ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
「どうだい、今日からここに僕たちが住むんだぜ?」
【アポロン・ファミリア】との
「ヘスティア、注文通り済ませておいたぞ」
「ああ、サンキュー。ゴブニュ」
細身でありながら引き締まった身体付きをした男神にヘスティアはお礼を言う。
彼の名はゴブニュ。【ゴブニュ・ファミリア】の主神であり、鍛冶と建築を司る神である。娯楽を愛する神々の中では珍しく口数が少なく気難しい、職人気質な神だ。
【ゴブニュ・ファミリア】は依頼されれば建築作業を受け持つ珍しい【ファミリア】で、【ヘファイストス・ファミリア】に知名度こそ劣るが、名の知れた【ファミリア】が武具製作の依頼をする程だ。
ちなみにリリの使っているボウガンやアイズの愛刀であるデスペレードは【ゴブニュ・ファミリア】製である。
「流石ゴブニュ。しっかりやってくれたみたいだ」
「あ、本当ですか?」
「うん。みんなの要望通り、館の中に色んな部屋や設備を作ってくれたって」
ゴブニュとその眷属たちが【竈の館】を後にすると、改装された館の中の説明を始める。
今回は眷属たちの要望をヘスティアが聞き、それをゴブニュに伝える形となった。ヴェルフは鍛冶場を、命は風呂場といった要望が出されていた。
「これで修行場が完成したって訳か。ようやくおもいっきり修行ができるな」
(滅茶苦茶嬉しそうな
(い、胃が……)
生き生きとした笑みを浮かべるリボーンを見てツナは心の中で絶叫し、ベルはトラウマを思い出し胃がキリキリ痛み出す始末だった。
リボーンは地下に一切の遠慮なく暴れられる部屋を要望した。勿論理由はツナとベルを徹底的にしごく為だ。一応【竈の館】には広い庭が存在するものの、そこで戦えばツナの力が広く公になってしまいかねないので、それを隠す為リボーンは屋内で修行できる部屋を要求したのである。
リボーンは眷属ではないがベルをLv.3に【ランクアップ】させ、
「んじゃ、さっそく修行するぞお前ら」
「え!? 今からかよ!?」
「当たり前だ。こっちは修行部屋ができるまでお前らを甚振……修行できなかったんだからな」
「甚振るって言いかけたよなお前!!」
「僕の眷属で
明らかに憂さ晴らしをしようとしているリボーンに対し、ツナとヘスティアはツッコミを入れる。
その後、ツナ、リボーン、ベルは新たにできた修行部屋へ向かう。
「ここだな」
3人がやって来たのは何もない地下室だった。この地下室自体は改装する前からあった部屋だったが、部屋にあったものを全て処分し、修行用の部屋として改築したのである。
「これならおもいっきり暴れても大丈夫だな」
リボーンは修行部屋の壁を何度かノックして硬度を確認する。自分の要望通りだったのが嬉しかったのか、リボーンは満足そうな笑みを浮かべた。
「まずお前からだぞ、ツナ」
「わかったよ……」
修行部屋のお陰で
一方でツナはやる気はなかったものの、リボーンには逆らいようがないことはうんざりする程理解しているので、手袋を装備する。
2人は移動し、ある程度の距離を取った後向かいあった。そしてツナは
「ナッツ。
(な、何あれ!?)
ツナの言葉と共にナッツの形状が変わって行き、グローブに噴射口が取り付けられたような形に変化する。
「また強くなったな、ツナ」
(リボーンさんが武器を!?)
一方でベルは自分の修行の際、全く武器を使用しなかったリボーンが銃を構えたことに更に驚く。
「あれからお前がどれだけ強くなったか、見せてもらうぞ」
「っ!?」
そう言ったリボーンの姿が一瞬にして消える。しかしツナはすぐに振り返り、同時に右手を薙ぎ払って炎を前方に放つ。
炎が前方に飛ぶと同時に背後からリボーンが現れる。リボーンは腕を顔の腕でクロスし炎から身を守る。クロスした腕を解除すると、背後からツナが炎を纏った手刀を薙ぎ払うも、リボーンは振り向くことなく銃口を背後に向け引き金を引いた。ツナは即座に上半身を反らし晴の炎の弾丸を躱し、リボーンは銃の反動を利用して前方に移動する。
「【
上半身を起こすと同時にツナの額の炎と瞳の色が紫に変化する。
そして腕をクロスさせ、噴射口から後ろに吹き飛ばないようにする為の柔の炎を噴射し、両手の掌から炎の弾丸が放たれる。放たれた炎は雲属性の特徴である増殖によって次々と増えながらリボーンに向かって行く。
(雲属性の増殖か)
しかしリボーンはツナの方を振り向くと同時に目にも止まらぬ速さで銃の引き金を引き、銃口から晴の炎の弾丸が放たれる。リボーンの放った弾丸は凄まじい勢いで加速し、一瞬のうちに雲の炎の弾丸を全て破壊されていき、弾丸は消えることはなくそのままツナに向かって行く。
弾丸は火薬が燃えガスが発生し、ガスの勢いで押し出される形で銃から発射される。弾丸が更に加速していくのは。リボーンは晴の炎の特徴である晴の活性の力を利用しそのガスの勢いを活性させ、弾丸の速度を促進させた為である。
だがツナにとってこれは想定内だったのか即座に姿勢を低くし、晴の炎の弾丸を躱すと同時に両手を床につける。そしてツナの額の炎と瞳の色は緑へと変化する。
「【
ツナの両手からは雷の炎が放たれ、波のようにリボーンの着地地点へと向かって行く。雷の炎は電気と同じ性質を持っており、その炎は電流のように広範囲に広がっていく。
このまま床に着地すれば感電すると即座に判断したリボーンは銃口を斜め下に向けた状態で引き金を引く。その反動でリボーンの体が後方へと飛んだ。
(今だ!!)
ツナの額の炎と瞳の色が本来のオレンジ色へと変化する。そして大空の7属性の中でも髄一の機動力を誇る大空の炎でツナは空中にいるリボーンの背後に移動した。
地面が雷の炎で満たされればリボーンは感電するのを避ける為空中移動し、範囲外に逃れるしか選択肢はなくなる。そして2度目の方向展開をされる前にリボーンの背後を取ったのだ。
が、
「ガハッ!?」
ツナがリボーンに攻撃しようとしたその瞬間、晴の弾丸はツナの上半身に直撃し、ツナの体がくの字に曲がりそのまま地面に向かって落ちていく。
(あ、ありえない……!?)
ベルは見ていた。リボーンがとんでもない方法で弾丸をツナに直撃させたことを。
ツナが床に電撃を張り巡らせた時、リボーンは自分の斜め下に弾丸を放った。その弾丸は地面に当たり跳ね、ツナの背後の壁、天井を経て、跳弾を繰り返した末にツナに直撃したのである。
(僕はこんな人を相手にしていたのか……!?)
相手の行動を数手先を読んだ上での跳弾。あまり規格外過ぎる光景を目の当たりにして、ベルはリボーンが世界最強の殺し屋だということを改めて実感した。
「まだ終わってねぇぞ」
「ゴハッ!?」
そこから更にリボーンは連続で引き金を引いた。無数に放たれた晴の弾丸を落下していくツナが躱すことなどできず直撃し、そのまま床へと叩きつけられる。
「がっ……」
無数の弾丸が直撃した上地面に叩きつけられた事で重症を負ったものの、ツナは辛うじて意識を繋いでいた。
「終わりだ」
「ゴフッ!?」
リボーンは銃口を上に向け撃ち加速し、そのまま床に倒れているツナの腹部に蹴りを放った。
先程の負ったダメージのせいでツナは躱すどころか動く事すらできず、リボーンの蹴りは腹部に直撃。ツナは意識を手放し額の炎が消え、グローブも元の手袋に戻った。
「確かに格段に強くなったが、まだ俺を倒すことはできなかったな」
(あのツナが……)
ベルは信じられなかった。あのアイズを相手にしてもなお一太刀も喰らうことがなかったツナが、いくら世界最強の殺し屋とはいえど
「次はお前の番だぞ、ベル。前の修行の時より少しだけ本気でやるから覚悟しとけよ」
「えっ……」
「あの時はLv.2だったが、Lv.3になった今なら俺がもう少しだけ本気を出しても問題ないはずだしな」
「ひっ!!」
腕をボキボキとならしながらそう言うリボーン。前の修行ですらリボーンに心も体もボロボロにされたのに、あの時よりもさらに本気を出してくると知り、ベルは悲鳴を上げた。
「そんじゃ、楽しい楽しい修行の始まりだぞ」
「誰か助けてぇええええええ!!」