稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる 作:酉柄レイム
「俺はどうせ仕事がなくてくだらないゴミ人間なんだ!!!!」
「そのモード、いつ終わる?」
満が冷たい!!!
ニッコリ探偵団一週間共同生活、二日目。朝起きると家に誰もいなくて、スマホを見ると二人から『仕事に行ってくる』という旨の連絡。俺は自分がみじめすぎて死ぬかと思った。当たり前に仕事はあるよな。昨日寝る前に、「朝顔を合わせておはようって言うの緊張するな……」とドキドキしながら寝たのがバカみたいだ。
「なぁ満、どうすればいい? 俺は二人を当たり前みたいな顔で『おかえり』と迎えられる自信がない」
「なんで?」
「『仕事をしていないやつがおかえりなんて、バカみたい』と思われたらどうするんだ!!」
「心配性すぎ! それ、二人に対する侮辱だよ? そんなこと絶対思わないもん!」
わかっている。わかっているんだが……!! あまりにも残酷に人としての”差”を見せつけられた気がして、気分が沈んでしまった。しかもあれだろ? ステージで流すかどうかはともかく、昼間は俺の姿だけが映像に残っていて、「うわ、やっぱりあいつ仕事してないんだ」って思われまくるということだろう? どこまで波及するんだ、俺のみじめは!
こうしてはいられない。あくまで仕事に出る人間のような振る舞いをカメラの前で行い、自然な動きで家を出るしかない。無職であることを隠すためのカモフラージュだ。そうと決まれば、満と作戦会議する必要がある。
「満。俺はみじめだと思われないために、仕事がある風にカメラの前でアピールし、家を出ようと思う」
「余計みじめじゃない?」
「うるさいうるさいうるさい!! こんなところ(親しい友人二人が自分を置いて仕事に行き、自分が無職であることを強烈に自覚させられる場所)にいられるか!! 俺は行く!!」
それに、無職みたいなものだが事務所はある。もしかしたら依頼がきているかもしれないし、俺が仕事に向かうということ自体は何もおかしなことではない。意を決し、正論を振りかざす満から逃げるように部屋を出る。そのまま階段を駆け下り、「遅刻遅刻!!」と騒ぎながらリビングへ。
「おぉ、やっと起きたか、ニコ。そんなに慌ててどうした? クールじゃないな」
「シゲキ的な目覚めでもあったか?」
「ニコ!! 朝はもっとオシャレであるべきよ!!」
最悪だ。朝起きてすぐに会うべきじゃないキャラを持つ三人がリビングにいた。なんで家にいるんだ? あとイベリスはなんで無駄に豪華絢爛な椅子に座っているんだ?
俺が硬直し戸惑っていることを察したのか、ルイスがクールにコーヒーを一口飲み、タバコに火をつけて口を開こうとしたところで、「禁煙よ!」とイベリスがタバコを握り潰し、「アツゥイ!!」と飛び跳ねる。当たり前だろうが。
「俺たちがここにいるのは他でもない。近々、星菜のクールなお披露目があるだろう?」
「星菜さんのお披露目で、なぜお前たちが……?」
「シゲキ的サプライズだ!! 何を隠そう、シゲキ的星菜のバースデーがシゲキ的お披露目当日だからなァ!!」
「だから、オシャレにお祝いしようっていうことよ」
星菜さんの誕生日。本人の性格を考えれば「実は私、お披露目の日誕生日なんですよね!」と教えてくれそうなものだが、遠慮があったのか、お披露目が嬉しすぎて忘れていたのか。恐らく後者だろうとは思うが、教えてくれてよかった。ここで教えてくれなければ、俺はお披露目に参加したにも関わらず誕生日プレゼントを用意しないゴミクズになるところだった。
「素敵! プレゼント買いに行こうよニコさん! どうせ暇なんだし!」
「まだわからんだろう!! 依頼がきているかもしれない!」
「お前のシゲキ的依頼ボックスに投函されたら通知がくるようにしているが、依頼件数はシゲキ的にゼロだ。安心しろ!!」
「いつの間に……!?」
そういえばこの前、透華が「なんかあの趣味の悪い箱、最近装飾変えたんスか?」と言っていたような気がする。あまりにも依頼がこなさすぎて確認も怠っていたから、見るのを忘れていた。というかそんなことをしていいのか? 何かしらの法に触れるんじゃないか?
なぜそんなことをしたんだと聞いても、「シゲキ的だから」としか返ってこなさそうだから聞くまでもない。この三人の意味の分からない行動に、行動理由を求めても仕方がないというのは『project:eden』、ひいては視聴者全員の共通認識だ。だからよかった。この家にきたのが星菜さんへのサプライズのためという理由があって。
「それで、俺は何をすればいいんだ?」
「ふっ、相変わらずクールだな。わざわざ俺たちがニコのところへ足を運んできた理由があると考え、自身に役割があると考えたということか。まぁそこまで急ぐ話でもない。クールにコーヒーでも飲んで、優雅な朝を迎えようじゃないか」
「早くしろ!!!」
「ものすごく急いでいるやつがいるが」
「ごめんなさいね。茂樹はオシャレなのよ」
「せっかちってこと……?」
恐らく、ルイスの言う優雅な朝というのは、シゲキにとってシゲキ的ではないということだろう。落ち着かせるためか、イベリスがシゲキにコーヒーのおかわりを注ぐと、それを一瞬で飲み干した。熱くないのか? 一期生は熱さに強い集団なのか?
「シゲキ的なものはシゲキ的なうちに、だ!! シゲキ的ニコならわかんだろ!?」
「あぁ、熱いものは熱いうちにということか」
「ハァ!? シゲキ的なものはシゲキ的なうちにっつってんだろうが!!」
「ニコさん。私、日本語の勉強をし直そうと思うんだけど」
「し直さなくてもいい。しても理解できない」
シゲキの視聴者は毎日これに触れているということか? もう既に頭がおかしくなっていそうだ。クスリみたいにシゲキを求めていてもおかしくない。なんか、シゲキの視聴者は日常でもシゲキ的になっていそうだ。何度か配信を覗いたことがあるが、やはり独特な雰囲気だったし。
独特な雰囲気と言えばイベリスの配信もそうで、どこかイベリスを崇拝しているように感じた。ルイスの配信が一番まともだった。というか俺の視聴者と層が似ていた。一番まともそうなルイスと視聴者層が似ていることに安心するべきか、一期生の一角と視聴者層が似ていることを危険視するべきか。悪いことではないとは思うが……。
「ニコにやってもらいたいことは単純よ。星菜と勝負して、負けたら星菜の言うことをなんでも一つ聞くこと!」
「俺が勝ってしまった場合はプレゼントにならないんじゃないのか?」
「勝ってしまった場合? 日本語が達者なんだなァ。俺にその意味をシゲキ的に教えてくれよ」
「なにおう!? 俺を舐めるなよ!! 自慢じゃないが、どのようなことでもある程度はこなせる自信がある! 確実な敗北など俺には似合わん言葉だ!」
「ふっ、クールだな。ニコの言うことには一理ある。だが、星菜はニコと勝負……遊ぶだけでも十分プレゼントと捉えてくれるクールな少女だ」
「星菜ちゃん、すっごく素直だもんね! 私も遊びたい!」
「もちろんよ! そうじゃなきゃオシャレじゃないもの!」
やったー! と万歳する満に合わせて、三人も万歳する。ノリいいな。シゲキもそういうことをするのは意外だった。ギャップできゅんとしてしまった。見方を変えればシゲキは『子どもみたい』と言えなくもないから、女性ファンもいるかもしれない。……無理があるか?
……ん? そういえば、サプライズという話だったよな? 今の話だとサプライズになっていなくないか? ただ『何でも言うことを聞かせる権利』を得るために勝負するというだけだろう?
「そう、それだけではサプライズになり得ない。ニコに頼みたいことは他にある」
「心を読むな」
「推理しただけさ。心をな」
クソッ、クールだ!! クールなセリフが様になっている……!! ルイスも一期生だ。おかしくはあるが、イベリスとシゲキよりも理解できるのは、俺がクールの適性があるからなのか? それともルイスが一番まともだからなのか? できれば後者がいい。クールの適性は悪いものではない気がするが、一期生を理解できるというのはあまりよくない気がする。
「ニコ。あなたには、サプライズの合図を出してほしいの」
「俺が!?」
「それもシゲキ的にな!」
「それもシゲキ的に!?」
「それでいてクールにだ」
「それでいてクールに!?」
「更にオシャレによ!」
「更にオシャレに!?」
「ニコさん。素直に受け取らなくていいから」
クールとオシャレとシゲキに囚われそうになった俺を、満が救い出してくれる。あ、危なかった。頭がぐちゃぐちゃになりすぎて、『カオス』という新たな概念を生み出しそうになってしまった。カッコいいよな、カオス。
「あなたの合図でケーキを持った明が登場。そして出演者全員がそれに続くわ!」
「合図はなんでもいい。これと決まれば、俺たちに共有してくれ」
「え、いいのか? 俺はその時3Dの体を得ていないぞ?」
「『project:eden』に遠慮なんざシゲキ的に必要ねェ!! 俺たちが合図を出すならお前だとシゲキ的に判断した!!! シゲキ的に面白そうだからなァ!!」
「そんなに俺のことを信頼してくれているのか……!!」
「いや、合図を出す程度のことでもシゲキ的に大慌てして、計算外のシゲキ的な面白さを提供してくれると期待した」
「ふざけやがって!!」
合図を出すだけだろう!? 流石の俺でもそれくらいできる!!
重大な役割であることは認めよう。だが合図を決めてその合図を出すだけだ。……でも、サプライズだからサプライズっぽい合図の方がいいよな。ハッピーバースデーというのはケーキ登場と同時の方がいいか? なら、合図にハッピーバースデーという言葉は使えない。だとすると暗号のようなものにするか?
……緊張してきたな。帝斗と透華に相談でもするか。
ニッコリ探偵団 視聴者支部 part13
636:このライバーがすごい! ID:OE7efjD5u
ニッコリ探偵団を定期的に供給してくれるから、潤いがすごい
637:このライバーがすごい! ID:eaB9erVlg
あまりにも仲良し過ぎないか?
638:このライバーがすごい! ID:rAasMICW2
ニッコリ探偵団の学パロが見たい
639:このライバーがすごい! ID:isOjd37Ge
>>638
生み出せ
640:このライバーがすごい! ID:/iHXGi8aR
ニッコリ探偵団が学校の謎を解決していく物語……!?
641:このライバーがすごい! ID:QjYGovWR6
でも、ニッコリ探偵団って人気だけど創作少ないよな
642:このライバーがすごい! ID:7OkK1dX3c
>>641
それぞれ芯が強すぎるからだと睨んでる
643:このライバーがすごい! ID:1CScitNUb
あそこまで供給あって自分に偽りがないと、創作すると解釈違いが起きやすい
644:このライバーがすごい! ID:VKFqJg/kL
>>641
日常会話を切り取って漫画にしたやつとかはあるぞ
645:このライバーがすごい! ID:kUb16KvUP
>>644
あれ、絵が可愛くてすき
646:このライバーがすごい! ID:e0QDDHcnD
そういえば昨日の配信で、自分たちを題材にした創作物について触れてたな
647:このライバーがすごい! ID:GxqFJvO5G
ニコはニッコリ探偵団に関わるものなら、大体全部チェックしてることが判明したやつ
648:このライバーがすごい! ID:6eJyLwaCb
アザミんもな
649:このライバーがすごい! ID:6WfIXzM7b
そして優姫ちゃんは二人から共有される
650:このライバーがすごい! ID:nPcOTIFV0
普段からずっと連絡取り合ってんのかな
651:このライバーがすごい! ID:PRDx9c5xm
そんな感じする
652:このライバーがすごい! ID:PEiAtfFuz
いい人に恵まれてよかったな、ニコ
653:このライバーがすごい! ID:IAgOCATIW
なんかニコに対して親目線っぽいやつ多くね?
654:このライバーがすごい! ID:WCiDgMUW7
>>653
しっかり人間的な成長を感じられるから仕方ない
655:このライバーがすごい! ID:tqEzgzBTb
人見知りとかマシになってきたしな
656:このライバーがすごい! ID:94lCNEdmh
今度罰ゲームで『project:edenのライバー全員とコラボする』ってやつやらせよう
657:このライバーがすごい! ID:yVRCY1W/V
>>656
それやったら、ニコはライバー全員のアーカイブ見ることになるぞ
658:このライバーがすごい! ID:9tRtF4RBV
行き過ぎた律儀……
659:このライバーがすごい! ID:84naU4BxY
他のライバーと仲良くするニコを見て、アザミんが嫉妬とかしてくれねぇかなぁ
660:このライバーがすごい! ID:Zlmc4y/zj
私たちとも遊べ、とか言ってくれると可愛すぎて昇天する
661:このライバーがすごい! ID:BzdYIhwsE
優姫ちゃんには「どうせ私たちのところに帰ってくるんだから」って言ってほしい
662:このライバーがすごい! ID:h7ugE5sfL
みんなニッコリ探偵団好きすぎだろ
663:このライバーがすごい! ID:FhBjp9w5D
>>662
あたりまえだー!!!!!!!!
664:このライバーがすごい! ID:LQorQ6D1a
>>663
麦わらさん!?
665:このライバーがすごい! ID:AoUVoBcr8
>>663
ゴムゴムのタイピング!?