ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)103 宣戦布告(デクララティオ・ベリ)

 

 

 

 

 

 

 シルに振り回されるツナとリュー。流石に口移しは実行されず、すんでのところでシルの作戦は失敗に終わることとなった。

 

「じゃあ、今度はツナさんがリューに食べさせてあげて下さい」

 

「「なっ!?」」

 

 しかしシルは転んでもただで起きるような人間ではなかった。さらなるシルの追撃に、ツナとリューは顔が真っ赤になる。

 

「メイドであるリューがご奉仕してくれたんですよ? なら、主人であるツナさんが尽くしてくれたリューにお返しをしてあげるのは当然のことじゃないですか」

 

「いやリューの主人になった覚えはないんだけど!?」

 

「でもこのままだと、リューにメイド服を着せてご奉仕させたっていう噂がオラリオ中に流れちゃいますよ?」

 

「このまま鬼畜人間(ヒューマン)認定確定だニャ!!」

 

「オラリオで普通に生きたくないのかニャ~?」

 

(何で2日連続で脅迫されてるの、俺ー!?)

 

 根も歯もない噂を流そうとするシルに加え、クロエとアーニャがニヤニヤしながら脅迫をしてくる。昨日に続き何もしていないのに再び脅迫されるとは夢にも思わず、ツナは驚きを隠せない。

 

「従うしかないよツナ……シルは顔も広いし、神様からも人気があるから。それにもし嘘だとわかっても神様たちもあのバカ猫2人みたいに便乗する。もう選択肢は1つしかないよ」

 

「うっ……」

 

 どうにかツナを助けてあげたいルノアであったが、流石に自分一人ではどうすることもできず、リューのご奉仕を断った場合のデメリットを小声で伝える。

 ルノアの言葉を聞き、ツナはこの状況が完全に詰んでいるということを理解せざるを得なかった。

 

「わ、わかった……!!」

 

「っ!?」

 

 もはやツナに残された選択肢はリューに食べさせる以外なく、覚悟を決める。リューはツナの心境を理解はしていた為何も言えなかったが、今からツナが食べさせようとしていると知り、顔を真っ赤にする。

 

「今度はリューの番だニャ~」

 

「逃げようとしても無駄ニャ~」

 

「は、離しなさい!!」

 

 リューが逃げられないように尚且つ、恥ずかしさからツナをぶっ飛ばさないようにする為、クロエが腕を羽交締めにしアーニャは足首を押さえた。リューは抵抗するも、身動きが取ることができない。

 

「さぁ、今ですよツナさん」

 

(この感じ……リボーンと似てる……)

 

 リボーンとの生活の中で、自分の都合で勝手に振り回されるのは嫌という味わってきた。リボーンと違いシルは暴力こそ振るわないが、それでもシルとリボーンが似た者同士だということをツナは感じた。

 ツナはサンドイッチを手に取ると、動きを封じられたリューの元へ近づいていく。

 

「く、口を開けて、リュー……」

 

「は、はいっ……!!」

 

 リューは返事をし、顔を真っ赤にしながらも口を開けた。口を開けたの見計らって、ツナはサンドイッチをリューの口元へと運んだ。

 

(あ、味がしない……!!)

 

 口を閉じて()(しゃく)するリューだったが、先程のツナと同じくサンドイッチの味を全く感じられていなかった。

 

「はい。よくできましたね」

 

((やっと終わった……))

 

 シルが労いの言葉をかけるとツナはリューから離れ、リューはアーニャとクロエの束縛から解放された。そして2人は修行の時よりもとてつもない疲労感に襲われた。

 

「あ、あの~……」

 

「あっ、君は……」

 

「え!?」

 

 すると、豊穣の女主人に昨日賭博場(カジノ)にいたアンナが、入り口のサルーン扉から中の様子を伺っていたことにツナが気づく。

 まさかツナがいるとは思ってもいなかった為、アンナは驚きを隠せない様子だった。

 

「あ、あのっ!! こちらに私の恩人がいると聞いて、お礼が言いたくてやって来たんですが!!」

 

「いいですよ。どうぞ入って下さい」

 

 開店前ではあったものの、アンナの事情を知っているシルは快く承諾。アンナは恐る恐る店内へ入って来る。

 

「この度は助けていただき、ありがとうございました」

 

「いえ、お気になさらず。それにアンナさんを助けたいと言い出したのはリューなので、お礼ならリューに言ってあげて下さい」

 

「へっ……!?」

 

 リューを指差すシルを見て、アンナは意味がわからずキョトンとしてしまった。

 

「実は昨日私の隣にいたのは、こちらのリューなんです。賭博場(カジノ)の招待状が男女のペアで入らないといけなかったので、リューには男装してもらったんです」

 

「ええ!?」

 

 シルの夫だと思っていた人が実は女性であったとは微塵も思っておらず、アンナは驚きの声を上げた。

 

「わ、私の為にすいません……なんとお礼を言ったらいいか……」

 

「お気になさらず。あなたが無事で何よりです」

 

「それよりその格好は……?」

 

「ち、違います!! これは無理やり着せられただけで、私の趣味ではありません!!」

 

「ですよね……ビックリしました……」

 

(よ、良かった……)

 

 本来エルフはとても真面目な種族な為、リューがメイド服を着ていることにアンナは違和感を覚えていた。

 それに対しリューは顔を赤くしながら慌てて弁明する。幸いにもアンナはすぐに納得してくれた為、リューは安堵する。

 

「そ、それと……昨日は危ない所を助けて頂き、ありがとうございました……」

 

「俺は大したことしてないよ。ほとんどシルとリューのお陰だし」

 

 アンナは人質にされそうになった所を助けてくれたツナの方を向いてお礼の言葉を述べたが、当のツナは大した事はしていない認識だった。

 

「あ、あの!! お名前を伺ってもよろしいでしょうか!?」

 

「えっ? 沢田綱吉だけど」

 

「綱吉様……実はあなたにお会いできたら、伝えたいことがあったんです……!!」

 

「伝えたいことって?」

 

「私は……その……あなたに恋をしてしまったんです……!!」

 

「「「「は……!?」」」」

 

 アンナは顔を赤らめながらも勇気を振り絞って告白した。まさかの告白にツナたちは一瞬思考が停止する。

 

「えええええええええええ!?」

 

 そして数秒後。ツナはアンナに告白されたということを理解し、驚愕と困惑の混じった声を上げる。

 

「凄く素敵でした……!! 襲われそうになった私を護ってくれて……!! あれから胸ドキドキして……私は綱吉様に惚れたみたいです……!!」

 

(なんかハルみたいなことを言い出したんだけど!?)

 

 アンナの台詞を聞いたツナは三浦ハルのことが脳裏によぎる。

 三浦ハルは普通の一般人であるが、ツナが【ボンゴレ】ボス候補である事を知る数少ない人物でもある。川で溺れていたハルを死ぬ気モードとなったツナが助けたことで、ハルはツナに惚れ、好意を抱くようになったのだ。

 お転婆でトラブルメーカーな一面があるが、一方でツナの必殺技である【XBURNER(イクスバーナー)】を生み出すきっかけを作った人物でもある。

 

「ま、待って!! 気持ちは嬉しいんだけど、俺はいつか自分の国に帰らないといけないからさ!!」

 

「それなら私は綱吉様について行きます!!」

 

(ダメだーーー!! むしろ逆効果になってる!!)

 

 なるべく傷つけけまいと慎重に言葉を選んだツナだったが、アンナには効果がないどころか余計にやる気にさせてしまう。

 

「お、落ち着いて!! アンナには両親がいるんでしょ!? せっかく自由になれたのに、そんなことしたら両親が心配しちゃうんじゃないかな!?」

 

「構いません!! 駆け落ちする覚悟だってできています!!」

 

「か、駆け落ち!?」

 

 まさかそこまで覚悟を決めているとは思っていなかった為、ツナは顔を赤くして動揺する。

 

「い、いけませんアンナさん!! 一時の感情に駆られて、駆け落ちという選択肢を選ぶなど!!」

 

「も、もしかしてあなたも……!? だからそんな格好を……!?」

 

「ちちち、違う!! わ、私がそんな安易なことをする訳がない!!」

 

 リューの慌てぶりからアンナはリューもツナに好意を抱いている事、真面目な種族であるエルフである彼女がわざわざメイド服を着ている理由がツナを意識しているからだと予測した。

 そしてリューはアンナに慌てて弁明するも、メイド服を着ているせいか説得力は皆無だった。

 

「綱吉様!! それでお返事の方は!?」

 

「え、えっと……!?」

 

「まさか……意中の女性がいるんですか?」

 

「っ!?」

 

「なっ!?」

 

 ツナがはっきりと返事をしない事からアンナは彼が想いを寄せている女性がいると推測。そしてアンナの言葉が図星だったのかツナは何も言えず、ただ顔を赤くすることしかできなかった。

 まさかツナに想い人がいるとは思っていなかったリューは衝撃を隠せなかった。

 アンナの推測通り、ツナには想いを寄せる女性がいる。名前は笹川(ささがわ)(きょう)()。学校のマドンナであり、とても優しく笑顔が素敵な女性である。かつてダメツナと言われ、不登校気味だったツナが学校に通い続けていたのは京子がいたからだった。またナッツとの関係の築き方を気づかせてくれる切っ掛けを作ってくれた人物でもある。そんな京子と結婚するのがツナの目指す夢なのである。

 

「いるんですね……」

 

「ち、違うよ!! そ、その!!」

 

 ツナに好きな人がいると知り、アンナの声のトーンが低くなり表情も暗くなっていく。そんなアンナを傷つけてしまったと知ってツナは弁明しようとするが実際本当の事である為、言葉が出なかった。

 

(ツ、ツナにだって想い人がいるなど、少し考えればいてもおかしくはなかったことだ……なら、私は友人としてその恋を応援するべきだ……)

 

 リューはそう自分に言い聞かせるも胸は張り裂けそうになり、アンナと同様に気分が沈んでいく。

 

「その人とは付き合ってるんですか……?」

 

「へっ……!?」

 

「どうなんですか!?」

 

「つ……付き合ってはないけど……」

 

 恋仲の関係にあるのかどうか確認するアンナ。その圧に気圧され、もう隠すことができないと判断したツナは観念し、正直にアンナの疑問に答えた。

 

「じゃあその人より、私のことを好きにさせてみせます!!」

 

「ええ!?」

 

 しかしアンナは諦めるどころか、更に覚悟を決めた。予想外の展開にツナは驚きの声をあげる。

 

「あなたにも負けませんから!!」

 

「ち、違うっ!! わ、私は!!」

 

 当然ライバルはツナの想い人だけではない。アンナはリューにも宣戦布告をする。ツナの目の前で堂々と宣言された事でリューは顔を真っ赤にし、慌てふためく。

 宣戦布告をしアンナは一礼し、そのまま豊穣の女主人を後にした。

 

(どどどどどど、どうしよう!!)

 

「しっかりしろぉ、ツナ!!」

 

 こんな展開になるとは露程にも思っていなかった為、ツナは顔を真っ赤にし頭から煙を上げてショートしてしまった。

 そんなツナをルノアはツナの肩を掴んで揺さぶるも、ツナは正気に戻らない。

 

「リューに恋のライバルが登場したニャ!! しかもツンツン頭の奴、他に好きな女がいるだニャんて!! このままじゃリューが負けるニャ!!」

 

「これは由々しき事態だニャ!! こうなったら少年2号に惚れ薬を飲ませてリューをメロメロにさせたうえで既成事実を作るしかないニャ!!」

 

「じゃあ私はツナさんを悩殺できる衣装を用意するね!! もっと露出が多い衣装を!!」

 

「ままま、待ちなさい!! 何を勝手に話を進めているのですか!! 私は絶対に着ませんよ!?」

 

「ツンツン頭が動けない今がチャンスだニャ!!」

 

「やるなら今しかないニャ!!」

 

「待っててねリュー。私たちリューを幸せになれるようにしてあげるからね」

 

「人の話を聞きなさぁあああああい!!」

 

 

 

 

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