稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる   作:酉柄レイム

203 / 228
ポケモンZAやってました。
ニコにはゲンガーとかゴーストとかが似合いそう。満はアチャモとか。
イベリスはウェーニバルとかフラージェスとかロズレイドとかルンパッパとかミロカロスとか。オシャレすぎる。


第201話 女性に対する免疫をつけたいから相談に乗ってくれ

 愛人は「僕にフレイルさんが叩けるとでも?」とカッコつけながら負け、結果俺たちは三連敗。大事な初戦を黒星のみで飾るという最悪なスタートを切った。シェリーさんは仕方ないにしても、俺と愛人が終わっている。どっちも”女性”としての力に敗北したと言っても過言ではない。

 

「というわけで、女性に対する免疫をつけねばならん!」

「私は甘やかしに対する免疫をつけなくちゃいけない!」

 

配信で堂々とする不倫は楽しかったか?

満ちゃんは仕方ない

そもそも姉御×2を相手によく耐えた方だろ

すさまじい童貞の方がおもしろいからそのままでいてくれ

 

 俺も誠に遺憾ではあるが、自分のアイデンティティが童貞であることは重々承知している。だが、このままではいつ透華に愛想を尽かされるかわからない。明さんたちに負けて帰ってきた日も、「よく考えたらあなたは悪くない、けど……」と言ってむっとしながら服の裾を掴まれた。可愛すぎて愛しすぎて俺は死んだ。

 そう、透華に我慢させてばかりではだめだ。いい加減俺も成人男性として立派な精神を獲得するべきだろう。俺の周りで女性関係で狼狽えているやつは……そこそこいるが、流石に俺ほど童貞ではない。唯一拮抗するのは愛人くらいか。かわいそうだな、シェリーさん。

 

 ……という話をしたのにも関わらず、俺が女性に対する免疫をつける、もとい童貞を克服すると言い出した理由は、透華に相応しい男になるため以外にもある。

 

「聞いてくれ、俺は明さんたちにまるで妻帯者とは思えない負け方をした」

「それほんとに聞いてほしいの?」

「この部分はあまり聞いてほしくないから話半分で流してくれ。それで、だ。俺が女性への免疫をつけたいと言ったのは──」

 

それは、昨日のことだった。

 

 

 

 

 

 透華からの視線を感じて「どうした?」と聞くと慌てて目を逸らして「なっ、なんでも」と焦ったように答え、「そろそろ俺、本格的に邪魔だよな?」と帝斗が苦笑した時だった。

 

「そういやさ、旅行とか行かねぇの? 結婚式はまだだけど、時間に余裕があるうちにやりたいことやってもいいんじゃねぇか」

 

 思い出したかのように言った帝斗の言葉に電撃が走る。

 

 しっ、新婚旅行……!! 結婚してから行くと言うのが一般的だと聞くが、別にタイミングなどいつでもいい。それに、失った信頼を取り戻すためには最適だと言える。流石帝斗。俺が「そろそろ透華の信頼を取り戻さねば」と思っていたのを察してくれたのか。できる男め。帝斗の唯一の失敗は俺の面倒を見ていることくらいだろう。俺自身は失敗だと思っていないが、周りから見ればそうだろうしな。

 旅行、というワードを聞いた透華は、一瞬期待したように俺を見た後、すぐにうーんと唸り始める。あまり女性をジロジロ見るのも……と思って婚約する前はそこまで透華のことを見ていなかったが、こうしてみるところころと表情が変わって愛らしい。一見落ち着いていて可憐な女性に見えるが、愛嬌もある。なぜこんなにすばらしい女性が俺に好意を抱いてくれているのだろうと首を傾げる日も少なくないが……。

 

「どうしたの? 透華」

「えっと、うーん……せっかくだし、西園寺さんも一緒がいいなぁ、って」

「え、俺? 気ぃ遣わなくていいぜ。てか俺が気ぃ遣うわ」

「……だって西園寺さん、結婚してからの方が余計気を遣いそうですし。一緒に行くなら今の内かなって」

「アー……まぁ、一理あるな。確かに、結婚してからしばらくは佐藤を独り占めできんだから、一緒に遊べんのは今の内か」

「はい。なので一緒に行きましょ」

 

 ……なんか、俺より帝斗の方がお似合いじゃないか? いや、そもそも帝斗が男として、というより人間として俺より上にいるのは当たり前のことであり、誰と並べても俺よりお似合いであることは明白。今更目くじらを立てるようなことではない。何より、帝斗に対して嫉妬に似たような感情を抱くことなど言語道断だ。俺によくしてくれている帝斗に対して、そして透華に対して失礼極まりない。

 

《でも、嫉妬とかそういうの、透華は嬉しいタイプだと思う》

《なにっ、そうなのか。だったらもっと嫉妬するべきか……?》

《別に努力してするものでもないと思うけど……》

 

 昔、父さんから「男の嫉妬はムエタイ!」と言われたから、そうだと思っていた。ちなみにその時の父さんは死ぬほど酔っていて、数秒後に潰れて母さんに運ばれていった。父さんには尊敬できるところがたくさんあるが、あぁなりたくはない。あと酔っているとはいっても『醜い』と『ムエタイ』は間違えんだろう。

 

「んじゃあどうすっか。もう夏だし、避暑地とかが無難か?」

「私おいしいものあるところがいい!」

「北海道とかよさそうっスけど……あなたはどこがいい?」

「どきゅーん。そうだな……」

「悩むフリして透華にときめいてる……」

 

 オシャレなBGMを聴きながら、旅行先を考えてみる。夏の北海道は湿気が少なく、夏なのに暑くないと聞いたことがある。日本の暑さというのは湿気が原因だと言うしな。俺のように体力がなく、すぐに暑さでダウンしてしまうような軟弱な男にぴったり……ん? 待て、なぜオシャレなBGMが流れている?

 

 違和感に気づいた瞬間、俺の背後にある窓がステンドグラスのような輝きを放った。そしてやかましく点滅した後、星屑のような輝きをまき散らしながら消えた。

 そして消えた窓から入ってきたのは、豪華絢爛な椅子に脚を組みながら座っているイベリスだった。

 

「オシャレに話は聞かせてもらったわ!」

「どこから聞いていたというのはもうどうでもいい! 勝手に事務所の窓を改造するな!」

「どうやら怒っているみたいね」

「当たり前だろう!」

「私がオシャレすぎるがあまり」

「別にお前のオシャレさに怒ってはいない!」

 

 いつの間に改造したんだ!? いや、改造しそうなやつに心当たりはありすぎるし、帝斗なら面白いからいいと言いそうではあるが! 自分の事務所なのになぜ俺の知らない機能が搭載されているんだ……!!

 落ち着け、深呼吸だ。ペースに乗せられてはダメだ。『project:eden』にいる以上、不測の事態こそがいつも通りになる。この程度で狼狽えていては、命がいくつあっても足らん。

 

「それで、何をしにきたんだ?」

「さっき旅行の話をしていたでしょう? ちょうどオシャレな話があってね」

「ちょうどいいはなし?」

「えぇ。実はオシャレなオシャレつきオシャレホテルが最近やっと完成したの」

「プライベートビーチ付きか。イベリスが噛んでいるのなら、綺麗なところなんだろうな」

「佐藤さんが自然とイベリスさんのオシャレを理解してる……」

「妻として私も理解した方がいいのかな」

「妻としてのハードルにしちゃあ妙すぎんだろ」

 

 プライベートビーチがあるなら、夏の旅行先としてはぴったりだろう。イベリスが管理しているのなら身バレの心配もない。俺は人より数倍バレやすいからな。多分俺だけじゃなくて『project:eden』全員がバレやすいような気もするが。個性的すぎるんだよな……。

 ……ん? イベリスがこの話をしてくれたということは、もしかして招待してくれるとかそういう話か? 期待しながらイベリスを見ると、俺の心を読んでいるかのようにウィンクし、脚を七回組み直した。

 

「そこにあなたたちを招待しようと思ってね! 宿泊費諸々はもちろんオシャレ! 好きにオシャレしていいわ!」

「タダは申し訳ない! テスターという意味合いだとしても、いくらか払わせてくれ」

「もちろん、それだけじゃないわ。オシャレに顔合わせも含めてお願いしたいの」

「顔合わせ?」

 

 イベリスの視線は、透華と帝斗に向けられている。当の二人は首を傾げているから、もちろん心当たりはないようだ。

 

「帝斗と透華は、俗な言い方をしちゃうとニコの『コンテンツ』になってるわ。だからこそ、みんなにもオシャレに知ってもらおうと思ってね」

 

 ……意図としては、理解できる。俺はよく配信で帝斗と透華の話をしているし、視聴者も知っている。帝斗は俺のマネージャー的存在でもあり、透華は婚約者だ。俺の周りにいる人物で最重要。人生と言ってもいい。その二人と顔を合わせることで『触れやすく』し、自由度の幅を持たせる、ということだろう。

 だが、違和感がある。イベリスはこういう裏方を表に近いところに引っ張りだすようなことを、本人から望まれるのならともかく、自分からやろうとはしないと思っていた。それに、帝斗はともかく透華は完全に一般人だ。さっき俺が考えていたことがその通りだったとして、それだけのために引っ張り出そうとするとは思えない。

 

「何を企んでいる?」

「んー。企んでいると言えば企んでるわ。ねぇ透華」

「は、はい」

「ニコがモテモテでモヤモヤしちゃう。でも配信の邪魔はしたくない。そう思ってるわね?」

「……はい」

「でも、ニコのオシャレな妻はあなたよ。ニコに近づく女性を牽制する権利がオシャレにあるわ。ただ、それをやる方法がない。だから、これを機会に作っちゃいなさい!」

「……イベリス、もしかして」

 

 考えすぎかもしれんが、俺が配信をしすぎて生まれてしまうかもしれない夫婦間の不和の対策のために、提案してくれたのか? と言おうとした俺の口が、無駄に豪華絢爛な装飾が施されたマジックハンドで塞がれる。

 

「だって仲良くしてほしいもの。そっちの方がオシャレでしょ?」

「……ありがとうございます、イベリスさん」

「お礼を言ってもらえるようなことはしてないわ。これは私のエゴよ。オシャレエゴ!」

 

 妙な企みをしているんじゃないかと、一瞬でも疑ってしまったことを謝りたい。イベリスは行動と言動がエキセントリックなだけで、素晴らしき人格者だと知っていたのに。

 

「……あれ、イベリスさん。その理屈だと俺はなんで」

「帝斗は優秀すぎるから、単純にみんなとコミュニケーションを取ってほしいの。つまり本当に顔合わせよ」

 

 ……待て、プライベートビーチ? さっきのイベリスの口ぶりだと、『project:eden』のライバーがホテルに泊まるんだよな? 参加者はまだ知らないが、女性もいるよな?

 

「なぁイベリス。ちなみに参加者は……」

「あなたは透華のことだけ見てあげなさい! 夫としての務めよ!」

 

 ま、まずい!!!!!

 

 

 

 

 

「──ということなんだ。頼む! 俺が水着姿の女性を見て狼狽えたら、離婚されてしまう!! お前たちの力を貸してくれ!!」

 

イベリス様が言ってたやつか

諦めろ

お前の未来は、4だ

カカシ先生!?

 

 俺は、何としてでも童貞から脱却せねばならんのだ!!!!!!!

 

 

 

 

 

ニッコリ探偵団 視聴者支部 part40

 

913:このライバーがすごい! ID:r+X1yqtbU

あか姉とあき姉に囁かれてたと思ったら、今度はプライベートビーチだと!?

 

914:このライバーがすごい! ID:LPPBZFklF

羨ましいがすぎるだろ

 

915:このライバーがすごい! ID:1swSUhK1v

奥さんも行くのか

 

916:このライバーがすごい! ID:nf8YNQZCq

信頼されてるんだなぁ、ニコ

 

917:このライバーがすごい! ID:6XeHf3oCr

普通身バレリスクとか考えるけど、ニコの身内だしって感じなんだろうな

 

918:このライバーがすごい! ID:6Nv8MB3hu

優姫ちゃんとアザミん、明星三姉妹は行くって言ってたな

 

919:このライバーがすごい! ID:/4w4lWtJk

マリーも爆速で参加表明してたぞ!

 

920:このライバーがすごい! ID:pSk8KwRDN

なんで奥さんより先に牽制してんだよ

 

921:このライバーがすごい! ID:WgmoZdtoC

でも改めてすげぇなプロエジェ

男女ライバーがプライベートビーチって言ってんのに、燃える気配がまったくない

 

922:このライバーがすごい! ID:TSsQGm6Ei

なお、ゆーとぴあ所属ユースちゃん

ユースちゃん「行くって言ったら流石に怒る?」

 

923:このライバーがすごい! ID:RK0PwR5Ar

>>922

草、いや、炎

 

924:このライバーがすごい! ID:YJu0FX8C9

恐ろしいことに「いいんじゃね?」って言ってる人がいる

 

925:このライバーがすごい! ID:jQfXusD2L

>>924

ちゃんとした情報を届けろ

大体やめてとかだぞ

 

926:このライバーがすごい! ID:fXVAvB4R3

>>925

ちゃんとした情報を届けろ

やめての内訳がユニコーン的なのとプロエジェが集まるからの二つだぞ

 

927:このライバーがすごい! ID:2FwKXthYt

確かに、命がなくなってもおかしくないしな

 

928:このライバーがすごい! ID:g5RYxaPwV

愛人とグレイヴィーがユニコーン的には一番マズそうか

 

929:このライバーがすごい! ID:mjh02wPwE

おい!! そんなことよりアザミんがニッコリ探偵団が集まる旅行だってうきうきしてるぞ!!!!!!

 

930:このライバーがすごい! ID:MSi0S/iu7

かわいすぎる

 

931:このライバーがすごい! ID:ZiYUkrTNU

そんなに可愛くて申し訳ないと思わないのか?

 

932:このライバーがすごい! ID:PUuZSpJpp

本当にすまないと思っている

 

933:このライバーがすごい! ID:Dt/F1BJGW

>>932

ジャック○バウアー!?

 

934:このライバーがすごい! ID:m0tutMXzW

伏字が意味を成してない

 

935:このライバーがすごい! ID:eZPArHkwG

誰がくるんだろうな

 

936:このライバーがすごい! ID:OQykbDJRH

なんかぬるっとしたノリで配信してほしい

 

937:このライバーがすごい! ID:QmJFCL7Fa

宵月ウィークのあの感じが好きだったからわかる

 

938:このライバーがすごい! ID:PPsA0N+s1

ニッコリ探偵団の旅行の時の配信とかな

 

939:このライバーがすごい! ID:VSg/AkIMC

星菜ちゃんはやってくれそう

 

940:このライバーがすごい! ID:Pt/yW6NzE

ニコもするだろうな

 

941:このライバーがすごい! ID:IEVvmCiJf

ニコにはそういう信頼がある

 

942:このライバーがすごい! ID:kM8Lb6kd6

奥さんがいるなら流石にないんじゃね?

 

943:このライバーがすごい! ID:uBO4oydzr

奥さんがいてホテルで配信ないって……!!

 

944:このライバーがすごい! ID:LOG5hsRGg

ニコがそんなことするわけないだろ!!

 

945:このライバーがすごい! ID:16eempjfE

ニコに下劣な話題持っていくなよ

 

946:このライバーがすごい! ID:LQphEP6wn

ニコは童貞なんだ!!

 

947:このライバーがすごい! ID:7VpMPeUMD

いつものことながらニコのユニコーンが多すぎる

 

948:このライバーがすごい! ID:kj8X3J4yM

実はアイドルライバーだった……?

 




書籍一巻、二巻発売中です。三巻も出したいので購入してくださると大変嬉しい気持ちです!
情報は以下の僕のアカウントか、公式アカウントを覗いてくだされば大体載ってます。

僕のアカウント

公式アカウント
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。