ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)116 執行人(ヘディン)

 

 

 

 

 ベルたちはツナの指示通り本拠(ホーム)に向かい、留守番をしていたリボーンに全ての事情を話した。

 

「……成る程な」

 

「しゃ、喋ってる……!?」

 

 ツナが【イシュタル・ファミリア】に殴り込みに行った事を知っても尚、リボーンは特に驚く様子も見せない。

 一方で流暢に喋る赤ん坊の存在に、春姫は衝撃を受ける。

 

「俺特製のハーブティーだ。とりあえずこいつでも飲んで落ち着け」

 

「何でそんなに落ち着いてられるんですか!? 状況がわかってるんですか!?」

 

 ツナが1人で戦いに赴いたにも関わらず、なぜリボーンがここまで平然としていられるのかベルには全くわからなかった。

 

「わかってるに決まってんだろ。ツナはお前らを【イシュタル・ファミリア】という脅威から護る為に殴り込みに行ったんだ。ここで俺たちが慌てようが慌てまいが、何も変わりはしねぇ。俺たちにできんのはせいぜいあいつを信じて待つことだけだ」

 

「それは、そうですけど……」

 

 ツナの力を誰よりも知るリボーンはコーヒーを口にする。その言い分は間違っておらず、ベルは何も言えなくなる。

 

「あ、あの……」

 

「何だ?」

 

「お名前をお伺いしてよろしいでしょうか?」

 

「俺はリボーンだ。お前は春姫でよかったか?」

 

「はい。サンジョウノ・春姫と申します」

 

「それで? 何か俺に聞きたいことがあるんだろ?」

 

「はい……リボーン様は綱吉様と付き合いは長いのですか?」

 

 春姫はツナが【イシュタル・ファミリア】に乗り込んだと知ってもなお動揺するどころか、絶大な信頼を置いていたリボーンがこの中で一番ツナのことをよく知る人物だと推測し、彼に質問を投げかける。

 

「まぁな、それがどうかしたのか?」

 

「いえ……わからないことがあって……」

 

「何がだ?」

 

「どうして綱吉様は……私の為にここまで助けようとしてくれるのでしょうか……?」

 

 春姫はわからなかった。イシュタルがベルたちに危害が及ぶ事に怒るのは理解できたが、なぜ出会って間もない自分の為にあそこまで怒るのかを。

 

「……俺がお前と、同じだったからだろうな」

 

「同じ?」

 

「俺も、元々は人柱にされた人間だったからな」

 

「え……!?」

 

「それってどういう……!?」

 

 まさかリボーンが自分と同じ境遇の人間とは思っていなかった為、春姫は衝撃を隠せない。そして衝撃を受けていたのはベルたちも同様だった。

 

「―――リボーン君!? ベル君たちは帰ってるかい!?」

 

 直後ドタドタと激しい足音が鳴り響き、リビングの扉が乱暴に開かれる。そこには肩で息をしているヘスティアの姿があった。

 

「丁度良かった……って君は、もしかして春姫君じゃないのかい!?」

 

「は、はい……そうですが……」

 

 ベルたちがいると知り安堵したのも束の間、春姫がここにいる事に気付きヘスティアは再び慌てる。

 

「落ち着けヘスティア。何かあったのか?」

 

「そ、そうだ!! ヘルメスが言っていた殺生石についてタケに聞いたら、とんでもないことがわかったんだよ!!」

 

「春姫の命と引き換えに、万人にその魔法を使えるようにする魔道具(マジックアイテム)だろ?」

 

「な、何でそのことをリボーン君が知ってるんだい!?」

 

「実は俺たち、ダンジョンで【イシュタル・ファミリア】に襲われて……」

 

「幸い綱吉様が【イシュタル・ファミリア】を倒してくれたお陰でリリたちは事なきを得ましたが……」

 

「そこで殺生石のことや春姫殿の力を使って【イシュタル・ファミリア】が【フレイヤ・ファミリア】を倒そうとしていることを知ったんです」

 

「そ、そうだったのか……でも無事で良かったよ」

 

 3人から殺生石について知っている理由を聞き納得すると同時に、皆が無事に帰って来てくれた事にヘスティアは安堵する。

 

「い、いや、それが……ツナが……」

 

「綱吉君がどうかしたのかい!?」

 

「ツナは、その……僕たちに春姫さんを連れて本拠(ホーム)に行けと言って……そのまま【イシュタル・ファミリア】に1人で乗り込んでしまったんです」

 

「な、何だってぇええええええ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でダンジョン内では。

 

「こ、ここは……?」

 

「ようやく目覚めたかい、ヒキガエル」

 

 アイシャたちは人海戦術でなんとかフリュネを見つけ出すことに成功していた。落下によって気絶はしていたものの、幸いにもすぐに見つけ出すことができていた為、フリュネは怪物(モンスター)に襲われてはいなかった。

 

「15階層さ。あんたは沢田綱吉に落とされたんだよ」

 

「沢田綱吉……あのクソガキぃいいいいいいい!?」

 

 アイシャの口からツナの名前が出た瞬間、フリュネは自分の身に何が起きたかを思い出し、顔を歪ませながら起き上がった。

 

「あいつはどこに行きやがった!?」

 

「もういないよ」

 

「クソッ!! 春姫!! アタイについて来な!!」

 

「春姫もいないよ。あいつらに連れて行かれた」

 

「あの野郎!!」

 

「どこに行く気だい?」

 

「あいつのところに行くに決まってんだろ!!」

 

「あれだけやられた癖に、まだ懲りないのかてめぇは」

 

 あそこまで一方的にやられておきながらもまだツナにリベンジしようとしているフリュネに、アイシャは呆れる。

 

「春姫さえいれば【ランクアップ】できる!! そうすればあんな奴、余裕で殺せるよ!!」

 

「3割」

 

「あぁ!?」

 

「お前がやられたあの技。あいつは3割程度の威力まで抑えていた。もしあれ以上の出力であの技を撃たれたら、例え【ランクアップ】したとしても無事じゃ済まないよ」

 

「いちいちアタイに指図すんじゃないよ不細工が!!」

 

 アイシャが忠告しても尚フリュネは聞こうともせず、そのままダンジョンを出ようとする。

 

「聞くに耐えん会話だな」

 

「【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】……!?」

 

 その瞬間、ツナの元へ向かおうとしたフリュネたちの前にヘディンが立ち塞がる。ヘディンが現れたことにより、フリュネは冷静さを取り戻す。

 ヘディン・セルランド。【フレイヤ・ファミリア】の幹部にしてLv.6の白妖精(ホワイトエルフ)の冒険者であり、二つ名は【白妖の魔杖(ヒルドスレイヴ)】。頭脳明晰かつ英明な人物で、【ファミリア】内においては参謀と軍師の役割を担っている。

 そして精神力(マインド)の総量、即ち魔法持続力においては都市最強魔導士であるリヴェリアすら上回る唯一の冒険者でもある。

 

「よくもこんな無能が団長などと名乗れたものだ。今まで生きて来られたのは【麗傑(アンティアネイラ)】のお陰という訳か」

 

「そこをどきな!! 今はお前に構ってる程、アタイは暇じゃないんだよ!!」

 

「―――馬鹿が。ベル・クラネルに手を出そうとしたんだ。それをあの方が黙っているとでも思ったのか?」

 

「「「「「「っ!?」」」」」

 

 ヘディンの言葉を聞いたアイシャたちは動揺を隠せない。

 今回、アイシャたちはイシュタルの命令でベルを誘拐するのが目的だった。その理由はフレイヤがベルに夢中になっているという情報をとある者(・・・・)から知った為であり、イシュタルはフレイヤへの嫌がらせの為ベルを拐い、フレイヤよりも先にベルを自分のものにしようと画策していたのだ。

 

「どうやら沢田綱吉のおかげで、計画は上手くいかなかったようだが」

 

(こいつ……沢田綱吉のことを知ってやがるのか……!?)

 

 ヘディンが推測している事から、先程の戦いを実際に見ていたのではなく、元からヘディンがツナの強さを目の当たりにした経験があるのだというアイシャは察した。

 

「貴様らを倒す前に1つ、尋ねたいことがある。ベル・クラネルはあれからどうした?」

 

「……沢田綱吉の命令で、安全な場所に身を隠しているよ」

 

「命令だと?」

 

「沢田綱吉は【イシュタル・ファミリア】に行った。【イシュタル・ファミリア】を壊滅させる為にね」

 

「はぁ!? どういうことだい!?」

 

「簡単な話さ。今回の1件でイシュタル様は必ず屈辱を晴らす為に報復する。その報復から仲間を護る為に単身本拠(ホーム)に乗り込んだのさ」

 

(成る程……そういうことか)

 

 アイシャの言葉にフリュネは驚いたが、ヘディンはなぜツナが単身ですれ違ったのか、その理由を理解した。

 

「アイシャ!! それを知っていながら止めなかったのかい!? まさかイシュタル様に逆らうつもりじゃないだろうね!?」

 

「馬鹿言うんじゃないよ。私らが束にかかっても勝てないような奴相手にどうやって止めろっていうんだい。私らは生かされたに過ぎない……命があっただけマシだと思いな」

 

「だったら後悔させてやるよ!! アタイにこんなにも屈辱を味合わせことをね!!」

 

 再び頭に血が登ったフリュネはヘディンが目の前にいることも忘れ、未だツナへの復讐を企む。

 

「【永争せよ、不滅の雷兵】」

 

 だがこのままフリュネを行かせる筈もなく、ヘディンは即座に詠唱を開始する。そしてヘディンの周囲に雷の周囲に(やじり)が展開される。

 

「【カウルス・ヒルド】」

 

「ぎゃぁあああああああ!!」

 

 無数の鏃がフリュネに襲いかかり、フリュネは一瞬にして黒焦げとなった。

 【カウルス・ヒルド】。ヘディンの持つ超短文詠唱の雷魔法である。無数の鏃状の雷弾を放ち、その威力は人間を一撃で黒焦げにしてしまうほど高く、一度の詠唱で百の兵士を殲滅することができる程に手数も多い。そしてその射程は500M(メドル)を優に超え、有効射程という点ではオラリオの魔法の中でも随一。ヘディンの卓越した魔法運用と魔力制御により、非常に高い命中精度を誇っている。

 加えてヘディンはただの魔道士ではなく、剣の腕も立つ魔法剣士。それ故接近戦に持ち込んで戦ったとしても、ヘディンを攻略することは困難である。

 

「屑が。どこまで無能を晒せば気が済む。私がここに来た理由も忘れるとは」

 

 目の前に敵がいるにも関わらず、他の敵に意識を向けるという愚かな思考に囚われているフリュネに対し、ヘディンは激しい嫌悪感を覚える。

 

「この、クソエルフがぁああ……!?」

 

「ほう……」

 

 うつ伏せの状態で尚フリュネはヘディンを殺さん勢いで睨みつける。加減したとはいえ、ヘディンはまだフリュネが意識を失わなかったことに少しだけ感心する。

 

「【永争せよ、不滅の雷兵】」

 

 だが間髪を入れず、再びヘディンの周囲に無数の雷の鏃が展開される。

 

「私の精神力(マインド)が尽きるのが先か、貴様の精神力(こころ)が折れるのが先か」

 

「へっ……!?」

 

「死など生温い。今から貴様には死んだ方がマシだと思うくらいの苦痛を与えてやる」

 

「ま、待ちな!! 私があんたに何をしたっていうんだい!?」

 

 これから自分の心が折れるまで魔法を撃ち込み続けると察したフリュネは顔を真っ青にする。

 

「2度も言わせるな、屑が。あの方のお気に入りに手を出そうとした。それだけの事だ」

 

「ア、アタイはイシュタル様に命じられただけで……!!」

 

「【カウルス・ヒルド】」

 

「ぎゃぁああああ!?」

 

 フリュネの言い分も聞かず、ヘディンは再び雷の鏃を放った。そしてフリュネの断末魔が木霊する。

 

「まだ立場がわかっていないようだな。貴様はイシュタルと同じくあの方に泥を塗ろうとした罪人。そして()はその罪人を裁く執行人。貴様の罪が覆ることなどありはしない。貴様にできるのは()の与える罰を受け入れることだけだ。せいぜい悔いるがいい」

 

 そしてその後、ヘディンによる制裁はフリュネを襲い続けるのだった。

 

 

 

 




ヘディンとリボーンって気が合いそう……それとどうでもいいですけど内藤ロンシャンならフリュネと付き合えそう。


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