ダンジョンにボンゴレ十代目が行くのは間違っているだろうか   作:薔薇餓鬼

135 / 161
標的(ターゲット)135 失望(デスペラティオ)

 

 

 

 

 

 アルフィアの魔力を吸収したツナ。

 

「決着をつけるぞ。アルフィア」

 

「がっ!?」

 

 ツナの姿が一瞬にして消えると、アルフィアの顔面に加速した肘鉄を喰らわせた。

 

「っ!?」

 

 肘鉄を喰らって一瞬、視界が塞がれたアルフィアはすぐに目を開くも、すでにツナはスライディングで自分の足元に迫っていた。アルフィアは即座にツナを右足で踏み潰そうとする。

 

「ガハッ!?」

 

 だがスライディングの状態から炎を逆噴射し上昇すると同時に右足を上空に突き上げて、アルフィアの顎を蹴り飛ばした。

 そして空中で逆さまの状態で正面を向くと、アルフィアの腹部にラッシュを喰らわせた後、両手で同時に掌底を繰り出してアルフィアを殴り飛ばした。

 

(こいつ……魔力を自分の力に……!?)

 

 いくら魔力を吸収されたとはいえ、それでもツナの動きに反応することすらできなかった。このことからアルフィアはツナが自分の魔力を吸収しただけでなく、魔力を自分の力に変換したことを理解する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────リボーン達サイド

 

「ツナの動きが急に良くなった……?」

 

「【死ぬ気の零地点突破改】だな」

 

「零地点……?」

 

「相手の魔力を吸収して自分の力に変換するツナのスキルだ」

 

 ツナが急に強くなったことに困惑するヘグニ。そんなヘグニの疑問をリボーンが答えた。

 【死ぬ気の零地点突破改】の存在を知らない【フレイヤ・ファミリア】の眷属達は動揺を隠せないでいた。

 

(我々エルフの天敵だな……)

 

 たださえ強い上に魔法を無力化するだけでなく

自分の力に変えることができるとなれば、魔法種族(マジックユーザー)であるエルフは太刀打ちできる者は皆無だということをヘディンは理解させられる。

 

「ていうか何で最初から魔法を吸収しなかったの?」

 

 【死ぬ気の零地点突破改】のリスクを知らないティオネの為に、ツナがアルフィアの体内から魔力を吸収した理由を説明がわからなかった。

 

「あの技は攻撃を受けるタイミングを間違えると吸収できねぇどころか、本人にダメージを受けちまうんだ。音は目に見えねぇからタイミングが見極められねぇ。だからアルフィアの体内から直接魔力を吸収したんだ」

 

 ティオナの為に説明するリボーン。そして家光との戦いの際に言った教えを忘れず、実行したことが嬉しかったのかリボーンの口角が少しだけ上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────ツナ&アルフィアサイド

 

「ゴスペ……グフッ!?」

 

 吹き飛ばされた後、アルフィアは詠唱しようとするもそれよりもさらに速くツナが加速した真空飛び膝蹴りをアルフィアの額に喰らわせ、そのまま魔力暴発(イグニス・ファトゥス)が発動しアルフィアの体が爆炎に包まれた。

 

(ここに来てまだ速度が上がるだと……!?)

 

 魔力を奪われてから一番、最初に肘鉄を喰らわされた時よりもツナの動きがさらに速くなっていたことを理解させられた。

 今までのツナは多方向に拡散させた炎を噴射することで移動していた。だが今のツナは炎をコントロールし炎を細く絞った状態で炎を噴射することでジェット噴射を実現。これによって推進力をさらに上げたのである。

 ただ速度が上がっただけではアルフィアを魔力爆発(イグニス・ファトゥス)させることはできない。超直感でアルフィアの動きと考え予兆を読み取ることができたからこそである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────リボーン達サイド

 

魔力暴発(イグニス・ファトゥス)!?」

 

「相変わらずとんでもないことをやりよるわい……」

 

 超短文詠唱でかつとてつもない威力を持つアルフィア対して魔力爆発(イグニス・ファトゥス)を狙って行うという前代未聞のツナの行動にリヴェリアとガレスは驚愕を禁じ得なかった。

 

「いくらアルフィアよりも速さが上とはいえ……」

 

「少しでも臆すれば確実にアルフィアの魔力の餌食となる……」

 

 真の力を解放したアルフィアを相手に魔力爆発(イグニス・ファトゥス)を意図的に狙うなどという一か八かの賭け。親指の疼きを持つフィンと百戦錬磨のオッタルでさえ、そんなことをする勇気を持ち合わせてなどいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ツナ&アルフィアサイド

 

(私が魔力爆発(イグニス・ファトゥス)されるとは……そんなことができるのはマキシムと女帝(あの女)くらいと思っていたが……)

 

 アルフィアの脳裏には今は亡き、【ゼウス・ファミリア】の団長と【ヘラ・ファミリア】の団長の姿が浮かんでいた。

 

「止めだ」

 

「何……?」

 

「時間経過と今までの俺のダメージでお前の体は消耗している。これ以上は戦っても無駄だ」

 

 戦いながらツナは気づいていた。アルフィアの体が少しづつ弱体化していたことを。

 【才禍代償(ギフ・ブレッシング)】はステイタスの常時限界解除(リミット・オフ)を約束する代わりに交戦時及び発作時、毒、麻痺、機能障害を始めとした複数の状態異常を併発し、発動中は半永久的に能力値(アビリティ)、体力、精神力の低下を伴い続ける。いくら病気が完治して全盛期以上に動けるようになったとはいえスキルのデメリットを克服した訳ではない。

 それに加えて魔力を大量に吸収され、パワーアップしたツナの攻撃を喰らい続けた上での魔力爆発(イグニス・ファトゥス)。最早、アルフィアの勝ち目はないに等しかった。

 

「────貴様もか」

 

「?」

 

「貴様程の男でさえもアストレアの小娘共と同じく私を失望させるのか!!」

 

「え……?」

 

 ここでなぜリューの所属している【アストレア・ファミリア】の名がアルフィアの口から出るのかわからずツナは困惑する。

 

「貴様は7年前にはいなかったから知らないんだったな。私が闇派閥(イヴィルス)と手を組んでオラリオを地獄に変えたことを。そして【アストレア・ファミリア】によって倒されたことを」

 

「なっ!?」

 

 人類を救う為に黒竜と戦った筈のアルフィアがオラリオの敵となったこと。アルフィアの死因に【アストレア・ファミリア】と関係していること。いきなり明かされたとんでもない情報にツナの思考は停止してしまう。

 

「千年。神々の地上に降臨し人類に恩恵を与えた。そしてダンジョンから地上へと進出した怪物を討伐せんと力を磨き続けた」

 

「三大冒険者依頼(クエスト)……」

 

「そうだ。海の覇王(リヴァイアサン)陸の王者(ヘビーモス)を討伐することに成功して、人類の悲願たる三大冒険者依頼(クエスト)達成に王手をかけた。だがそんな我々の力をもってしても黒竜には何も通じず敗北し私は絶望した。そして同時に気づいた。時代を逆行させ真の英雄を生み出せねば、黒竜を倒せないとな」

 

「逆行?」

 

「まだ神々が地上に降臨する前。人類は神の恩恵(ファルナ)がないにも関わらず、怪物(モンスター)に打ち勝ってきた。そして神々が地上に送り出した精霊の力を借りたとはいえ、英雄アルバードは最終的に黒竜から片目を奪いオラリオから遠ざけた。つまり神時代が訪れる前の時代を再びの到来させることで黒竜に対抗できる英雄を生み出す。その為にはまずオラリオを陥落させる必要があった。だから私は闇派閥(イヴィルス)手を組んだ」

 

「嘘だな」

 

「何?」

 

 アルフィアが自分の目的を話すもツナはアルフィアの話が嘘だということを看破していた。

 

「お前が7年前に闇派閥(イヴィルス)と組んでオラリオを襲撃したのはおそらく本当のことなんだろう。けどお前が悪に落ちていたならフィン達はもっとお前のことを恨んでいた筈だ」

 

 アルフィアが現れて驚愕する者や、屈辱を味あわされて恨んでいた者はいた。しかしアルフィアのことを非難する者は誰1人としていなかった。

 

「お前の目的はオラリオの壊滅ではなく、自分を倒させるという試練を与え、黒竜を倒すことのできる英雄を生み出すこと。違うか?」

 

 自分を成長させる為に常日頃からリボーンから常に厳しい試練を与えられているお陰で、ツナはアルフィアの真の狙いに気づくことができていた。そして暗黒期を戦った者達が誰も非難しなかったのは、アルフィアの真意に気づいていたということもツナは気づいていた。

 

「何でもかんでも見透かすな。不愉快だ」

 

「やっぱりか……」

 

「言っておくが奴らを始末することに躊躇いはないぞ。生前よりも強くなったとはいえ、それでも今の私に勝てないようなら黒き終末を乗り越えるなど無理な話だからな」

 

 アルフィアの返答を聞いてツナは自分の推測が正しかったということを理解するも、アルフィアは全てを肯定はしなかった。

 

「それに貴様に失望したのも本当だ。仮にも敵である私に情けをかけた。そして何より黒き終末を乗り越える気がないこともな」

 

 戦いながらアルフィアはツナの本質に気づいていた。潜在能力こそあれど、冒険者としての覚悟がないことを。

 

「リボーンは俺に黒竜を倒させたいらしいが、俺は戦う気はない。そもそも俺は冒険者になることはおろかオラリオに来る気すらなかったしな。今、冒険者になってるのもオラリオにいるのも成り行きに過ぎない」

 

「ようやく逸材を見つけたと思ったら、まさかこんな軟弱な精神の持ち主とはな」

 

「問題ないさ。俺が戦わなくとも他にも逸材はいる」

 

「問題ないだと? あの猪人(ボアズ)でさえ7年経っても未だLv.7。しかも見たところ他の奴らも、新たに現れた奴らもせいぜいLv.6止まり。生前の私と同じLv.に並ぶ者が1人しかいない状況で安心しろと?」

 

「Lv.7ならもう1人、都市外にいるらしいぞ。レオンという奴らしいが」

 

「あのハーフドワーフのクソガキか。だが黒竜を相手にするには程遠い」

 

 Lv.7がオッタル以外にもいたことは初めて知ったが、それでも黒竜を倒せないことのは明白であった。

 

「他に逸可能性があると言えば【ガネーシャ・ファミリア】と【アストレア・ファミリア】くらいか……といっても後ろにいる奴らに遠く及ばないだろうが」

 

「【アストレア・ファミリア】は5年前に闇派閥(イヴィルス)によって壊滅させられた。1人だけ生き残ったが、もう冒険者からは引退している。主神のアストレアも今は都市外にいるらしい」

 

「小細工を弄したとはいえ、この私を倒した奴らですら死んだのか」

 

 【アストレア・ファミリア】の現状を知ったアルフィアであったがすぐに現状を受け入れた。

 

「話が過ぎたな。決着をつけるぞ。言わずともわかっているな」

 

「ああ」

 

 アルフィアが引く気がないと悟ったツナは炎を逆噴射させ上空へと上がった。

 

「ナッツ。形態変化(カンビオ・フォルマ)

 

 ツナの両腕に噴射口が取り付けられるとクロスさせた両腕を地上にいるアルフィアへと向けた。

 

「オペレーションXX(ダブルイクス)

 

 

 




あの技を出します。


X(旧Twitter)→https://twitter.com/husuikaduti

評価→https://syosetu.org/?mode=review&nid=340850
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。