こんな性格の悪い俺が奉仕部にいるのは間違って   作:失踪男

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 平塚先生に手を引かれ辿り着いた先には何の変哲も無い扉。プレートには何も記されていないがここに何があるんだ?

 俺がそう思っていると平塚先生が扉を開けた。

 飛び込んできた教室の隅には机と椅子が積まれていることから空き教室であると思われる。

 だが教室の中央には椅子に座り本を読む少女が居る。

 本を静かに読もうと勝手に使っている訳ではないのだとしたらここは何かの部活動室であると思われる。

 彼女は俺たちに気づくと、文庫本を音を鳴らしながら閉じる。

 

「平塚先生。入室をする際はノックをしてくださいと何度もお願いしているハズですが」

 

 端正な顔立ちに、流れるような黒髪。

 まぁ、つまりは世間一般的に美少女と言われる容姿だった。

 

 

「ノックをしても君が返事をした試しなどないじゃないか」 

「それは先生がノックに返事をする間もなくいつも扉を開くからです」

 

 不満げな少女と先生のやり取りを他人事のように眺める。

 というか他人事だよね?

言い争ってるのは平塚先生と女生徒で俺が言い争ってる訳でもなく俺の話をしている訳でもない。

つまり俺は正しく他人なのだ。

よし、他人で外野の俺がいても彼女たちは気を使うかも知れないしここはさっさと退散して思う存分言い争いしてもらうことにしよう

というわけでアデュー」

「が許される訳ないだろ」

 

 

 俺が教室から出ようとしていたら平塚先生に頭を掴まれた。

 しかもとてつもない圧力で。

 

 

「あ、あのー痛いんで離してもらって良いですか?

あともしかして口に出てました?」

「ああ、普通に出てたぞ。

私はてっきりまたバカにしているんだと思ったが」

「いやー、普段から人をバカにしてたらそういうのが体に染み付いちゃって。

今回のやつも多分まるでつい本音が出ちゃいました、テヘペロ、っていう行動を体が勝手にしっちゃたんだと思います。

つまり俺は悪くッ、イタ。

あのーもうそろそろ離してくれたら嬉しいかなーなんて思ったり思わなかったりしちゃうんですけど。

どうでしょう?」

「どうでしょう?じゃないよ。はぁ〜」

 

 

 平塚先生はため息を吐きながら頭から手を離す。

 めちゃくちゃ痛かった。

 あの人握力40はあるんじゃないか?

 

 

「それでその話を聞いてるだけでありありと人格に問題があることがわかる上に、心の汚さがとてつもなく目に滲み出ている人?は?」

 

 

 冷めた視線がこちらを射抜く。

 無論、それは俺に向いたものである。

 君も君の辛辣さや性格の悪さがだいぶ言葉と視線に滲み出てるけどね、と言い返してやりたいが流石にやめておく。

 俺はやりたいことはなるべくやる主義だが何もまたアイアンクローをくらいたい訳でもないし、俺は大人だからね。

 きっと、たぶん、こいつよりは。

 いや、やっぱり良い勝負かも知れない。

 

 

 まぁ、こんなことはどうでもいい。

 いや、まぁどうでもいいならそんな話するな(話してはないけどね)と言いたいところだいや、だからそんな話は今はいいんだって。

 なんでこいつ、雪ノ下 雪乃がこんなところにいるんだ?

 

 

 雪ノ下 雪乃。

 運動もできて勉強もできるまさに文武両道を地で行くやつだ。

 しかも容姿もいいもんだからこの学校では有名も有名。

 どれくらい有名かというと友達もいない俺が机で突っ伏したり廊下を歩いたりするだけである程度情報が耳に入って来るぐらいには有名だ。

 

 

 そんなやつがなぜここに?

 奉仕活動とやらにこいつも参加するのか?

 だとしたらすごいな。

 容姿が良くて文武両道、しかもボランティアまでやるなんてな。

 そこだけ聞いたらまさに完璧超人と言ったところか。

 

 

 先ほど吐いた罵詈雑言を除けば、であるが。

 まぁ、人間何かしらの欠点がある方が好感が持てる。

 だって容姿が良くて文武両道、しかも性格がいいなんて裏がありそうで怖いし妬ましくてしょうがないからな。

 だからある程度何かしらの欠点があったほうが俺は好感が持てる。

 といっても初対面で辛辣な言葉を投げかけてきたやつに好感を持てるかと言われたら諸説ありだがな。

 

 

 まぁ、そんなこと言ってる俺は少し好感持てるけどね。

 だって俺にこんな言葉を吐いてくるやつには俺も気を遣わなくていいだろ?

 俺は小心者だから優しい(諸説あり)からね。

 相手がそういう態度とってくれないと良心(んなもんあるのか?)が邪魔して俺も取りづらいのよね。

 だからそういう態度の方が俺にとってこのましい。

 まぁ、俺に好感をもらって相手が嬉しいかと言われたらそんなことはないだろうしなんなら嫌がって好感を投げ捨てたがるだろうがな。

 

「彼は比企谷。入部希望者だ」

 

 平塚先生はそう宣う。

 入部希望者の比企谷?誰だろうな、それ。

俺の家名も比企谷だけど部活に入部しようなんて考えたことないしな。

!わかったぞ!きっと俺に見えないだけでこの何をするのかもわからない部活に入りたがる同性の比企谷がいるんだな!

ん?それならなんで無関係の俺はいるんだろう?

いや、そんなことはどうでもいい。

とりあえず他の比企谷の邪魔をしないように「おい、比企谷。口から出てるぞ。ツッコミどころ満載な思考がな。

誰だよ見えない透明人間の比企谷くん。私はお前の頭の中が心配だ。あと入部希望者の比企谷は透明人間ではなく今現在進行形で私の頭を痛くさせるお前のことだ」

 

 

おっとまた漏れ出てたようだ。

それにしても失礼だな、俺の頭が心配だなんて。

ただふざけてるだけなのに。

まぁ、俺も時々心配になるけどね。

例えば現在進行形で「え?平塚先生の頭を痛くさせる比企谷がいるんですか?同じ家名を持つものとして許せない!俺がガツンと言ってやりますよ!」とニヤニヤ顔で言ってやりたくてたまらない俺の頭とかね。

まぁ流石に蛇足だし俺もそろそろ話を進ませたいからやらないけどね。

 

 

「はい、とりあえず自己紹介を。

名前は比企谷 八幡で性格は愉快犯で確信犯、まぁ、つまり人を怒らせたり煽ったりバカにしたりすることが大好きです。

でも人は選んでやるので安心してください。

ちなみに今回めでたくあなたはバカにしてもいい人に選ばれました。よかったですね。

で?入部希望ってなんですか?』

 

 

俺の話を聞いた平塚先生はため息を、雪ノ下は苛立ちげに口を開いた。

 

 

「これはご丁寧にどうも。私の名前は雪ノ下 雪乃よ。

今パッと思いつく嫌いなものは貴方でよく言葉が辛辣と言われるわ。

私は貴方と違って全員平等に接してあげるから当然貴方にもそう接してあげるわ。

よかったわね、M谷くん。

あと入部希望に関しては私も気になるわ。

平塚先生、どういうことですか?」

 

 俺と雪ノ下の質問に対して平塚先生は答えてくれるらしく口を開く。

 

「君にはふざけた作文とふざけた態度の罰としてここの部活動に入部することを命じる。異論反論抗議質問口答えその他類するものを一切禁じる。しばらく頭を冷やしたまえ、反省しろ」

 

 俺の意思を鑑みず一方的に可愛い(何処が?)生徒にそんな態度を取ることを反省してほしいと思うのは俺だけだろうか?

 俺だけなんだろうなぁ。

 だってここには辛辣度が限界突破して尚且つ俺を嫌っている雪ノ下とTHE・暴君といってもいいだろう言動と行動をする平塚先生、そしてその可哀想な被害者である俺しかいないのだ。

 しかも雪ノ下と平塚先生は割と関わりを持っている様子、つまり完全なアウェー状態である。

 ここで文句を言っても無駄だろう。

 最悪平塚先生からまたアイアンクローがくる可能性だってある。

 

 

 俺は文句を言うことも逃げることも諦めせめてもの現実逃避と言わんばかりに最大限存在感を薄めてこの先どうなるのかを眺めることにした。

 もしかしたら俺の存在を忘れて解放されるかも知れないしな。

 今こそ今まで鍛えてきたステルス能力を見せる時!

 

「と、いうわけで、もうわかっていると思うが彼は中々に根性が腐っているのでな。そのせいで常々往々として孤独で中々に可哀想なやつだ」

 

 

 孤独=可哀想と言うのは流石に飛躍的な思考だと思うが突っ込まない。

 突っ込みたくて突っ込みたくてしょうがないがそのせいでこいつらが俺の存在に気づくかも知れないしな。

 いや、それにしても突っ込みたくてしょうがないな。

 昔から他の人の考えを否定というかそれは違うんじゃない?っていうか上手く言えないけど他の人の考えに茶々を入れるのが好きなのだ。

 

 

 どれぐらい好きかというと話の内容にもよるが例えばA君がA`の話をしていたらそれは違うよ、それはどうだろう?みたいな茶々を付けるくせにB君がA`の真反対の話をしていてもそれは違うよ、それはどうだろう?って茶々をいってしまうぐらいには好きだ。

 あれ?俺の性格終わってね?

 いやまぁ、そんな今更な話は投げ捨てておいて、だ。

 

 

 もし、というか俺のことを嫌ってるらしいし十中八九あり得る話だと思うが雪ノ下が俺の入部を拒否したら俺は入らなくていいんじゃないか?

 平塚先生のことだし雪ノ下が拒否しても強行する可能性はあるにはあるが今のところ二人が俺の存在を忘れる、なんて可能性が低いどころかそんなことあるわけないだろ?アンタバカァ?と言われてもしょうがない可能性に可能性よりは希望が持てると言えるだろう。

 

 

「人との付き合い方を学べば多少マシになると思う。彼の捻くれた孤独体質の改善を君に依頼したい」

 

 ふっ、人との付き合い方を学べば多少マシになる?そんなことあるわけないだろ。

 俺は常識もある(と勝手に思っている)し人との付き合い方も知ってはいるんだぞ、使わないだけで。

 ほらあれだろ?

 何言われてもヘラヘラ笑って(人と煽り合いしてる時はいつも楽しそうにヘラヘラ笑ってる)楽しいこと話して(人煽るのって楽しいよね)人の深いところまで踏み入らなければいい(踏み入る踏み入らない以前に人と話すことがそうない)んだろ?

 ほら、大体できてる。

 

 

 そもそも孤独体質って言ったって俺の性格が問題なんだから体質ていうより性質なんじゃない?

 体質性質深いところまで意味調べたことないから知らんけど。

 知らないなら喋るな(喋ってないけど)って?

 いや、でも喋りたくなるじゃん。

 

 

 てかこれは前世からの癖だけど自分の思考に自分でツッコミ入れるとか普通に考えておかしいよな。

 何でもかんでも茶々入れしたくてたまらないという腐った性格のせいか自分の思考にまで茶々入れしてくる。

 してくるっていうか俺が入れてるんだけど。

 

 

 てかそもそも依頼って何?

 入部云々って話じゃなかったっけ? 

 てかそんなこと考えてる場面じゃなかったな。

 

 

 俺はそう思い直し雪ノ下を見る。

 先生の要望に雪ノ下は非常にめんどくさそうな表情を浮かべている。おっ、いいぞ、このまま断ってくれ。

 

 

「それなら先生が教育的指導という名目の下で躾け、いえ調きょ、いえ躾れば良いと思うのですが」

 

 

 こえーよ、躾けも調教も言葉のパワーがやばいけどそれを平然と言える精神が一番やばい。

 てか結局躾けに戻るなら調教言う必要あった?

 まぁ、あったのかも知れないけど。

 

 

 具体的に言うと嫌いな俺への嫌がらせというか当て付けというか、そっち方面の自己満足的な意味がある可能性はある。

 もしそうならこいつとは気が合いそうだわ、同じ穴の狢的な感じで。

 仲良くできるか、仲良くするかは別として。

 

 

「私だってできることならそうするさ。しかしながら最近はどこもそういうものに煩くてな……特に肉体的なものはマスコミを一直線だ」

 

 

 いや、できてもダメだろ。

 なぜダメか具体的にいうなら倫理的に。

 話のスケールは違うが今貴方は目の前の人を首を絞めて殺せます。殺しますか?と言われて殺すやついるか?

 いや、いるかもしれんが少数派だろ、そんなやつ、いや少数派だと思いたいだけだが。

 

 

 てか肉体的なものはマスコミ一直線ってもう手遅れじゃね?

 具体的にいうなら俺へのアイアンクローで。

 いや、わざわざ警察とかマスコミに言ったりしないけどね?

 めんどくさいし何もこの人の人生終わらせたいわけじゃないしね。

 そんなことしたら小心者の俺の良心が悲鳴を上げる。

 そういうとことが小心者って言われる所以だよね。

 俺しか言わんけど。

 

 

「お断りします。そこの男から感じる下種な雰囲気と下卑た視線から身の危険を感じます」

 

 両肩を抱くように俺を睨み付ける雪ノ下雪乃。

 

 酷いな、下衆な雰囲気は心当たりありすぎるからいい(良いのかよ)としても下卑た視線って何?

 女性の体に興味がないとは言わないがそういう視線は向けないようにしてるのに。

 具体的にいうなら前世の職場でそういう視線を向けなさすぎて男性愛者の疑惑をかけられるぐらいには。

 だからそういう視線は向けてないはずだと思いつつ自分の顔を確認するためにドアについてるガラスで自分の顔を確認する。

 

 

 あー、そういえば俺、こんな顔だったわ。

 そこには目が腐っていてアホ毛が立っている男が写っていた。

 俺の目は下卑た目って言われるよりは腐った目って言われるし普段自分の顔なんてなかなか見ないから時々忘れちゃうんだよな。

 どれだけ無くそうと頑張ってもアホ毛を無くせなかった日からなかなか自分の顔を見なくなったんだよな。

 これだけ目立つアホ毛があるのにわざわざ鏡見ながら寝癖直すのとか面倒だし、わざわざ自分の顔を眺めようと思うほど自分の顔が好きな訳でもないからな。

 

 

 それにしても酷い言いがかりをつけられたな。

 腐っている目という身体的特徴を下卑た目とはな。

 いやまぁ、俺が気づいてないだけでそういう目を向けた可能性はない訳ではないがないと思いたい。

 これ以上考えるのはやめよう。

 答えが出る訳でもないことを考えて勝手に傷つくのは不毛どころじゃないからな。

 

 

「安心したまえ、伊達にそこの男は性根から目まで腐っているわけではないさ。リスクとリターン、自己保身にかけては目を見張るものがある。

間違えた時言いがかりをつけられないようわざわざ間違えてるかも知れませんよ?っと何度も保険をかけるぐらいの、な。

刑事罰に問われるようなことは割りに遭わないときちんと理解していることだろう」

 

 

 伊達に小根から目まで腐ってるわけではないって何?初めて聞いたんだけど。

 まぁ、自己保身云々はそうかもしれんが。

 俺は小心者だからね。

 

 

「なるほど。つまり小者ということですね。理解しました」

 

 

 初めて他の人に小物って言われたかもしれん。

 なんなら初対面だし、言われたの。

 ヤバ!レアじゃん!初対面の人に小物なんて言われることなんかこの先一生ないぜ!

 

 

 はぁ〜、話が長すぎて心の中でふざけてないとやってられないな。

 何をやってられないのかは知らんけど。

 もうさっさと話を終わらせてほしい。

 

 

「まぁ、先生からの依頼に関しては無碍に断ることはできませんし……承りました」

「そうか、なら後のことは頼んだぞ」

 

 そんな俺の願いを神様が叶えてくれたのか話は終わったようで平塚先生は教室から出て行った。

 結局俺の意思はガン無視でこの部活に入部することになったらしい。

 神様、どうせ俺の願いを叶えてくれるなら入部自体をなくして欲しかったです。

 

 

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