壁ドン、それは男性が女性に対してやるもの…というのは偏見か?偏見か…。女性が女性に対してやるこの状況、漫画や小説でしかみたことない。偏りまくった知識によって、この後顎クイからのキスとか、抱きしめられでもするんだろうかとか邪推of邪推してみる。私よりも身長が高いがために、見下ろされた状態で詰められているので、彼女の長く黒い髪が枝垂れるように私の顔にかかる。うわ…美人過ぎて消えそう…(?)存在の格で負けてる。あの~…マナーを勝負するバラエティ番組だったら映す価値なしになってる。
「君はさ。理解が足りないよね」
「愚鈍で蒙昧…そんな顔しないでくれよ、事実だろう?なにせ君は僕にこうされる理由を何一つ気づいていないんだから」
「僕がなんで君に執着するのか」
「僕がなぜ君を手元に置いておきたいのか」
「
「それを理解してもらわないといけない」
低音で耳を蕩かしそうな声で囁かれる。asmr?asmrなの?ちょっとエッチなサイトで買える耳舐めとかがメイン張ってるタイプのアブノーマルなasmrなの?お金払わないといけないヤツなの?いくら?3,200円とかそこらのちょっとお高めasmr?有名レビュアーがコメント欄で文才発揮するタイプのasmrなの?買わせて…(切実)
なにかボロクソに罵倒された気がするが、顔の良さと声の良さにやられていた私にはまったくわからなかった。だってそういうasmrだって思うとなんかもうそうなるんだもん!asmrを買うような人間はどんなに抗ってもシチュエーションには勝てない業を背負っている…!私は女だけど男性向けの音声聞くもん!男性向けだと罵倒される系が好き。女性向けはド低音の男性が「イケない子だね…」って囁いてくれるヤツが好きです。つまりは速水 奨さんのasmrをお出ししてくれたRaR〇さんには全裸で平伏するしかない…。え、てかめちゃくちゃいい匂いする…胸デカ…かっこいいイケメン女子…メスにされる…(?)女だけど…。私より胸デカいのなんなん?どうしてその高身長で、顔もよくて、スタイルもよくて、良い匂いもしてとかという天に二物三物…六物ぐらいもらってそうな状態なの?天下取っちゃうの?藤原公みたいに、我が世の春詠っちゃうの?詠っちゃってもいいよ。誰もが許すよ。少なくとも私が許すよ。
「君は君自身の特別性…いや、世界から外れた特異性というものを今一度知るべきだ」
「唯一、賽峰寺 鈴華の思い通りにならない人間というその特異性をね」
すっごい自信…そんな世界は自分のものぐらい胸張って言えるプライドデカすぎない?ほぼ竜王じゃん…。世界の半分もらって、もう半分竜王から強奪したんかってレベルの傲慢人間居る。なんなの?少女漫画の世界の人間なの?ふっ…おもしれ―女…なの?私そのポジションなの?え、じゃあ私これ拒絶しないといけないの?マジ?この溢れ出るオーラで消し飛ばされそうになってるのに、「やめてください…!」とか「気安く触んないで…!」とか言うの?古いか?新しく…新しく…あ、「私…その…ごめんなさい…!」とか?言葉足らずでえげつない刺し方すればええんか?それとも嫌われるべきか?「ンゴwww、勝ち組ンゴねぇwww」とか言えばいいんか?さすがにないか…。ダメか…。「ktkr!!!」とか?も…ダメか…。あ、アレがあるじゃん!
「わ、わわ、私…!どど、どうなっちゃうの~!」
瞬間、空気が凍った。世界に沈黙が訪れた。あ、これやらかした。完全にやらかしたね。第一話の終わり方はまだ早かったか。まだ小説で言えば2000字くらいだもん。まだ打ち切るには早かったか…。しかもこのセリフ、「ふっ、おもしれ―女」ってされてキスされた後に言うことだわ。はえーはえー。起承転結の起結しかないわ。承転抜けちゃった。やり直せる…やり直せない…?
「……ふざけないでもらえるかな?」
あ、ダメ。もうダメだ。終わった。私終わったわ。顎を片手で掴まれていたのが、頬をぐにゅってされる持ち方された。そのままぐにゅぐにゅされて口を封じられた。ちょ、痛い、地味に痛いっす…。ごめんなさい…だからその、目だけが嗤ってない笑み浮かべないでください…。へにょへにょになりながら目だけでも遜る…。へへっ、許してくださいよ賽峰寺さぁん…。へへっ(下卑な笑み)
「…君がそういう態度を取るのかはこの際どうでもいい。…僕が危惧していることはただ一つ」
ゆ、許された…
「君に自由に動かれることで僕という存在の完璧性が損なわれることだ」
「それだけは看過できない」
わぁすご…もう片方可哀想だよねってくらいの軽いノリでもう片方の耳にも囁かれてる。顔移動するとき、鼻に髪がかすってなんか昇天しそうになった。目覚める。こんなの目覚めるでしょ。いやでも…噂聴く限り、弄ばれて終わりとか遊び人とか…私遊ばれんの?遊ばれても…いいかも。ってちょっと思えてくるのなんかずるいわぁ…。ずるい。ほらあの~…イケメンに限るっていうヤツ?イケメンだから許されるヤツ。あれみたい。ずるい、ずるいよ。弄ばれて捨てられるんだ。きっとおんなじこと他の女にも囁いてんだ。
「君を僕の手元に置いておくだけで、僕の完璧性は維持される」
「だからこそ。だからこそなんだよ」
すご、すごい。だからの二連でぐいぐいっと胸が近づいた。いや身体をこう押し付けて圧掛けてるんだろうけど、物理的な圧というか…胸、胸に潰される…デッッッッッってなる。なんか、ふにふにとかもみもみとかぷるんとかそんな生易しい効果音じゃない。ずしっ…とかぎゅぅうっていう厳かで重量級の音だ。あぁ!乳に!乳に溺れる!
「君に執着する理由の一つは」
「もう一つあるんだ…それはね…」
乳に顔を挟まれて、圧迫感やら、良い匂いやら、顔やら、自分の置かれた状況にもう耐えきれなくなって意識がふっと落ちていく。なんだか最後に言いかけていたけど、たぶん聞いたら終わりだと思うからシャットアウトして正解だぁ~…あー…乳枕で…爆……睡……キメ…よ……。
「純粋に君を僕のものにしたいからさ」
そこは聞こえない感じになるんじゃないの!?!?私シャットアウトしたよねぇ!?なんでそこちゃんと詰めるの!?恋愛強者なの!?強者だこの人!!!ダメ!勝てない…!強すぎる…!セオリーぶち抜いて恋愛感情ぶつけてきた!!一話で終わっちゃった!!!はい!もうエピローグ!
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「スーッ……あの~…」
「ん?どうしたんだい?」
「いや、その、あのですね~…なんで私此処に居るんだろうなぁって」
気付けば、知らない部屋、知らない天井…いや知りたくない部屋に知りたくない天井。だってこれアレだよね…絶対にアレだよね?!
お持ち帰りってやつだよね!!!
和室的なお部屋で、座布団の上に座る賽峰寺さん…の上に座っている私…。あっれれ~おっかしいぞ~。私なんで賽峰寺さんの御膝に座らされてるんだろ~。なんで顎を頭の上に置かれてるんだろ~。なんでこの人は私を抱きかかえて脇腹を擦っているの?(冷静)一瞬にして感情値が0になったわ。まだね、まだ頭の上に顎載せるのはわかる。少女漫画で見たことあるヤツ~で流せる。同じく御膝の上に載せてるのも。あー!ここ予習したとこ~!ってなるからね。オタクはシチュエーションに詳しくなければならない。asmrオタクなら情景を脳内で練り上げるためにも必須…!幅広くシチュエーションを脳内にインプットしておくことで、瞬時に設定を理解し、没入感を深めねばasmrに対して失礼…!男性向けのシチュエーションは少し理解に苦しむ部分もあるが、知り合いのオタクA(男)に聞いたところ、シチュエーションよりも設定に寄ったものであるらしい(諸説あり)女性向けがベットの上で頭を撫でられながら甘く囁かれるものだとしたら、男性向けはその撫でてくれる相手の情報を詳しくするとのこと。ここはオタクB(男)や私と同じくオタクC(女)音フェチDE(女)(男)の意見も聞かなくてはいけないが、確かに、今売られているasmrのタイトルを見ると、男性向けはなるほど、ぱっと見でどういう相手が登場するのかわかりやすい。しかし、女性向けもタイトルでわかりやすいのがあるのも事実。私は男性向けasmrと女性向けasmrの真相を探るべく…アマゾンの奥地へと向かった…はうわぁ!?
「ねぇ、僕を無視しないでくれるかな」
頭が!頭が!頭が顎でグリグリされてる!!顎で!!顎で!!?asmrだ!(錯乱)asmrであったシチュエーションだ!(大錯乱)
「僕はさっきから君に話しているんだけど…君はすーぐ思考に耽って周りが見えなくなるよね…悪い癖だよ?」
ホワー!(聞くに堪えない怪音)鼻息が!!というか髪に鼻を埋められている!嗅がれてる!コレ…猫吸いだ!私猫と同義なの!?あ、ネコってそういう!?タチとネコ…ってコト…!?
錯乱に錯乱を続ける私を落ち着かせるように深呼吸される。あ、なんか冷静になった。吸われてる猫ってこんな気分なんだ。なんか虚無った…すごい虚無…。
スーンと一気に顔から表情が抜け落ち、とりあえず、この姿勢から脱出しようとする。今の状態はお膝に座らされて、どでかい胸をクッション代わりに猫吸いならぬ人吸いされてる状況だ。何とか出ようと足をばたつかせ、抱き着いてる両手を引きはがそうとする。
「だーめ…大人しくしないと……ね?」
「ハイ……」
最後の「ね」がゾッとするような声で囁かれてシュンと抵抗する気力が落ちる。はい…私は大人しく吸われるだけの機械になります…。
「あぁそうそう。なんで君が僕の部屋に居るかってことだよね?そんなの簡単さ。単純に連れてきただけだよ…学校からね」
「えっ、あ、が、学校は?」
めためたどもってしまったがしょうがないじゃん!そんな直球で来ることあるの!?
「ん?…早退♪」
「ピャー(超高音)」
「ふふっ、やっぱり君は面白いよね」
強いよ!強いってぇ!学校ブッチなの!?普通に昼休みの時間に帰っちゃったの!?あとそんな照れるようなことすぐ言わないで(真面目)私チョロいから(大真面目)騙されるから(本心)
「質問に答えたから、今度は僕から質問させてもらうよ?いいよね?」
「え、あ、や、嫌じゃないです。謹んで答えさせていただきます…」
え、そんな取引するノリなの?あと「や」って言った瞬間に腕に力込めないで…。後追いうちの「いいよね」を囁かないで…負ける…負けちゃうから…。
「君のスマホ、ちょっと覗いてみたんだけどさ。「え、や、犯罪d」なに?「…ナンデモナイデス」…それでファイルとか…SNSとか知りたいなぁって思って色々見てたんだけどさぁ……、コレ、なに?」
言い返したが普通に負けました…。圧が…強い。勝てないよ…助けて~。心がもう負けている私は、いつの間にか確保されていたスマホのとある画面を見せられる。…というかどうやってロック外したの?えっ、寝てるときに指を借りた?あ、そっかぁ…(大穴セキュリティ)
そこに映し出されるは、私のasmrライブラリ。これまで買ってきたasmrがズラッと並び、もう私の生活の一部と言っていい程のものだ。私の心のオアシス…。耳から摂取するタイプの幸せになれるお薬である(比喩表現)
「えっと…その…asmrっていう…あえっと…自律感覚絶頂反応の略称で…耳かきとか水のせせらぎとかで心地よくなるやつデス…」
「うん、それは君が寝ている間にサラッと調べて把握しているよ。聞きたいのはそうじゃない。…囁き、好きなの?」
「あ、いえ、その、そんな、好きって程でもないけど嫌いとかでは全然なくて、でもそんな好き好きっていうわけじゃない一コンテンツとして好きではあるけどそれこそスライムを使ったasmrとかもありましてそちらも好きだったりとか耳かきでいうところの金属製か竹製かみたいな貫通式も捨てがたいよねっていう(早口)」
「こうされるのが好きなんでしょ?…フ~っ」
「ひゃい!好きです!」
うぅ~…負ける~…。滅茶苦茶取り繕ったら、めちゃくちゃ甘く囁かれて負けた…。嗜虐的な笑みを浮かべて息も吹きかけられた…。弱み…弱み握られた…。うっうっ、これから弱みを盾に色々されるんだ…焼きそばパン買って来いよって耳元で囁かれるんだ……ご褒美では?
はっ!ダメダメ…。惑わされちゃいけない…。心に身持ちが固すぎて主人公を取られた負けヒロインを宿さなきゃ…。私、負けない!よし…。
「ねぇ…僕はね。君のことが好きで、出来るなら君が望むことは叶えてあげたいって思ってるんだ。もし…君が今からする質問に頷いてくれたら…このフォルダにあるシチュエーション…やってあげてもいいよ…?」
え、マジ?あ、いや今のは違う。違うって!堕ちてない!堕ちてないから!ホント!そんなチョロインじゃないもん!そんな甘言に釣られる私ではない…!心に負けヒロイン…!頑張れ…!心の負けヒロイン!同人誌でNTRされる役割だろう!主人公に堕ちずに間男に堕ちてたら、それはもう主人公脈ナシってことじゃん!よし…怒りでちょっと冷静になれた…。
「いいんだよ?ほら、これ。女性の先輩に頭を撫でられて…髪を弄ばれながら、口に指を入れられてかき混ぜられるのとか…現実にやってみたら…すごくいいと思うよ?」
そ、それは…!百合系のasmrの中でもアブノーマルなやつ…!最初に聞いてから一週間女性を直視できなかったやつ…!それが…(ゴクリ…)
「それとも…こっちがいいかな?男性向けだねコレ…女性に左右から囁かれるんだ。右耳で応援されて…左耳で罵倒されて…頭馬鹿になりそうだね…馬鹿になりたくない…?とろとろに問蕩けてみない…?」
えっ!?シチュエーション系の中でもランキング(私内)で上位のヤツ…!右耳の先輩が甘く囁いてくれて、左耳の後輩が冷たく罵倒してくれるヤツ…。しかも、声当ててる人が一人二役で「えっどこからその声を!?」と二重の意味で驚く魅惑voiceを…!?
「でも…君はすぐ負けちゃうからこっちがいいかもね…。コレ。俺様系の男に命令されちゃう奴。首輪もしちゃうんだって…。首輪…買って来て実際にやってみる?」
うっ、アブノーマル系だ…。耳舐めとかじゃないシチュエーションのアブノーマル系…。噛み痕残されたり、首輪を付けられて引っ張られるヤツ…。かといってそれ以上に乱暴はしないソフトマゾのasmr…。ガチのヤツは平然と殴られたりするから一回だけ聞いてあとはしり込みしちゃうんだよね…。でもソフトマゾ系はそんな殴られ慣れてない人にも優しいシチュ…。
「じゃあ聞くよ?……君は生涯…僕のものになる…YESかNO…どっち?」
やめてぇ!YESかNOで左右に振らないでェ!こんなの…!こんなの…!
「い、いい、いえす…いえすですから…やめてぇ…」
堕ちるしかないじゃん!!!
「ふふっ、よく言えました…」
耳の先まで真っ赤になった顔。呂律が回らず息も絶え絶えで、ビクビクするしかない私…。そっと、脇腹を擦っていた両手は、片手は肩を抱くようにして、もう片方の手は目を隠すように覆われて…。首元を晒すように少し頭を傾けられる。ちょっこれ…!
「ご褒美あげる…痛いかもしれないけど…我慢してね…?」
そうして、首に感じる生暖かい感触に身体を跳ねさせ「い""っ""……き"ゅ"っ"……」
身体から力が抜けてしまい、全体重を賽峰寺さんに預ける。過呼吸気味で籠もった熱をなんとか吐き出そうとして咽たりする私の背中が撫でられる。恐る恐る首筋に手を伸ばせば、少し湿った感触と鋭い痛みがあって、手に視線をやれば少し、ほんの少しだけ血の臭いがした。
「最後に言ったasmrの真似だよ?asmrの概要に書かれるようにやってみたけど…気に入ってもらえたかな?音声までは聞けなかったらもしかしたらやり方違うかもしれないけど…」
「は、はひゅ…ま、満足です…」
「そう、ならよかった」
「君はもう僕のものになったんだよ?今更撤回なんて許さないからね?」
「は、はひ…」
「ふふっ、…可愛いね。ほら体勢を変えて…こっち向いて…うん。ぎゅって抱っこするみたいに…眠ってていいよ。いっぱいいっぱいになってるところは可愛いけど、いつまでもは…さすがに可哀想だからね」
頭を抱きかかえられて、ぎゅっと背中を抱きしめられつつ、とんとんと背中を叩かれる。実際賽峰寺さんが言った通り、私はもうキャパシティが満杯だこれ以上は頭が爆散してしまう…。返事がままならないところからしてお分かりだろう。リアルにシチュエーションボイスをやられると死ぬ。そして、asmrオタクはシチュエーションに絶対に勝てないことが立証された。段々と薄れゆく意識、耳に響く心地よい鼻歌と一定リズムで叩かれる背中に否が応にも眠くなる。
あぁもう…本当に…本当に…私これからどうなっちゃうんだ…。
感想評価お願いします!
後日談と設定面は後程…