稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる   作:酉柄レイム

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第33話 奇紀怪解 第三怪

 第二怪の感想。一期生は一期生だった。

 

「カロリーがえげつないな……」

「《これ、大丈夫? 頭おかしくなるよ、こんなゲームやってたら》」

 

少なくとも第二怪でやるような内容じゃない

意味が分からないうちに話が進んで、気づいたら終わってた

一期生のせいでおかしくなったのか、マリーがおかしくなったのか

一期生がおかしいに違いない

 

 第二怪、魂の牢獄。大勢の魂を集め、それを贄として神を降臨させようとする怪しい宗教団体を、一期生の三人とともに壊滅させるというストーリー。どうやら俺には魂に触れる力があったらしく、俺が魂を解放させている間に、一期生がむちゃくちゃをやって宗教団体を壊滅させていた。

 

「もしかしたら、俺にも魂に触れる力があるのか……?」

 

厨二乙

久しぶりに出たな

26歳で解放される秘められし力とか嫌だろ

数年間何も変わらなかったんなら、今以上はないんじゃ?

 

 などとコメントでは総スカンをくらっているが、俺と満は知っている。これがパラレルワールドで実際に起きた出来事であるということを。つまり、パラレルワールドの俺は魂に触れることができたということであり、世界線は違うものの、同じ俺なら同じ力が扱えても不思議じゃない。

 ただ、その理屈でいくとイベリスさんが鳳凰を背負っていて、茂樹さんが爆発物を嬉々として扱っていることになる。まったく違和感はないが、法律に反するからあり得ない寄りだろう。

 

「《でもさ、ニコさんって私に触れられるし、素質あるんじゃない?》」

「やはりそう思うか! 参ったな、このままでは世界の命運を背負うことになりかねん」

「《ニコさんが背負うことになるっていう時点で、世界は終わってるでしょ》」

「俺はオカルトに関しては他の追随を許さんらしいからな。案外そうでもないだろう」

 

聖麗……

いや、ニコにはあれ以上になれる素質がある

色んな才能自体はあるはずだからな

発揮できるところがなかっただけか

 

 まぁ、流石に世界の命運を背負うとかなんとかは冗談だが、オカルト的に成長するっていうのはない話じゃないと思う。というかしたい。その方向で成長できれば、満を具現化するなんてこともできるかもしれないし、そうなれば真の満をみんなに届けることができる。

 現時点での俺の夢は、満とともに3Dの体を手に入れることだ。そして満を認めてもらう。そのために俺は生きていると言っても過言ではない。

 

「もしかしたら、奇紀怪解は俺にとっていい教材かもしれんな」

「《ふーん。ま、オカルト関連で何かあった時のために、ニコさんが成長するのは悪い話じゃないしね》」

「そういうことだ。そうすれば依頼が舞い込んでくるかもしれんしな! というわけで行くぞ、第三怪!」

 

依頼はこないだろ

依頼はないな

依頼……?

妄言吐くのはずっと得意みたいだな

 

 うるさいな!!

 

 

 

 

 

「いい夢ばかり見る?」

「《らしいよ。最近、外出た時ちょろちょろーって周りの人のお話聞いてたんだけど、ほとんど最近いい夢ばっかり見るーとか、どんな夢見たーとか、そんな話ばっかりしてるの》」

 

 頭のおかしい三人組の猛攻を振り切って、もとい怪しい宗教団体の目論見を阻止してしばらく。相変わらず依頼のない毎日を過ごしていた俺に、満が気になる話題を提供した。

 

 いい夢ばかり見る。いいことだ。いいことだが、特定の個人というわけでもなく、街の人間のほとんどがそうだというのなら少しおかしい。夢というのは精神状態が現れると聞くが、だとしたら街のほとんどの人間の精神状態がいいということになる。ありえなくはないという程度の話であり、どちらかといえばあり得ない寄りだ。

 

今回はホラー寄りか?

一期生が出なければホラー

偶数怪はギャグで、奇数怪はホラーとか?

まさかホラーで休憩することになるとは……

 

「《ニコさんは見ないの? いい夢》」

「いや……覚えはないな。夢は見るが、普通だ」

「《あんなことがあったんだから、悪夢の一つや二つ見そうなのに》」

「もう見ただろ、悪夢」

 

 現実が悪夢だったんだ。夢の中くらいは悪夢から離れてもいいだろう。同じように、現実で悪夢を見たんだから、俺にもいい夢を見せてくれてもいいのに。

 それがないということは……考えすぎか? また何か変な団体が動いていて、何かが起きる前兆としていい夢を見ている、とかあったりしないか?

 

 ……その変な団体が、またあの三人組のターゲットになっていなければいいんだが。いや、実際にはターゲットになっていた方がいいとは思う。素行はともかく実力は確かだ。あの三人にかかれば解決できる。が、夢なんてまさにオカルトの話。また俺の力が必要だと拉致されてもおかしくない。

 

おい、誰だホラー寄りって言ったやつ

一期生の足音が聞こえてくる……

流石に二怪連続一期生はないって

そんな精神が削られるゲーム、マリーが作るわけがない

 

「んん……少し気になるな。少し探ってみるか?」

「《探るって、どうやって? 聞き込みできるコミュ力もないのに》」

「バカにするな!!」

 

 満の言葉に憤った俺は、事務所を飛び出した。

 俺は探偵だ。探偵なら、聞き込みの一つや二つ、簡単にこなせないとやっていけない。俺を舐め散らかしている満を見返すいい機会だ。俺が完璧に聞き込みをしてみせれば、満も俺を見直すに違いない。

 

 そうして意気込んで女性に声をかけようとして、十分以上が経過した。

 

「《ニコさん、ただのストーカーだよ? これ》」

「だ、だって……」

 

ゲームでも情けないのか……

期待通りの情けなさ

通報されて獄中生活始まるんじゃないか?

獄中のスターになりそう

 

 声をかけようとしても、喉で引っかかって戻っていく。運がよかった。周りに警察がいたら確実に声をかけられていた。こんな挙動不審のやつ、身内でも通報する。

 だから、このまま挙動不審になっただけで終わるわけにはいかない。意を決して声をかけようと一歩踏み出したその瞬間。背後から声をかけられた。

 

「ちょっと、そこの眼帯男」

「ハイッ!」

 

 芯の通った、意志の強そうな声。反射的に振り向けば、オレンジのふわっとしたロングヘアー。蒼い瞳を持つ目は、キツい印象を与える釣り目。その目がじとっと細められていて、明らかに俺を怪しんでいる様子だった。

 

「さっきからずっと女性の後ろつけてましたけど、ストーカー?」

「なっ、ちっ、違います! ただ声をかけようとしていただけで!」

「《落ち着いてニコさん! 何も違わないように聞こえちゃう!》」

 

優姫ちゃんだ!

最悪のファーストコンタクト

ゲームの世界で同期からストーカーの疑いをかけられる男

実際ストーカー行為ではあった

 

 クソ、どうしてこうなった!? いや、俺が声をかけられず、後ろをついて回ってしまったことが原因に決まっているが、そんなつもりはなかったのに!!

 でもどうするんだ? 俺は探偵で、聞き込みをしようとしていて、でもコミュ障だから声をかけられなくてずっと後ろをついて回っていたんです、とでも言うのか? 自分で言うのもなんだが、いないだろそんな探偵! 誰が信じてくれるというんだ!?

 

「……声をかけようとしていただけなのに、ずっと後ろついていってたんですか?」

「その、タイミングというものがですね」

「音楽の授業とか大縄跳びとか苦手だった? タイミング取るの下手なんですね」

「音楽は得意でした」

「そういう話してるわけじゃないのよ」

 

皮肉に角度を変えたマジレス

大縄跳びが苦手なの解釈一致

 

 大縄跳びは、その、タイミング取るのが難しくて……。この女性はかなり頭が回るのかもしれない。この短時間で大縄跳びが苦手であることを看破してくるとは。ただ、音楽が得意だったということは見抜けなかったのであれば、まだつかみ切れていないということだ。

 

 ……いや待て、掴み切ってもらった方がいいんじゃないのか? そうすれば俺がコミュ障だと理解してくれて、ストーカーじゃなくてただ単にコミュ障だっただけだと納得してくれるかもしれない。

 

「俺はオカルト専門探偵事務所、『オフィス獄楽園』のミッドナイト・サイコナイトです」

「オカルト専門?」

「《あれ、食いついた》」

 

どっちだ?

いい年してオカルト? っていうニュアンスか?

ストーカー行為働いてたやつがオカルトとか言い出したら、余計怪しいだろ

 

 俺がオカルト専門の探偵だと伝えると、女性は顎に指を添えて何やら考え始める。なんだ? まさか俺の活躍が既に広まっているとでも言うのか? まぁ無理もない。今まで依頼がほとんどなかったから名が知られていなかっただけで、俺の実力は信じられないほど高いからな。きっと、「えっ、あのミッドナイト・サイコナイトさんだったの!? どうしよう、失礼なことしちゃった……」と後悔しているに違いない。

 

「どうやら、俺のことをご存知のようですね」

「まったく知らないです」

 

 違った。安心するくらい知名度はそのままだった。

 

「ただ……オカルト専門というのが本当なら、少し伺いたいことがありまして」

「ほう? ということはオカルト面で何か困りごとが?」

「はい。私は黄昏探偵事務所の月宮優姫。最近多くの人が見るという『いい夢』について、力を貸してほしいんです」

 

第三怪 吉夢の謎

 

いい夢を見る。それ自体はいいことだが、何かが引っかかったミッドナイト・サイコナイトは、同じように思っている探偵の女性、月宮優姫と出会った。

取り越し苦労ならそれでいい。そうでなかった時が最悪だと調査をしている優姫とともに、夢の調査をすることになる。

そして、その夜。

ミッドナイト・サイコナイトと月宮優姫は、悪夢を見た。

 

《/font》《/color》

 

 

 

 

 

ニッコリ探偵団 視聴者支部 part8

 

412:このライバーがすごい! ID:VA7Df0wxk

優姫ちゃん!

 

413:このライバーがすごい! ID:OUOzvOXWY

ニコに対して敬語の優姫ちゃん、違和感すごいな

 

414:このライバーがすごい! ID:VhEn33ZqB

オカルト専門って聞いてもバカにしないあたり、ちゃんと優姫ちゃん

 

415:このライバーがすごい! ID:yA3kgMHDv

アザミんはまだですか……?

 

416:このライバーがすごい! ID:ewUbxiqmL

>>415

アザミんが真っ黒な画面で実況配信してるからそれでも見とけ

 

417:このライバーがすごい! ID:h071eOU8/

優姫ちゃん登場時

アザミん「お」

思わず反応し、すぐに口を閉じるも、徐々に口角が上がっていく姿にリスナー撃沈

 

418:このライバーがすごい! ID:gfQuAdjw7

>>417

理屈屋で淡々としてるのに、同期大好きなのかわいい

 

419:このライバーがすごい! ID:tcxAXnmod

なおアザミん、優姫ちゃんが登場したから配信に呼ぶ模様

 

420:このライバーがすごい! ID:++/PT7tTp

うおおおおおお

 

421:このライバーがすごい! ID:qDhAQeM+t

合流完了

 

422:このライバーがすごい! ID:7dglIoyta

アザミん「声当てるのうまいな」

優姫ちゃん「なんか、セリフに違和感なかったのよね」

アザミん「月宮優姫の特徴をよく捉えたセリフだ。朝凪真理に花丸をあげたい」

優姫ちゃん「ちょっと、私にも……よく考えたら別にいらないわね」

 

423:このライバーがすごい! ID:0tJFpTacR

>>422

癒し

 

424:このライバーがすごい! ID:CRCAWRBDx

>>422

アザミんが配信してるのを知ってたら、第二怪の時に見てたのに……

 

425:このライバーがすごい! ID:/5anPYi0s

>>424

めちゃくちゃ頭抱えてたぞ

なんか、シゲキと知り合いらしい

 

426:このライバーがすごい! ID:9Bd4yc4Yy

>>425

マ?

 

427:このライバーがすごい! ID:aX2FBV4v2

>>426

はっきり配信で言及したわけじゃないけど、シゲキが出た瞬間露骨に嫌そうな顔した

 

428:このライバーがすごい! ID:nnH4vEQKT

科学者繋がりでない話じゃない

 

429:このライバーがすごい! ID:YkWimS96+

も、元カレ!?

 

430:このライバーがすごい! ID:A71eENRI3

>>429

は? 黙れ

 

431:このライバーがすごい! ID:bJWgfrBUv

>>429

彼氏いたことないって言ってただろうがあんま舐めた口利いてんじゃねぇぞ

 

432:このライバーがすごい! ID:a3OiOyzL+

>>429

クセェ口からゴミ吐いてる暇あったら配信にかじりついて黙っとけカス

 

433:このライバーがすごい! ID: +0K4koH4i

強火すぎ強火すぎ

本気で傷ついちゃう人もいるからやめとこうね

 

434:このライバーがすごい! ID: YkWimS96+

確かに、俺はカスだった

 

435:このライバーがすごい! ID: Te1t0kuSIO

>>434

お前が素直なやつでよかったよ

 

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