稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる   作:酉柄レイム

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第163話 project:excite (2)

「よーういらっしゃい!! 今まで男には逃げられてばっかだったからね。選んでくれて嬉しいよ」

「シゲキ的ランデブーがお好みか? ワリィが一人で逝ってろ」

「えっ、俺は見逃してくれるってことですか!?」

 

 目の前にはイレイナ・ガーランド、イオス・エアハルト。他にもいるが、戦えんのはこいつらくらいだ。が、

 

《シゲキ的アラート!! 距離は2km、方角は東!! ビルの屋上にスナイパー!! エル&ロイだ!!》

《シゲキ的アラート!! 距離は3km、方角は北!! ビル内部にスナイパー!! サラ・ルフェーブルだ!!》

《シゲキ的アラート!! シゲキ的アラート!! ビルの屋上をパルクールで移動するスナイパー!! 距離は1km!! グレイヴィー・ドラグナーだ!!》

 

 シゲキ的兵器がスナイパーに狙われてることを知らせてくる。リック・アルベールはオペレーターだとして、シェリー・マクスウェルは索敵に引っかからねぇか。シゲキ的に流石だな。

 ヴァールハイト。普段は名前のない傭兵集団。それぞれ得意な獲物、戦術があるが、基本的にはスナイパーが大得意。数キロ離れていようがドタマを撃ち抜くなんざお手のもの。確か、ルイスが見つけてきた才能だったか。こいつらを連れてきた時は、わかりやすい物理的交渉手段ができたとシゲキ的に喜んだ。

 

 単純な戦闘力っつーステータスで見るなら、今この街にいるやつらの中でヴァールハイトが一番高ェ。敵をまだ全然殺せてねぇうちにやり合うのはリスクだが、戦闘力が高ェクセして主要な武器がスナイパー。周りの相手を先にしちまうとフリーのヴァールハイトが狙ってくるってんなら、先に潰す方がシゲキ的にマシだ。ならスナイパーを先に片づけた方が楽ではあるが、それはシゲキ的じゃねぇ。

 

「一つ先に言っておいてやるよ。『project:excite』では、現実のテメェらの能力、才能がそのまま使える。そうじゃねぇと、俺の位置まで上がれねぇからなァ!!!!」

「言われなくてもわかってる。私はこの体が武器だからねぇ」

「同じく。つかすげー才能だなマジで。イレ姉、シゲキさんヴァールハイトに入れません?」

「ハッ、おとなしく依頼受けて仕事できるようなタマじゃねぇだろ。シゲキほどの男とあっちゃ、組織のルールは窮屈だろうさ」

 

 イレイナ・ガーランド。生身で常人じゃありえねぇ馬力と、装甲つってもいいくれぇの硬さを持つ。正面からの白兵戦ならまずこいつに勝てるやつはいねぇ。スナイパーライフルを近接武器にして殴ってくるようなシゲキ的野蛮人。恐らく俺と似たような経緯で人の領域を外れてる。

 イオス・エアハルト。予知っつってもいいレベルの反射の持ち主。この距離で銃を撃っても、『銃を撃つまでの動き』に反射してシゲキ的に回避可能。人間の反射の限界を、直感を用いることで疑似的に超えている化け物。

 

 戦闘集団らしい才能だ。シゲキ的で嬉しいねェ。

 

「んじゃまァ、さっさとテメェらをシゲキ的にして、次に行くとすっかァ!!!!」

「おいおい、早漏か? こんないい女がいるのによ」

「冗談言ってる場合じゃないですよイレ姉!」

「よく回る口だな。あとで殺してやるよ」

「えっ」

 

 俺が背負ってるシゲキ的兵器『excite:eden』は、六本の腕それぞれに噴出孔がついている。もちろん腕それぞれは別々でシゲキ的に操作が可能。噴出するエネルギーの強度もだ。更に、姿勢制御、Gの軽減も自動で行う。

 

 つまり、こいつがあれば立体でのシゲキ的高速移動が可能ってわけだ。

 

「っ!!」

「うおっ、あぶねぇ!!」

 

 まずはシゲキ的に正面。四本の腕からエネルギーを噴出し、二本の腕を刃に変形させてシゲキ的に切りかかる。

 

《イレイナ・ガーランドに直撃!! ダメージはクソだ!!》

《イオス・エアハルト回避!! 反撃行動確認!! 左が安全だ!!》

《スナイパーによる狙撃を予測!! 3カウント!! 左が安全だ!!》

 

 シゲキ的兵器のナビゲートがシゲキ的に鼓膜へ直接響く。シゲキ的兵器は、俺が街中に設置した、空気中に紛れ込むレベルで小さいシゲキ的小型カメラの情報をキャッチし、そこからシゲキ的AIによる高速演算で弾き出した答えを俺に伝える。左がシゲキ的に安全ってのが被ってんな。シゲキ的に改良の余地ありだ。全情報をまとめて、最終的に安全な場所がわかった方がシゲキ的に無駄がねェ。

 ナビゲート通りに左に避ける同時、発砲音が近くから一つ、地面にぶち込まれた銃弾が三つ。方角的に、地面にぶち込まれた銃弾はエルロイ、サラ・ルフェーブル、グレイヴィー・ドラグナーのやつか。シェリー・マクスウェルは撃ってねぇな。正解だ。俺が位置を捕捉してるってことはバレてねぇ。それ前提に考えるなら、撃てば位置がバレるって思考になる。わざわざ位置がバレてねぇって優位を捨てる意味がねぇ。他三人は俺の行動を制限するために撃ってきたって考えるのが妥当か?

 

「ンで、両断する威力で切ったが、やっぱシゲキ的に硬ェな!!!」

「お? 両断するつもりだったのか。嬉しいね、遠慮なく殺せる相手ってのはさ!!」

「あぁもうイレ姉考え無しに突っ込まないでくださいよ!! イノシシじゃあるまいし!!」

 

 シゲキ的に笑ってイレイナ・ガーランドが突っ込んでくる。武器は無し。つっても全身がそもそも武器みてぇなモンだ。パンチ一つくらえば致命傷になる。

 もっとも、俺に限ってはあと五発は問題ねェ。腕一本ごとに、即死級の攻撃を受けた時に自動的に作動するシゲキ的緊急バリアが展開され、衝撃から体を守り、なおかつその衝撃の余波を逃がすことで実質ダメージをゼロにする。一度使うとしばらくその機能は使えなくなるが、大したデメリットじゃねぇ。

 

 かといって、イレイナ・ガーランドの打撃をくらうのはコスパがワリィ。ただのパンチでシゲキ的緊急バリアを消費させられんのはくだらねぇ。回避に専念するか。

 

《シゲキ的アラート!! 避けた先で狙撃される確率100%!!》

《右が一番ダメージが少ねェ!!》

 

 右に避け、頭を狙ってきた銃弾に対してシゲキ的兵器をぶつけて軌道を逸らす。損傷は軽微だが、何発も撃ち込まれりゃあシゲキ的に終わりだな。イレイナ・ガーランドは地面ぶっ叩いてクレーター作ってるしよォ。シゲキ的だぜ!!!!

 

「やっば。銃弾弾くとかマジかよ!!」

「アンタもできんだろイオス」

「流石に狙撃への反射はむじぃ……あー、まぁ一個までの狙撃で方角は割れてっから、できるっちゃできるか」

 

 ハッ、方角がわかってりゃあ、俺がシゲキ的兵器がねぇとできねぇことを、生身でできるっつったか? ヴァールハイトじゃ下っ端名乗ってるみてぇだが、十分シゲキ的じゃねぇか。

 こいつらの後ろにいる有象無象は手を出してこねぇ。シゲキ的に狙撃の邪魔だからか。ちょうどいい。シゲキ的じゃねぇやつの相手はしたくねぇ。

 

「で、そっちから誘っといて逃げるってひどくねぇか? 怖気づいたかチェリーボーイ!!」

「テメェのシゲキ的な攻撃を真正面から受けるわけねぇだろ!! ミンチになりたきゃ話は別だが、俺は生憎家畜じゃねぇからなァ!!!!」

 

 変わらずイノシシみてぇに突進してくるイレイナ・ガーランドの攻撃を回避しつつ、シゲキ的アラートに従って狙撃を避ける。イオス・エアハルトは何もしてこねぇ。恐らく、あいつは俺に攻撃が必ず当たる状況に反射する。つまり、今は俺に当てられねぇってのを感覚で理解してるってこった。

 

 すぐに片づけてェのはイレイナ・ガーランドだが、イオス・エアハルトを狙うか。イオス・エアハルトの反射はシゲキ的だが、反射を上回る速度でぶっ殺しちまえばいい。それに、この場で一番危険なのはイオス・エアハルトだ。俺とシゲキ的兵器の計算を、反射で越えてくる可能性がある。俺をジロジロ見やがって油断も隙もねぇ。

 が、好都合だ。シゲキ的スタングレネードを射出し、弾けたタイミングに合わせてイオス・エアハルトを殺しに行く。シゲキ的両断ブレードで触れれば、イオス・エアハルトなら一発だ。

 

《シゲキ的アラート!! イオス・エアハルトを殺した場合、狙撃される確率100%!!》

 

 シゲキ的アラートを無視して、シゲキ的両断ブレードを振り上げる。目の前には俺に銃口を向けるイオス・エアハルト。こいつ、目と耳潰されて、それでも反射して俺の位置を当てやがった……!! シゲキ的に残念なのは、持ってる武器がゴミだってことだな。俺を相手にするには格が足りねぇ。

 

 シゲキ的ブレードを振り下ろして、イオス・エアハルトを真っ二つにする。俺の位置がわかったんなら回避行動を取れば命はあっただろうな、なんてのはカスの思考だった。

 

「……ッ!!!!」

 

 俺に向けていた銃はフェイク。あいつ、俺が切る瞬間にシゲキ的スタンガンを当てやがった!! 目と耳潰れてんのに何シゲキ的なことしてくれてんだ!!!

 

《シゲキ的アラート!!》

「うるせぇ!!!! 今いいとこなんだ邪魔すんな!!!!」

 

 わかりきったことをほざくシゲキ的アラート機能を切って、シゲキ的兵器で三発の銃弾の軌道を逸らす。体が動かなくてもシゲキ的兵器は動かせる……が、一拍遅れて放たれた弾丸に撃ち抜かれた。シゲキ的緊急バリアが一つ逝った。やっぱりこのタイミングで撃ってきやがったかシェリー・マクスウェル!!!!

 

「つーかまーえた!」

 

 その撃ち抜かれた瞬間を狙われた。イレイナ・ガーランドに腕を掴まれて、逃げられねぇ。エネルギーを噴出して脱出する前に視界が地面に変わる。地面に叩きつけられたと理解した時には、腹に拳を振り下ろされて、シゲキ的にクレーターの一部になっていた。

 

 一瞬でシゲキ的緊急バリアを二つはがされた。シゲキ的すぎんな、こいつら!!!!

 

「サラから妙な波が二つ減ったって報告があったんだけどよぉ、あと三つであってるか? 楽しみだねぇ、それを越えてあんたと体交えんの!!」

「ハッ、バケモンが。イオス・エアハルトが死んだら、ちったぁ動揺すると思ったが」

「そいつは仕事こなしたあいつに対する侮辱だろ。あいつが今私に泣いてほしいってんならそうしてやるさ」

「そんじゃあ俺が泣かせてやるよ!!!!」

 

《解析完了。シゲキ的ビーム復旧!!!!》

《目標シゲキ的ヴァールハイト!!!!》

 

 シゲキ的兵器から、シゲキ的ビームを放つ。イレイナ・ガーランドに風穴が空いて、他のヴァールハイトがいるビルを焼き切った。

 

 シゲキ的兵器は、シゲキ的に様々な機能がある。そして、いくつかの機能に割いたリソースをどれかの機能に集中させることができる。そいつは機能の復旧も同じことだ。

 シゲキ的ビームの機能が阻害されてるって理解した瞬間から、最低限の戦闘機能と移動機能、探知機能以外を全部切って復旧にリソース回して、今。それでもこんだけかかったのは、流石アザミだな。

 

《エル&ロイに命中、死亡を確認!! グレイヴィー・ドラグナー、サラ・ルフェーブル、シェリー・マクスウェルは致命傷!!》

「思ったよりも残ったなァ。サラ・ルフェーブルは波を知覚する。シゲキ的ビームの発生も知覚したか」

「いってぇ……」

「ンで、なんでテメェは生きてんだイレイナ・ガーランド。流石に死ねよ人として」

「心配すんな、直に死ぬ。んでさ、ちょっと頼みがあんだけど」

「シゲキ的なら聞いてやるよ」

「両断してくれないかい? イオスと同じ痛みを味わってやんないと」

「テメェは硬すぎて無理だ」

「そいつは残念」

 

 それを最後に、イレイナ・ガーランドが喋らなくなった。シゲキ的に死んだか。

 ヴァールハイトで残ったグレイヴィー・ドラグナー、サラ・ルフェーブル、シェリー・マクスウェルは優先的に殺すべきだな。致命傷つったって、生き延びる心得なんざシゲキ的にあんだろ。一撃でシゲキ的緊急バリアを割るような狙撃、無視できねぇからな。

 

「「そんじゃあ、シゲキ的にぶっ殺してやるかァ!!!!」」

「と、お前はクールに言うだろう」

 

 背後から足音。シゲキ的ビームを放とうとした瞬間、その腕が銃撃で弾かれて明後日の方向にビームが飛んでいく。

 

「テメェ、ルイス……!!!! シゲキ的に殺されにきやがったか!!!!」

「先のイレイナとの戦闘で、お前はクールに地面に叩きつけられ、拳を受けた。しかし地面が想定よりも崩壊している。更にお前はクールに無傷。スタンガンは効果があった。以上から、『致命的な攻撃の衝撃を逃がす機能』がその六本の腕にあり、なおかつリックの報告から、それはあと三つ程度だろう。つまり、致命的なものでなければ隙をつけばクールにダメージを与えられるということだ」

「相変わらずベラベラ喋んのがシゲキ的に好きみてぇだな!!!! ンだ? よくできましたって褒めてほしいのか!!!!」

「いいや、よくもやりやがったな、と吠えさせにきたんだ」

「そう、私たちでね!!」

 

 シゲキ的兵器で接近には気づいていたが、あいつなら不意打ちはしてこねぇだろうと無視していた。

 大通りを爆走するシゲキ的鳳凰。クソうるせぇ音楽を響かせて現れたのは、やはりイベリス。

 

「これ以上大暴れはさせないわ!! 今日こそ私がオシャレにしてあげる!!」

「いいや、クールにしてやる」

「ざけんな!!!! 俺はシゲキ的だ!!!!」

 

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