稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる 作:酉柄レイム
「はーい! みなさんこんばんは! スパダリ王決定戦の司会進行を務めます、双海綾音です!」
こんばんはー!
どう考えても参加者の人選がおかしいと聞いて
賭けがあるならアルに賭けるのに……
グレイヴィーもあるぞ
配信開始とともに、双海さんが元気に挨拶をかます。コメントを見てみれば、早速俺と聖麗は論外だという意見が散見された。俺もそう思うが、他人に言われると腹が立つな……。
しかし、スパダリ王決定戦と言いつつも、審査員にほぼ身内が二人いる。そのうち一人は盲目に俺を一位にしてくれそうだから、みっともなく最下位はないと思いたい。
「スパダリ王決定戦! 様々なシチュエーションに対し、男性陣が各々事前に回答! その回答を審査員の方々に審査いただき、一番いい回答を出した男性に1ポイント! 最終的に獲得したポイントが一番多い人が、見事スパダリ王に輝きます! ちなみに、誰がどの回答をしたかは、審査員の方々および視聴者の方々には秘密にします!」
隠したところで、人物がにじみ出そうなやつが三人もいるな……
三人にじみ出るなら自動的に全員にじみ出るだろ
男が審査される側だけど、実質女性陣のセンスもわかるってことか
頼む、聖麗だけは選ばないでくれ……!!
コメントを見ている限り、今のところ最下位予想は聖麗のようだ。ちゃっかり俺の隣を陣取った聖麗は、とても気持ちよさそうにしている。なぜこれで喜べるんだ、と思ったが、妙なボイスを出す時点でまともな感性でないことは確定している。今更この程度で驚くこともないか。
「それでは、審査員の方々に自己紹介していただきましょう!」
「サラ・ルフェーブル。付き合った経験はないけど、いい悪いはわかるつもり」
「月宮優姫です。なんとなーくニコの回答はわかりそうだけど、贔屓とかはしません」
「朝凪真理でーす。ニコちーの回答はわかるし、贔屓もします」
「松風純花です。贔屓はやめましょう」
八百長宣言してて草
マリーのニコ推しは今に始まったことじゃないからな
美少女二人から「ニコの回答はわかる」って、羨ましすぎないか?
審査員、早速人選ミスが露呈してて草
自己紹介を終えたマリーが俺を見てウインクを一つ。それに俺ではなく聖麗が無駄に華麗なウインクを返すと、マリーが本当に気分が悪そうに顔を真っ青にした。わかる。聖麗にウインクされたら、なんか色々思惑がありそうで気分が悪くなるよな。
「そして、スパダリ王の座をかけて戦う、男性陣! 自己紹介と、意気込みをどうぞ!」
「どうも! アルテュール・黒衛・カンセールです! ありがてーことにいいやつだって言われることが多いんで、結構自信あります!」
「我が名はミッドナイト・サイコナイト! またの名をニコ! 深夜の狂騎士だ。同期のアザミが同時視聴をしているらしく、そこで俺はいい男だと言ってくれていた。アザミの評価に恥じない結果を出したいと思っている」
「でも回答に失敗して最下位だって言ってたよね。あっ、ついでに満です! ニコさんに憑りついてる幽霊です!」
実際、いい男ではある
いい男なのに、なぜ事務所に依頼がないのか
いい男かモテるかはまた別の話だろ
優しいだけじゃ社会はどうにもならんのよ
待機時間中、月宮さんがスマホを見て「アザミが配信してるわよ」と言って俺に見せてくれた時、ちょうどその場面だった。月宮さんは何かを見せてくれる時、しっかりパーソナルスペースを守って、俺がドキドキしない距離を保ってくれるから助かる。これがアザミなら、わざと密着に近い距離で俺の反応を楽しむからな。
アザミからは、DMで「回答をした後だから頑張れというのも変だが、期待している」と激励をもらった。これはアザミのためにもスパダリ王になるしかない。よかった。回答している時、「西園寺さんに回答してもらったら優勝できるんじゃない?」という満の悪魔の囁きに乗らなくて。それで優勝してアザミから祝ってもらったら、罪悪感で押しつぶされて、『ミッドナイト・サイコナイト』から『・』になるところだった。
「どうもォ、安倍聖麗ですぅ。私が優勝すれば阿鼻叫喚になると聞いて飛んできました。スパダリ王になった暁には、今後しばらく自己紹介に『スパダリ王の』という枕詞をつけようと思います」
「グレイヴィー・ドラグナーだ。恐らく、女性とのあれこれは俺が一番経験していると思うぜ? 経験が薄いシャイボーイに負けるようなことがあったら、三日禁酒してもいいな」
最悪だ
聖麗が優勝したら、スパダリの意味を強引に捻じ曲げるしかない
三日も!?
大丈夫か、グレイヴィー
まさか水を飲むつもりじゃないだろうな?
グレイヴィーさんとは、さっき挨拶した。サラさんと一緒に部屋にきて、気さくに話しかけてくれた。もちろん酒臭かった。
しかし、酒が入っているからと言ってべろべろになるわけではなく、しっかり歩けるししっかり喋れるし、なんならブレイクダンスもできるらしい。「俺というグラスに酒を注いでいるだけなんだ。グラスが酔うなんて聞いたことがあるか?」と調子づくグレイヴィーさんに、「ただのアル中でしょ。威張ってるのバカみたいだからやめて」とサラさんがキツイ一言。その瞬間、グレイヴィーさんとは気が合いそうだと直感した。
「ありがとうございます! ちなみに人選の理由は、男性陣はまともな回答を期待してアルさんを、飛び道具で他の三名を選出しました!」
「なっ、なに!? 飛び道具として期待してもらっていたのか!? クソッ、しまった……!! 真面目に回答してしまったぞ!!」
「真面目に回答しても飛ぶから飛び道具って言うのよ」
「遺憾!!」
ニコ、遺憾の意を表明
これほどわかりやすい遺憾の意はない
飛び道具三人は多くないか?
純粋にスパダリそうなのを四人集めるより面白いだろ
俺の後悔は月宮さんによって打ち砕かれた。クソッ、俺のセリフを拾って盛り上がりを作ってくれるなんて、なんていい人なんだ。そのせいでマリーが月宮さんに嫉妬の目を向けているのは、それはもう本当にすまない。俺がどうにかできる範疇を越えているんだ。
でも、飛び道具か……。確かに俺は童貞で付き合ったこともないが、スパダリは何も経験が物を言うわけではないと思っている。心が綺麗でまっすぐで思いやりがあれば、スパダリになれるのだ。しかし、よくキモいと言われるような男は果たしてスパダリに相応しいのか?
負けたかもしれない。
「さて、それではアイドリング的な感じでまず一発目いきましょう! 最初のお題はこちら!」
『付き合って初めて迎える彼女の誕生日! 何をする?』
オーソドックス
グレイヴィーはどうせ酒だぞ
ニコ、誕生日なんて祝えるのか?
サプライズ失敗してたしな……
サプライズのことは本当に触れないでほしい。
「シンプルでわかりやすシチュエーションなだけに、スパダリとしての資質が問われます! 早速一つ目の回答!」
『君と同じ年に生まれたこいつが、俺と君との時間を彩りたいと聞かなくてな。俺は二人きりで過ごしたかったんだが、こいつも混ぜてやってくれないか?』
セリフだと!? なんて高度なテクニックを……。この回答者は相当な手練れに違いない。
俺たち男性陣はお互いの回答を知ってもよかったんだが、黒衛さんの「知らない方がおもしろいと思いませんか?」という提案で、俺たちも誰がどの回答をしたのか知らない。
でもわかりやすいな。回答者はグレイヴィーさんだろう。
「別の方とご一緒するということでしょうか?」
「こいつって濁して書いてるけど、どうせ酒でしょこれ。ね、グレイヴィー」
「おっと、伝わっちまったか。俺との時間を想像することが日常的だからか? 参ったな、俺という器は酒で満たされてる。サラの熱烈な愛を受け取るには、悔しいことに少し器が足りないかもな」
「ねー、サラ。グレイヴィーって脳を酒にでもつけてんの? 随分愉快な妄言吐いてるけど」
「はい」
「おいニコ。今日は酒に付き合ってくれ」
「おっ、じゃあ俺もご一緒します!」
「ではワタシも」
グレイヴィー、マリーとサラコンビにより撃沈
セリフ回しとかは違うけど、立場的にニコと似てるよな
やられ役が似合うってところがな
純花さんの反応が一番きつくね?
実際に純花さんの反応されたら、セリフの説明しないといけないからな
配信開始前、サラさんに酒を取り上げられて手持ち無沙汰なのか、酒を飲むジェスチャーをしながらの誘いに頷いてから、いやしかし満がいるし、酒はどうなんだ? と悩む俺に「倒れちゃっても私がいるから安心してね!」と満が握りこぶしを作る。なんだこの可愛くていい子は? 満か。
「早速飛び道具が威力を発揮しましたね! それでは次に参りましょう!」
『思いっきり楽しいデートとサプライズ! 花束とか渡したい!』
黒衛さんだな。一発だ。これが聖麗だとしたらイメージと違いすぎる。聖麗に花束を渡されたら殺されるんじゃないかと思ってしまう。マフィアが花束をプレゼントするようなものだ。意図が不明すぎて、事前にお墓参りしたんじゃないかと疑う。
……いやでも、聖麗だからこそ花束は嬉しいのか? 普段飄々として人を食ったようなやつが、自分にだけは誠実で、一生懸命喜ばせようとしてくれるって、かなり嬉しいんじゃないか?
「ふふ。素敵ですね」
「もう隠す意味ないんじゃない? 聖麗はありえないだろうし、ニコちーがサプライズなんてタイムリーでトラウマなことするはずないし」
「おや、ワタシかもしれませんよ?」
「聖麗だとしたら、花束渡された時点で自分の命の心配する」
マリーと思考が被った。なんとしてでもマリーには悟られないようにしないといけない。「私たち、繋がってるんだね……」と熱い視線を向けられることだけは避けなければならない。もう向けられてるけど。なぜ俺はこうも心を読まれるんだ!?
「誰の回答かは触れないでおくとして、誕生日に花束は嬉しいわね。こういう人なら、直球で喜んでほしいって思ってプレゼントしてくれるんでしょうし」
「正直邪魔だなって思いますけど、なんだかんだ嬉しいのかも」
「思いっきり楽しいデート! というのが可愛らしくて、素敵ですよね」
「でもニコちーじゃないしなぁ」
「朝凪さん。贔屓はやめましょう」
正直邪魔って思ってるサラに花束プレゼントして、お礼を言ってもらいたい人生だった
マリーに花束プレゼントしても、ニコちーじゃないしなぁって言われるのか?
ならニコをプレゼントしよう
ニコの人権をなんだと思ってるんだ
黒衛さんがニコニコして、グレイヴィーさんが「俺の良さは、小さなレディにはわかんねぇか」と負け惜しみを漏らしている。俺も黒衛さんの方がいいと思う。ストレートで、純粋に想ってくれていることが伝わる。
でもグレイヴィーさんもいいと思ったがなぁ。生まれた年と同じものをプレゼントするってカッコよくないか? 何? 自分のカッコよさを見せたいのが透けて見えるからちょっと? 満、今度俺に恋愛というものを教えてくれ。
「正直、回答すべていただいた時、バラエティに振り切りすぎたなーって思いました。自我強くね?」
とうとうぶっちゃけて草
回答隠す意味、現時点でないもんな
いや、まだ「えぇ!? この人だったの!?」のどんでん返しがある
次のニコと聖麗……いや、二人によるな
まぁ、俺の回答が完璧すぎて、黒衛さんと張ってしまうかもな。もしかしたら聖麗の回答も完璧に寄せている可能性があるから、まだ振り切りすぎたと言うには早い。
……ん? でも双海さんの視点から見て振り切りすぎたというのなら、もう俺と聖麗の回答は俺と聖麗だとわかりやすい回答だということにならないか? いや、配信を盛り上げるために言っているだけだろう。俺はそう信じている。
「それじゃあ、次の回答いってみましょう!」
『相手の女性の性格や好みに合わせたプランを考え、当日はスーツを身に纏い、満に今日は少し離れておいてくれと伝え、いつもは曲がっている背を伸ばし、不測の事態に備え一時間前に待ち合わせ場所で待機。彼女が現れた際には最上級の微笑みを心掛ける。そして』
「満ちゃん、ごめんね? ニコがこういうの書いてる時は、一緒に見てあげて」
「ものすごい速さで長文錬成するから、見るの疲れちゃった」
「ちなみに、何度『満ちゃんの名前入っちゃってます』って突き返しても満ちゃんの名前が入ってくるので、諦めました」
「そこに目を瞑ればいい回答だったか……!! 失敗した!!」
「誰も褒めてないのに妄言吐かないでよ」
「私はいいと思うけどなぁ」
マリー、お前の俺に対する評価に関しては盲目という結論が出ているんだ。
違うんだよ。彼女と付き合って始めての誕生日だというのなら、特別な日にしたいに決まっている。そんな特別な日に満が存在しないというのがどうしても想像できなくて、気づいたら書いてしまっていた、んだと思う。俺にもわからん。ただでさえ『彼女と付き合って初めての誕生日』というよくわからないものに対して頭を捻る必要があったんだ。それに集中しすぎてしまい、脳のリソースが他に割けなかったんだ。
「まぁ、満ちゃんの名前が入ってることは置いといて。場所によるけど、スーツはちょっとありえないわね」
「そうですか? ニコさんのキャラクターなら、愛らしいかと思いますが……」
「純花。もう意味なくなってるけど、『回答者は不明にする』っていう前提があるから、『この人だからいい』っていうのはダメ」
「私はいいと思うけどなぁ」
マリーが脳死している。一番の人選ミスだろう。月宮さんが「スーツはありえない」と言っていて、松風純花さんが「ニコさんのキャラクター”なら”」と言っていて、サラさんが『この人だからいい』っていう前提はダメ」と言っているのなら、どう考えても俺の回答は一般的な視点で見ればダメだということは理解できる。いやでも、俺のキャラクターならいいということは、実際には正答なんじゃないか? 自信ついてきたな。
「それでは、最後の回答に参りましょう! こちらです!」
ニッコリ探偵団 視聴者支部 part14
661:このライバーがすごい! ID:hpRxgr1sP
聖麗の回答
『●●●●●●●●(すべて伏字)』
662:このライバーがすごい! ID:cIdbS5uIU
綾ちゃん「別に配信できないってこともないですけど、あまりにもキモすぎたので」
663:このライバーがすごい! ID:332374yv9
草
664:このライバーがすごい! ID:slkwsvih5
ニコもキモいけど、聖麗は生理的嫌悪を刺激するキモさがある
665:このライバーがすごい! ID:MIyAnP6yb
あいつが野放しになってるのが日本最大の恥だろ
666:このライバーがすごい! ID:/1oWOGK/l
やっぱあの回答アルか
667:このライバーがすごい! ID:OEEAEnr0T
もうスパダリ王決定しただろ
668:このライバーがすごい! ID:0ovGALgnd
>>667
まだどんでん返しあるかもしれないだろ!!
669:このライバーがすごい! ID:DGC2KcFMT
>>667
アザミん「私はニコが一番いい。まぁ、人を知っているからな。一般的にどうかは知らん」
670:このライバーがすごい! ID:CdpP0gZgZ
>>669
アザミんは同期が大好きなだけだぞ
671:このライバーがすごい! ID:0e9SiLJ8p
なお、サラとグレイヴィーの同期
サラ「グレイヴィー、回答は最悪だったけど、決めるところではちゃんと決めるから」
グレイヴィー「なんなら、今夜決めてやってもいいんだぜ? サラ」
サラ「は? 撃ちころ……あぶない」
672:このライバーがすごい! ID:HKfLDrN47
>>671
サラは事実を述べてるだけ
673:このライバーがすごい! ID:CNjLsaK0o
でも、実際グレイヴィーみたいなのに憧れる子っていそうだよな
674:このライバーがすごい! ID:VC/YeGiS8
あぁいうのがあんまりいないからな
まさに好きな人は好きって感じのタイプ
675:このライバーがすごい! ID:De85PlaUZ
回答を順位付けした結果
1位 アル
2位 ニコ
3位 グレイヴィー
4位 聖麗
676:このライバーがすごい! ID:jym8ZKdiK
アルとニコは相手を喜ばせる精神が回答ににじみ出てたしな
677:このライバーがすごい! ID:UDO3lc+Y2
アザミん、ご満悦
678:このライバーがすごい! ID:H12kHTI6U
純花さん「黒衛さんとニコさんのご回答は、真心が伝わってきて好きです」
優姫ちゃん「でも、ニコは高級レストランとかじゃなくても、どこでもスーツ着てきますよ」
純花さん「私は和服を好んでいますので、むしろ合いません?」
マリー「極道かと思われると思うけど……」
サラ「ニコみたいに弱そうな極道はいない」
679:このライバーがすごい! ID:HAPCmlIqq
>>678
サラ、誰に対しても切れ味が鋭い
680:このライバーがすごい! ID:0kBAN4FTe
>>678
アザミん「この、月宮優姫が無意識に出している『私はニコのことをわかっています』アピール、いいな」
681:このライバーがすごい! ID:PVZplwF4+
>>678
なお
ニコ「……スーツ、カッコいいじゃないか」
682:このライバーがすごい! ID:o7p2sMCO9
>>681
拗ねてて草
683:このライバーがすごい! ID:bBEQkuwqV
>>681
スーツがカッコいいかどうかじゃなくて、時と場合の話なんだよなぁ
684:このライバーがすごい! ID:UwVEPfT2I
ニコは心に決めた相手にとってのスパダリになると信じてる
685:このライバーがすごい! ID:jcC0QUMYq
アル⇒汎用スパダリ
ニコ⇒特効スパダリ
686:このライバーがすごい! ID:ZD88sEriH
なんか、マリーのニコに対するアピールが止まらないな
687:このライバーがすごい! ID:dKnn7dzSj
>>686
この前、普通に推していく宣言してたぞ
688:このライバーがすごい! ID:qDQrYyPUm
ニコ、もしかしてお前人気なのか?
689:このライバーがすごい! ID:7TAv5VxOD
>>688
きっとニコがスパダリ王になって、人気に拍車をかける