圧倒的宇宙 ムゲンソウルズ9(キュウ)   作:寿影瞳

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解放組織リベリオン

 

惑星も何もない闇の空間に二隻の宇宙船が移動していた。

 

その宇宙船はシュシュが乗っていたGキャッスル。もう一隻は横倒しにしたルーレットのような形の天辺から棍棒を天高く掲げた男の上半身が生えた様な外観が特徴的な非武装宇宙母艦 オリオン号。

 

 惑星クロトスの民間人避難の任務を終えたキュウレンジャーは拠点であるオリオン号に帰還した。…数人の来客を共に。

 

 

オリオン号のブリッジでは宇宙服の男がスパーダが用意した料理を片っ端から食べていた。隣には負けず劣らずの勢いでシュシュも食べている。

 

 

「はぐ、もぐっ、んぐぅ。おかわり!」

「うんめぇーっ!!これ、アンタが作ったのか?」

グラッツェ(ありがとう)、君達はとっても”ラッキー”だね」

「え、なんで俺の名前を知ってるんだ?」

 

 

スパーダの言葉に宇宙服の男は否、『ラッキー』は驚いたように言葉を放った。

 

 

「ウワハッハッハ!お前、名前がラッキーってことか、面白ぇヤツだ!」

「ロボットが筋トレしてるのも面白えなぁ!」

 

 

片手で軽々と大きな星の装飾が施されたダンベルを持ち上げながらチャンプは笑いだす。

ロボットの筈のチャンプが何故筋トレをしているのか、というか理由はあるのか?そもそも筋肉はあるのか?

 

 

「もぐもぐ……変な名前ね、”ラッキー”なんて」

「まぁ、”名は人を現す”なんて言いますし…」

 

 

 机にある食事を未だに食べ続けながら不思議がるシュシュだったが、アルティスは何故ラッキーという名前なのか分かった気がした。

流石にあそこまでの豪運が連続で起これば、むしろこれほど彼に合う名前は無いだろう。

と思っているアルディスだったがラッキーがじっとこちらを見ていた。いや、アルティスだけというよりシュシュやリュートなど全体を見ているようにも感じる。

そんな当人が口を開いた。

 

 

「てゆーか、お前ら…だれ?」

「はぁっ!?さっきこのブリッジに来るまでに自己紹介したじゃない!!」

「この人、自分の自己紹介する時にもういませんでしたし」

 

 

 そう。実はブリッジに来るまでの移動中に全員自己紹介はしたのだが、彼女達の名前を聞いてなかった。

どうやらラッキーはオリオン号のような大型の宇宙船に乗るのが初めてだったので、船内をキョロキョロと子供のように見回し一直線でブリッジへ走って行ったのだ。

 

 

「『シュシュ』!シュシュ・インフィニット!圧倒的美少女絶対神よ!!」

「私は『アルティス』で〜す」

「自分の名前は『リュート』っす!」

 

「おう!シュシュにアルティスにリュートか、よろしくな!」

 

 

これでようやく全員の自己紹介が終わった。

その時ドアが自動で開いた。

 

ハミィと一緒にある人物がドアから端末を持って現れた。

 彼女はアンドロイドだが、身体は筋肉隆々なボディを持つチャンプと違い細身で頭部や髪に緑のメーターが付いていた。彼女はリベリオン製凡用アンドロイドType283『ラプター283

 

 

「あ、俺のマシン直った!?」

「直りました。かなり大変でしたけど…」

「あの、ありがとうっス。こっちの戦艦の方も診てくれて。それで修理の方は」

 

 

ラプターに駆け寄るラッキーと申し訳なさそうに話しかけてるリュートにラプターは愚痴りながらマシンの修理状況を伝えた。

 

 

「ああ、そちらの戦艦は凹みだけであとは大丈夫でしたよ…」

 

 

ラッキーが乗っていたマシンの状態は戦艦に激突、その戦艦ごと惑星に墜落した状況だったのに関わらず原型を留めており、奇跡的にマシンの重要箇所が壊れていなかったのである。

シュシュ達が乗っていた戦艦も同様でマシンが激突した凹みとそのショックによる機械の不調だけであり、軽いメンテナンスだけで修理が完了した。

 

 そんなラプターが心の中でぼやいている時、ハミィはラッキーに興奮気味に詰め寄った。

 

 

「ねぇねぇ、航海記録見たんだけどルースから来たんだって?」

「宇宙の果てを見てみたいからな。旅してるんだ」

 

 

ハミィはラッキーの目的に思わず笑った。

 

 

「アハハハッ!それって、超ウケる!」

「超ウケてる?やったーッ!!」

「バカにされてるぞ〜」

 

 

どこまでもポジティブなラッキーにチャンプが呆れ半分に指摘する。スパーダが怪訝そうな顔になった。

 

 

「ジャークマターに襲われなかったの?本当に運がいいね」

「なんだ、それ?」

「なにその”じゃーくまたー”って?」

 

 

聞いた事のない名前にシュシュも首を傾げて不思議がっており、少し間を置いて語り始めるチャンプ。

 

 

「お前ら知らねぇのか?”宇宙幕府ジャークマター”。88の星座系を手に入れ支配する存在だ」

「ええ、シュシュ以外知ってますよ。その悪名もやり口も宇宙中に轟いてますねー」

「え?どーして私以外みんな知ってんのよ!?」

「シュシュ様って興味のない話題はすぐ忘れるじゃないスか…」

「うるさい!」

 

 

 リュートが説明するがシュシュに怒られてしまう。どうやらアルディスとリュートはジャークマターについては知っているようだ。

話の腰を折られたチャンプは改めてジャークマターについて説明する。

 

 

「ヤツらは宇宙を手に入れるためなら手段を選ばねえ。暗殺、買収、脅迫……たとえ、星ごと吹っ飛ばしたとしてもな」

「改めて聞くと、とんでもない組織スっね…」

 

 

そんなジャークマターの手段を選ばない非情さに戦慄するリュート、そこへラッキーが憤りを隠さず声を荒げる。

 

 

「待てよ!?宇宙はみんなの物だ。それを独り占めなんて……ありえねぇだろ!」

「そうよそうよ!宇宙は私のものなんだからッ!」

「貴女の物でもありませんよ!?」

 

 

ラッキーはその話を聞き、憤りを感じていた。少しズレているが同様に憤るシュシュにツッコミを入れるラプター。

 

 

「だから私達は戦っているんです。

ジャークマターに対抗する唯一の組織…

 

『リベリオン』の一員としてっ!」

 

 

ラプターが勢いよく説明した。密かに伝わる宇宙の伝説を

 

 

”宇宙が心なき者の手に落ち、人々が涙する時キュータマに選ばれた9人の救世主… キュウレンジャーが宇宙を救う。”

 

……そう言い伝えられています」

 

 

「しかし今いる戦士は此処にいるハミィ、チャンプ、スパーダの3人だけ… 宇宙を救うにはどうしても9人の戦士が必要なんです!」

 

 

 つまりジャークマターが支配する88の星座系の星々が存在するこの広大な宇宙で、あと6人の戦士を探さなければならないという訳だ。

例えるなら大群のミイラ男から逃げながら広大な砂漠の中から一粒の塩を探すようなものである。

いや、難易度はそれ以上の難しさだろう。

 

そんな文字通りの宇宙規模の話にラッキーとシュシュは立ち上がった。

 

 

「———そうか…お前らラッキーだな!」

「———そうね。確かに幸運ねアンタ達」

 

 

二人してどこか不敵な笑みを浮かべていた。誰しもの視線が集まる中、宣言した。

 

 

「なぜなら俺が4人目のキュウレンジャーだからだッ!」

 

「この圧倒的美少女絶対神シュシュ様がそのジャークマターをブっ倒してこの宇宙を征服をするわッ!

………ってアンタ、キュウレンジャーなの!?」

 

 

「なんかラッキーさんが絡むと締まらないっスね…」

「しっ!またシュシュに怒られますよ!」

 

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