ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか 作:薔薇餓鬼
アイズに勝ってしまったことでアイズに目をつけられてしまったツナ。
早朝の修行を終えて教会に帰るツナとベル。休んだ後、ダンジョンに行く時間になった為、教会を出てツナダンジョンに向かって行く。
「ツナって凄いね」
「え?」
「いや……あのアイズさんに勝っちゃうからさ……」
「えっと……アイズってそんな凄い人なの?」
アイズが相当の実力者であることは勿論、ツナ自身が一番わかっている。だがあのアイズさんがと言われてもアイズがどういう人物なのか知らない為、いまひとつピンときていなかった。
「アイズさんは【ロキ・ファミリア】っていうオラリオの最大派閥の眷属で、剣姫っていう異名で知られてるLv.5の冒険者なんだよ」
「え!? アイズってそんな凄い人だったの!?」
まさかアイズがオラリオ内でかなりの有名な人物だということを知ってツナは驚きの声を上げる。
本当はLv.6の冒険者なのであるが、そのことは世間的には知られていない為、ベルが間違っている訳ではない。
(だ、大丈夫かな俺……!? 喧嘩売ったとか思われてないよね!?)
修行とはいえオラリオの中でもそんな有名な人物を負かせたと知られれば戦線布告だと受け止められて、報復されるのではないかと思ってしまっていた。
今の修行はアイズも知られたら困ると言っていたのでアイズの口から今回のことが漏洩することはないが、それでも周囲にこのことを知られないように注意しようとツナは心の中で誓うのだった。
「それに比べて僕は全然ダメで……」
ベルはアイズに一太刀浴びせるどころか気絶させられてばかりであった。ツナの過去を知らないとはいえ、あれだけの戦いを見せられた後で劣等感が芽生えていないはずがなかった。
「うーん……ベルは凄いと思うけどな。俺と戦った時も戦いの中で成長してるし」
「そ、そうかな……?」
「うん。前にも言ったけど後は心の問題だと思うよ」
「……」
ツナは自分の思っていることを正直に言ったが、ベルの劣等感を完全に払拭することはできなかった。
「ツナはどんな修行をしたの?」
「どうしたの急に?」
「いや……今後の参考したくってさ」
アイズを負かせるだけの強さを持っているツナ。そんなツナが行った修行なら自分もあんな風になれるのではないかとベルは考えた。
「正直、教えたくないっていうのが本音かな」
「え……!?」
「俺は今まで強くならなきゃいけないから強くなったんだよね。しかも短期間で強くならなきゃいけなかったから相当、無茶な修行をしたんだよね」
ツナは思い出す。【ボンゴレ】が誇る最強の暗殺部隊ヴァリアーと戦うことになった際には命綱なしで崖を登らされ、下手すれば死ぬかもしれないスパーリングに【ボンゴレ】の奥義である死ぬ気の零地点突破の会得。
未来の戦いでは徐々に酸素が無くなる密閉状態の中で、【ボンゴレ】がこれまで犯してきた罪を見せられるという、死んでもおかしくない上に生きていたとしても人格が崩壊してもおかしくないボンゴレの試練を受けさせられた。
「ベルには真っ当な方法で強くなって欲しいんだよね。まぁ正直、真似したくてできるものではないんだけどさ」
ツナの今までの修行はどれも死んでもおかしくないものばかり。短期間での飛躍的なパワーアップを求められた為、そうせざる得なかった。だからベルには自分を真似するのではなく、ちゃんとした方法で強くなって欲しいというのがツナの願いであった。
「ベルさーん」
するとベルの名を呼ぶ声がする。2人が声のする方法を向くと、そこにはお店の前で白と緑色のエプロンを身に纏い、頭に白のヘッドドレスをつけた銀髪の髪の女性がいた。
「あ。シルさん」
「今日もダンジョンですか?」
「はい。今から向かうところです」
「そうだったんですか。えっと……あなたはベルさんのパーティーの方ですか……?」
「は、はい。最近オラリオに来て、ベルのいる【ファミリア】に入ったんです」
「そうだったんですか。あ。自己紹介が遅れました。私、シル・フローヴァっていいます」
「沢田綱吉です。気軽にツナって呼んで下さい」
ツナがシルの推測に対して返答すると、2人は互いに自己紹介し合う。
(何だろう? この人、リリと同じで悪い感じはしないんだけどなんか違和感がある……けどリリとは違う違和感が……)
ツナの超直感がシルの違和感を察知する。しかしリリとは違う違和感であった為、この違和感が何なのかわからなかった。
「神様……?」
ツナは無意識にそう一言だけ呟いた。なぜこんなことことを言ったのかツナ自身にもわからなかった。
「ツナ。シルさんは神様じゃなくて人間だよ」
「そ、そうだよね……ごめん……急に変なこと言っちゃって……」
「フフッ。いいですよ。むしろ女神と間違われるなんて嬉しいくらいです」
急に自分が変なことを言い出したことを謝罪するが、シル自身は気にするどころか喜んでいる様子だった。
「でもそんな褒めたからって割引きはしませんからね」
「割引き?」
「はい。私この豊穣の女主人っていう飲食店の店員をしているんです。よかったらご贔屓にお願いしますね」
「あ……はい……」
店の宣伝をするシル。ツナはどういう風な返事をしていいのかわからず曖昧な返事をしてしまう。
「あ。忘れるところでした。今日もお弁当用意したので待ってて下さいね」
思い出したかのようにそう言うとシルは店の中に戻って、弁当を取りに行った。
「なんか優しい人だね。弁当を用意してくれるなんて」
「う、うん……まぁね……」
シルの優しさに感心するツナ。しかしベルの顔色はあまり良くなかった。
「お待たせしました。どうぞ」
「いつもありがとうございますシルさん」
「気にしないで下さい」
シルは弁当箱の入った包みを渡す。顔色が悪かったベルであったが、先程とは違って笑顔で弁当箱を渡す。
「ツナさんの分のお箸も用意してるので良かったら分けて食べて下さい」
「え? 俺もいいの?」
「はい。その代わりさっき言った通り、ウチのお店をご贔屓にして下さいね」
(成る程……タダでお弁当上げる代わりにお店に来るようにって遠回しに言ってるのか……)
何の見返りも求めていない訳でなく、タダで弁当を上げる代わりに豊穣の女主人にお金を落としていけと遠回しに言っているのだということを理解すると同時に、シルは意外に抜け目がないということをツナは理解する。
シルから弁当受け取った2人は豊穣の女主人を後にして、ダンジョンの入り口のあるバベルへと向かって行く。
(まさかあの人と同じようなことを言う人がいるなんて……)
ベルとツナの姿が見えなくなった後、シルの脳裏にはとある赤い髪の女性の姿が浮かんでいた。
(やっぱり
おまけ
「え……!? 本当に大丈夫なのツナ!?」
シルのくれた弁当を食べることになったツナとベル。ベルはツナがシルの弁当を普通に食べていることに驚きを隠せないでいた。
実はシルは相当の料理が壊滅的であり、シルの料理を食べて無事な者はいないと言われる程である。ベルも毎回、我慢してシルの弁当を平らげているのである。
「うん。まぁ味はちょっとアレだけど……俺の知り合いに比べればマシというか……食べられるだけマシって感じかな……」
「そ、そう……」
シルよりも壊滅的な料理を作れる人物がいることにベルは驚くと同時に、ツナの凄さを知ったベルであった。
ちょっとしたネタバレを挟みました。アニメ派の方、原作で追い付いていない方、すいません。
シルの料理も酷いですけど、ビアンキに比べればマシだと僕は思っています。
シルとビアンキの料理対決とかやってみようかな……
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