稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる 作:酉柄レイム
「我が名はミッドナイト・サイコナイト、またの名をニコ! 深夜の狂騎士だ」
「満です!」
「月宮優姫です」
「アザミ・フレンジー」
新衣装で並んでるじゃねぇか!!
音質的にオフだな
もっと頻繁に仲良しを供給してくれ
俺に悦びをくれ
6月某日。事務所に集まった俺たちは、配信を開始した。なぜニッコリ探偵団で配信を始めたか……別に理由がなければ一緒に配信をしていけないということもないが、今回は理由がある。それは、
「早速だが、3D新衣装ライブのお知らせだ!!」
うおおおおおおおおおおおお
オシャレ過ぎるがあまり実装された新衣装だ!!
頻繁に仲良しを供給してくれた
俺に悦びをくれた
3D新衣装。ニッコリ探偵団で共通衣装を仕立ててもらい、更には3Dまで実装してくれたというのだから、3D配信をした方がいいだろうとのことで、ちょくちょくニッコリ探偵団で会議を重ね、今日発表という形になった。新衣装が発表されてから今までそんなに時間は空いていないが、俺たちはやれることが限られているから、そんなに会議は難航しなかった。
「ライブ、とは言っても歌って踊るわけではない」
「そもそもできないしねー」
「できるけど、見せられるレベルじゃないわね」
「小さい負けず嫌いが出たな」
「うっさい」
『project:eden』に所属するライバーのほとんどは、歌って踊るといったことはしない。その例に漏れず、俺たちもやったことはなく、だからこそ価値があるとは思うが、やるならちゃんと練習して、見せられるレベルになってからだ。
ただ、やるとしてもバンドとかだろうな。あまり自分の踊っている姿を想像できん。もちろん俺が不器用すぎるという意味で、だ。俺の視聴者はその様を見て大喜びするだろうが、俺が我慢できん。
ライブって何をするんだ?
せっかくだし動きがあるやつとか?
ニコは勝手に動くだろうけど
ニッコリ探偵団が集まってるならそれでいい
「勝手に動くだと? ふっ、どうやら俺の配信力が評価されているらしいな」
「戯言はいいからさっさと発表しろ」
「なにぃ!? なぜそのようなことを……ははーん、さては俺の配信力に嫉妬しているな?」
「配信後のお前たちとの時間が少なくなってしまうだろう」
「キューン。よし、今から3Dライブの内容を発表するぞ!」
「久しぶりに見たわね、キモいの」
「別にいつもキモいと思うけど、慣れてただけじゃない?」
まったく、アザミめ。相変わらず俺たちのことが好きなようだな。ところで満と月宮さんが俺のことをキモいと言った気がしたが、気のせいか? 気のせいだろうな。最近の俺はキモさから脱却したと自負している。段々一人前の男に近づいていっているようだな……。
「さぁ、刮目しろ! お前たちの力でつかみ取れ!」
配信画面にパワーポイントを映し、視聴者に3Dライブで行う企画を発表する。画面に表示されているのは、『project:talk ver.ニッコリ探偵団』。
「先に概要を説明する。視聴者のうち数人が、俺たちと話せるというものだ!」
うおおおおおおおおおお
マ?
ニッコリ探偵団と!?
視聴者を置いてニッコリ探偵団だけで会話回してそう
俺は以前、『楽園都市』で視聴者と実際に話をしたときに、もっと話したいと思った。だが、配信だとどうしても事故が起きる可能性を考えてしまい、個人でそういうことをするのはハードルが高い。俺が個人勢ならまだしも、企業所属だからな。
その『事故が起きる可能性』をどうやって排除しようと考えた結果、生まれたのが今回の企画だ。完全に排除はしきれないが、ある程度は排除できる。
「まず、今日から二週間。公式から発表されるサイトに飛び、『ニッコリ探偵団検定』を受けてもらう」
「その成績優秀者数名は、次にイベリスとの面談を受けてもらう」
「で、成績と面談結果を総合して、『配信に出ても問題ない』って判断された視聴者が、3Dライブで私たちと話せるってこと」
「色々お願いしちゃってごめんなさいだけど、みんなとお話したいから。お願いします!」
早くリンク送れ
ニッコリ探偵団検定は満点じゃないとダメってことにしないか?
愛が足りないやつは話す資格がない
羨ましすぎて嫉妬に狂いそう
羨ましいと思うなら行動しろよ!!!
一般の方を配信に出す際の『事故』というのは、荒らし目的、コンプラ違反、個人情報の開示、色々ある。まず俺たちに関する問題を作成してそれを受けてもらうことで、『熱心な視聴者』もしくは『熱心なアンチ』を割り出し、その両者とイベリスが面談することで、『熱心な視聴者』を選べるということだ。別にアンチを振るい落とすならイベリスとの面談だけで済むが、もし応募者が相当な数だった場合、イベリスの負担が重くなる。ある程度数を絞るための検定だ。
ちなみに、イベリスとの面談は、俺たちが視聴者と話せないかと会議していた時に突然イベリスが現れ、「私がオシャレになんとかしてあげる!」と言っていつの間にかそうなっていた。オシャレであれば人のためでもなんでもやってくれるところは素直に尊敬できる。
「検定は時間制限がある。十分準備してから挑んだ方がいいぞ」
「ニッコリ探偵団では、満以外満点だったな」
「ねぇなんで言うのアザミさん! 私だけニッコリ探偵団が好きじゃないみたいじゃん!」
「あの検定、ニッコリ探偵団の配信を全部ちゃんと見てないと全問正解できないと思うから、無理ないわよ」
「ん? だとすると、優姫は私たちの配信をすべて見ていたということか」
「当たり前じゃない。同期だし、そもそも面白いし」
「……ふふ」
反撃くらったアザミんが笑ったぞ!
かわいすぎる
ニッコリ探偵団がお互いのこと好きなの、ほんと好き
当然のように同期の配信全部見てるって結構すごくね?
満が全問正解できないのは、まぁ仕方がない。俺だけ起きている時間帯にアザミが配信していたりもするからな。落としていた問題も大体俺かアザミのものだった……ん? なんで俺の問題を落としているんだ? あとで追及するか。別に怒っているわけではない。ちょっと気にしているだけだ。
「配信は7月11日に行う。時間は未定だが、視聴者の都合に合わせて決定するつもりだ」
「みんなの都合次第では、長時間配信やって、合間合間でお話する! とかもある! っていうかそれがいいなぁ。月宮さんとアザミさんと一緒にいられる時間が長くなるし」
「そうね。それじゃあ24時間受け付けましょうか」
「私たちはともかく、満がもたんだろう。満がかわいいのはわかるが自制しろ」
24時間ニッコリ探偵団が一緒に……?
不倫確定か?
いや、未遂
未遂だとビッグボーナスじゃなくてレギュラーボーナスになるのか?
「その不倫確定を流行らせるのやめろ! 派生させようとするな!」
アザミは最近シゲキと色々あるから、シゲキを敵に回してしまう可能性がある。シゲキなら不倫じゃないと理解してくれるだろうが、そうした方がシゲキ的だからという理由で俺を殺しに来るかもしれん。厄介すぎるな、隙を見せたら命の危険がある事務所。
24時間配信は流石にないだろうが、昼から夜まで、とかなら十分あり得ると思う。配信は土曜日だから、色々な時間帯に予定があるだろうしな。できれば多くの視聴者と話したいし、個人的には長時間だと嬉しい。
「というわけで、ある程度は時間の都合を押し付けてもらって構わん。全力で挑戦してくれ!」
「話をするのが苦手とかだったら、せっかく3Dだし、こういうポーズして! とかそういうのも全然ありだからね!」
「なに……?」
「アザミが何か企んでそうだから先に言っておくけど、私とニコにハグさせるとかは無しよ」
「いやらしい粘膜接触はどうだ?」
「あんたの中ではハグの下にそれがあるの? 無しに決まってるでしょ」
危なかった
アザミんなら自分の視聴者の総力を注いで自分の欲望を実現しそうだからな
同期が積極的に燃やしてくる環境おかしいだろ
もう嫁さんいるから流石になぁ
「嫁がいなくても問題だろうが! まぁ、度を超えたものは流石にダメだが、ある程度なら言ってみるだけはタダだ。俺たちも無理なものは無理と言うから、変に気を遣う必要はない」
例えば、月宮さんがアザミを抱きしめるとか……何を見ているんだ満! その、別にいやらしい意味はなく、あれだ、美しいとかそういう感情で思ってみただけであって、綺麗な女性同士の絡みを見たいとかそういう邪な気持ちは一切ない! よく考えてみろ、近しい女性同士のそういうところを想像するやつは頭がおかしいだろう!? 俺がそんなやつに見えるか! 見える? 見えるのか!?
どうやら、俺は自分で思っているよりも変態性が高いらしい。いや、まぁ、さっきのは言い訳で、俺は月宮さんとアザミの友人であるとともにファンだから、そういう気持ちもあったりなかったりはした。認めよう。俺は変態だ。誰か俺を裁いてくれ。
「ニコが落ち込んでいるが、何かあったのか?」
「月宮さんとアザミさんにハグしてほしいんだって」
「待て、その言い方だと俺に対してやってほしいみたいに聞こえるだろう! そんなキモいことは考えていない! あっ、今のは俺に対してハグをすること自体がキモいと言っているのではなく、そういうことを考えている思考自体がキモいと言っているわけであって、だからと言ってハグをしてほしいのかと言われればそうではなく、そうではないというのは」
「うるさい。どうせキモいこと考えてたんでしょ」
「あぁ、そうだ! わかってくれてよかった」
「ニコがよかったならいいけど、多分よくないわよ」
よかった、最近ニコがキモくないんじゃないかと思ってた
順調にキモいな
安心する相手だとキモい可能性がある
キモくて安心されるの、ニコと聖麗くらいだろ
……ん? よく考えたら、俺は今自分がキモいことを肯定したのか? 月宮さんが言うならそうなんだろうが、せっかく一人前の男への階段を上っていたのに、滑り落ちた気がする。一人前になるにはまだ早いということか?
まぁ、視聴者曰く安心する相手の前だとキモくなるということだから、それはそれとしていい風に受け止めよう。今年の俺はポジティブなんだ。でも、そういえばおみくじ凶だったな……。
現在、書籍販売中です!! あと二巻も今月25日発売です!!
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GAMERS様の特典は優姫のアクリルスタンドがついてきます。
また、店舗ごとに特典SSがついてきます。
■販売ページ
オーバーラップノベルス様
⇒アンケートもあるので、ご協力いただける方はぜひお願いします!
GAMERS様_第一巻
特典:優姫のアクリルスタンド
⇒実物届きました。相変わらず美人かわいい。
GAMERS様_第二巻
特典:アザミのアクリルスタンド
⇒アザミのキャラデザ、めちゃくちゃ好きです。かわいい。
■第一巻特典情報
シチュエーションボイス書きました。キャラは以下です。
・アザミ・フレンジー シチュエーションボイス:アザミのダウジング
・朝凪真理 シチュエーションボイス:喫煙所の気になるあの人
・ミッドナイト・サイコナイト シチュエーションボイス:友だちとゲーム
・一ノ瀬星菜 シチュエーションボイス:夏の日、雨、バス停
・月宮優姫 シチュエーションボイス:放課後から始まる交友
・一ノ瀬明 シチュエーションボイス:買い物中ばったり会ったバイト先の先輩
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特典情報
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