろうが!」と自転車にヒナを乗せて言ってくれました。
作戦は先生が乗った自転車のカゴにヒナが乗り、先生の背中に私が乗って測的するものです。ヒナの仲間である風紀委員はすごく忙しく、今できる限りがこれだとのことでした。先生が操縦手のヒナが砲手、AL-1Sが測的手の即席ママチャリ戦車です。
そうして私たちはレイヴンを助けに行く任務・・・遠足に出発しました。目印はレイヴンの持つGPS。道中には多くの人たちが騒ぎを起こしていて、中々道なりには進めませんでした。ゲヘナではよくある光景であり、ヒナは申し訳なさそうに私と先生に謝っていました。先生は「今日は俺がお前の足だ、向こう一週間はゲヘナを休日にする勢いで思う存分にぶちかませ!」と言いました。背中にいるのに耳が壊れそうでした。
そうしたらヒナが、「今日は強めにいくわ」と言ってマシンガンを撃ちました。自転車が揺れる中、不良たちがバタバタと倒れていきます。ふとレイヴンを思い出しました。シミュレータでMT群を撃破するさまと、カイザーを襲撃した後の被害状況と類似点が多く見られます。
そうして自転車による鎮圧を続けていると、目の前にACが現れました。
壊して良いのとヒナが質問し、肯定。「無茶はするなよ、G13のものと性能は変わらんぞ!」と先生が警告しました。
FLY GEYSERは温泉開発のための重機としての運用、具体的には地盤破壊によって出た土砂の運搬や障害となる建物の解体、温泉を掘り当てた後の施設建築とマルチタスクをこなすための機体です。しかし温泉開発部側の予算の関係でそれ以外の機能はオミットされており、ジェネレータは作業用MTのもの、ブースターはネストの前身製造会社のRaD製のMULE。FCSは最低限の機能しかなく、武装は一つも積んでいません。レイヴンのCINDER 4とはかなり違う、決して戦闘用の機体性能はしていないはずですが・・・
「車と同じだ。安物だろうがACは人殺しの出来る立派な兵器。丸裸だからといって熊に舐めてかかる奴がいるか?」
理解、則敵機能をACに集中。総長は障害物を使って移動しながら攻撃を避けていきます。
それに応じるようにヒナが怒涛のペースで温泉開発部たちを倒していきます。「や、やれるものならやってみろぉ!!」と鬼怒川カスミがACで突貫してきます。泣くほど怖いのならなぜ向かうのでしょうか、理解不能です。
先生が的確に指示を下し、ヒナに攻撃を続けさせていきます。歩兵用火器の弾丸ではACSは反応しない為、関節部やブースターといった装甲の薄い部分を集中攻撃していきます。普通ならそれでも破壊できるはずはないのですが・・・どうしてかFLY GEYSERがどんどん火を吹いていきます。
「わ、私たちのフライゲイザーがぁーーーっ!!」と断末魔を残してカスミは爆発しました。保険は入っていなかったのでFLY GEYSERはこのままスクラップです。「まさか携行サイズの機関銃でACが倒せるとはな……」との先生の呟きを拾いました。やっぱりヒナが普通じゃないだけですね。安心です。
「さて準備運動はここまでだ!遠足の本番を始めるぞ!」すぐに先生の怒声が聞こえてきて、私たちは自転車に乗ってまた出発しました。
ターゲットはすぐに見つかりました。強奪した給食部の専用車両を乗り回す美食研究会の四人組と、後部に載せられたレイヴン・・・他に一名簀巻きにされて乗せられている人がいます。
ヒナがマシンガンを撃ってけん制しようとしますが、先生が制します。跳弾の危険性がある以上、レイヴンに当たるかもしれないので発砲は認められません。AL-1S・・・G14も同じことを進言しました。
それを見越したのか美食研究会は速度を上げてこちらを振り払おうとします。この先は大きな幹線道路に繋がる道なので、そこまで行かれればもう追いつけません。ここは一度退くべき・・・
「その程度の駆け足で、歩く地獄から逃げられると思うなよ!!!!」
先生がペダルをこぎ出し、一気に急加速!?体感速度が80kmを超えました!何か変な・・・AL-1S知ってます、これはゴムが焼ける匂いです。レイヴンが作業中に嗅いだことがあります!?一体何が起こって!?エラー発生、エラー発生!!停止をようせ・・・え、もう追いついている?
リブートを開始するのも待たず、私たちの自転車は瓦礫を台にして飛び上がり車に墜落。ヒナが美食研究会に銃を向け、その隙を突いた先生が人質を救出して車から飛び降りたところです。
ですが美食研究会も運転手が体を張ってヒナを拘束し、身動きが取れなくなったところを横のスナイパーが撃ちぬきました。車から投げ出され、美食研究会が走り去っていきました。
脇に抱えられたレイヴンの縄を解き、救出を確認。どうしてここにいるのかと質問、レイヴンを助けに来たと回答。「・・・よくやった」と言われ、頭を撫でられました。どうしてか、胸のあたりが温かくなりました。どうして、機体温度は変わっていないのに。
気付いたら、涙が止まりませんでした。
ただ彼がそこにいるのを見て、とても暖かくなった感覚は覚えています。外に出てからというもの、テキストとして説明できない事象がとても多くなっている気がします。これはまだ勉強が足りないせいでしょうか。
レイヴンを抱きしめて、頭を撫でられ続けて、AL-1Sの意識は落ちていきました。
その後、レイヴンが秘密裏に動かしていたCINDER 4による待ち伏せで美食研究会は捕縛。今日の騒動でゲヘナは負傷者多数の犠牲を払って落ち着いた日々を送れるようになったそうで、ヒナはとても喜んでいました。
また自転車戦車をやる約束もしましたので、またゲヘナに遊びに行きたいです。
その時は、レイヴンも一緒にやりたいです。本人は嫌そうでしたが、その時は先生も協力してくれるそうです。
今日も楽しい一日でした!
「……もう、大丈夫、そうだな」
少し歪な文字でページ一杯に書かれた日記を見ながら、ベットに横たわる少女を見る。
機械的に記しただけの初期の文章からたった数日で見違えるように変わった文面。自分のような擬きより、真っ当な人々と触れ合うだけでこうまで変わるとは。
「……」
自分がしていることがいかに矛盾しているかは分かっている。そこに無理やり合理性を貼り付けているだけであることも。
けれど総長にああ言った以上、自分がしないというのはどこか違う気がする。少なくとも、この何も知らない生まれたばかりの少女を巻き込んでまで貫く価値のあるエゴとは、思えない。
この行為そのものは、
そうして行動し、この子を外に解放した。その時点で傲慢極まりないものだ、これ以上自分の都合を関わらせる余地はない。
寝室から離れ、仕事場に戻る。
少ししたら、総長にあの子を引き取ってもらおう。至らないところはあるが、純朴な子だ。悪いようにはならないはず。
俺は俺で、本来の仕事を終わらせなければ。
某給食部部長「モンゴーーー!!?(私はーーー!!?)」
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