ミシガン英雄伝記補遺:透き通る世界を地獄が歩く   作:柴猫

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……前回に比べてなんだこの文字量は。
あと今回ちょっとキャラ崩壊があるかもです、一応という形で


アビドス編:金の流れと理気の流れ

 陸八魔アルはやり場のない怒りを抱えていた。

 明らかにこちらを舐めている銀行の審査官に、そしてそれに何もやり返せない自分に。

 

 口座を凍結されるまでに追われても便利屋を続けていたのは、キヴォトスいちのアウトローになるためだ。それが銀行の融資を受けるだのつまらないことに悩まされている。

 求める夢と現実との乖離。思春期の少女にはよくある葛藤だった。

 

 

 「……どうした、陸八魔アル」

 「ギャァァァァ!??」

 

 前からではなく後ろから聞こえた声にビックリして振り返ると、椅子に座った自分よりも低いところから視線を向けられていた。

 

 「あれ、レイヴンじゃん。奇遇だねー、こんなところで会うなんて」

 「そうだな。何をしているか、聞いても?」

 「え、ええと……いま、融資を受けようとしてる……ところでいいですよね?」

 

 ムツキとハルカの答えに、少し呆れたように目を伏せた。

 

 「こんな銀行と関わるのは、やめておけ。ろくに報酬も払えない、零細の癖して悪質な、そんな場所だぞ」

 「えぇぇ!??」

 「お客様、ご不満がありましたらあちらのカスタマーサービスに――」

 「事実を言って何が悪い」

 

 審査官を無視するレイヴンは場慣れしているようで、特に気にすることも無く話を続ける。

 

 「まだ、アビドスへの襲撃依頼を受けているのか?」

 「そ、そうよ。やられっぱなしじゃすまないし、うちの会社に傷がつくわ!」

 「その依頼を受けるのも、やめておけ。どうせ、碌な依頼じゃない」

 「……協働を放棄したそっちが言えること?」

 

 カヨコが低い声でレイヴンを睨みつける。社内で一番顔がアウトローなカヨコが凄むと一気に一触即発の空気になってしまった。

 

 「お客様!店内での騒ぎは通報を――」

 

 

 

 (パッ!)

 

 突然、店内が暗闇に包まれる。

 

 「な、何事ですか?停電!?」

 「!伏せろ、便利屋!」

 「うわっ!?」

 

 骨ばった小さな手に腕を掴まれ、言われるがままに椅子に隠れる。

 その直後、銀行の中に銃声が響き渡る。

 マーケットガードの悲鳴が何回か聞こえた後、照明が回復し――

 

 

 

 

 「全員その場に伏せなさい!持っている武器は捨てて!」

 「言うこと聞かないと、痛い目にあいますよ☆」

 「あ、あはは……みなさん、ケガしちゃいけないので……伏せてくださいね……」

 

 覆面の五人組が、銀行内を制圧していた。

 

 「ぎ、銀行強盗!?レイヴン!銀行強盗よ!」

 「分かってる。分かっているが……」

 

 なぜかレイヴンは頭を抑えるように目の前の集団を見ているが、どうしたのだろう。

 

 「あれ……あいつら……」

 「あ……アビドス……?」

 「だよね、アビドスの子たちじゃん。知らない顔もいるけど。……ここで何やってるんだろ?それも覆面なんかしちゃって」

 「ねっ、狙いは私たちでしょうかっ!?それなら返り討ちにしちゃいましょうか!?」

 「……やめておけ、ハルカ。奴らの狙いはこの銀行だ。便利屋の追撃じゃない」

 「そうみたいだけど……何か知ってるの?」

 「いや……会ってはいけない場所で会ったというか……知りたくなかったというか……」「「「?」」」

 

 青い覆面の子が先ほどの気に入らない審査官に詰め寄り、いとも容易く脅迫を行っている。監視カメラの位置なども頭に入っているのは、けして過言ではない手際の良さ……!

 

 (や、ヤバーい!!この人たち何なの!?ブラックマーケットの銀行を襲うなんて!どう逃げるつもりかしら?いや、それ以前に、こんな大胆な計画を立てちゃうアウトローが、未だに存在するなんて!!めちゃくちゃ手際いいし、超プロフェッショナル。まるでこのためだけに生まれてきたみたい。ものの5分でやってのけたわ!

 かっ、カッコイイ……!シビれるっ!これぞまさに真のアウトロー!うわぁ……涙出そう!)

 

 目の前に出てきた、まさに夢のようなアウトローの姿に、陸八魔アルは歓喜に打ち震えていた。彼女の夢は、けして夢想ではなかったのだと。それはあたかも、天より与えられた啓示の如く!

 

 「全然気づいてないみたいだけど……」

 「いや、制服もそのままで気づかない筈がないだろう……?」

 「あれは気づいてないよ。だってアルちゃん、昨日の襲撃前の昼のお店でアビドスの子たちに会ったけど、気づいてなかったもん」

 「……」

 

 そうこうしている内に、銀行員がバックに金やその他もろもろを詰め終わったらしく、青い覆面がパンパンのバックを持ち上げる。

 

 「あの、シロ……い、いや、ブルー先輩!ブツは手に入った?」

 「あ、う、うん。確保した」

 「それじゃ逃げるよー!全員撤収!」

 「アディオ~ス☆」

 「け、ケガ人はいないようですし……すみませんでした、さよならっ!!」

 

 正体不明の強盗団――覆面水着団が銀行を風の如く立ち去り、銀行が追撃を行おうとする中、アルは立ち上がる。

 

 「何してるのよ皆!追いかけるわよ!」

 「え、あ……わ、分かりました!」

 「くふふ、そうこなくっちゃ」

 「はぁ……そっちはどうする?」

 「……行こう」

 

 便利屋の後を追うレイヴンは、騒ぎ出す銀行を後に呟く。

 

 

 

 

 

 「〝借りた金を、なぜ返す必要がある〟か。あながち間違いでもないのかもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブラックマーケットの外れ、法のまかり通る市街地に覆面を被った五人の少女が走ってくるのを大声で迎える。

 

 「遅刻者は無しか。ファウストも中々根性がある、こんな状況でなければシャーレに勧誘しているところだ」

 「あはは……ちょっと、考えさせてください」

 

 見える範囲に追っ手はいない。ひとまずは撒いたらしい。

 まさかブラックマーケットがMTもどきの二足歩行兵器を所持しているとは思わなかったが……アビドスのレベルであればあれくらいは大したことではなかったか。性能はまぁ、MTの機動力を削って火力に特化したシロモノか。閉所で出せればそれなりの効果は見込めそうだが、あんな見通しのいい道路に置く限り、ここではさほど人型兵器を活かす理論研究は進んでいないらしい。

 

 「まだ終わっていないぞお前たち。家に帰るまでがえんそ……銀行強盗だ」

 「あの、シロコ先輩……覆面脱がないの?邪魔じゃない?」

 「天職を感じちゃったって言うか、もう魂の一部みたいなものになっちゃって、脱ぎたくないんじゃなーい?」

 「……お前の所属がアビドスで良かったな、シロコ。前の職場だったら顔面変形パンチをお見舞いしているところだったぞ」

 「そ、それはいやかな……」

 

 

 「封鎖地点を突破。この先は安全です」

 

 アヤネの連絡を聞き、ぶっ通しで走ってきた一行は息をついて休憩を挟む。流石のブラックマーケットも自分の領域からは出たがらないらしい。

 

 「本当にブラックマーケットの闇銀行を襲っちゃうなんて……ふう……」

 「シロコちゃん、集金記録の書類はちゃんと持ってるよね?」

 「う、うん。バックの中に」

 

 シロコがバックを開けると、確かに集金記録の書類はあった。

 だがやけに重そうに抱えていると思えば、中には大量の札束が入っていたからだ。

 

 「……へ?なんじゃこりゃ!?カバンの中に……札束が……!?」

 「うえええええっ!?シロコ先輩、現金を盗んじゃったの!?」

 「ち、違う……目当ての書類はちゃんとある。このお金は、銀行の人が勝手に勘違いして入れただけで……」

 「どれどれ……うへ、軽く1億はあるね。本当に5分で1億稼いじゃったよー」

 

 バックの中身を埋め尽くす札束の塊。詰めるだけ詰んでこれとは、アビドス以外にも随分あくどく儲けていた証拠でもあろう。その頭を別の方向に活かせば、クリーンに稼げるはずを。……企業に言ったところで無駄ではあろうが。

 

 「やったあ!!何ぼーっとしてるの!運ぶわよ!」

 「ちょ、ちょっと待ってください!そのお金使うつもりですか!?」

 「アヤネちゃん、なんで?借金を返さなきゃ!」

 「そんなことしたら……本当に犯罪だよ、セリカちゃん!!」

 「は、犯罪だから何!?このお金はそもそも、私たちが汗水流して稼いだお金なんだよ!それがあの闇銀行に流れてったんだよ!

 それに、そのままにしておいたら、犯罪者の武器や兵器に変えられてたかもしれない!悪人のお金を盗んで、何が悪いの!?」「……」

 「私はセリカちゃんの意見に賛成です。犯罪者の資金ですし、私たちが正しい使い方をした方がいいと思います」

 「ほらね!これさえあれば、学校の借金をかなり減らせるんだよ!?」

 「んむ……それはそうなんだけど……シロコちゃんと先生はどう思う?」

 「……自分の意見を述べるまでもない、ホシノ先輩が反対するだろうから」

 

 予想に反しシロコはあっけなく反対した。あれほど銀行強盗したがっていたのは何だったのかと思わざるを得ないが、それは後にしよう。

 

 「へ!?」

 「同意見だな。都合のいい方向に逃げるなセリカ、ノノミ!正しい金の使い道だと?自販機に落ちている百円玉を交番に届ける奴とそうでない奴、どっちが一等か考えてみろ」

 「で、ですが先生。このお金は今、アビドスに必要なもので……」

 「私たちに必要なのは書類だけ。お金じゃない」

 

 ノノミの反論に返したのは、いつになく真面目な顔のホシノだった。

 

 「今回のは悪人の犯罪資金だからいいとして、次はどうする?その次は?」

 「……」

 「こんな方法に慣れちゃうと……ゆくゆくは、きっと平気で同じことをするようになるよ。そしたら、この先またピンチになった時……「仕方ないよね」とか言いながら、やっちゃいけないことに手を出すと思う。

 うへ~、このおじさんとしては、カワイイ後輩がそうなっちゃうのはイヤだなー

 そうやって学校を守ったって、何の意味があるのさ」

 

 ホシノの至極真っ当な、上の大人たちに聞かせてやりたいほどの正論を、ヒフミ含めた対策委員会は黙って聞いていた。

 

 「こんな方法を使うくらいなら、最初からノノミちゃんが持ってる燦然と輝くゴールドカードに頼ってたはずー」

 「……私もそう提案しましたが、ホシノ先輩が反対されて……先輩の気持ち、わかります。いくら頑張ったって、きちんとした方法で返済をしない限り、アビドスはアビドスじゃなくなってしまう……」

 「うへ、そういうこと。先生は何かあるー?」

 「ない。強いて言うならいつもその先輩面を見せてもらいたいものだがな」

 

 おじさんも年だからねー、などと言いながらホシノはバックを持つ。

 

 「だから、このバッグは置いてくよ。頂くのは必要な書類だけね。これは委員長としての命令だよー」

 「うわああっ!!もどかしい!意味わかんない!こんな大金を捨ててく!?変なところで真面目なんだから!!」

 「そういう貴様は喧しいことこの上ないなセリカ!委員長命令だぞ大人しく従え!それが嫌なら貴様一人で盗ってくるか!?」

 「私はアビドスさんの事情をよく知りませんが……このお金を持っていると、何か他のトラブルに巻き込まれるかもしれません。災いの種、みたいなものでしょうから……」

 「う、うう……そこまで言われたら……」

 

 話はまとまり、ノノミがバックを処理しようとした、その時。

 

 「……!!待ってください!何者かがそちらに接近しています!」

 「……!!追っ手のマーケットガード!?」

 「……い、いえ。敵意はない様子です。調べますね……あれは……」

 「べ、便利屋のアルさん!?」

 「何?」

 

 目を凝らして見てみれば、便利屋のアルだけが走ってこちらに向かってきている。

 

 「え、なに!?何しに来たのよ?」

 「……ひとまず撃退する?」

 「どうかな。戦う気が無いって相手を叩くのもねえ」

 

 既に走って逃げることのできる距離ではない。かといって相手の目的が分からない以上、下手に仕掛けるのも危うい。

 五人は覆面を被ってやり過ごすつもりだが、直接話せば対策委員会とバレる危険が高い。

 

 「どうしましょう。走って逃げるべきでしょうか?」

 「いや、ここは俺に任せろ」

 「先生?」

 「後方でふんぞり返るのは、俺の役目ではないからな。なぁに、少し見ていろ」

 

 対策委員会が茂みに隠れる中で、俺は細縁の眼鏡と高そうなコートを羽織り陸八魔アル(カモ)を待つ。喉を抑えていつもより高音に、()()()の喋り方を思い出しながら、こちらを視認したアルに話しかける。

 

 

 

 「はあ、ふう……ま、待って!!」

 「おや、お嬢さん。探し人でしょうか?」

 

 発言の瞬間後ろの空気が凍り付いたような気がするが、努めて無視する。

 

 「!??だ、だれ!?」

 「その顔は……便利屋68の陸八魔アル社長ですね?」

 「え!?わ、私の名前を知ってるの?」

 「もちろんですとも。飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けている裏社会の新星、知らないのは裏の新人かモグリほどですよ」

 「え、うそ……私たちそんなに人気なの……!」

 

 詐欺の基本その一、相手を持ち上げること。どんな奴でも自分を褒められて悪い気分になる奴はいない。相手の地雷を踏みぬかぬことを前提にすれば、こちらのペースに持っていける。

 

 「と、ところで貴方は誰かしら?どこかで見たことあるような……」

 「ん、んっー。気のせいではないでしょうか?

 ああ、自己紹介をしていませんでしたね。私、ガンズ……失礼、五花海(ウー・フアハイ)と申します。まあ、しがない詐欺師とでも覚えていただければ……」

 「詐欺師!?じゃあ、あなたがあの強盗達のボスってこと!?」

 「……はい?」

 

 予想だにしていない方向の答えに、どう返答すべきか迷ってしまった。

 

 「彼女たちの銀行の襲撃……ブラックマーケットの銀行をものの五分で攻略して見事に撤収……稀に見るアウトローっぷりだったわ。正直、すごく衝撃的だったというか、このご時世にあんな大胆なことができるなんて……感動的と言うか。

 か、彼女たちに伝えて!法律や規律に縛られない、本当の意味での自由な魂!そんなアウトローになりたいから!

 それで、な、名前を教えてほしいの、彼女たちの!あの子たちの今日の雄姿を、私が心に深く刻んでおけるように!!」

 「……そう、ですか」

 

 面と向かい合って話をしたのはこれが初めてだが、随分眩しい目をしている。

 ガキの頃はこんな目をしている奴らが多かった。まだ見えない明日が待ち遠しくて、昨日よりも良くなると信じて疑わない、真っ直ぐな奴らが。そしてその中でも眩しい奴ほど砲の爆炎に焼かれ、指一本残さずに死んでいったことも、思い出す。

 この世の地獄の中でも光り続ける、あいつらの背中が、今でも脳裏に浮かんでいる。

 

 「仕方がありません。彼女たちの情報を漏らすわけにはいかないのですが……便利屋の社長ともあろうお方がこうまで入れ込んでいるなら、話しておくべきでしょう」

 「教えて!」

 「その前に」

 「?」

 「陸八魔アル社長、貴方は裏社会で生きるということをどれほど理解しておりますか?」

 

 突然の質問に、それまで興奮状態だったアルが硬直する。

 

 「個人的な感想ですが、貴方は裏社会には向いていません」

 「えっ!?」

 「ああ誤解しないでいただきたい。貴方を貶める意図は一切ございません。貴方の生きざまは確かに立派です。人として、それほど高い志を持てる器は、そうそういないでしょう。

 ですが、貴方が進もうとする道は、その志を踏みにじり唾を吐きかけ、そうして愉悦と利益を得るような連中が蔓延るこの世の地獄です。その事を、理解しておられますか?」

 

 レッドガン設立の際、3番手の候補者探しとしてナイルに連れられ、死刑囚の独房に入れられていたあいつと会った時の記憶を、思い出す。

 

 「……私は、貴方のような志士を踊らせて暴利を貪る側の人間です。これまでに何度もそうしてきましたし、例え本物の地獄に落ちたとてそうするでしょう。……生まれながらにして私は詐欺師。私は、そういう星の元に生まれた人間なのですよ。

 世界には変えられない理気の流れがあります。裏社会は、淀みに淀み切った水のたまり場なのです。その荒波に、アルさん方便利屋68は抗えますでしょうか」

 

 こいつは少なくとも裏に生きるような人間じゃないし、向いている奴でもない。日の当たる元で生きられることがどれほどの幸福か。何の備えもなく落ちるには、あまりに惜しい。

 

 「……貴方みたいな、すっごいアウトローからしたら、私はまだまだひよっこかもしれない。

 でもね!私はキヴォトス一のアウトローになるって決めたの!真面目に生きるだけの息の詰まる生活なんて、それこそ拷問よ、拷問!地獄?どんと来なさい!アウトローの道を極めるのに不足なし!それに私には頼れる社員がいるんだから、全員いれば怖いものなんてないわ!」

 

 アビドスの前で俺にビビっていた時とは別人のようだ。夢に突っ込む姿はまさしくガキ。それもちょっとやそっとでは折れないタフなガキ。

 

 

 『テメェの顔面に一発入れて、俺はここを抜けてやる!それまで精々首を洗っておきやがれ!』

 

 イグアスを連れてきた時、凹んだ顔面で開口一番に喋った言葉がそれだったか。

 

 「……なるほど、あくまで私の忠告を無視する気ですか。やはり貴方には理気の流れがある」

 「み、認められた!!?う、うれしい~!じゃ、じゃああの子たちの名前を教えてくれる!?」

 「もちろんですとも。彼女たちの名前は……えー……覆面水着団でしたっけ……それとも――」

 「覆面水着団!?や、ヤバい……超クール!!カッコ良すぎるわ!!」

 

 

 「そ、その名前も、五花海さんが考えたの!?」

 「は!?……え、ええ。そうですよ?ちょうどあの名前が彼女達にとって吉兆となりえる文字だったので」

 「そ、そんな……たった五文字にそんな意味が込められていたなんて……!」

 

 ……お前の目の前にいるのが本人じゃなくて良かったなと、心中で思いつつ、口が動くままにカバーストーリーを話してやる。

 

 「とはいえ、今回の襲撃は余興に過ぎません」

 「え、そ、そうなの!?」

 「私は詐欺師です。スマートとはいえ強盗は私の分野ではありませんので。あれはブラックマーケットのレベルを計るための、ただの偵察ですよ」

 「あれほどの強盗劇が、ただの偵察……!?」

 「私の手にかかれば、何もせずとも80億は勝手に転がり込んできますからね。今回の1億は、適当に寄付金にでもしておきますよ」

 「な、なんですってー!!」

 

 さて、そろそろムツキにカヨコが合流する頃合いだ。適当に撒いて帰るとしよう。

 

 「そろそろ時間ですね。楽しい時間をどうもありがとうございました。貴方の行く道に吉穴があらんことを!」

 

 俺はむず痒くなってきた鼻の頭を今すぐ掻きたい衝動を堪えながら、対策委員会の元へ向かった。

 

 

 

 

 なお腹を抱えて寝転がっていた対策委員会4人はパイルドライバーを決めた後担いで帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五花海(ミシガン)が去った後、合流した便利屋68は……

 

 「五花海……いつかアウトローの道を極めた先で、また会いましょう……」

 

 

 

 (……社長どうしたの)

 (んー、さっきのミシガン先生のコスプレが刺さったのかな?)

 (事実を伝えるべきなんだろうけど……いつ言おうか?)

 (面白いからしばらく放置で)

 (そう……ところでハルカは?)

 (さっきばててたレイヴンを拾いに行ったよ。そろそろ来るから待ってよっか)

 




G3「総長!?何をやってるんですか総長!?誰ですか覆面水着団って!?私が頭領!?」
レッドガン「(抱腹絶倒の大爆笑)」
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