稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる 作:酉柄レイム
案件配信は、無事全滅することなくラスボスを倒すことで大団円と相成った。最後はみんな気を利かせてくれたのか、ニッコリ探偵団での打倒となり、俺的にも大満足。誰も死なせることなくクリアできたことも更に満足。案件先の方も大層満足いただけたようで、今後ともよろしくお願いしますとありがたいことを言っていただけた。
というわけで、休日。流石に睡眠時間が足らず、今日も配信をしたら生活リズムが完全に狂ってしまうと、俺が自主的に言い出す前に帝斗と透華に休養とされてしまった。透華にベッドに寝かされて、お腹をぽんぽんされた時はうっかり結婚したのかと勘違いしてしまった。
……ん? よく考えたら夫というより子どもみたいじゃなかったか?
そんなこんなで、案件配信にきてくれた人たちにお礼のDMを送り終え、一息ついたところ。直近ではアザミと月宮さんのお披露目配信と、第一回『EDEN’s School』の収録、それも第一回は配信と、立て続けに3Dでの稼働がある。まさか俺が忙しくなる日がこようとは……。
「んん……そんなこともないが、休むのが久々な気がするな」
「ずっとスタジオだったもんねぇ。ごめんね。ずっと一緒にいたかったんだけど……」
「満は子どもだからな、当然ちゃんと休むべきだ。そうせねばしっかり育たんからな」
「私、死んでるから育たないよ?」
「バカを言うな。俺は満をしっかり成長させ、お前が連れてきた男を見極め、お前の結婚式で号泣するのが夢なんだ」
「バカ言ってんのはそっちじゃん」
言いつつ、満はだらしなく頬を緩ませて、嬉しそうにくるくる回っている。かわいいやつめ。
……あ、なんか満が結婚するってなったら本当に寂しくなってきたな。もう今号泣しそうだ。今泣いておけば逆に結婚式当日は号泣せず、男らしい俺を見せられるんじゃないか? しかし、結婚式で泣かないというのも薄情な印象を与える可能性がある。今までの俺を考えると、泣かない方が不自然だ。であれば、今泣くのはやめておいた方がいいだろう。
至極当然な理論のもと涙をひっこめた俺に、「めんどい理屈……」と満が呟く。独り言にしては意味がわからんな……。
「それにしても、どうすれば満を成長させられるのか……」
「ねー。佐藤さん、オカルトに関しては天才的だけど、知識があるってわけじゃないし」
「自分で言うのもなんだが、大体はやってみればできるからな。しかし、そうか……それならば、オカルトの知識を吸収すれば可能になるということにならないか?」
「オカルトの知識……」
しばらく二人で考え、数秒後浮かんだ答え。顔を合わせて首を捻り、でもあいつしかいないかと同時にため息を吐く。
安倍聖麗。現代最高峰の陰陽師と自称する、『project:eden』が誇るド変態。恐らく、あいつが一番オカルト知識がある。あいつに頼るのは癪だが、満のためなら背に腹は代えられん。
気を引き締め、聖麗にDMを送る。
ミッドナイト・サイコナイト
満を成長させたい
安倍聖麗
あ、できますよ☆
軽い返事とともに住所が送られてきた。えっ、できるの!!???
鳥居をくぐるようにして遥か上まで伸びる階段を伸びた先に、聖麗が指定した住所がある。
バイクで移動すること一時間と少し。都会の街から切り取られたように自然が広がる区画。先ほどまではビル群の中にいたはずなのに、今は木々に囲まれて、冷たい空気を浴びながら、息を切らせて階段を上っていた。
「ハァ……ハァ……っ!! し、死ぬ……!! なんだ、このっ、階段は……!」
「先輩、大丈夫っスか?」
「だいじょび……」
「大丈夫そうには見えないけど……」
念のため、「満を成長させてくれるらしい」と帝斗と透華に連絡すると、透華が飛んできた。帝斗は俺たちが行方不明になった時のために待機してくれるらしい。オカルト関連だからその警戒は正しいとは思うが、よく考えれば聖麗に対して失礼すぎる。
俺たちが上っている階段は、死ぬほど長い。いや、俺だけなのか? 透華は少し息を切らせているが平気そうな顔をしているし、満も「上りたい!」と言って実体化し、元気に駆け上がっている。もしかしたら俺が不健康すぎるだけかもしれない。
「……!! ……!」
「え、なんスか?」
「すまんな、突然だったのにきてくれて、だって」
「あぁ……満のことなんだから当たり前っスよ」
「ふふー。透華すき!」
「ちょ、今抱き着いたら危ないから!」
微笑ましい光景が目の前に広がっているというのに、俺は声を出そうとしても餌を待つ魚のように口をぱくぱくさせ、満に通訳してもらう始末。俺と満が以心伝心でなければただの滑稽なおもちゃとなるところだった。あと以心伝心なら満の元気を俺に分けてくれ。世界一情けない元気玉のようで気が進まんが、死ぬよりマシだ。
「……、……!!」
「んーと、そんなこと言って、全然やったことないじゃないっスか」
「……? ……!!」
「はいはい。それじゃあ私を抱えられるくらい鍛えてくださいね」
「!!?」
「透華、なんで通じてるの?」
「なんとなく」
完璧に会話できていた。会話というのかは怪しいが……。「クソッ、絶対に鍛えて次はこの階段を楽々と上ってやる!」「なに? そう言っていられるのも今のうちだ。俺はやるといったらやる!!」「そういえば、なぜ通じているんだ!!?」と言おうとして口をぱくぱくさせていただけなのに、なぜか透華には通じてしまった。どうやら、俺は死にかけでもわかりやすいらしい。
そうして死にかけながら階段を上り続け、やっと上り終えると、目の前に立派なお屋敷があった。街中で見れば中から怖い人がでてきそうな和風豪邸。人間が通るにしてはどう考えても大きすぎる門の前には、一人の男が立っている。
「おや、ご足労いただいてありがとうございます。佐藤さん、羽崎さん、満さん」
「……」
「郭さん、どこか休めるところないですか? 先輩、この通り階段でやられちゃって……」
「おやおや、ではお願いします、芹沢さん」
「よっしゃ」
聖麗の合図でどこからともなくマリーが現れ、俺に手を伸ばす。しかし、その手は透華に阻まれて俺の目の前で小競り合いが勃発した。すまん。それは後にしてくれ。本当に死んでしまう……!
「じゃあ二人で抱えていこっか」
「そうだね。先輩、肩失礼します」
「私なら一人で運んでいけるけど……」
「オッホ。それは佐藤さんのプライド的にやめてさしあげましょう」
流石の俺も満に抱えられたら、なけなしのプライドが折れてなくなる。ありがとう、聖麗。まさかお前に感謝する日が来るとは思わなかった。
階段を上り終えて少し経ったからか、徐々に呼吸が落ち着いてくる。とはいえ足はがくがくなため、透華とマリーに肩を貸してもらい、聖麗の家へと上がらせてもらった。
そのまま聖麗を先頭についていくと、信じられないほど幹が太い切り株がある広間へと通された。その広間は切り株以外何もなく、かなり異質な空間。俺の唯一といっていい才能であるオカルトセンスが、この場所に何かがあるとビンビン訴えかけてくる。
「ここは?」
「平たく言えば、パワースポットのようなものです。詳しく言えば、この下に歴代の、その時代ごとの最高峰の陰陽師が眠っています」
「それは、かなりとんでない場所なのではないか? 俺たちが立ち入ってもいいのか?」
「大丈夫です。時々八人くらいに分裂してしまうくらいで」
「なるほど、俺が八人に増えれば、満を成長させることなど造作もないということか」
「面倒見るの大変なのでやめてください」
「たけちーが八人……」
マリーが幸せそうな表情をしているのはあえて触れないことにして、改めて切り株を見る。
あの下に、歴代の最高峰陰陽師たちが眠っていると考えると、この空間の異質さにも納得だ。威圧感があるわけではないが、まとわりつくような妙な気配を感じる。嫌悪感を抱くようなそれではないが、品定めされているような、包み込まれているかのような、そんな感覚。満も似たような感覚があるらしく、居心地が悪そうにむっとしている。
「何回かここにきてるけど、相変わらずキモいね」
「おい。故人に向かって何という言い草だ」
「最初は私も遠慮してたんだけど、喜ぶっていうから」
「えぇ。大層悦んでいらっしゃると思います」
「なんかニュアンスが違うように聞こえるんスけど……」
「透華、俺の近くにこい。妙な影響があってはいかん」
マリーと聖麗もついてきた。マリーはともかく、聖麗は妙な影響そのものだろうが!
「で、俺は何をすればいいんだ? 力を与えてくれるのであれば、それに見合った何かを捧げるべきかと思うが……」
こういう不思議な場所で、満を成長させたい、つまり新たな力がほしいとなれば、それ相応のイベントが発生してしかるべきだ。漫画やアニメでよくある成長イベントというやつであり、厳しい修行、仲間との成長、血のにじむような努力の上にそれがある。学生の頃は毎日そのようなことを思い描いていたが、ついに俺の番がきたか……。
「あ、じゃあその切り株に座ってみてください」
「あぁ」
「終わりました」
「あぁ?」
言われた通り座ってみれば、聖麗から信じられない発言が飛び出した。終わった? まさか、切り株に座ったら人生が終了するということか? ならなぜ座らせた? 流石の聖麗もそのような極悪非道な真似は……しないと思う。ではなにが終わった?
「これで満さんは成長しますよ。いやァよかったよかった」
「思っていたのと違う!! 血のにじむような努力は必要ないのか!?」
「にじませたいのであればご協力しますが……」
「物理的ににじめばいいというわけではない! もっと、こう、あるだろう!!」
「いいじゃないっスか。簡単に済むなら」
「いや、いいが……納得がいかん! クソッ、これで成長しなかったら訴えてやる!」
「佐藤さん、見て! ちょっと背伸びた!」
「訴えないでおいてやる……!!」
「ウケる」
ニッコリ探偵団 視聴者支部 part22
7:このライバーがすごい! ID:yqF73vWfj
案件配信、よかった
8:このライバーがすごい! ID:06xnfeA81
職業まとめ
ニコ:勇者
満ちゃん:武闘家
優姫ちゃん:僧侶
アザミん:魔法使い
ルイス:パラディン
イベリス:スーパースター
シゲキ:逆賊
ネズミ:魔法剣士
ルーシィ:天使
セレナ:調停者
星菜ちゃん:アイドル
姉御:ガーディアン
グレイヴィー:遊び人
アル:モンスターロード
フレイル:レンジャー
マリー:魔法使い
聖麗:僧侶
9:このライバーがすごい! ID:3Xjf2wg/w
>>8
こう見ると、被りは魔法使いと僧侶だけか
10:このライバーがすごい! ID:8/jJx70H4
元々職業めちゃくちゃあるしな
11:このライバーがすごい! ID:kkD3pHDwy
遊び方的には最適解だったまである
12:このライバーがすごい! ID:IYW3bbxfQ
星菜ちゃんのアイドルって、実は強い?
13:このライバーがすごい! ID:n5ezlYDtH
>>12
ステータスの『魅力』に左右される上、『魅力』の上がり幅は完全に運
だから、本来は強くないはずだけど星菜ちゃんだから強かった
14:このライバーがすごい! ID:wFS1UfgNr
>>12
アイドル
攻撃力はゼロ、回復サポート特化で、相手にバフをかける
その代わりに指定ターン経過後仲良くなって、戦闘が終了する上にお金が通常の数倍もらえる
15:このライバーがすごい! ID:57A+UbNQZ
経験値も数倍
ただし、指定ターンも『魅力』で左右されるから、かなり使いにくい
16:このライバーがすごい! ID:4sSr/432p
姉御のガーディアンでめちゃくちゃ味方守りながら指定ターン稼ぐ運用は正しかった
17:このライバーがすごい! ID:UrL4qcjay
あの、ターン数3ターンとか5ターンでしたけど……
18:このライバーがすごい! ID:ePjkOdETi
アイドル使ってみたことあるけど、普通に20ターンくらいかかったぞ
19:このライバーがすごい! ID:UcLIEIEn0
まぁ星菜ちゃんだし
20:このライバーがすごい! ID:W3/d2hwY0
ニッコリ探偵団とびっくり調査団で職業被ってるの、地味に好き
21:このライバーがすごい! ID:/ZnApsCf5
>>20
ニコが所属してて、ちゃんとユニット名ある二組だからな
22:このライバーがすごい! ID: 46Px4P0WV
一組目
優姫ちゃん(僧侶) アザミん(魔法使い)
・オーソドックスなパーティ
・ちゃんとストーリーを攻略
二組目
ルイス(パラディン) イベリス(スーパースター) シゲキ(逆賊)
・オシャレのために金を使いきる
・シゲキ的カジノ
・ルイスがクールにギャンブルに勝利するも、シゲキ的に消費される
・シゲキの手によりパーティが大ピンチに
三組目
ザミリエル(魔法剣士) ルーシィ(天使) セレナ(調停者)
・最上級職による戦闘を期待されるも、アホネズミがおねむにより離脱
・三人パーティでストーリーを攻略
・ボスを2体撃破
・ルーシィ「魔王様いらなかったね」 セレナ「こら!」
23:このライバーがすごい! ID:IbpsDe4db
>>22
まとめたすかる
24:このライバーがすごい! ID:t9qoIwzdf
二組目がおかしいんですが……
25:このライバーがすごい! ID:RfLPnhcMf
一切ストーリーが進んでない
26:このライバーがすごい! ID:VrtN1k25n
一組目から三組目で、ゲームの違った楽しさを見せてるからまぁ……
27:このライバーがすごい! ID:2qP0oWQc4
一組目:オーソドックス
二組目:本筋とは別のところ
三組目:最上級職の強さ
三組目はドブネズミが抜けたのにも関わらず、三人パーティだったから余計際立ってたな
28:このライバーがすごい! ID:BAEMSfzid
最上級職になるの普通に時間かかるし、条件も面倒っちゃ面倒なのに短時間でできてたな
29:このライバーがすごい! ID:0flF16QmG
ニコは一人用ゲームがうまいからな
30:このライバーがすごい! ID:7chY4mFkk
あ……
31:このライバーがすごい! ID:vhAy72+ZI
あ……
32:このライバーがすごい! ID:46Px4P0WV
つづき
四組目
星菜ちゃん(アイドル) 姉御(ガーディアン)
・姉御がパーティ全員を守りながら、星菜ちゃんが敵を魅了する戦闘
・バグを疑うレベルで魅力が高く、サクサク進む
・ボスさえ魅了する始末
・ニコ「俺より勇者では……?」
五組目(深夜帯のため、満ちゃん離脱)
グレイヴィー(遊び人) アル(モンスターロード) フレイル(レンジャー)
・遊び人のランダム行動でほぼすべて「酒を飲む」を引き当てる
・出会ったモンスターをほぼすべて仲間にする
・戦闘終了後、ほぼ必ずアイテムを取得し、道中のアイテムを拾いつくす
・ニコ「社会の縮図……」
六組目(満ちゃん起床)
マリー(魔法使い) 聖麗(僧侶)
・全クリ済みのマリーによる最効率レベル上げ
・僧侶なのになぜか高確率で会心の一撃を放つ聖麗
・チートを疑われ(ネタ)焦るニコ
・ニコ「違う! 俺はやっていない!」
七組目(ラスボス討伐パーティ)
優姫ちゃん(僧侶) アザミん(魔法使い)
・アザミん「レベル上げは画が面白くないから、守ってくれ」
・優姫ちゃん「人生プレイの醍醐味よね」
・満ちゃん「任せて!」
・ニコ「俺、今の精神状態ならやられたら普通に泣く」
・ダンジョンで二人を守りながらレベル上げ、見事ラスボス討伐
33:このライバーがすごい! ID:ehWk8VO32
四組目:職業の組み合わせによるうまい運用方法
五組目:職業の運による最大値と最低値
六組目:ゲームシステム
七組目:人生プレイ
って感じか
34:このライバーがすごい! ID:iecJZUuGE
最後、優姫ちゃんとアザミんを●なせないために、めちゃくちゃ金つぎ込んでたの草だった
35:このライバーがすごい! ID:fMWJKnbpv
なんだかんだ上振れ引いてたから、七組目まで危なげなかったし、正解だった
36:このライバーがすごい! ID:sedJS6Wi1
グレイヴィーは酒を飲みに来ただけか……いつも通りだな
37:このライバーがすごい! ID:XYco33gK3
フレイルのおかげでアイテムとか装備とかが潤沢だったおかげもある
38:このライバーがすごい! ID:6CA7c/vow
アルがモンスターを手懐けるから戦闘楽だし、フレイルが根こそぎアイテムと装備取るし、
アイテム回収特化パーティだった
39:このライバーがすごい! ID:c3ZQt1SHV
マリーは攻略情報教えてくれたし、ゲーム始めやすくなる宣伝も○
40:このライバーがすごい! ID:P69mFdIv4
ニコの人望で案件が成功したと言っても過言じゃない
41:このライバーがすごい! ID:cTsuB+t8B
またやってほしいけど、しばらくゆっくり休んでくれ