稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる   作:酉柄レイム

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第216話 『project:duel』

 『project:duel』。オープンワールドのカードゲーム。街や森などのフィールドに散らばったカードを集めて作成したデッキで、出会った人と戦うアクション要素を交えたカードゲームであり、『モンスターカード』『アクションカード』『エンターテイメントカード』の三種類がある。

モンスターカードはその名の通りモンスターであり、HPと攻撃力と固有の効果を持つ。アクションカードは例えば相手モンスターの攻撃を避けたり、自分モンスターの攻撃力を上げたりと様々な効果があり、使うタイミングは自由。最後に、エンターテイメントカードは15枚につき1枚の比率でしかデッキに投入できない、大どんでん返しが期待できる効果を持つカードで、こいつも使うタイミングは自由。

 

これらを組み合わせ、最低15枚、最大45枚で構成されるデッキを、街や森など、様々なフィールドに散らばっているカードを拾って組み合わせる。

 

「『深夜の騎士団(ミッドナイツ)獅子星(レグルス)』。俺が欲しいテーマのカードだ!」

 

プロエジェのライバーに沿ったテーマカードが用意されてそうだな

さっきから深夜の騎士団《ミッドナイツ》ばっかじゃね?

いいことではある

そこらへんの調整もうまくやってくれてるのかもしれん

 

「調整してくれているだろうな。恐らく、最初に拾ったテーマカードに合ったカードが出現するようになっている、と言ったところか」

 

 俺が今いるのは、夜の街。カードを拾い集めるというゲーム性質上、見えにくい場所は避けるだろうと踏んでここにきたのだが、それが正解だったのかもしれん。夜は俺に似合う!

 

 今はニッコリ探偵団で『project:duel』をプレイしているところだ。せっかくだからと満も参加し、四人での勝負ということになっている。

 

「ある程度のキャラコンが必要なのも面白いな。カードの取りにくさと強さが比例しているからやりがいがある」

 

 カードは道端に落ちているものもあるが、例えば屋根に上らなければ取れない場所にあったり、ゴミ捨て場に埋もれていたりする。見つけにくい、取りにくい場所にあるカードは決まって効果が強い。PvPなのに戦うためにカードを集めるという性質上、どうしても集める作業がダレてしまうかと思っていたが、ここにも競技性があるとは。

 これで、集まったカードは15枚。デュエルを開始するのに最低限の枚数が集まった。拾った時にカードの効果は読むようにしているが、すべて把握できているわけではない。一度熟読してみるか。カードの効果がわかっていた方が、カードを使った時の視聴者の反応がいいだろうしな。

 

『デュエルスタート!!』

「え」

 

 その瞬間、デュエルの開始を告げる電子音が鳴り響き、淡い青色のドーム状の壁が出現する。

 

「誰だ!!」

「カードを集めるのが遅かったな。お前の人生の歩む速度を表しているのかと思った」

「その容赦ない暴言は、アザミだな!?」

 

まさか、アザミんもここでカード集めを!?

マズいぞ!! 頭の出来的に多分アザミんはもうカードの効果を把握してる!

負けたら即脱落だぞ!

集め終わった瞬間に脱落はニコすぎる

 

 誰だ!! と言ったが、普通に道路の中央にいた。俺のイメージではビルの屋上から俺を見下ろしている予定だったのに、恥ずかしい。

 「何か知らんが、動揺しているな」と言っているアザミに動揺を悟られないようにアザミへ体を向け、上空に表示されたルーレットに目を向けた。

 

「さて、どのルールになるか」

 

 デュエル開始時、ルールが選択される。それは勝利条件を示すものであり、全部で三つ。一つ目は『相手モンスターを先に三体倒した方の勝利』、二つ目は『ライフポイント制:4000ライフポイントを削った方の勝利』、三つ目は『エンターテイメントデュエル』。一つ目はそのままのルールで、二つ目はお互いのプレイヤーに4000のライフポイントが設定され、モンスター、もしくはカードの効果によってそれを削り切った者の勝利。

 そして、三つ目は。

 

『ルール決定!! エンターテイメントデュエル!!』

 

 ルールの決定が告げられた瞬間、俺たちのデッキのうち一枚を残し、残りのカードがフィールドに放たれた。

 そして、それぞれの前にモンスターが召喚される。俺の前には闇夜を思わせる漆黒の装甲に身を包んだ、全長3メートルほどの巨大な獅子が。アザミの前には、花弁が何層にも重なり、人工的な艶を帯びた金属質の質感の、一軒家くらいの高さがある巨大な機械的な花が。いや、花とはいったがめちゃくちゃ物騒だ。花弁の内側には砲身があり、花の中心部には赤黒く脈打つ核のようなものが露出している。しかも無数のケーブルとアームが地面に向かって伸びている茎から生えている。正直怖い。

 

何だアレ!?

さっき拾ったモンスターだ!!

エンターテイメントデュエルってなんだっけ

そういうのはニコが全部説明してくれるぞ

 

「ルールを確認する!! エンターテイメントデュエルは、それぞれのデッキから一体のモンスターが選ばれ、それ以外はこのドーム状の壁に囲まれたフィールドのどこかに散らばる!! ただしモンスターカードは除去される。その後30秒間の制限時間が与えられ、そこでカードを集めた後デュエルがスタート! そこからは自由にフィールドのカードを集めながら、相手モンスターの打倒を目指し、先に相手モンスターを倒した方の勝利だ!」

「ルール把握が完璧で助かるよ。ストレスがなくていい」

「さらに、『深夜の騎士団(ミッドナイツ)獅子星(レグルス)』には騎乗することができる! フィールドを駆け巡るのにうってつけだ! この勝負、もらったぞ!』

 

オープンワールドならではのルールっぽい

順当に立てられる負けフラグ

いいカード引き当てられなかったら、普通に攻撃されて破壊されるってことか

おい!! 運要素が絡んだら負ける気しかしないぞ!!

 

「私の『狂乱の楽園(プロジェクト・フレンジー)-殲滅のアマリリス』は、このアームを自由に操作し、カードを集めることができる。残念だったな」

 

 あまりにも名前が怖すぎる。普通にラスボスの風格してるしな……。いや、臆してどうする!! 殲滅のアマリリスは地に根を……コードを張っている!! 機動力はレグルスの方があるはずだ。確かに動き回る必要がないというのもアドバンテージになり得るが、それでも俺たちの方が強い!!

 

『それではこれより5秒後、収集フェーズに入ります。5、4、3、2、1』

 

 スタート、という音とともにレグルスに騎乗し、空を駆ける。

レグルスは俺がさっき言った通り、騎乗することができる。それを俺が知っていたのは、モンスターカードには『騎乗可能。飛行可能』といったように効果とは別に性能が記載されているからだ。エンターテイメントデュエルでこいつを引き当てるとは、強運すぎるな、俺。

 

「よし、あのビルの屋上にあるカードを取るぞ!」

 

 レグルスに乗り、ビルの屋上を目指す。恐らくさっきまでと変わらず、取りにくい場所にあるカードは強いカードのはずだ。アザミもそれに気づいているだろうから、先に取ったもの勝ち!!

 もはや勝利を確信しながら手を伸ばす。が、俺の手は空を切った。俺が取ろうとしていたカードを取ったのは、背後から急激な勢いで伸びてきたアーム。

 

「おい!!!! 横取りするな!!!!」

「横取りしてはいけないというルールはない。30秒以内にお前がカードを集められなければ、その猫一匹のみでの勝負だ。横取りするに決まっているだろう」

 

賢い

横取りを阻止する方法はないのか!?

おい、ニコ!! Z、X、Cキーにそれぞれ技が振り分けられてるぞ!!

それでアームを弾けば横取りを防げるはず

 

「何っ、ありがとう! 助かった!!」

 

 コメント欄を見て、それから画面を見る。確かに、Z、X、Cキーにそれぞれ技が振り分けられていた。Zキーは『深夜の蹂爪(ミッドナイト・リヴェジャー)』、Xキーは『深夜の咆哮(ミッドナイト・ロアー)』、Cキーは『深夜の星翔(ミッドナイト・ドライブ)』。それぞれ攻撃、防御・妨害、移動系の技か。

 

「ならば、『深夜の星翔(ミッドナイト・ドライブ)』だ!!」

 

 Cキーを押した瞬間、視界が加速する。周囲には星屑の煌めきが散っていて、俺たちが辿った跡が星屑に彩られ、輝く軌跡が生まれていた。

 

「この速度なら、誰も追いつけんだろう!! ハーッハッハッハッハ!!!」

 

 高笑いする俺の視界が赤く染まる。かと思えば、ビル群が殲滅のアマリリスから放たれた無数のレーザーより崩壊し、屋上にあったカードがすべて地上へと落ちていった。

 

「おい!! ビルを壊すな!!」

「妨害手段があったら使うだろう、と何度も言わせるな」

「ぐぬぬ……!! しかし、それぞれの技にはクールタイムがある!! アームは使った、レーザーも使った!! あと一つは何かわからんが、残された10秒間でカードを集めれば」

「もう使っている」

 

 アザミの言葉とともに、空中、地上それぞれ数か所で爆発が起きる。それによって生じた煙でカードが見えなくなった。

 

「殲滅のアマリリスは、アーム、レーザーによって種をばら撒く。その種は私のタイミングで起爆させることができる、というわけだ」

「クソッ!! 正々堂々勝負しろ!!」

「これが私の正々堂々だ。殲滅のアマリリスは図体がデカく、攻撃する技しかない。相手にカードを集めさせずに殲滅するのが、こいつの正しい運用方法だ」

 

『デュエルスタート!!』

 

 収集フェーズが終了し、相手モンスターへの攻撃が許可される合図が鳴り響く。

 ま、マズい!! このままでは負ける!! まだカードを集められないわけではない。すぐに集めて戦力を補強せねば……!!

 

「アクションカード、『狂乱の殲滅(フレンジー・ファイア)』。殲滅のアマリリスにのみ使用可能なカードだ。その効果は、殲滅のアマリリスの技のうち一つと、『狂乱の殲滅(フレンジー・ファイア)』を入れ替える。クールタイムは引き継がない」

 

 じゃあな、というアザミの声の直後、視界を埋め尽くすほどの数の巨大な火球が俺に向かって放たれた。

 

 

 

 

 

ニッコリ探偵団 視聴者支部 part42

 

319:このライバーがすごい! ID:hcZoVrhgw

順位

一位:満ちゃん

テーマ:ゴーステイルズ

動物の霊のテーマ

しっぽにふよふよした炎が灯っているキュートなモンスターが特徴

二位:アザミん

テーマ:狂乱の楽園(プロジェクト・フレンジー)

花をモチーフにしたエグイ機械群のテーマ

攻撃性能ガン振り

三位:優姫ちゃん

テーマ:黄昏の探偵(トワイライト・ホームズ)

探偵のテーマ

カード収集、妨害が得意

四位:ニコ

テーマ:深夜の騎士団(ミッドナイツ)

レグルスしか出てきてないから知らん

 

320:このライバーがすごい! ID:hAVyiGpt8

ニコが瞬殺されて、やっぱりなってなった

 

321:このライバーがすごい! ID:WuEvUUXXc

絶対アザミんが一位だと思ってた

 

322:このライバーがすごい! ID:E5+4wjWW9

満ちゃんのゴーステイルズの基本技が透明化して攻撃避けれる上、

相手モンスターに憑依して乗っ取れるぶっ壊れアクションカードが強すぎた

 

323:このライバーがすごい! ID:HBkqaLSaY

ゴーステイルズ、みんな攻撃力ゼロでHPも少なかったから、戦闘前提じゃないんだろうな

 

324:このライバーがすごい! ID:gceVuGrKI

黄昏の探偵……トワイライト・プリンセス!?

 

325:このライバーがすごい! ID:t+XGeTwg4

>>324

消されるぞ、お前

 

326:このライバーがすごい! ID:5LMfc2wky

攻撃無効・技使用不可・効果無効

⇒無効にしている対象を破壊する効果

のコンボ系だったけど、満ちゃんのエンターテイメントカードでひっくり返されてたな

 

327:このライバーがすごい! ID:03iw6Di30

エンターテイメントカード:大爆発

効果:フィールドのどこかで大爆発が起きる

 

328:このライバーがすごい! ID:UyEHELrOo

バカすぎる

 

329:このライバーがすごい! ID:WKv35D8cw

カードゲームもクソもない

 

330:このライバーがすごい! ID:BNyPk6GYV

逆を言えば、カードゲームが苦手でも勝ちの目があるってことだろ

 

331:このライバーがすごい! ID:c6Bk3vIcU

語は不服そうにしてたけど、一応エンターテイメントカードなしにもできるらしいぞ

 

332:このライバーがすごい! ID:HJPFW/JZM

あと、オープンワールドじゃなくてカードプールから好きにデッキ組んで、

デュエルできるモードもあるらしい

 

333:このライバーがすごい! ID:kYZV28cPX

普通に競技性あっておもろそう

 

334:このライバーがすごい! ID:w671eV2p4

全員のテーマ見てみたいな

 

335:このライバーがすごい! ID:0Yc42bJun

まだニッコリ探偵団しかやってないからな……

 

336:このライバーがすごい! ID:gjPDqsowG

これ無料配布らしいぞ!!

 

337:このライバーがすごい! ID:u54tWsm1g

利益考えてなさすぎる

 

338:このライバーがすごい! ID:/nmtRZTsV

語「全員に楽しんでほしいのに、金もらうわけにはいかねぇだろ」

 

339:このライバーがすごい! ID:AynKm95IO

エンターテイナーの鑑

 

340:このライバーがすごい! ID:C+aF2g9w0

金とっていいレベルのエンターテイナーなのに……

 

341:このライバーがすごい! ID:yeffAB8zW

もう一戦やるらしいぞ!!

 

342:このライバーがすごい! ID:YvgMQsm5O

そりゃニコが納得できないだろうからな

 

343:このライバーがすごい! ID:E4EegbQmQ

どうせまたすぐ負けるぞ

 

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