ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
パフェを食べ終えたツナとダフネはそのまま逃げるように店を後にした。
「わ、悪かったわね……カサンドラが変な気を回しちゃって」
「い、いいよ。気にしてないから」
「……カサンドラには後できつーく言っておくから」
「ひっ!!」
ダフネは青筋を浮かべ、右手の拳を強く握り締め強い怒りを見せていた。そんな恐ろしい表情のダフネを見てツナは悲鳴を上げる。
そしてダフネに大目玉を喰らうことが火を見るより明らかである事がわかる為、カサンドラは2人がパフェを食べている間にこっそり逃げるように店を出ていた。
「ね、ねぇ……この後、予定とかってある?」
「特にないけど……どうかしたの?」
「せ、せっかくだしこのまま遊びに行かない?」
「え?」
本来ならお茶するだけの予定だったが、これで終わらせるのも勿体ない、もっとツナと一緒にいたいと考えたダフネは指で髪をいじりながらツナを遊びに誘った。
「か、勘違いしないでよね!! これからあんたの所の【ファミリア】とは友好な関係を築いていきたいから、交流を深めようと思っただけなんだから……!!」
「別にいいよ」
「へっ!?」
理由なく誘うのも悪いと思った為、お茶に誘った時と同じくダフネは理由をつけて遊びに行こうと誘う。しかしこんなあっさり返事をくれるとは思っておらず、ダフネは驚きの声を上げる。
「それでどこに行くの?」
「え、えっと……そうだわ、遊覧船なんてどう!?」
「遊覧船?」
「オラリオの色んな場所を船で回れるの!! どうかしら!?」
「へー……面白そうだね、いいよ」
(よ、良かった……)
咄嗟に思いついたことだったが、ツナが快く了承してくれた事でダフネは安堵する。
ツナはダフネの案内の元、遊覧船に乗れる船着き場へ向かう。そして船着き場につくとツナとダフネは小型船に乗り隣合わせに座る。2人の他にも観光客と思われる人たちが船に乗っていく。
「えー、みなさんしっかり乗りましたかー? 短い期間ではございますが、遊覧船の旅に出発しまーす」
「私は今回の先頭を務めさせて頂く【セベク・ファミリア】のエナと申します。えっ、そんな【ファミリア】知らない? ですよねー、そうですよねー。ずっと前にオラリオでブイブイ調子に乗ってセト様とオシリス様とかと一緒に
(なんか凄い自虐を交えながら自己紹介してきたんだけど!?)
エナが間延びした声でさらっととんでもないことを織り交ぜた自己紹介をした為、ツナは驚く。
「もしものことがあるので、私みたいな冒険者が皆さんをお守りするという訳ですー。ここはオラリオ! ですからね。何が起こるかわかりませーん。という訳で、くっちゃべってないでお仕事しますねー」
そう言うとエナはオラリオの観光名所について説明し始める。
「オラリオって、色んな所があるんだね」
「あんた、本当にオラリオに来たばかりなのね」
「うん。それにここに来てからはほとんどお金を稼ぐ為にダンジョンの探索してたから」
この世界に来て以降、ツナは【ヘスティア・ファミリア】の財政をなんとかしようとお金を稼げるダンジョン攻略に勤しんでいた為、今までこんな風にのんびり観光したことなどなかったのである。
「だからこんな風に、誰かと観光する暇とかなかったんだよね」
思い返せばオラリオに来て早々アイズに執着され、アレンやガリバー兄弟と戦ったり、59階層に遠征に行き、【アポロン・ファミリア】との
「ふーん……そうなんだ」
「どうしたのダフネ? ニヤけてるけど何かいいことでもあった?」
「は、はぁ!? そ、そんな訳ないでしょ!!」
口元が緩んでいたことを指摘されダフネは慌ててツナから視線を反らす。
初めて観光する相手が自分だと知り、その嬉しさから無意識に口元が緩んでいたのである。
(な、何よ!! これくらいで喜んでんじゃないわよ私!!)
ダフネは赤くなった頬を両手で持ち上げ、心の中で自分自身を叱咤する。
その時だった。
「えっ!?」
水路から巨大な魚が勢いよく空に向かって飛び出して来る。いつもなら難なく気づけたはずだったが、動揺していたせいもあり、ダフネはその気配に気づくことができなかった。
飛び出して来た魚はレイダー・フィッシュという
そしてレイザー・フィッシュは今まさにダフネを喰わんとし、大きくその口を開ける。
「【
だがそうなる前にレイダー・フィッシュの体をオレンジ色の光線が貫き、一瞬にして灰となった。空中にいたレイダー・フィッシュに指を向けていたツナの姿を見て船に乗っていた者たちや岸から遊覧船を見ていた者たちは、その光景に開いた口が塞がらない。
「大丈夫か、ダフネ?」
「え、ええ……というよりどうして……?」
冒険者であるエナがいたにも関わらず、ツナが動いた理由がダフネはわからなかった。
「お前のことを護ろうと思ったら、体が勝手に動いていた」
「ば、馬鹿!! こんな所で!!」
ツナ自身は正直な感想を言っただけだったが、ダフネは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「えー、突然のトラブルもありましたが……彼女への愛の力で覚醒した彼氏の力によって無事、
「なっ!?」
「っ!?」
エナの言葉を聞き周囲にいた人たちが拍手や祝福の言葉をかけ始める。
また恋人扱いされたツナは顔を赤くし、その動揺で超《ハイパー》死ぬ気モードまで解除される。一方でダフネも顔を真っ赤にし、そのまま俯いてしまう。
。
「それで、結婚式はいつ上げる予定ですかー?」
「しませんから!! それよりもまず付き合ってませんから!!」
「照れ隠しなんてしなくていいんですよー? 本当は彼女の気を引きたくて
「ち、違いますから!!」
エナに演説で敵を寝返らせた上で、アポロンから呪縛から解放させダフネを手に入れようしたと勝手に推測され、ツナは顔を真っ赤にしながらも即座に否定する。
「それではここからは急遽予定を変更し、2人の結婚式を執り行いたいと思いまーす」
「いい加減にして下さい!!」
(も、もう勘弁して……!!)
エナは職務まで放棄し勝手に二人の結婚式を開こうとする。ツナはツッコミを入れ、ダフネは恥ずかしさのあまり顔だけでなく耳までも真っ赤になり、早くこの観光が終わらないかと心の中で祈り続けることしかできなかった。
そしてこの後、逃げられない船上で2人はエナに振り回され、羞恥に晒され続けるのであった。