稼ぎの少ないオカルト事務所所長、VTuberになる 作:酉柄レイム
「さて、今日お前たちに集まってもらったのは他でもない」
「月宮さんとアザミさんと旅行に行くことが決まったから、どうせどういう心構えでいけばいいかとかそういうのだろ」
「あの二人に対して今更そういうこと気にしなくて大丈夫っスよ。はいおしまい」
神妙な面持ちで話し始めた俺に、帝斗と透華が冷たい反応。相談しようとしていたことも、それに至った経緯も完全に合っているからもう何も言えない。
9月が終わり、10月に突入した。調整に調整を重ねて、楽園都市に向けた撮影も終わり、約束通り旅行に行こうということになって、気にしなくていいという結論に至ったものの本当に気にしなくていいのかと葛藤し、相談した。いや、しようとした。
しかしそれもお見通しだったようで、既に自分たちの時間を過ごし始めている。いつもなら俺の隣にいてくれる満も、「満が色んな子と仲良くなって、嬉しいとは言っていたが、透華が寂しがっていたぞ」と前に伝えたからか、透華と楽しくお喋りしている。
俺は一人だ。
「あ、そういえば先輩」
「なんだ? 透華」
「さっき先輩がいないときに真理さんがきたんで、先輩の机の下に潜り込んでるっスよ」
「きちゃった」
「本当にふざけるなよ!!!!???」
透華の言葉通り俺の机の下に潜り込んでいたマリーが顔をひょっこりと出し、死ぬほどびっくりした(本当には死んでいない)俺は椅子から転げ落ち、そのままマリーから距離を取る。なぜ平然と俺の机の下に潜り込んでいる!? しかもそれをなぜ透華は許しているんだ! どうせ帝斗はキャッチボールをしたがっていただけだからいいとして、透華がこの常軌を逸した行動を許しているのが不思議でならん!
「透華! 俺をびっくりさせて間接的に殺す気か! なぜ許した!」
「……まぁ、うーん」
「佐藤さん私に言ったじゃん。私が他の子と仲良くしてるから透華が寂しがってるって。なんで自分に対しては寂しいって思ってくれてないって思ってるの? 透華は佐藤さんが他の人と仲良くして、旅行とか遊園地とかいっぱい行ってて構ってくれないから寂しくて、ちょっと仕返しみたいな感じで許しちゃっただけだよ」
「待て満。それじゃあまるで透華が俺に構ってもらえなくて寂しかったがために、マリーの行動を許したみたいに捉えてしまう」
「そう捉えていいぞ」
帝斗曰く、そう捉えていいらしい。
でもまぁ確かにそうか。なんだかんだ透華とも長い付き合いになる。それなのに透華とはどこにも一緒に行かないのかと言われると、素直に謝罪するしかない。しまったな、不義理を働いてしまった。頭に過っていたわけではなかったが、気を遣わなくていい関係性であることに甘えてしまっていた。
「透華、」
「まぁ、佐藤は俺たちに甘えてくれてんだろ。気を遣わなくていいって思ってるからこそ、ちょっと他の人を優先しちまうんじゃねぇの? 透華もわかってるだろうけど、どうせ佐藤のことだからほっといてもしばらくしたら『りょ、旅行に行かないか!』って俺たち相手なのに緊張して誘ってくんだろ」
「だから濁したんじゃないスか。なのに満が全部言っちゃうし……」
「ごめん。もじもじしてる透華が可愛すぎて、佐藤さんに全部わかってあげてほしいなって思っちゃって」
「いいケド」
帝斗、俺はお前が怖い。なぜ俺が言おうとしたことをそのまま伝えられるんだ? しかも透華を宥めることもしてしまうなんて、やはりお前がスパダリ王決定戦に出るべきだった。あと多分、俺こけたままで声が机に阻まれて届いてないし。なぜ俺はこうもみじめなんだ?
ただ、帝斗が言ってくれたからといってはいおわりというわけにはいかないだろう。俺が透華に構わなくて、透華が寂しがってしまっていたというのは事実だと本人が認めたんだ。謝罪しないわけにはいかない。このままこけて何事もなかったかのように日常に戻ってしまっては、ミッドナイト・サイコナイト、もとい佐藤たけしの名が折れる。ちなみに、折れるほどの名ではない。
立ち上がって椅子を戻し、そのまま謝罪をしようと透華に目を向ける。知られたくないことを知られてしまったからか、気まずそうに目を逸らした透華にそのまま謝罪した。
「すまない透華。帝斗の言う通り、気を遣わなくていい間柄だと甘えてしまっていた。今度、俺たちでどこかへ行こう。元々、贅沢をしていいような収入を二人と使いたいと思っていたんだ。後だしになってしまった今となっては嘘くさく聞こえるかもしれんが、本心だ」
「や、い、いいっスよ、べつに」
「透華ちょっとにこってした! かわいい!」
「いちいち言うな!」
「よかったぜ。キャッチボールしなくてよくて」
よかった。帝斗が「キャッチボールしようぜ」と口に出さなかったということは、そこまで深刻な事態になっていなかったということだからな。帝斗のキャッチボールやりたがりもたまには役に立つ。
ひと段落したところで、椅子に座る。旅行のことは、どうせ月宮さんとアザミ相手なら、緊張はしていても行けば確実に楽しめるんだ。二人へ相談するのはやめておこう。
「ねぇ」
「うわっ!? マリー!? なぜ机の下にいるんだ!!?」
「さっきの会話、もっかい聞かせる気?」
机の下に潜り込んでいたマリーが顔をひょっこりと出し、死ぬほどびっくりした(本当には死んでいない)俺は椅子から転げ落ち、そのままマリーから距離を取る。あ、そういえばいたんだった。本当に申し訳ないことをした。
不満気に机の下から出てきたマリーは、俺の椅子を引っ張ってそこに座り、床に尻をついている俺を見下ろす。特定の趣味を持つ者であれば、思わず命令を拝聴することだろう。俺にそんな趣味がなくてよかった。そんな趣味があった日には命令を拝聴し、透華と満に軽蔑され、帝斗がキャッチボールに誘ってきたことだろう。
「さっきの話があるなら、私が来た理由もわかるよね? たけちー」
「あぁ。ちょうどコラボをしようと誘おうとしていたんだ。最近配信で新しいゲームがもうすぐできそうだと言っていたよな? 進捗にはよるが、それについて色々触れて、販促もしたいと思っている。マリーには世話になっているしな」
「え、すき……」
「はい、離れて!」
マリーの激重感情は知っている。そして、表でもそれを表し始めているということも。そういうことがあって、さっきのマリーのセリフ、わからないわけがない。マリーも、俺と遊べなくて寂しがっていたということだろう。数か月前の俺では考えられない己惚れた思考だが、マリーの反応を見る限り間違いではないようだ。
俺の提案に対し激重感情をちらつかせたマリーと俺の間に満が飛んできて、距離を取らせようとマリーを押したところを逆に捕まえられる。そのまま腕に抱かれた満は俺に手を伸ばして助けを求めてくるが、とりあえずかわいいから放置することにした。満はマリーのことも好きだから、しばらくすれば機嫌がよくなる。
「ねね、たけちー。さっきのほんと? ほんとに誘おうとしてくれてたの?」
「嘘をつく理由がないだろう。ちょうど、DMを送ろうとして三日経過したところだ」
「朝凪さんに対しても迷うんスか……」
いや、だって、今思えば俺から誰かを誘うことはほとんどというか、片手で足りるほどしかないから……。慣れていないんだ。いつも誰かの厚意に甘える形でコラボしていたから、自分から誘うとなると勝手がわからん。月宮さんとアザミに対してなら気軽に誘える自信はあるが、色々あって慎重になってしまうというか……。
というかさっきの今で、透華の目の前でマリーとのコラボを予定するのはまた不義理ではないのか? いや、帝斗がキャッチボールに誘ってこないから、そうでもないということか。本当に役に立つんだな、帝斗のキャッチボール。
「ふふ、やった。ごめんね? なんかめんどい感じになっちゃって」
「正直重いとは思うが、面倒だとは思っていない。仲良くしたいと思ってくれていること自体は嬉しいし、俺にマリーの気持ちを制限する権利などどこにもないしな。むしろ、うまく返すことができなくてすまない。あまり向けられたことがない感情だから、その、返し方がわからなくてだな……」
「あっぶなー。二人きりだったら暴走するところだった」
「満、帝斗、透華! これからの人生、一生を共にしてくれ!」
「そのつもりだぜ」
「もう、仕方ないっスね」
「離れたくても離れられないしね。離れるつもりも全然ないけど!」
俺が一人になれば、マリーに隙を与えることと同義だ。それは好きを与えられると言うことにもなる。これは面白くない。
しかし、今のはマリーにも失礼だったか……? マリーは形と経緯はどうであれ、俺を想ってくれているのは事実。そんな相手からこのような拒絶とも言えることを言われたら、傷ついてしまうのでは……。
「一生二人きりになる状況にさせないってことは、私とも一生関わってくれるってこと……?」
大丈夫そうだ。よかった、ポジティブな激重で。
マリーはコラボをすることが決定し、ある程度目的を達成したからか、腕の中の満を可愛がり始めた。満が楽しそうにしているから、今俺の椅子を奪い返す必要はない。そっと離れて、帝斗の隣に座ると、透華がそっと俺の前にコーヒーを置いてくれた。
「おぉ、ありがとう透華」
「いいっスよ」
「ところで、何か甘い香りがするが……」
「気のせいじゃないっスか?」
「いや……」
「気のせいじゃないっスか?」
「その……」
「気のせいじゃないっスか?」
「諦めて飲め、佐藤。じゃないと俺はお前をキャッチボールに誘うことになる」
それは大変だ。俺は甘いコーヒーを一気飲みした。普通に口の中を火傷した。
ニッコリ探偵団 視聴者支部 part15
921:このライバーがすごい! ID:Ise0Q5EKj
もう10月ですよ
922:このライバーがすごい! ID:21UgBDzJq
ニコと優姫ちゃんのお出かけボイスはもちろん聴いたよな
923:このライバーがすごい! ID:Rnno7u0YA
聴いた
内容の詳細は言えないけど、よかった
924:このライバーがすごい! ID:Wki5jQMq4
なんかこう、なんだろうなぁ
いい距離感の男女で、本人たちにそのつもりは一切ないけど、
周りからくっつけって思われてる感じの
925:このライバーがすごい! ID:iOqCDg7JR
>>924
これ
926:このライバーがすごい! ID:+quov/klT
>>924
これ
927:このライバーがすごい! ID:LAupc/Yfm
>>924
これ
928:このライバーがすごい! ID:2UZH/PJXH
>>924
あまりにもこれ
929:このライバーがすごい! ID:A3a8VtUYs
台本アザミんだからな
流石だ
930:このライバーがすごい! ID:zcCSmRBMh
なんかこう、なんかなぁ
にやにやムズムズしたわ
931:このライバーがすごい! ID:QRC8U/fdJ
そういえば思ったけど、ニコって優姫ちゃんと二人きりだと多分そんなにやらかさないよな
932:このライバーがすごい! ID:CQKwzmyQo
アザミんとだと、アザミんがからかってくるから色々起きそうだけど、
優姫ちゃんはちゃんと距離保ってるしな
933:このライバーがすごい! ID:Wu02WY3K7
わかる
そういうことを考えるくらい、自然なボイスだった
934:このライバーがすごい! ID:3YVZsaIIJ
多分本当に二人で出かけてもあぁなる
935:このライバーがすごい! ID:YRE9gpj1N
頼む、どこに出かけたのかだけでも教えてくれ!
936:このライバーがすごい! ID:mEE0J0HYK
>>935
買え
937:このライバーがすごい! ID:usywyaoqR
>>935
買え
938:このライバーがすごい! ID:77pX48l9w
>>935
養分になる覚悟がないなら、二度とここに来るな
939:このライバーがすごい! ID:y/F/6c4Zq
クオリティとしては、優姫ちゃんが「あれ、ちょっとリアルだから逆に聴いてほしくないのよね」と言うレベル
940:このライバーがすごい! ID:5k1j3fmTL
それだけで最高級の価値がある
941:このライバーがすごい! ID:zOTuU1Gaz
それを聞いたアザミんが、食にこだわり一切ないのにめちゃくちゃ豪勢な食事でお祝いしたらしい
942:このライバーがすごい! ID:rloJj9r1C
>>941
草
943:このライバーがすごい! ID:BTrcPrzAf
>>941
アザミんって当然のようにニコと優姫ちゃんの配信全部見てるよな
944:このライバーがすごい! ID:6sUl+EH3G
そのおかげで質のいいボイスが生まれた
945:このライバーがすごい! ID:jv3it5avu
今度はニッコリ探偵団でボイス出してくれ
946:このライバーがすごい! ID:RIlP9fdcr
何気に全員演技うまいんだよな
947:このライバーがすごい! ID:8kLBqKqRU
おでかけボイスに関しては演技とかでもない気がするけど
確かにうまい
948:このライバーがすごい! ID:JbYu+Zx+J
でも別に、ニッコリ探偵団のボイスはほしいけど、高頻度でコラボするからなぁ
949:このライバーがすごい! ID:I7M2USdqN
すでにボイスを供給いただいてるようなもんだろ
950:このライバーがすごい! ID:vZpkw3mxH
アザミんとシゲキとかは?
951:このライバーがすごい! ID:aL/LsSKbh
>>950
マジでやめとけ
アザミんに消される
952:このライバーがすごい! ID:hTUWdV7Gz
そもそもシゲキがボイス全然出さないしな
953:このライバーがすごい! ID:gYTqvapbd
ただただ自分のやりたいことだけをやるやつだしな
954:このライバーがすごい! ID:DC6RKoXO7
アザミんとボイスってなったら録りそうな気もする
955:このライバーがすごい! ID:JWoGr+S69
アザミんが本気で嫌がってるの結構貴重だから、ちょっと見てみたい
956:このライバーがすごい! ID:ZK5R6Kxn5
具体的なエピソードがないから、嫌ってる理由謎なんだよな
957:このライバーがすごい! ID:Y3D70IAO4
あんまり掘るようなもんでもないだろ
958:このライバーがすごい! ID:kkX9pem+m
平和が一番