ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
ナッツの咆哮によって、
「……なぜ襲撃して来たのか、敢えて問わない。だがこれ以上戦うというなら、覚悟はできているんだろうな?」
ツナはが襲撃者達に覚悟を問うと、敵は少しずつ後退りし始める。表情こそ見えないものの、敵は先程嵐属性の分解により
「だがここで大人しく引くのなら見逃してやる。さあどうする?」
ツナはここで敢えてローブの集団たちに選択肢を与えた。ここで撤退すれば無傷で戻れるという選択肢を提示された敵の心は揺れ動く。
「狼狽えんじゃないよ、お前たち!!」
そんな中、1人の女性の声がダンジョン内に木霊する。
「そいつが本当に殺す気なら、さっきの一撃で私たちは消し炭になってるよ」
(……冷静だな)
声を上げた女性がツナが人を殺せないということを見透かした事で、敵の恐怖心は霧散する。
あの光景を見てもなお恐怖を抱かないどころか、むしろ冷静に分析できるその女性を見て、ツナは彼女が敵の中で一番厄介かつトップであるということを直感する。
「ナッツ」
「GURURU……GAOOOOOO!!」
ツナは炎の属性を嵐から霧へと切り替え再びナッツが咆哮を放つ。それによって大量の霧の炎が放たれる。
「これは……!?」
「セオロの密林!?」
すると何もなかったダンジョン内が瞬く間に森林地帯に変化する。ヴェルフとリリは幻覚によって作り出されたセオロの密林を見て、衝撃を隠せない。
「俺が敵を撹乱する。お前たちは固まって移動して向かって来る敵だけに専念しろ。
「ちょっ!? ツナ!?」
ツナは簡単に作戦を説明するとベルの静止を聞かず、そのまま敵陣の中に突っ込んで行く。
「ここは綱吉様を信じましょう……命様、スキルをお願いします」
「は、はい!!」
自分を【ソーマ・ファミリア】から解放してくれた彼の言葉を信じることにしたリリはツナの指示通り動くことを決め、命にスキルを使うよう指示を出す。
「【
命は自身の持つスキルの1つである
これは
現在この場は幻覚の密林によって視界が遮られている為、
命のスキルの発動のタイミングでツナの体が霧の炎に包まれる。そして幻覚で作り出した敵と同じ黒いローブを纏い、相手を攪乱する。
「な、何やって……ガハッ!?」
「ゴハッ!?」
敵は変装をしたツナの襲撃を受け、なす術もなくやられていく。
「気をつけろ!! こいつ幻覚で仲間に化けてやがるぞ!!」
これに敵の1人がツナが幻覚で自分たちに化けて襲撃している事に気付き、叫んだ。その言葉を聞いた敵は同士討ちを避けるため、迂闊に動けなくなる。
ただでさえ視界が悪い中、むやみに動けば疑心暗鬼にさらに募り最悪の場合、本当の仲間を攻撃してしまう可能性すらある為、敵はその場から動かない事で事態の悪化を防いでいた。
(まさか、ここまで広範囲に幻覚を展開できるなんてね!!)
敵のトップはツナが想像以上の幻術の使い手であった事から焦燥し、奥歯を噛んでいた。
すると背後から気配を感じ、自身の武器である大朴刀を構えると同時に背後を振り向いた。
(【絶†影】!!)
上空を見上げるとそこには刀を握り、空中から自分を奇襲しようとしている命の姿が視界に映った。
敵のトップは、両膝を曲げて上空へ飛んで迎撃しようとする。
「なっ!?」
しかし命は空中から更に加速し、自身の間合いに入り込む。まさか命がこの速さでここまで来るとは思わず、対処に遅れが生じる。そして敵のトップは命により纏っていたローブを奪われる。ローブの下からは黒髪ロングに褐色の肌の長身の女性が姿を現し、体は謎の光に包まれている。
女性の名はアイシャ・ベルカ。【イシュタル・ファミリア】所属にして、【
ローブを奪った命の体は炎に包まれ、アイシャの姿へと変化する。そしてそのまま草木の中へと再び身を隠した。
「ローブを取られた!! しかも今度は私の姿に化けている!! 気をつけな、あんたたち!!」
(クソッ!! 私としたことが!!)
アイシャに変身したツナが叫び、アイシャ本人はまんまとやられた自分自身を叱咤する。
ツナが仲間に化け強襲して来ると思わせた後、更に命に化けて強襲することでアイシャにあの命が本物だと思わせ、空中から炎で急に加速し虚を突くと同時にアイシャのローブを奪った。そしてアイシャの姿を記憶し化け、アイシャの声で戦況を伝えることでアイシャの指揮をも信じられなくなる状況を意図的に作り出したのだ。
(あの野郎……戦闘慣れしてやがる)
相手の心理をこれでもかという程に利用するツナの戦い方を見て、アイシャは彼が相当な実力者だということを理解せざるを得なかった。
「喰らえ!!」
「「「「「ぎゃああああああ!!」」」」」
更に今度はヴェルフに変身したツナが幻覚で作り出した魔剣を振るい、膨大な炎が敵を襲う。誰も信用できないこの状況も相まって、この炎が幻覚ではなく本物の炎だと思い込んだ敵たちはやられたと勘違いし、そのショックで気絶する。
ここからツナは敵や味方に幾度も化けて戦うことで敵を翻弄し続ける。
一方でこの状況で自分が皆に指示を出したとしても、余計に戦況を混乱させツナの思うツボになるだけである為、アイシャは指示すら出せないこの状況をどうにか打破出来る方法を必至に考えていた。
(―――そうだ!!)
思案の末何かを思いついたアイシャは、大朴刀を上空に掲げた。
「【来れ、蛮勇の覇者、雄々しき戦士よ、たくましき豪傑よ、欲深き非道の英傑よ。
アイシャはここで自身の持つ魔法を使う為、詠唱を唱え始める。詠唱は中断される事なく唱え終えると、アイシャの大朴刀が深紅の魔力を纏う。
どれだけ見た目や声を変えることができてとしても、流石に能力まで真似することはできない筈だ。アイシャは魔法の詠唱を始めることで自分が本物であるということを遠回しに仲間に伝える。そしてアイシャの意図に気づいた仲間たちは詠唱しているアイシャの元へと集まる。
「あんたたち!! ローブを取りな!!」
集まって来る仲間たちに向かってアイシャはさらに指示を出し、仲間たちは一斉にローブを取り始めた。アイシャ以外の仲間もまた全員アマゾネスだった。
正体を晒すのは得策ではなかったが、ローブを纏ったままだと化けたツナに紛れ込まれる可能性があった為、アイシャはローブを脱ぐように指示したのだ。
しかし。
「そう来ると思ったぜ」
幻覚ができたセオロの密林が一瞬にして消える。そしてアイシャたちの前には両手を地面につけているツナがおり、その炎の属性は霧から雷に切り変わっていた。
「【
「「「「「ぎゃぁあああああ!!」」」」
強力な雷の炎が広範囲に渡って放出され、団員たちはなす術もなく感電する。
(私を信じたっていうのかい……!?)
即座に上空に飛んで感電を回避したアイシャは、それと同時にツナの戦闘センスに驚愕していた。
ツナはアイシャ程の実力者であれば自身の幻覚を打破する方法は思いつくであろうと確信し、ツナの予想通りアイシャは作戦を実行し、仲間だけを集めることに成功した。そして仲間が集めたところで一網打尽にしたのである。
「【ヘル・カイオス】!!」
アイシャが大朴刀を振り下ろすと、刃と化した深紅の魔力がツナに向かって飛んで行く。
これはアイシャの魔法、【ヘル・カイオス】。巨大な紅色の斬撃波を放つ事が出来る攻撃魔法である。
そしてアイシャの放った魔力の斬撃はツナに直撃し、辺りは煙に包まれる。
「「ツナ!!」」
「沢田殿!!」
「綱吉様!!」
アイシャの魔法が直撃した事にベル、ヴェルフ、命、リリは叫ぶ。
だが、
「【死ぬ気零地点突破改】」
煙が晴れると、そこには深紅の魔力に包まれているツナがあった。そしてその魔力は徐々に収縮し、ツナのグローブの中へと吸収されていく。そして直後、額の炎とグローブの炎が激しく燃え上がる。
「ガハッ!?」
ツナは炎の属性を雷から大空に切り替え、炎を一気に逆噴射させ一瞬にして上空にいるアイシャのさらに上に移動。そこから縦方向に回転しながら彼女の右肩に踵落としを喰らわせ、地面に叩き落としたのだった。
やっぱり戦闘シーンは書いてて楽しい!!
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