ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
オッタルと戦った次の日。
(フィンの作戦通りだな……)
現在、ツナ達は総力を上げてラキアの兵士全軍との戦いに挑んでいた。
前日にツナがフィンの命令で幻覚でラキア側の軍師を撹乱させ闘志を削ぐことと自分達の配置を分からなくさせて、敵の指揮官を混乱させることに成功した。しかし敵の主神であるアレスがそれで諦めるような神物でないことは過去の戦いからフィンは嫌という程に学んでいる。
アレスは武神であるものの考えなしの性格。それ故に全く勝ち目のないのにも関わらず何度もオラリオに進行している。幻覚で敵の指揮官が混乱し作戦が立てられないのであれば、アレスは業を煮やし軍を総動員させる作戦を決行するとフィンは予測。実際にフィンの予想通り全軍を強行させて真正面からやって来た。
(いないな……)
ツナが周囲を見渡すも全軍が攻めて来ているという状況に関わらず、死ぬ気の炎を使って来る者は1人としていなかった。
(やはりラキアにはいないのか……?)
アレスはオラリオを打ち崩すだけでなく、世界征服をすることを望んでいるという。敵の出方が分からないだけで真正面からオラリオの冒険者達にに挑むような単細胞の持ち主が死ぬ気の炎の存在を知ってそれを利用しない理由はない。それでもなお死ぬ気の炎の使う者が現れないということは、ラキアとチェルアに繋がりはないのではないかとツナは戦いながら考えてしまっていた。
「何だおま……ギャァアアア!?」
「く、来るなぁああああ!?」
「ひぃいいいいい!!」
するとラキア軍の後方から兵士達が宙を舞っていく。
前方からではなく後方から味方がやられていく光景にラキア兵達は動揺を隠せないでいた。
「な、何あれ!?」
「何が起きてるの!?」
ティオネとティオナがラキアの兵士達が第3者に次々にやられていく光景にティオナとティオネは動揺を隠せないでいた。
(まさか来たのか!?)
敵の兵士の誰かが
チェルアに繋がる手がかりが掴めるかもしれないと思ったツナは警戒心を最大にする。
そして謎の人物はついにラキアの兵士達を全て倒し、していた者の姿が3人の視界に映る。
「あいつは……!?」
現れたのはなんとツナが少し前に戦った【カーリー・ファミリア】の副団長、バーチェであった。予想外の人物の登場にツナは動揺を隠せないでいた。
「え!? バーチェ!?」
「何であいつがここにいんのよ!?」
しかし驚いているのはツナだけでなくティオナとティオネも同様であった。
「あいつのことを知ってるのか?」
「ええ……まぁね……」
「……」
訳アリな表情をしながら返事をするティオネを見て、ツナはこれ以上、詮索するのは良くないと察した。
少し前にメレンにて【カーリー・ファミリア】は【イシュタル・ファミリア】と協力し【ロキ・ファミリア】に強襲するも敗北。その後【カーリー・ファミリア】のバーチェ以外の眷属は【ロキ・ファミリア】の男の団員に惚れ込んでしまい、【カーリー・ファミリア】は殺伐とした【ファミリア】から色欲の楽園と変貌。主神であるカーリーはあまりの眷属の変貌ぶりに頭を抱えることになった。
「というか何でツナがバーチェのことを知ってるの?」
「色々あってな……」
「ふーん」
先日の【イシュタル・ファミリア】に殴り込みに行った際の出来事は他言できない為、ツナは誤魔化した。訳アリだと察したティオナはそれ以上、詮索することはなかった。
するとラキアの兵士達を蹂躙し終えたバーチェはツナ達の元へと一瞬にしてツナ達の元へ移動する。
「何の用だ?」
「お前に会いに来た」
「何だと?」
バーチェが嘘をついているように見えなかったが、なぜ自分に会いに来た理由が分からなかった。
(前のことを根に持ったのか?)
バーチェからただならぬ覚悟を感じた。ツナは前に戦った時の借りを返しに来たのかと考えた。
だがバーチェはアルガナが自分に挑んで来た際に、自分とアルガナとの実力差を見抜き、アルガナを説得し共闘を持ちかけた。そんな冷静な判断の持ち主が単身で自分の元に、しかも【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】にいる戦場に報復の為だけにやって来るとは考えにくく、バーチェの目的がツナには分からなかった。
「俺に何の用だ?」
「……」
考えても考えてもバーチェが何を考えてこの場にいるのか分からなかったのでツナは直接、バーチェに問いただすもバーチェはすぐには口を開かなかった。
「お……えに……た」
「すまない。もっと大きな声で言ってくれ」
「お、お前に惚れたと言ったんだ……!!」
「は?」
「「え?」」
バーチェは顔を赤らめながら本心を打ち明ける。バーチェの発言にツナ、ティオネ、ティオナは衝撃のあまり
その場で固まってしまっていた。
「ええええええええええ!?」
まさかの告白に動揺した影響で
バーチェはこの前に【竈の館】に押しかけてきたアマゾネスのような誰がどう見ても分かるような積極性がなかったことと、バーチェがアマゾネスの本能に振り回されるような人物ではなさそうであったのでツナはこの展開を予想外できなかった。
「あ、あのバーチェが……」
「う、嘘でしょ……」
昔からバーチェのことを知っているティオナとティオネも今起こった出来事が信じられず、衝撃を受けていた。
「い、言いたいことはこれだけだ!!」
「あ、いや!! ちょっと……!!」
顔だけでなく耳を真っ赤にしたバーチェはツナの制止を聞かず凄まじい勢いで去って行ったのだった。
余談ではあるが、この事実を知ったフィンはツナに心の底から同情したという。