ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

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標的(ターゲット)127 初対面(プリマ・フェーチェ)

 

 

 

 

 

 

 【バーニングアクセル】をオッタルに喰らわせたツナ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

(一応、加減はしたが……)

 

(こいつ相当タフだな……)

 

 肩で息をしていたもののオッタルは立っていた。あの一撃を喰らってなお立っていることにツナとリボーンは驚きを隠せないでいた。

 

(この感覚……)

 

 オッタルは思い出していた。かつてゼウスとヘラの眷属に戦いを挑んだ瞬間、攻撃を当てるどころか何をされたのかすら理解することすらできず何度も何度も地に這いつくばっていたあの頃を。

 かの2大派閥がいなくなってLv.7へと昇り詰めたオッタルは挑戦する側から挑戦を受ける側になった。オッタルは【フレイヤ・ファミリア】の幹部陣に挑まれることも少なくない。だがオッタルは彼らに興味がない。彼らでは、すでに自分を満足させてくれるような猛者ではないからと知っているからである。

 しかし今は違う。今、目の前にいるのは自分を満たしてくれる強者。故にオッタルは敗北に追い込まれていたが、それでも内心は高揚感に満ち溢れていた。

 

(まだやる気か……)

 

 オッタルが勝敗がわからない程の男ではないことはことはツナもわかっている。それでもオッタルは拳を握り、闘争心は折れていなかった。戦が嫌いなツナではあったが、オッタルの並々ならぬ覚悟を無下にすることはできなかった。

 その時だった

 

「【永伐せよ、不滅の雷将】」

 

「「!?」」

 

 何者かが静かに詠唱を唱えた。魔法が放たれると即座に感知したツナとオッタルはその場から飛び引いた。

 

「【ヴァリアン・ヒルド】」

 

 すると2人の間に膨大な雷撃が降り注ぎ、その余波で大量の土煙が発生する。

 

「随分と楽しそうね。オッタル」

 

「……フレイヤ様」

 

(こいつが……)

 

(【フレイヤ・ファミリア】の主神……)

 

 土煙が晴れるとそこにはフレイヤとヘディンが姿が現した。

 イシュタルを天界へ強制送還させたことはオラリオ中に知られ恐れられている。故にフレイヤに対してツナとリボーンに緊張が走っていた。

 

「様子を見に行くと言いながら他派閥と戦うなど何を考えている。オッタル」

 

「……すまん」

 

 ヘディンの言い分が正しかった為、オッタルは謝ることしかできなかった。

 

「お前がフレイヤか」

 

「ええ。そうよ。それが何か?」

 

「神を送還させたという噂を聞いてたから見るからに恐ろしい神だと思ってたが、思ってたよりも普通だと思ってな。まぁ誰もが虜になるっていう美貌は噂通りみてぇだがな」

 

「あら。お世辞が上手いのね」

 

「お世辞なんかじゃねぇぞ。といっても俺はお前のことが嫌いだけどな」

 

「「っ!?」」

 

 誰もが魅了されるフレイヤに対して嫌いと言ったことにヘディンとオッタルは驚きのあまり目を見開いていた。

 

「アハハハハハハハ!!」

 

 一方でフレイヤはリボーンに嫌いだと言われてもなお機嫌を損ねるどころか、むしろ腹を抱えながら笑っていた。

 自分の美貌に嫉妬し嫌う同性はいたが、自分のことをここまではっきり嫌いだと言ってくる異性はいなかった。こんな体験は初めてであった為、フレイヤは笑いを堪え切れなったのである。

 

「面白いわねあなた。異性相手にそんなことを言われてのは初めてよ」

 

「そうか。そいつは良かったな」

 

「ちなみに私のことを嫌いな理由を聞いていいかしら?」

 

「お前が俺が一番嫌いな野郎に似てるからだ」

 

 リボーンの脳裏には自分を赤ん坊の姿に変えたチェッカーフェイスの姿が浮かんでいた。

 未来でチェッカーフェイスに初めて接触した際、リボーンは自分を【虹の赤ん坊(アルコバレーノ)】にした張本人だと気づいてはいなかったもののリボーンは嫌悪感を抱いていた。その嫌悪感をフレイヤにも感じたのである。

 

(この距離でも魂の色が見えない……)

 

 ここまで接近してもなおリボーンの魂の色が見えなかった為、増々リボーンの正体がわからなくなってしまっていた。

 

「それでどうしてオッタルと戦っていた訳?」

 

「大したことじゃねぇ。丁度、こいつが現れたからツナの修行の相手をしてもらおうと思って俺から頼んだんだ。そしたらそいつが了承してくれたんだぞ」

 

(嘘かどうかわからない……何なのこの子?)

 

 奇妙な存在とはいえ神ではない相手の嘘を見抜けないことにフレイヤは違和感を覚える。

 

「オッタル。彼が言っていることは本当?」

 

「……はい」

 

「そう」

 

(なぜわざわざオッタルに確認を?)

 

 フレイヤはオッタルに確認を取り、リボーンの言っていることが嘘ではないことを理解する。

 一方でヘディンは嘘を見抜くことのできるフレイヤがわざわざオッタルに確認を取ったことに違和感を覚えていた。

 

(何だこの感じ……?)

 

 リボーンとフレイヤが会話している中、ツナはフレイヤに対して言語化にできない違和感を感じると同時に困惑してしまっていた。それ故にツナは2人の会話が聞こえていなかった。

 

シル(・・)……?」

 

「っ!?」

 

(ば、馬鹿な!?)

 

(この男……!?)

 

 ツナが無意識にシルの名を呟いた瞬間、フレイヤ、オッタル、ヘディンは驚愕の表情を浮かべる。

 

(雰囲気が変わりやがった?)

 

 ツナがシルという単語を呟いただけで緊張感が走ったのを見逃さずリボーンは目を細める。

 

「行くわよヘディン、オッタル」

 

 この場にこれ以上いるのは良くないと判断したフレイヤは2人を連れてそのまま去って行った。

 

「ツナ。何でシルの名前を出した?」

 

「自分でもよくわからない……ただフレイヤを見てたらシルの名前を呟いてた……」

 

「シルとフレイヤが同一人物っていう可能性はねぇのか?」

 

「いや……それは多分違うと思う……上手くは言えないけど、シルとフレイヤは何かが違う……」

 

(こいつが違うっていうなら違うんだろうが……だったらあいつらの反応は何なんだ……?)

 

 ツナの超直感は憑依弾の力によって憑依した骸をも見抜く。そんなツナが違うというのであればシルとフレイヤは同一人物ではないのだろうが、それでも先程のフレイヤ達の反応がリボーンは気になって仕方がなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方フレイヤ達は。

 

「沢田綱吉が相手を見透かす力を持っていることは前にフレイヤ様が聞いていましたが、まさかあそこまでとは……」

 

「ええ。流石の私の予想外だったわ。まぁ彼だけにバレるにならそこまで問題はないけど、大勢の前でさっきみたいな発言をされたら厄介ね」

 

 ツナ自身には悪意がなくとも、それでも第3者に自分の正体が疑われ、悪意のある者達に弱味が握られることをフレイヤは危惧していた。

 

「如何いたしますか?」

 

「この戦いの間だけヘルンに街中を歩かせて目撃証言を作らせて。ただしくれぐれも慎重にと伝えなさい」

 

「御意」

 

 フレイヤが命令するとヘディンはその場から走り去ってオラリオへと戻って行った。

 

「申し訳ありませんフレイヤ様。私が沢田綱吉と戦うことを了承したばっかりに……」

 

「構わないわ。それにあの様子だと彼も確信を持って私の正体に気づいてる訳じゃない。それに眷属の純粋な望みを否定するような器の小さい女神になんてなりたくないわ。貴方が気にする必要はないわよ」

 

「……過分な心遣い感謝いたします」

 

 様子を見に行くだけと言っておいて、失態を起こしたオッタルをフレイヤは責めることはしなかったが、それでもオッタルの内心は申し訳なさでいっぱいであった。

 

(それにしても私とシルのことは気づくのに、どうしてあの子(・・・)の気持ちに気づかないのかしら?)

 

 

 

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