稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる   作:酉柄レイム

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第134話 並行世界とは

「まず、並行世界がどのようにして生まれるかを考えよう」

「どのようにって、元から存在しているんじゃないのか?」

 

 俺はコーヒー、聖麗は緑茶、マリーと満はココア、アザミは水。それぞれ飲み物を淹れて、『なぜ俺の世界での活動名が、この世界では本名になっているのか』の仮説を立てる会が始まった。どうでもいいが、聖麗はダージリンティーじゃなかったのか……?

 

 並行世界とは、読んで字のごとく『今自分がいる世界とは別に、並行して存在している世界』だと認識している。であれば、元々存在しているものだと思っていたが、アザミの口ぶりだとそういうわけでもない……正しくはそういうわけでもないと断定できる情報もない、というところか。

 

「そうだな、元々存在している、というのも十分考えられる。無数にある未来の中から異なる選択をし、その未来の数だけ並行世界がある、というのもない話じゃない」

「でも、それは私の力で否定できるんだよね」

「『並行世界が元々存在している』=『無数にある未来の数だけ並行世界がある』が成り立つなら、マリーは途方もない数の並行世界を見れなければおかしい……が、そうではないということか」

「そ。まー完全に否定できるかって言われるとそうじゃなくて、私に観測できる限界があって、それよりも並行世界が多いってことも十分考えられるけど」

 

 無数にある未来の数だけ並行世界がある、というのも推測でしかないしな。ただ、元から存在しているのなら確かにそうあるべきか。『俺がVTuberになった世界』と『俺がVTuberにならなかった世界』、少なくともこの二つの世界が存在していて、更にその先で枝分かれしている未来の数だけ並行世界が存在していると考えるべきだ。

 

「いや、待て。その理屈だと、『未来は確定している』と言っているようなものだぞ」

「あぁ。だからそれは確実にない。そんな面白くないことを、邪神側が許容するはずがないからな」

「……世界を創っているのは邪神なのか?」

 

 恐る恐る聞いてみれば、アザミからしっかりとした頷きで返ってきた。え、邪神? 世界を創るとかそういう系って、いい神様がやっているイメージだった。だって『邪』が付く神だぞ? 悪いことしかしなさそうじゃないか。実際そうだから『邪神』と呼ばれているのだろうし。

 ……いや、そうでもない、のか? 一つの世界を創ったのが『神様』だとして、『邪神が悪』であり『神様が善』と考えられるなら、最初に創られた世界は完璧で、誰も不幸にならない世界なのだろう。だが、それでは面白くないと『邪神』が『完璧ではない世界』を創り上げている、というのならまだ合点がいく。が、それなら『神様』が『邪神』を止めていそうなものだが……。

 

「……ん? 待て、そういえば邪神は俺たちと同じように、並行世界ごとに存在するのか? それとも世界をまたいで一つの存在なのか?」

「世界をまたいで一つの存在という方がしっくりくるな。神というくらいなら、私たちと同じ次元で存在しないだろう」

「大体はワタシたちを見て面白がることが多いですからねぇ。その点は気が合いそうなのですが」

「いつも思うけど、聖麗はなんでその名前でそんなに邪悪なわけ?」

「佐藤さんが平凡な名前なのに平凡ではないのと同じことですよ」

「俺の名前を使って論破するな」

 

 同じ次元では存在しない、と言われれば確かにそうだな。それが正しいのなら、いくら邪神といえど無数にある未来の数だけ世界が存在していたとしたら、それほど途方もない数を見切れない……こともないのか。何分邪神の力がどれほどのものかはわからない。ただ、世界を創れるというのなら見切れないわけではないような気もする。ダメだ、邪神のことをいくら考えても結論は出ない。元々、並行世界がどのように創られているのかも創っている本人……この場合本神か? に聞かなければわからないだろうし、この仮説を立てるということ自体がそもそも意味のないことなんじゃないか?

 

「無駄だからと思考を止めるのは愚の骨頂だろう。この先起きた事象で仮説が立証される可能性もない話じゃない。オカルト探偵事務所の所長が聞いて呆れるな」

「思考を読まれただと……?」

「違う世界のたけちーでもわかりやすいんだね」

 

 この世界の俺もわかりやすいのか……。俺とは違ってちゃんとオカルト探偵事務所の所長をやれているイメージだったが、案外そうでもないのか? まぁ、アザミと聖麗とマリーがいれば、大抵のことはなんとかしてもらえるから、飾りとして存在しているだけなのかもしれない。

 で、だ。元々考えていたことは『なぜ俺の世界での活動名が、この世界では本名になっているのか』で、その前に『並行世界がどのようにして生まれるのか』を考えていた。アザミがその順序で考えると言ったのだから、『俺の世界での活動名がこの世界での本名であること』と『並行世界の生まれ方』に何か関連があるのだろうが……?

 

「邪神が世界を創っていて、面白いことが好きなのだったか」

「あぁ」

「であれば、『面白がるために並行世界を創り上げること』をしないはずがない、というのがさっき『並行世界は元々存在していること』を否定した理由か」

「そうだな」

「ということはつまり、俺が元々いた世界と、この世界。どちらかがどちらかの後に生まれた世界である、ということか?」

「そうなる」

 

 となると……邪神の気持ちになって考えてみよう。どちらが後に生まれた方が面白いか、という観点になるはずで、とすれば、『俺たちがVTuberとして演じているキャラの世界が見たい』という気持ちになって、この世界が生まれたと考える方が自然、か? 邪神にとってどちらの世界が面白いかという観点で見ても、この世界の方が面白い、と思う。『奇紀怪解』の出来事を見れば、邪神がほぼ直接人間に関わっているからな。邪神にとってはこちらの世界の方が面白いだろう。

 

「さて、ここで安倍聖麗に聞いてみるか。この世界か、この佐藤たけしが元いた世界のどちらが後に生まれたか」

「なぜ聖麗に?」

「最も思考が邪神に近いからな」

「照れますねぇ」

「一ミリも誇れることじゃないからね」

 

 そこまで邪悪なのか、こいつ……。陰陽師なら、そういう存在に触れる機会が多かったから思考がわかるようになった、とかならまだしもそもそも思考が邪神に近いのか? よく考えなくともこいつは邪悪だなと思うことは多々あったが……。

 聖麗は胡散臭い笑みを貼り付けて、「そうですねぇ」と考えているのか考えていないのかよくわからないテンションで顎に指を添えて首を傾げる。

 

「この世界が先で、佐藤さんが元々いた世界が後なのでは?」

「なっ、なぜだ!? 邪神から見れば、この世界の方が面白そうだが……」

「だって、VTuberが流行ったじゃないですか。この世界で邪神を楽しませている我々がVTuberになったら、という世界を見たかったんじゃないかなぁ、と」

「邪神というのはそんなに俗っぽいのか……?」

「本来はそうではないでしょうけど、ショチョーが面白かったから、でしょうねぇ」

 

 まさか、この世界の俺のせいで、いや、おかげで俺の元々いた世界が生まれた、ということか? いや、そういえば俺はこの世界の俺の記憶が混ざっていた。この世界の俺がこの世界の俺の記憶しか持っていないのであれば、感覚的にはこの世界の方が先にあった、と考えた方がしっくりくる。

 ……まぁ、それがわかったところでという話ではあるが。もちろん現段階ではという話で、もしかしたら何かしらが起きて、この考えが役に立つ時がくるかもしれないが。

 

「まぁ、結論は気にするな、ということにしかならないな。どちらが先か後かなど、その世界を生きる者からすればまったく関係ない」

「そうだな……元があるということは、俺が元いた世界は、この世界をコピーして、『VTuberになるような世界』にいじられた、ということか」

「恐らくはな。並行世界のイメージでいえば、最初に考えていた『元々存在している』という方が正しいとは思うが、『邪神が創造する』ことを前提にすれば、そっちの方がしっくりくる。実際どちらが正解かは結局わからないが」

 

 並行世界が元々存在しているとするのなら、『本名が違う』世界というのは並行世界としてどうも違和感がある。並行世界のすべてを知っているわけではないから、そういう世界があると言われればまぁそうかと納得するしかないが、そう考えると俺がいた世界が後発で、この世界が元になっている、というのはない話じゃない、というレベルか。なるほど、道理でこの世界の俺がうまく行きすぎているわけだ。できれば直接会って「どうすれば依頼をもらえる?」と聞きたいところだったが、恐らく俺同士で会話できることはないのだろう。クソ、オリジナルの俺め。少しは順風満帆をわけてくれ。

 

「ん? 話が戻ってすまない。邪神が世界を創っているというのは、なぜ断言できるんだ?」

「私が直接聞いたから」

「直接!? 邪神からか!?」

「うん。『あ、僕が世界作ってるよー』って言ってた」

「ラフすぎないか? 邪神」

 

 そういえば、この世界では邪神と遭遇することがあるのだったか……。でもまさかそんな友だちみたいに喋っているとは思わなかった。もしかして友だちだったりするのか? この世界の俺は邪神にえらく気に入られていたようだし。

 

「よし、暇つぶしはここまでだな。もうそろそろだろう」

「もうそろそろ?」

「あぁ。赤羽満を起こしておけ」

 

 何がもうそろそろかわからないが、話し始めて早めの段階で眠りについていた満をとんとんと叩くと、「むにゃむにゃ、もう食べられない……」という寝言が返ってきた。そんなテンプレートな寝言を言うのはお前くらいだ。

 

「起きろ満。何か知らんが、もうそろそろらしい」

「何かわかってから起こして……」

「アザミ、何があるんだ?」

「羽崎透華と西園寺帝斗が帰ってくる。ん? 西園寺帝斗は帰ってくるという表現は不適切か?」

「どっちでもいいでしょ」

 

 え、と俺が間抜けな声を漏らすと同時、事務所のドアが開いた。まず左手薬指に目が行ってしまったのは、当然とも言えるだろう。そこが元の世界とこの世界の大きな違い。そこにある指輪を見て、やはり結婚しているのか……とどこかむず痒い気持ちになる。そして帝斗が俺を見た瞬間に訝し気な表情になった。こいつ、もう気づいたのか!?

 

「ただいま」

「おかえり透華。体は大丈夫?」

「うん。何してたの? 満が寝ちゃってるから、難しい話してたんだろうけど」

「ちょっとね。これから二人にも説明するから」

 

 マリーが立ち上がって、まずはジャブ。『何か説明しなければならないようなこと』が確実にあると伝えられ、逃げられなくなってしまった。いや、逃げるつもりはまったくないが、いざ目の前にすると心の準備がいる。あと帝斗がずっと俺を見てくる。鋭すぎないか? これでもし本当に気づいていたのだとしたら、怖いがちょっと嬉しいぞ。親友すぎる。

 

「なぁ」

「なっ、なんだ?」

 

 荷物を持ったまま、帝斗が俺に話しかけてくる。何も悪いことをしていないのに怒られている気分だ。あ、悪いことはした。俺が原因で入れ替わった。どうしよう、もう土下座した方がいいか?

 

「お前、違う世界の佐藤か?」

「エッ!? イヤッ……あぁ、そうだ」

「え?」

 

 透華が目を丸くして驚いている。ざ、罪悪感がすごい……!! すまない、透華の夫を奪ってしまって……! あとやっぱり気づいていたのか。なぜだ? 俺はわかりやすいとよく言われるとはいえ、何もアクションしていなかっただろう。なぜ入ってきてすぐ気づいたんだ?

 

「流石だな西園寺帝斗。なぜ気づいた?」

「まず俺たちが入ってきたとき、佐藤からおかえりがなかった。ってことは何かやましいことがあんのかなってのと、佐藤を見てみたら指輪をつけてないってこと。指輪をなくしたのかってことも考えたけど、『難しい話』をしてたって聞いて、アザミさんもいるならアザミさんが興味のあることだって思った。だったら、『別世界の佐藤』がこの世界の佐藤と入れ替わった、くらいのことだろうなって」

「流石という言葉では片づけられんぞ。有能すぎないか?」

「何年もお前の隣にいたら、なんとなくわかる。つーかマジでそうなのか……」

 

 なんだこの帝斗。元の世界の帝斗もかなり有能だが、もう一段有能な気配がする。恐らくこの帝斗はキャッチボールに誘ってこない。帝斗の欠点をあえてあげるとしたらキャッチボールに誘ってくることくらいなのに、それがないとなるとこの帝斗は完璧すぎる。ミドルネームに『完璧』と入れても誰も文句を言わない。

 帝斗は困ったように首の後ろに手をやると、ちら、と透華を見る。視線の動きにつられて俺も透華を見ると、透華が俺を見て、小さな声で呟いた。

 

「……あなた、じゃなかった。えっと、先輩、の方がいいかな?」

「ちょっと待ってくれトキメキがえげつない。深呼吸する時間をくれ。おい満起きろ! 俺を一人にするな! この衝撃を分散させるにはお前の力が必要だ!」

「むにゃむにゃ、あと5分……」

「やめろそのテンプレ寝言シリーズ! 本当は起きているだろう! 面白そうだから寝たふりをしているだろう貴様!!」

「もう……何があったの? この世界の透華と西園寺さんが帰ってきて、西園寺さんにこの世界の佐藤さんじゃないってことがバレて、透華が佐藤さんのことを『あなた』って呼んでるってことを知って、いつもの砕けた敬語じゃなくてタメ口で話しかけられてときめきでもしたの?」

「何があったの? じゃない!! まさにそうなってるんだよ、今!!」

 

 クソッ!!!!! 色んなあれこれがあって透華を意識しないように努めていたが、まさかこんな大ダメージがあるとは!! この、こう、なんだ? タメ口になったことで距離がぐっと近くなったというか、『あなた』と呼ばれているということを知って色々想像してしまったというか、俺の『心』という城の城壁が、『トキメキ』に破壊されそうになっている!!

 

「スゥー……ハァー……よし、おちちついた」

「お乳ついてどうするの。全然落ち着いてないじゃん」

「うるさい!! 透華、すまないがこの俺は透華と結婚していない! どうか以前のように喋ってくれ! そうでないと俺の心が破壊される!」

「う、うん。わかっ、りました」

「聖麗、俺を殴ってくれ。このトキメキはイラつきで相殺する必要がある」

「了解」

「少しは躊躇しろ!」

 

 迷いなく放たれた右ストレートを避けると、「なぜ?」と言いたげに聖麗が首を傾げる。本当に殴ってくるとは思わないだろうが! あとアザミ、舌打ちしたの聞こえてるぞ! 「チッ、血液が欲しかったが……」と言ったのも聞こえてるからな!

 

「とりあえず、ちゃんとした説明するね」

「うん、お願い」

「なぁ佐藤。結婚してねぇのはしてねぇでいいとして、透華のことは好きなのか?」

「なぜ恋バナをしに並行世界を移動せねばならんのだ! ノーコメントだ!」

 

 あとそういうこと言うのやめろ!! 帰ってからも意識しちゃうだろうが!!

 

 

 

 

 

「た、助かった……ありがとう、ていとくん」

「どこの世界でも、やっぱりシゲキさんはあぁなんだね……」

「帝斗な。あとお礼ならアザミさんに言ってくれ」

 

 逃げたたけしを追いかけて、シゲキさんがたけしを捕らえようとしているところにアザミさんが乱入。そのままドンパチし始めた隙をついて逃げ出して、気づけばまったく知らない公園にいた。多分、シゲキさんにとって俺たちが好ましくない人間だったら殺されていたと思う。まだ生かす価値があったから無事なだけだ。なんなんだあの人。なんでまだ日本の司法はあの人を裁いてないんだ?

 

「しかし、シゲキに嗅ぎつけられたか……これでは事務所も安全とは言えないな」

「いっそ言っちまうってのは?」

「これだけ早くバレたのなら、ルイスやイベリスに協力を求めて、守ってもらうと確約がとれたらありかもしれんな」

「でも、なんかシゲキさんがちゃんと協力してくれたら、並行世界を移動できる装置くらい作りそうだよね」

「そっちの世界のシゲキさんそんなことできんのかよ」

「あぁ。こっちの世界の科学力はこの世界と比べると随分発達しているように見えるな。その中でもシゲキはかなり抜けているから、可能だとは思う」

 

 とんでもねぇな。漫画アニメの世界から出てきたのか? あの人。それなら日本の司法で手に負えない理由もわかる。恐らくあの人を裁く法律がないんだろう。そんな人を相手にして大丈夫なのか? アザミさん。流石に殺されたりとかはねぇだろうけど、アザミさんも活動休止ってことになったら笑えない。まだ月宮さんに理由の説明もしてねぇのに。

 

「って、そうだ。連絡しねぇと」

「連絡?」

「あぁ。活動休止っつって心配してくれる人が佐藤に連絡とっても繋がらねぇだろ? 向こうからしたら音信不通ってなってめちゃくちゃ心配になるだろうから、適当に活動休止の理由つけて説明しねぇと」

「どの世界でも苦労をかけるな……」

「気にすんな。俺が好きでやってることだし」

 

 それに、マネージャさんも各ライバーに連絡してくれてるはずだしな。一部、佐藤が活動休止するはずねぇって違和感持って、更に行動まで起こしそうな人には俺からも連絡する必要がある。こういう時のために『project:eden』に所属しておいてよかった。「このままだったら、佐藤の周りのライバーさんと直接会う機会増えそうだな……『project:eden』に所属して信頼得とくか」って思ったあの時の俺、流石に英断過ぎたな。

 

 社用のスマホを開けば、思った通り数人から直接連絡がきていた。月宮さんと、明星姉妹と、イレイナさんから。月宮さんからは『並行世界ですか?』と察しがよすぎる短いメッセージが、明星姉妹からは『心配あるかないかだけ教えてください』と事情を深く聞かず、こちらを気遣ったメッセージ。イレイナさんからは『力で解決できそうか?』と野蛮なメッセージ。月宮さんには『佐藤と満ちゃんが並行世界の自分と入れ替わりました』と送って、明星姉妹には『心配はない。しばらくしたら帰ってくる』と送って、イレイナさんには『力じゃ無理です』と送っておいた。どうせなら力でどうにかなるならよかったのに……。イレイナさんなら一瞬で解決できそうだ。

 ……いや、イレイナさんの力借りるのもありか? シゲキさんが襲撃してきたときのために、武力が必要かもしれねぇし。今更だけど日常生活において武力が必要になる状況ってなんだよ。

 

「……帝斗、やはり俺は配信するべきなのではないか?」

「ダメだって。視聴者騙すのもよくねぇし」

「”そういう設定にする”というのはどうだ」

「あ? 何言って……」

 

 んだ、という言葉を飲み込んで、そういうことかと理解する。

 つまり、『並行世界からきたミッドナイト・サイコナイト』として配信するってことか?

 

「……いや、だとしても一発ネタだろ。長期間は持たねぇからダメだ。活動休止の連絡もしちまったし」

「だからこそ、だ。『この世界のミッドナイト・サイコナイト』は活動休止したが、代わりに『別世界のミッドナイト・サイコナイト』が配信をする。何もおかしなことはない」

「おかしいだろ。それが受け入れられるわけが……」

 

 待て、使えるか? 『奇紀怪解』を見ていた人たちにしか伝わらねぇけど、『奇紀怪解』に登場した『ミッドナイト・サイコナイト』を演じてるってことにすれば、その関係性も使える。事情を知ってる月宮さん、アザミさん、朝凪さんにも協力してもらえば、しばらくは耐えられるか?

 

「一旦、その方向で考えてみよう。何かあったら責任は俺が取る」

「そこだけが心苦しいな……言ってしまえば俺はこの世界の人間ではないから、この世界の俺に不利が働くようなことだけは避けねば」

「え、なになに? 配信するの?」

「色々調整は必要だけどな」

 

 ……これで何かあったら、どうすっか。まぁ、こいつは佐藤よりも頭回りそうだし、なんとかなるだろ。

 

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